先日アップした「【インタビュー記事】日本人初のDribbblerに聞く、優れたUIデザイナーになる為の秘訣とは: 前編」の後編です!
後編では貫井伸隆氏のデザインが生み出される作業環境やスキル向上の為にやっていること、デザインをする上で大切にしていることなどについてインタビューした内容をまとめました!
貫井伸隆氏のDribbbleページ→ https://dribbble.com/nobtaka

ーー貫井さんは普段どんな環境で作業されていますか?

(↑貫井氏の自宅作業環境)

メインで使っているマシンはiMacの27インチモデルで、他にApple Cinema Display 23インチも使っています。周辺アクセサリーはUS配列のキーボード、Magic Mouseを使っています。
ソフトはPhotoshop、ピクトグラムを作る時にIllustratorも使いますね。他には
slicy、xScope、自分で作ったスウォッチアプリ、transmit、things、Twitterrificを使っています。
あと仕事をするときは毎日2Lほどの紅茶を飲んで、ローリングストーンズ、AC/DC、矢沢、布袋などの音楽を聞きます。

日々気持ちのいいカラーリングを考える

ーー貫井さんがUIデザインのスキルを向上させる為にやっていることは何ですか?
日々新しいスウォッチを作って、気持ちのいいカラーリングを考えること。ソフトウェアというのはどうしても事務的なものなので、ユーザーが使って気持ちいいと感じるようなものを作らないといけないと思うんです。
他に日々やっていること言えば模写ですね。Webサイト以外でもかっこいいものを見つけたら真似して描いています。いつも新しいハードウエア(Apple製品やAndroidのスマホなど)が発売されたら購入して、新しいテクスチャー感を理解して模写しているんです。
新しいハードウエアは新しい技術を使用して作られているので、新しいテクスチャー感を表現するのに必要なもの。これらをじっくり観察してどうやったら描けるかを研究することで、後々の技術に繋がる。
結局はどれだけ自分で描いたかがスキル向上に繋がると思いますね。

“気持ちいい”デザイン

ーー貫井さんがデザインをする上で大切にしていることはなんですか?
「気持ちいい」ってことです。
「気持ちいい」は感覚ではなくて、わき上がってくる感情なので、「気持ちいい」と感じるものが優れたデザインなのかなって思います。かっこいデザインというのは見た目的にかっこいいものを作ればかっこいいと感じられるのですが、「気持ちいい」というのは感情に訴えかけるものなので作るのはとても難しい。
例えばiPhoneなどで使われているボタンのデザインでも本物のボタンのようなデザインを作れば「触ってみたい、押してみたい」とうい気持ちになると思います。

ーー作業をする時紙にデッサンをしますか?
デザインするときはデッサンをしてから描きます。
「質感を考える、パースが崩れてないか、光のあたり方の統一」
これらはコンピューターで描くと何度でもやり直しがきくので、みんな意外と手軽に描いてしまうのですが、手で描くとそれらを意識して描くようになりますよね。
例えばスケッチでハイライトを描く時は白いペンでハイライトを描くのではなく、白い所を残して描くようになります。「どこを残そう」と考えながらスケッチをすることで光のあたり方に統一感が生まれます。また同時に質感も考えながら描くことができる。
これら質感、パース、光のあたり方はちゃんと勉強していかないといけないことなのではないかと思います。

どんなアプリなのかをわかりやすく伝えるのがアイコンの役割

ーーご自身で思う貫井さんの強みとは何でしょうか?

世界中のあらゆるインターフェースデザインを熟知していること。色んなデザイナーの癖なども把握しています。
好きなデザイナーは
mike matas

Louie Mantia

Tim Van Damme

David Lanham

Jeff Broderick

Bady

佐々木圭

ですね。
そして好きな会社は
iconfactry

Collective Ray

panic

sofa

Pacific Helm


です。

これらのデザイナー、会社はUIデザインとして優れたものを描くから好きです。今のUIデザイナーの中には少しずれてしまっている人たちがいるんじゃないかな。良いデザイナーとはデザインの因数分解ができるデザイナーのことだと思います。色々な要素からユーザーがわかりやすいようにデザインを絞る作業ができる人こそUIデザイナーと言えると思います。アプリのアイコンとは元々「象徴」という意味。そのアプリがどんなことをするものなのか、どんなアプリなのかをわかりやすく伝えるのがアイコンです。
今高精細でリアルなアイコンを描いている人がたくさんいますが、リアルなものは時間をかければ誰でも書ける。だからアプリの内容をアイコンに落とし込んでいくのがデザイナーの仕事だと思います。

英語と日本語では書体が大きく違う

ーー日本のデザインについてどう思われますか?
デザインはその国の国民性によって異なると思いますが、一つの大きな違いは書体。画面に表示されるアルファベットはせいぜい30種類くらいしかないのですが、日本語にはたくさんの種類の文字があります。漢字はそれぞれの文字の詰まり方や印象も異なるので、同じデザインのWebサイトでも日本語を当てはめた時と英語を当てはめた時では印象が大きく変わると思います。
日本のデザイナーはWebサイトを作る時にかっこいいと思う海外のサイトを参考にすると思うのですが、そのまま英語を日本語に置き換えてデザインすると、書体の違いがあるので上手くいかないことが多いです。もしデザインの参考にするのであれば日本語が使われている優れたWebサイトを参考にし、英語と日本語では書体が違うということを頭に入れておかないといいデザインは出来ないと思います。

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貫井伸隆氏のインタビューは以上です。
今回インタビューをさせていただいて思ったのは、やはり何かに長けている人はそれだけの努力をしているのだと再認識しました。デザインスキルを身につける為に毎日手を動かして作業するという当たり前のことをあたり前にやってきたからこそ、貫井氏は優れたUIデザインを作り出せるのだとわかりました。さらに貫井氏の場合、デザインのインプット量が膨大なのも優れたUIデザインを作り出せる秘訣の一つであるのかなと思いました。
貫井氏のDribbbleページにある作品を参考にさせていただきながらどんどんスキルを身につけていきたいと思います。
最後に、今回インタビューに協力してくださった貫井伸隆氏、ありがとうございました。

貫井伸隆氏のDribbbleページ→ https://dribbble.com/nobtaka