先日、未来共創パートナーシップ協定を結んだグッドパッチと北海道上川町。

今後、ワーケーション事業などに取り組みますが、これまでも同町のコミュニティ支援や高校生に対するデザインワークショップなど、さまざまな取り組みを行ってきました。

この記事では、上川町の地方創生施策の一環として行った、ふるさと納税返礼品のリブランディングプロジェクトをご紹介します。

上川町の返礼品には、じゃがいもやカボチャといった農産物から、牛肉、ラーメン、日本酒などの食品、ホテルの宿泊券などさまざまなものがありますが、今回、グッドパッチが手掛けたのは蓼科養蜂が提供する「はちみつ」です。

もともと売れ筋の商品であったというはちみつに対し、どうすればさらに人気が出るか、どうすればもっと上川町のことを知ってもらえるか。本プロジェクトでは、パッケージのリデザインを中心に商品体験の向上を目指しました。

実はふるさと納税で大人気、上川町のはちみつとは?

さまざまな農産物が有名であるためか、ご存じない方も多いと思いますが、実は北海道ははちみつの一大産地であり、都道府県別では日本一の生産量を誇ります。

蓼科養蜂の生産者である矢沢さんは、ハチを一匹一匹を殺さないように素手で扱うなど、はちみつの生産手法にもこだわっており、高い品質を保っています。

上川町のはちみつ

はちみつは北海道のふるさと納税での売れ筋。上川町では、特に右側のシナのはちみつがリピーターにも人気の商品です(上川町大雪山レーベルより)

はちみつは、上川町のふるさと納税の返礼品では特に人気が高く、リピーターも多い商品ではあったものの、矢沢さんはまだ伸びしろがあると感じていたと言います。

はちみつの人気が高いのは、他の商品と比べても高品質かつ価格が手頃であることが理由でした。しかし、はちみつという高単価の商品特性を踏まえると、さらに魅力的なハイクラスのラインアップを作れる可能性がありました。

売り上げを伸ばしながら、上川町のことを知ってもらう機会も増やせないか──。このような課題があり、ちょうど北海道上川町で別プロジェクトを手がけていたグッドパッチと共にプロジェクトを進めることになりました。

生産者の矢沢健一さん

生産者の矢沢健一さん

利用者の体験を意識して、ふるさと納税返礼品のパッケージデザインができるまで

以前は他のはちみつメーカーも使っている外箱を利用するなど、デザインへのこだわりよりもお得感や味の訴求で、ふるさと納税での人気商品となった矢沢さんのはちみつ。グッドパッチは「上川町のはちみつ」に対するリブランディングが必要だと考えました。

まずは生産者の矢沢さんと対話を重ね、「ふるさと納税では多くの人に上川町を知ってもらいたい」という目的に沿って、「人にお裾分けしたくなる商品」を目指し、下記2点を注力ポイントとして定めました。

  • 商品の特徴、こだわりが分かりやすく伝わる「パッケージデザイン」
  • 友人や家族に紹介したくなるような仕掛けを取り入れる

商品の想定ユーザーは「オーガニック志向の女性」としました。もともと、健康への意識の高い女性が、はちみつを購入しやすい層であったことに加えて、ハチや利用者を思いやる矢沢さんの「真っ直ぐな商品づくり」が伝わりやすく、上川町に対する新たなイメージづくりが期待できるテーマであったためです。

「こだわり」と「ギフト感」が伝わるパッケージ

リブランディングにおいて、まず変えたのがパッケージのデザインです。矢沢さんの丁寧なモノづくりの姿勢が伝わるよう、温かみを感じられる「陽だまり(Hidamari)」をデザインコンセプトに据えました。

ギフト(プレゼント)感を得られるデザインにしたのも大きなポイントです。箱を開けるとまず、上川町から見える大雪山のポストカードをモチーフにした生産者からのメッセージが入っています。矢沢さんのこだわりが伝わるよう、直筆の手紙のようなデザインに仕上げています。

はちみつのラベルにも、切手のモチーフを取り入れた情緒的なデザインを施しました。女性向けということで「それぞれの商品に合う食べ方を記載するなど、日常利用のしやすさ」といった点も意識しています。

「お裾分け」をしたくなる利用体験を目指して

従来のパッケージでは2本入り(シナ1本・百花1本)ものを、新パッケージでは3本(シナ2本・百花1本)としました。もちろんこれにも理由があります。2+1という構成にすることで、2本あるうちの1本を知人に渡すといったことがしやすくなるためです。

ギフト感を高めたパッケージにしたことで、3本セットをそのまま家族や知人に送るといった体験設計も目指しています。

はちみつの箱

製品、パッケージデザイン担当:有末海

また、従来はビン入りだったものをボトルタイプに変えたのも大きな変更点です。取り回しがしやすく、大事なはちみつを最後まで食べ切れるように。これも生活者視点でこだわったポイントです。

売れ行きは想定以上、初回生産分の100セットは完売する勢い

リブランディングプロジェクトは、2022年11月〜2023年3月まで行われ、2023年度のふるさと納税から、新パッケージの商品が追加されました。

一般的にふるさと納税は、売上のほとんどが年末に発生するのですが、売れ行きのペースが想定を上回っており、初回生産分の100セットは年末を待たずに売り切れそうな勢いとのこと。来年以降は提供数を増やすことも視野に入れているようです。

矢沢さんにお話を聞いたところ、グッドパッチとのプロジェクトに満足しており、今後も継続的に関わりたいという言葉をいただきました。

「デジタル領域に強みがあると聞いていましたが、コンセプト設計からパッケージデザインの表現まで、情緒的なデザインができる会社だと感じました。パッケージ開発プロセスにおいても、現地訪問を含めた対話を重視しており、素敵な商品ができたという満足感があり、非常に気に入っています」

こちらの記事を読んで商品が気になった方は、こちらのページからどうぞ。担当者もいただきましたが、おすすめはシナはちみつです。ハーブ特有の強い香りがあるはちみつで口に入れると香りが持続し、やわらかな甘みと清涼感のある後味が楽しめます。お酒やチーズ、紅茶などハーブと合う食材と一緒に食べるのがおすすめ!ぜひ食べてみてください。

北海道上川町産純粋はちみつ 1300g
https://www.satofull.jp/products/detail.php?product_id=1158456