手触り感のあるプロトタイプで加速する 未来のクボタの生産者支援とは?
未来のサービスやプロダクトを構想する難しさはいくつかありますが、未来自体を知ることができないこと、そして良いアイデアを正しく評価する基準がないこと、この2つは特筆されるものではないでしょうか。取り扱うテーマに正解や明快な基準もなく、プロジェクト自体が「ふわふわしたもの」という印象を受け、評価されにくいというのが現実です。
クボタのデザインセンターとグッドパッチの取り組みは、そんな未来志向のデザインの難しさに向き合うため、想像力を生かしたシナリオを描き、手触り感のあるプロトタイプに落とし込む2段階のプロジェクトとして行われました。
手探りで正解のない未来の価値を創造する営みは、プロセス全体からプロトタイプの展示会まで、さまざまな可能性を生み出しました。プロジェクトの振り返りから、絵空事ではない、実装に向けた探索を加速させる未来志向のデザインとプロトタイプのあり方について語り合います。
<話し手>
株式会社クボタ グローバル技術研究所 研究開発本部 デザインセンター デザイン戦略・企画チーム チーム長 串田吉広さん
株式会社クボタ グローバル技術研究所 研究開発本部 デザインセンター デザイン戦略・企画チーム 穴井太郎さん
Goodpatch デザインストラテジスト 遠藤英之(モデレーター)
Goodpatch デザインストラテジスト 森村典子
Goodpatch デザインストラテジスト 佐藤大輝
目次
新設のデザインチームがグッドパッチと探る中長期的な未来像

対談はプロジェクト終了後、各地に散らばるメンバーがオンラインで実施。左上からクボタ 穴井さん、グッドパッチ 遠藤、クボタ 串田さん、グッドパッチ 森村、グッドパッチ 佐藤
Goodpatch 遠藤:
皆さんとは、2024年の3月、11月と2つのフェーズのプロジェクトをご一緒させていただきました。それぞれのプロセスに添いながらお話しを進めていきましょう。まず、グッドパッチにお声がけいただいた経緯を教えてください。
クボタ 穴井さん:
デザインセンター内に新しく「デザイン戦略企画チーム」が発足し、独自に将来構想から新しい提案を打ち出す活動をしていくことになりました。その際、ただ漠然とした将来を描いて終わりではなく、しっかりと手触り感のあるものを作りたいと考えていました。
また未来予測の体系的な方法論が部内になかったので、知見がある外部パートナーを探していました。グッドパッチさんは将来構想から具体的なUI、グラフィックといったアウトプットまで、一貫して高いクオリティやノウハウを担保してくれるという期待があり、お声がけしました。
クボタ 串田さん:
デザインセンターは食料・水・環境分野において魅力的な製品の構想とデザインを担います。私たちデザイン戦略企画チームは、将来の社会動向や自社製品の将来を長期的視点で描きながら、次世代製品のデザイン戦略を立てていくのが大きな役割になっています。また、社内との連携を通じたイノベーションの加速への貢献も期待されています。
Goodpatch 遠藤:
普段は別々のプロジェクトに入られているメンバーが一堂に会し、グループで未来洞察に取り組むことも最初から決められていたポイントだったのでしょうか?
クボタ 串田さん:
最初から決めていたわけではありません。デザイン戦略企画チームはさまざま専門性を持った人材が集まっていて、未来の検討には視点の広がりが必要だと考えたときに、一緒にやったら面白いのでは、と考えて始めたところはありました。
未来予兆探索がもたらした視野の広がりとチームの変化

プロジェクト初期はメンバーそれぞれの視点から、多岐にわたる未来の可能性が示された
Goodpatch 遠藤:
今回のプロジェクトは、次世代の生産者支援システムのビジョンを描いていくというスコープの下、具体的な提案を作りました。
Goodpatch 森村:
すでに全社としてメガトレンドに対する方針がある中で、発足当初のチームとしてどういう視点で取り組むか、どうしたらデザイナーならではのアイデアが生み出せるか、に着目してプログラムを設計しました。
最初の未来予兆探索では、食料生産の領域に限らず、広く個人個人の視点で未来を感じる予兆を探索することを大事にしました。当初は穴井さんと串田さん2人だけが参加するという話だったのが、チームの6人全員に最初から最後まで参加いただけたことで予兆探しも充実しましたし、アイデア拡充も盛り上がりましたね。
クボタ 串田さん:
今思い返すと、僕も含めてアンテナというか視野はすごく広がったなと思いました。その視野の広がりが次のフェーズなり、他のテーマにも波及していっているところはあると思います。
クボタ 穴井さん:
これをきっかけにメンバー同士が未来について雑談するようになりました。チームで未来を考えるのが当たり前な雰囲気にもなったのはいい変化でしたね。
Goodpatch 遠藤:
デスクリサーチをベースに兆しとアイデアを持ち寄るところからスタートしたプロセスはいかがでしたか?
