皆さんこんにちは。グッドパッチでプロジェクトマネージャーをしている服部と申します。

私は普段、さまざまなプロジェクトのマネジメントを通して、多くのサービスやプロダクトを目にしていますが、最近は特にサービスやプロダクトの価値をユーザーに届けるいわゆる「サービスブランディング」の重要性が高まっていると感じています。

もちろんサービス/プロダクト開発においては、中身を磨くことが最も大切であり、ユーザーが価値を感じるモノを生み出さなければ、スタートラインに立てません。しかし、その考えが浸透してきた今、同じ業界であればサービス(プロダクト)の品質が大きく変わらなくなってきているのも事実です。

サービスそのものでは他社との差別化を作りにくくなっていく中、ユーザー数の増加や支持を左右するのは、「(ユーザーから)抱かれるイメージ」や「独自の価値の伝え方」といった、いわゆる「ブランディング」の領域に移りつつあるのです。

実際に「せっかく良いサービスができたのに、ブランディングの部分で損をしている」と感じるケースは少なくありません。例えば、素晴らしいコンセプトの下に機能やデザインが統一されたサービスなのに、SNS広告やキャンペーンサイトはなぜか統一感がない、何か雰囲気が違う……。もったいない、というほかありません。

グッドパッチでは今、サービスやプロダクトそのものに加え、それ以外のユーザーとのタッチポイントも手掛ける、すなわちサービスのブランドをデザインするケースが増えてきています。そこで、プロジェクトなどを通じて得られた知見を「サービスブランディング」をテーマにした連載で解説することにしました。

今回は第1回ということで、グッドパッチにおけるサービスブランディングについて、定義やメリット、注意点など、基本的な部分を紹介していこうと思います。

「サービスブランディング」とは?

サービスブランディングについては、さまざまな考え方があります。グッドパッチにおいては、提供するサービス(プロダクト)自体のブランド価値を構築しユーザーや顧客へのタッチポイント全てにおいて、ブランド価値や世界観(コンセプト)が正しく伝わるようデザインすることで、強い想いが乗ったサービス(プロダクト)を世の中に広げていくという、ユーザーに支持されるサービスを生み出すための戦略的なアプローチの一貫だと捉えています。

単にサービスの宣伝やプロモーションをするだけでなく、ブランド体験をデザインし、一貫したブランドコミュニケーションを行うことが重要なのです。

一貫したブランドコミュニケーションを行うことが重要

グッドパッチでは、アプリなどのソフトウェア自体はもちろんのこと、その周りにあるタッチポイントをデザインしていくこともサービスブランディングと捉えており、そのためアウトプットとしては、デジタル領域だけでなく、アナログのもの、例えばイベントノベルティや人材採用のために出展したブースの空間デザインといったものも含まれます。

サービスブランディングを実践する上での課題

サービス自体だけでなく周辺のタッチポイントも含めて、コンセプトや世界観を統一することで、ブランド価値が強化される──。こう書くと、当たり前のことを述べているだけに見えるかもしれませんが、これができているサービスはそう多くはありません。

それだけコンセプトや伝えたいメッセージが、クリエイティブに十分に反映されていないケースが多いということです。

ではなぜ、一貫性のあるブランドコミュニケーションができないのでしょうか。企業によって理由はさまざまだとは思いますが、代表的な課題としては、以下のようなものが挙げられます。

サービスブランディングを実践する上での課題

リソースの不足

サービスブランディングを適切に行うには、専門的なスキルと経験を持つ人材が不可欠です。しかし、プロダクトデザインに特化したメンバーはいるものの、ブランディングに関するスキルを持ったデザイナーが不足しているなど、人員を確保できない企業が多く、リソースの不足に悩まされがちです。

部門間での目標(KPIなど)の不一致

ブランディングには、マーケティング、PR、営業、カスタマーサクセスなど、さまざまなステークホルダーが存在します。それぞれの部署で目標やKPIが異なることが多く、ブランディングへの取り組みに齟齬が生じ、一貫性を保つことが困難になるケースも少なくありません。

