新しいものが大好きなGoodpatchで7月話題になったアプリ、サービス、デザインまとめ(2025)
新しいものが大好きなGoodpatchで7月話題になったアプリ、サービス、デザインまとめ(2025)
梅雨も明け、いよいよ本格的な夏がやってきました。厳しい暑さが続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。こまめな水分補給を忘れずに、この夏を乗り切りましょう。
それでは今月もグッドパッチで話題になったサービスやトレンドを紹介します!
目次
AI
メタ、「レイバン」メーカーに5,200億円出資-AIグラス開発を強化へ
メタ、「レイバン」メーカーに5200億円出資-AIグラス開発を強化へ
(画像引用:Meta AIグラス | Ray-Ban Meta | Meta ストア)
メタ・プラットフォームズ(通称:Meta)は、レイバンなどを展開するフランス系企業のエシロールルックスオティカの株式の約3%を、約30億ユーロ(約5,200億円)で取得しました。両社はすでにスマートグラス分野で協業しており、今回の出資によりその関係を一段と強化していくと考えられます。
メタとエシロールルックスオティカは2021年から共同でスマートグラス「Ray-Ban Stories」を開発・販売してきており、カメラや音声アシスタントを内蔵し、AIを活用した機能が特徴です。2025年6月には、同社傘下のブランド「オークリー」からも新モデルが発表され、スマートグラスのラインアップは着実に拡充されています。
記事によると、出資比率は将来的に5%程度まで引き上げる可能性も示唆されており、メタはスマートグラス事業をAI分野における戦略の中核に据えようとしています。メタとしては、ハードウェア製造力とグローバルな販売網を持つエシロールルックスオティカとの連携を通して、自社のAI技術を搭載したウェアラブル機器の一般消費者向け普及を加速させる見込みです。
スマートグラスで日常の一コマを動画や写真で残すのがより簡単になり、誰もが思い出を記録しやすくなる世界もそう遠くはないでしょうか。
サービス・プロダクト
ZOZO、マッチングアプリ「ZOZOマッチ」を提供開始
2025年6月30日、ファッションEC「ZOZOTOWN」を運営する株式会社ZOZOから、マッチングアプリ「ZOZOマッチ(ゾゾマッチ)」がリリースされました。
このアプリの最大の特徴は、プロフィール情報や写真だけにとどまらず、ファッションをきっかけに「価値観」や「ライフスタイル」を直感的に感じ取るという、新しいマッチング体験を提供している点です。
登録時には基本情報に加えて、複数のコーディネート画像の中から好みのファッションを選ぶことで、ZOZO独自のAIが「好みの雰囲気」に近い相手を導き出してくれます。
実際に利用してみたところ、多様なコーディネート画像から自分の好みを直感的に選んでいく過程では、自分でも気づいていなかった嗜好に出会うような感覚がありました。単なる見た目の好みではなく、「この人とは価値観が近そう」と思わせる余白が、ファッションという非言語の情報から自然に立ち上がってくる体験です。
実際、ZOZOが実施した「Z世代の恋愛・マッチングアプリに関するアンケート」でも、回答者の97.5%が「相手が自分の恋愛対象かどうかを、ファッションを含む『全身の雰囲気』から直感で判断することがある」と回答しています。この調査結果からも、雰囲気という感覚的な要素が出会いにおける重要な判断軸になっていることがわかります。
今後は、アプリ内で蓄積された人気のコーディネートやブランドのデータをもとに、ECとの連携やファッション提案に反映するなど、ZOZOならではのエコシステムへと広がっていく可能性も。これからの展開にも注目が集まります。
「政党マッチング」参議院選挙、新手法のボートマッチ
【政党マッチング】参議院選挙、新手法のボートマッチ あなたに近い政党は? β版:日本経済新聞
(画像引用:【政党マッチング】参議院選挙、ボートマッチを動画で解説 あなたに近い政党は? – 日本経済新聞)
2025年7月20日に投票が行われた「第27回参議院選挙」。日本経済新聞の参議院選挙2025ボートマッチには、早稲田大学発スタートアップ VETA株式会社の新しい計算エンジンが初めて使われ、従来のボートマッチサービスであった「関心が低い争点にも答えなければならない」「関心ある問題も関心の薄い問題も答えが等しく扱われてしまう」という課題を解消に試みるものでした。
ポイントは「ユーザーがどの政策をどれだけ重視しているか」を自動で割り出し、その重みをかけて政党との相性と重視している政策を示してくれること。複数の政策をパッケージとして回答する点が特徴で、従来の個別政策選択型とは異なり、実際の政党を選ぶような形式で試すことができます。筆者も投票に行く前に実際にこのサービスを使ってみましたが、単なる一致率よりも 「自分が何を大切にして選ぶのか」 が見えるので、結果に納得しやすくなると感じました。