クボタ 穴井さん:
クボタにいるとどうしても機械ベースで考えることが多いのですが、このプロジェクトでは考えが人の価値観まで及んで、これまでとは異なる視点で発想できたのが面白かったです。
クボタ 串田さん:
メンバー同士で重複したアイデアが出ても、同じ課題や技術の話をしているのに着眼点が違って、対話をしながらの気付きが結構ありました。
Goodpatch 森村:
どんな点に未来を感じたのかの皆さんの視点や対話が面白くて。予測だけじゃなくて、「こういう未来にはしたくない」という本人の思いの強さがアイデアにつながる場面もあり、良いディスカッションが起きていると感じていました。

似たような事象を選んでも切り取る視点が異なることで、アイデアに深みが出た
クボタ 穴井さん:
個性が出ましたよね。ここに未来を感じるんだ、この事例を持ってくるんだみたいな。それぞれのキャラクターが出ていて、見るのも面白かったし、仲良くなるきっかけにもなりました。チーム発足初期の活動としてとても良かったです。
クボタ 串田さん:
ワークショップの最初に、毎回いろんな角度で自分のことを語るアイスブレイクもあって、自己開示の極地だなと思いました。
Goodpatch 遠藤:
あれも実は狙いがあって。最終的に正解がない以上、自分がやりたいとか、自分たちが本当にこうなるといいなっていう想いみたいなものがないと納得もできないし、進めようという気持ちにもなれない。そういう意味で内発的な自己開示のための心理的安全性はすごく重要だったりするんです。
他人事ではなく感情移入できる 未来シナリオとしての「短編小説」
Goodpatch 森村:
ここで一度、これまでに出てきた未来の視点やアイデアをグッドパッチで構造化し、デザイン視点で大事にしたい要素をみんなで認識を合わせた上で、シナリオづくりへと進めました。
Goodpatch 遠藤:
未来予測・予兆のワークで紡いできた未来の社会に、将来的なステークホルダーが登場し、そこにアイデアや視点を加える形で進めていきましたが、シナリオのシーンを作っていくところも喧々諤々でしたね。
クボタ 穴井さん:
そうですね。第一稿をクボタメンバーで見た時に、もうちょっと感情移入できるように、シナリオの登場人物目線のものにしていきたいという議論がありました。
Goodpatch 遠藤:
最終的には短編小説レベルの描写に落とし込みました。
クボタ 穴井さん:
すごく面白くていいものができたと思っています。未来構想の資料は色々あるけれども、大体他人事っぽい書き方や「なんとなくこうなるだろう」みたいなものが多い中で、感情移入してしまうようなセリフまで出てくるのは初めて見ました。こういう形で未来を語るのはとてもデザインセンター的だし、非常にいいやり方になったなと思いました。

作成したシナリオは全8編の短編小説の形をとり、未来に生きる人や価値観をいきいきと表現した
クボタ 串田さん:
私たちデザインセンターとしてはやっぱり人間中心であるべきで。未来の人の会話が生まれるところで未来のサービスをつくったり、「人と人」とか「人ともの」の関係が良くなっていく部分の提案ができるのは、強みなのだなと改めて思いました。
Goodpatch 森村:
あとは、アイデアが実現された社会をユートピアとして描くのか、ディストピアとして描くのかの話し合いもありましたよね。可能性と課題の両面からの議論は、シナリオへの落とし込みでとても熱の入った部分でしたね。
クボタ 串田さん:
未来志向のデザインは、ディストピア的なところからの課題解決になってしまうと、今もう予測できるのなら解決しようよという話になる。だからユートピアというか、もっと良くするところをやりたいのだけど、デザインの根本は課題解決なので「ユートピアをさらに良くするって何だろう?」みたいな迷いの道にも入り込みましたよね。
Goodpatch 遠藤:
いろんな可能性に思考が及ぶようになって、議論が深まりました。最終アウトプットは8つのシナリオになりましたが、途中でこんな話があったという記憶が皆さんの中に文脈として残っているというのは、むしろそこの価値が大きいのかなと感じました。フェーズの区切りを迎えた段階での手応えはいかがでしたか?