ブランディングに関するスキルの不足

サービスのVMV(ミッション・ビジョン・バリュー)や提供価値といった要素を、さまざまなタッチポイントのデザインに適切に反映させるためには、高度な専門性が求められます。しかし、適切に反映させるための仕組みがなかったり、教育機会の少なさから、多くの企業でブランディングに関する十分な知識やスキルを持っていないのが実情です。

課題を乗り越えた先にあるサービスブランディングのメリット

リソース、組織、人材の面でサービスブランディングを実践する上での壁はいくつもありますが、それを乗り越えることができれば、さまざまなメリットや影響が期待できます。

サービスブランディングのメリット

ロイヤリティが高まり、ユーザー離れのリスクが減る

戦略、サービス/プロダクト、マーケティングなど、あらゆる面でブランド体験を一貫させることで、ユーザーに加えて、市場へのメッセージングなども明確になり、顧客獲得および対応の品質が上がります。

ブランドへの関心が高まり、サービスに対する理解度が深まれば、結果として顧客ロイヤリティが高まり、リピート率や口コミ効果も期待できるほか、ユーザー離れのリスクも下がるでしょう。

差別化と競争力の強化

同業他社とはっきりと異なるブランド体験を創出できれば、ユーザーは自社のサービスを選択する理由を明確に持つことができます。こうした差別化により、競合に対する優位性が生まれユーザー数が増加する可能性が高まります。

ブランド構築の予算と工数を削減

サービスブランディングでは、ユーザーとのあらゆるタッチポイントでの体験を統一的に設計していくため、個別で最適化していくより、ブランディングにかかる工数や予算などの削減に繋がる可能性があります。

サービスブランディングを進める上での注意点

サービスブランディングはブランド力を高めるだけでなく、マーケティング費用の削減、顧客獲得・満足度の向上、競争力の強化といった多岐にわたる大きなメリットがありますが、効果的に推進するためには、以下のようなポイントに留意する必要があります。

経営陣のコミットメントと部門間の連携

課題の部分で「部門間での目標の不一致」を挙げましたが、これを解消するためにも、経営層がサービスブランディングの重要性を理解し、強力にリードすることが不可欠です。また、マーケティング、デザイン、営業、カスタマーサポートなど、関連する全ての部門が、緊密に連携できる体制を整備する必要があります。

ブランド価値の評価と改善のサイクルを作る

サービスブランディングの成果を適切に評価し、分析することで課題を見つけ出し、ブランド体験を継続的に改善していくPDCAサイクルを確立することが重要です。

そのため、一過性のキャンペーンではなく、継続的な取り組みとして推進していかなければなりません。絶えずブランドを見直し、進化させていく姿勢が大切です。

従業員のブランド理解と「ブランドガイドライン」の徹底

サービスブランディングを成功させるには、全従業員がブランドの本質を理解し、ブランド価値の体現者となることが不可欠です。教育とエンゲージメント施策を怠ってはいけません。

また、ブランドの核となる価値観、視覚的な規定、メッセージングのルールなどをガイドライン化し、組織全体で共有し徹底することが大前提となります。

このように、経営層や関係部門と緊密な連携体制を整え、従業員一人ひとりのブランド理解を深めながら、継続的な改善を重ねていくことが、サービスブランディングを成功に導くカギとなるでしょう。


グッドパッチには、サービスやソフトウエアプロダクトにおけるブランディングに関して推進した経験と実績のあるデザイナーが在籍しております。顧客体験設計やブランド提供価値の言語化といった、戦略部分の知見の提供はもちろんのこと、要件が不明瞭な状態でも、事業責任者やブランドマネージャーと会話しながらプロジェクトを推進していきます。

すでに課題をお持ちの方や、この記事を見て気になった方はこちらからぜひ、お問い合わせください。次回は「効果的なサービスブランディングの進め方」をテーマにお話ししたいと思います。

関連リンク

新しい挑戦「ソフトウェアの枠を飛び越えたコミュニケーションデザイン」【初公開!ぜんぶ見せます】
https://note.com/tochio193/n/n82cda8771e68

グッドパッチ サービスブランディング紹介ページ
https://design-partnership.goodpatch.com/solutions/service_branding

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