多摩美術大学大学院「統合デザイン専攻」が2026年4月に開設
多摩美術大学大学院「統合デザイン専攻」が2026年4月に開設します。
(画像引用:School of Integrated Design)
2026年4月から多摩美術大学大学院に新たに「統合デザイン専攻(SID)」が開設されることが発表されました。従来のように領域ごとに分かれた専門教育ではなく、研究・実践・批評の三つを横断的に学ぶカリキュラム構成が特徴で、変化の激しい時代において「秩序ある全体性」を社会にもたらすことを目指すとのことです。
たとえば、企業や行政、地域社会と連携して実課題に取り組む「X STUDIO」では、プロジェクトベースの学びが中心のようです。机上の思索だけでなく、リサーチから構想、具体化、実装に至るまで、リアルなプロセスを通じて取り組むようです。
また、SIDでは、思考力や構想力などの考える力に加え、身体性や美的感性といった創る力も重視されているようです。
教員陣もプロダクト、グラフィック、インターフェース、アート、エスノグラフィーなど多様な分野から構成されており、分野横断的に指導する体制が整っています。
定員は8名と少人数ですが、個々の探究や実践がしっかり支えられる環境もポイントです。複雑で不確実な社会において、感性と理性を行き来しながら、問いを立て、かたちにし、批評し続ける。思考だけではなく行動もできるデザイナーを育てる拠点になりそうです。
ビジネス
デザインツールのFigma、IPOを申請
Figma Files Registration Statement for Proposed Initial Public Offering
デザインプラットフォームを手掛けるFigma社が、米国証券取引委員会にS-1(目論見書)を提出しニューヨーク証券取引所(NYSE)での上場を目指すことが明らかになりました。
2022年のAdobeによる200億ドルの買収が破談となった経緯を経て、独立企業としての成長ストーリーを市場に示すかたちです。公開価格は最大28ドル、調達見込みは10億ドル超、企業評価額は最大164億ドルに達すると見られています。
注目すべきは、その収益性とプロダクトの広がり。FigJamやDev Modeに加え、AI対応の「Make」やWeb生成の「Sites」など、Figmaは「デザインのためのツール」から「チーム全体が共創する基盤」へと進化しています。実際、S-1(目論見書)によるとユーザーの3分の2はエンジニアなどの非デザイナーで構成されているようで、プロジェクトの起点が「デザイン」に移行しつつあるともいえます。
IPO文書には約7,000万ドル分のビットコインETFを保有していることも明記されており、さらにIPOにより得た資金も活用し、Figmaはさらなるグローバル展開やM&A、AI機能の拡張を進める見込みです。これは単なるテック企業の上場ではなく、「デザインが経営の中核に位置づけられる」時代の象徴的な一歩とも言えそうです。デザイナーにとっても、プロダクトづくりの影響力を再定義する転換点となるかもしれません。
横浜美術館リニューアルオープン記念「佐藤雅彦展 新しい ×(作り方+分かり方)」開幕
横浜美術館リニューアルオープン記念展 佐藤雅彦展 新しい ×(作り方+分かり方)
横浜美術館のリニューアルオープンを祝して、「佐藤雅彦展 新しい ×(作り方+分かり方)」が2025年6月28日よりスタートしました。
「ピタゴラスイッチ」「だんご3兄弟」「I.Q Intelligent Qube」など、佐藤氏が手がけた作品を誰しもが一度は聞いたことのあるのではないでしょうか。思い出深く感じる人も少なくないと思います。
そのような人々の心に残るコンテンツを長年作り続けてきた佐藤氏は「作り方を作る」ことを心掛けてきたのだそうです。この展示では佐藤氏の40年間の創作活動やそのプロセスを概観しながら、佐藤氏独自の「作り方」「分かり方」に関する理論やアイデアに触れることができます。
「作り方を作る」思考を体感しながら、情報をいかに分かりやすくデザインへ落とし込むか、そのメソッドを学べるチャンス。この機会にぜひ、リニューアルした横浜美術館に訪れてみてはいかがでしょうか?
メンバー募集のお知らせ
今月の「まとめ」はいかがでしたでしょうか?7月も新しい出来事やリリースが盛りだくさんでした。こちらの記事はグッドパッチのデザイントレーニングチーム「hatch」のメンバーで共同執筆しています。「hatch」では一緒に働くメンバーを募集しておりますので、ご興味がある方はぜひエントリーください!