クボタ 穴井さん:
小説風のまとめ方は予想してなかった着地でしたが、色んな効果が見たことない形ででてきてホッとしました。一方で「これを次どうしていくか」という不安もありました。
クボタ 串田さん:
「形になった」っていう達成感はあったけど、出発点に立った感覚でしたね。
描いた未来の社会像を基にプロトタイプのテーマを定める

プロジェクト後半はシナリオの中で登場するサービスのUIを実際に制作するスコープに設定
Goodpatch 遠藤:
プロジェクトとしてはシナリオ作成で一区切り。クボタの皆さんの中での検討が深まったところで再度お声がけいただきました。アウトプットの対象を明確にしながら、シナリオのブラッシュアップと並行してプロトタイプ作成に進みました。
クボタ 穴井さん:
11月から再開したプロジェクトでは、考えた未来の世界観を引き継ぎつつ、UIに落とし込むことを軸にしました。食糧生産の現場は天候をはじめ、先が読めない、標準化がしにくい現場です。この難しさに対して柔軟なインプットが可能なAI活用が有効なのではと考え、その具体化をテーマに。生産者の仕事が広がり、変容していく中でAIがどう作用していくかをベースシナリオにしようと考えました。
クボタ 串田さん:
社内でもAI活用にトライしてる人たちはいっぱいいるんですが、UI視点でのAIの話はまだ出てきていないところでもありました。
Goodpatch 佐藤:
グッドパッチでは今はまだない価値を形にしていく「ビジョンプロトタイプ」をやる機会が結構ありますが、ここまでAIとのインタラクションに特化して考えるのは珍しいです。まだ世の中に課題として顕在化しているトピックではないので、「未来」というテーマだからこそ取り扱えたと思います。
Goodpatch 森村:
登場人物や表現したいイメージがあった上で、「もうちょっとリアルに考えると具体的に誰がどういうシーンで使うだろうか」と想像を膨らませながら精緻化していきました。当初描きたいシナリオを並べたら結構膨大で、「これ全部描くのは期間的にもプレゼン的にも無理じゃない?」となって(笑)。
だからこそグッドパッチとしては、「一番伝えたい価値やUIを通じて、何を最も体感してほしいのか?」を整理して、リアリティのあるプロトタイプを作り込む。そこにこそ我々の入る価値があるんじゃないかなという気持ちがありました。
クボタ 串田さん:
プロの目で見た客観性は非常に助かりました。UIの提案自体ももちろんですが、つくった後の展示会や社内共有についても並行して相談していた中で、「これ膨大すぎじゃない?」「こういう風にすると伝わりやすいよね」といったメタ視点の話も一緒に相談できたのが、すごくいいアウトプットにつながったと思いました。
デザイナー同士が密に創発性をぶつけ合い、つくるほどに盛り上がった正解のない未来のプロトタイプ
Goodpatch 遠藤:
未来の世界観において、テーマである生産者支援での提供価値やそのシーンが絞られていったわけですが、いよいよそれを具体的なUIプロトタイプとして表現する段階に入ります。今はまだない価値、提供方法を形にしていくプロセスはいかがでしたか?
クボタ 穴井さん:
オンラインでのコミュニケーションが中心だった中で、グッドパッチのオフィスに伺って集中してホワイトボードに描き出したのが印象に残っていますね。半日という短い時間でしたが、そうとは思えないほど濃密な共同作業でした。
あのタイミングでちゃんと「ここ分からないよね?」というのを描き出したことで、どこの具体化が足りていないのかも鮮明になった。ホワイトボードにイメージを描こうとしたら、細かいUI仕様まで考えられていなくて手が止まったり。またそこで議論が始まってという具合に、発見と解決を繰り返す、必要なプロセスでした。
Goodpatch 佐藤:
今はまだない、正解のない新しいものを作り上げていくというところで、既存のプロダクトからの引き出しだと難しい。穴井さんからこれまでのクボタのプロダクトに関する資料を材料としていただいたり、僕からまったく異なるサービスのUIを共有したり、お互いの創発性やこれまで培ってきた材料をうまく生かし合いながら組み立てていくのが、すごくはまったプロジェクトだと思います。
AIと対話することを主眼に置いたUIを作っていて、その会話内容も「これだったらこういう対話だよね」みたいなこととか、シナリオと行き来するような形にしたからこそ動くような瞬間もあったような気がしますが、いかがですか?

作業はオンライン中心だったが、対面で集中的にアイデアをブラッシュアップしたプロセスが効果的だった
クボタ 穴井さん:
仰る通りです。UIといってもAIとの対話をベースにすると「このときどんなセリフを言う?」というところまでちゃんと考えないといけない。全体のストーリーと、UIと、UI中のストーリーまでをどうするか3段階を考えるみたいな。いい感じに空気を見ながら連携して、有機的にそれぞれ同時に立ち上がっていったのも往復しながら感じましたね。
Goodpatch 佐藤:
僕、必ずやるプロセスがありまして。プロトタイプを作る時にそのプロダクトの提供価値を3点ぐらいでまとめる。インターフェースにしろシナリオにしろ、その提供価値が軸となって、そこから起こすし、逆に立ち戻って確認する。ブレない提供価値の軸があるからこそ具体物をつくれるっていうところがあるので、このプロジェクトでも意識してやっていたかなと思います。
クボタ 穴井さん:
迷ったときも立ち戻って頭が整理されたので、とても助かりました。
未来の「構想」から未来を「形にする」ところまでやってみて

AIを含んだUIプロトタイプの作成には、これまで練りに練ったシナリオが役立った
Goodpatch 遠藤:
未来の想像から始まったプロジェクトが晴れて形になったときには、どう感じられましたか?
クボタ 穴井さん:
「本当にいいものができたな」というのが素直な感想ですね。進行する中で「プロトタイプまでつくる時間があるのか?」みたいな空気が漂っていた瞬間もあったと思っていますが、それでも「とりあえずプロトタイプしました」みたいなレベルではなく、かなりつくり込まれた内容で。一つひとつ細かく調整されていましたし、動きもイメージ通りで、シンプルに感動しました。本当にそれに尽きます。
クボタ 串田さん:
期待を超える完成度とスピード感でしたね。難しいところは、やっぱり終わりが見えないところ。打ち合わせすればするほどアイデアが出ちゃう。
Goodpatch 遠藤:
最初の不安が後半になるにつれて、可能性を感じるようになっていったのかなと思いました。これもできるじゃないか、あれもできるじゃないかと。そういう意味では絞ったり選んだりする過程も実は重要なポイントだったり。
クボタ 串田さん:
そこをまさに一緒にやってもらえたのかなっていうところですね。
Goodpatch 遠藤:
形のない探索から始めて、未来のものを形にした感覚というか、そこに対する想いはありますか?
クボタ 穴井さん:
これまで自分が作ってきたアウトプットのどれでもない、新しい出会いという感じでした。表現が難しいけど。
クボタ 串田さん:
いい意味でリアリティがあるものができたなっていう感覚を持ちましたね。コンセプトだけだと「絵に描いた餅」のように思ってしまうのですが、「リアリティのある未来をいかに見せられるか」にデザインの役割が移行してきている感覚があります。
Goodpatch 森村:
未来シナリオだけで社内に展開すると「それで?」と言われてしまいがちです。「プロダクトをもって未来を語る」ことができて、初めて説得力を持つことができると思っているので、構想から具体化まで一貫して一緒にできて良かったなと。
触れるカタチにしたことで 期待と発見につながった社内展示会の反響

デザインの力で、プロジェクト外のメンバーとの触発的な対話を実現した社内展示会
Goodpatch 遠藤:
今回のプロジェクトのアウトプットとして、プロトタイプを社内展示の形でお披露目されたと伺いました。展示会での反響についてもお聞かせください。
クボタ 穴井さん:
私たちデザインセンターが未来を描き、つくっていくためには、社内の各所との連携が必要と考えています。その協業のきっかけづくりの場として社内展示会を開催しました。
このプロジェクトの展示は、シナリオや世界観の説明パネルと、UIプロトタイプをシーンごとに触ってもらえるように複数のタブレットとスマートフォンを用意しました。来場者に説明しながらプロトタイプを動かすと、「すごい!動くんだ」と驚きの反応をしてくれる人がほとんどでした。逆にリアルすぎて「これどういうプログラムを組んでますか?」とか「これAIにどうやって学習させたんですか?」みたいなことも聞かれて。本当に想定を上回るような好評をいただいて、とても嬉しかったです。
クボタ 串田さん:
僕の野望みたいなところもあるのですが、クボタにおけるデザインセンターは依頼を受けてデザインをしている活動が基本ですけど、デザインセンターから依頼をしてモノをつくってもらえるようになったら楽しいなって思います。その予兆が見えてワクワクしました。
Goodpatch 遠藤:
素晴らしいですね。うれしいです。実際にご反応が聞けるっていうのはなかなかない機会なので。
クボタ 穴井さん:
普段の私のデザイン提案は見やすさや使いやすさなど機能的な視点で、事業部に評価してもらうことが多いです。今回のように技術的・機能的な話とは別軸のデザインセンターらしい価値も認めてもらえたっていうのはうれしかったですね。
Goodpatch 遠藤:
こういうビジョンとかテーマみたいなもので話ができるようになるというのも、一つの役割なのかなというふうに思いました。
クボタ 穴井さん:
そうですね。意外と構想としてはデザインセンターと似ているところを考えている部署もあるんだということを知れたり、そもそもどういったテーマを検討するかっていうところからみんな悩んでるのを知れたのも面白い発見でした。これまで自分たちでも気付いていなかった連携ポイントが眠っている感じがしました。
プロジェクトの価値と今後への想い
Goodpatch 遠藤:
プロジェクトを通じて感じられた価値や、今後それを生かしていけるところについて、皆さんの想いを聞かせてください。
Goodpatch 佐藤:
プロセスの後半に重点を置いて言うと、未来洞察自体も大事だなと思いつつ、そこで出てきたものが見える形で伝えられるというのがすごい大きいんだろうなって思ってて。一緒にできたことが非常に嬉しいですし、今後も機会があれば「構想する」だけじゃなくて「形にする」をやれるといいなと思いますね。
Goodpatch 森村:
本当にそうですね。今後に向けては、中長期戦略との兼ね合いでアップデートしたり、あるいは、先回りして提案したりすることもできるはず。あとは、技術の方と一緒に議論することでニーズから見た視点とシーズから見た視点が掛け算できると良いなと思います。
Goodpatch 遠藤:
未来に対するビジョンも更新されていきますし、社会自体が変わっていくスピードもわれわれが想像できるものではない。そういう意味で言うと、穴井さんが仰っていた、「自然とみんなと未来の話をするようになった」という変化自体も重要なのかなと改めて思います。
クボタ 穴井さん:
まさにみんなで同じ方向を向けるとか、みんなが何を考えているか分かるというのが、ひょっとしたら一番大きい成果だったかなと思っています。このチームに配属された頃、未来ビジョンを考える意義にあまり自信を持てないときがあって。結局ちゃんと事業に落としていかないと「何のための活動だったんだ?」となってしまうので、活動の扱いも成果の見せ方もすごく難しいなって悩んでいたんです。
そんな中で、今回社内へのお披露目までできて、技術・研究開発部門の反応が分かったり、「詳しく聞かせてください」と問い合わせをいただくようなことも出てきました。未来の考え方を具体化してみんなに発信したことで、自分が思ってもいなかった波及や新しいつながりが生まれ始めて、それだけでも大きい成果だよなと。今は「こういう点で意味があるよ!」と自信を持って言えるようになったのは大きな変化です。
Goodpatch 遠藤:
たしかに「これが何になるんだ?」という話はつきまといますよね。実施するのが事業会社である以上、売上・利益といった至上命題もありますが、その手前の価値を生めるというか、それを生み出すための繋がり、考え方や問い、文化に土壌など、いろんなものを変える価値はあるのかなと思って我々もやっています。
展示会の反応をお聞きして、形にすることでよりその役割の大きさに気付くことができたのかなと思います。今回は本当にありがとうございました。
イベントのお知らせ
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