新しくプロジェクトや事業を始める際、ペルソナの検証はできたけれど、ビジネスモデルのアイディアが散乱としたままなことはありませんか?

以前Goodpatch Blogでは、ビジネスモデルを可視化するメリットについてご紹介しました。

今回はビジネスモデルキャンバスを原型に作られた、リーンキャンバスというフレームワークをご紹介します。リーンキャンバスは事業やプロジェクトの立ち上げにおいて、ビジネスモデルを検証し、改善する際に役立ちます。初心者の方でもトライできる作成例もあるので、ぜひ参考にしてみてください。

Goodpatchでは、新規サービスの立ち上げやサービス・プロダクトの改善のご相談も受けております。
⇒【資料ダウンロード】事業アイデアを素早く検証できる「デザインスプリント」とは?

リーンキャンバス(Lean Canvas)とは

リーンキャンバスは、リーンスタートアップという著書で有名な起業家のエリック・リースから応用されたビジネスモデルを一枚の図にまとめたフレームワークです。シリコンバレーでは毎年数多くのスタートアップが誕生しています。その中で事業を成功させるためには、ビジネスモデルに何か問題があったらすぐに軌道修正し、素早くアップデートすることが重要。リーンは英単語のlean「無駄がない、効率的な」という意味があり、リーンスタートアップはアイディアをより効率的に素早く事業化する検証プロセスのマネジメントとして誕生しました。そこでより素早くPDCAを回し、無駄な工程を削ぎ落とし、顧客へよりよい価値提供できるためのツールがリーンキャンバスです。

リーンキャンバス(Lean Canvas)の目的

リーンキャンバスの目的は、アイディアに対してビジネス視点からも検討できるようユーザーとビジネスのバランスを考えることです。言い換えると、ユーザー視点で事業の価値を定義し、価値の構造を可視化することで実現性を検証することが可能になります。

また、リーンキャンバスは1ページにビジネスモデルのアイディアをまとめることができるため、スピーディーにチームメンバーやクライアントとコンセプトや課題の認識を合わせることができます。30分から長くても数時間で書き終えることができるでしょう。リーンキャンバスは、仮説を検証し、素早くアップデートできるのが特徴です。アイディアに問題があったらすぐに無駄を省いて軌道修正できるため、サービスの成功率をあげることに繋がります。

すぐに修正してアップデートするためにも、リーンキャンバスを作る際は、プロジェクトメンバーなど複数人で作業することをおすすめします。

リーンキャンバス(Lean Canvas)の作り方

リーンキャンバスを作るためのワークシートはこちらです。上記の9つの要素を埋めることで、事業の価値構造が明らかになります。まずは9つの要素について詳しくご紹介します。

  1. 顧客セグメント
    サービスやプロダクトを提供する顧客・ユーザーをここに記します。また、「アーリーアダプター」という、理想的な顧客・ユーザーの特徴も書き出すと良いでしょう。例えば、住んでいる場所や、年代、趣味、どのようなSNSを使っているか、流行に敏感か、などユーザーがどんな人か思い浮かべられる特徴です。

  2. ユーザーが抱える課題
    顧客やユーザーが抱えている課題や満足してないものは何ですか?上位3つあげてみましょう。加えて、活用されている代替手段も記載してみましょう。

  3. バリュープロポジション
    事業を通してユーザーに提供する独自価値を書きます。類似サービスと比べて注目・差別化できるポイントを示しましょう。明確で、印象に残る説得力があるメッセージを記入することがポイントです。バリュープロポジションの考え方は以下の記事でご紹介しています。
    サービスの提供価値を導き出す、バリュープロポジションキャンバスとは

  4. 解決策
    それぞれの課題を解決する機能や施策を書きます。ユーザーが抱える課題に対して、現時点で想定できる「実行可能」な施策にしましょう。

  5. 顧客流入元
    ユーザーとの接点や繋がりを具体的に書きます。例えば「SNSでハッシュタグを使ってユーザーが興味を持つであろう情報発信をする」「ターゲット層に対してSNS上で広告を出す」などが挙げられます。

  6. 収益の流れ
    事業を収益化する仕組みを示しましょう。ユーザーからどのような方法で金銭的成果を得ますか?
    例えば、商品ではなく形がないサービスの場合は課金制か広告収入かなど、具体的な収益方法を考えます。

  7. コスト構造
    ユーザーに価値提供するために発生するコストを記入します。人件費や広告費など項目に分けて分類しましょう。

  8. 主要指標
    事業を継続していく上で成長を計測する指標です。ビジネスモデルを成功するために必要な数字の指標を決めることで、最終的な目的を達成する軸が明確になります。SNSを運用する場合、フォロワー数や投稿へのリアクション数など数字でわかる指標を設定しましょう。

  9. 競合優位性
    他社の競合と比較した際の優位性を書きます。例えば「専門家の支持」や「独自のコミュニティ」「ユーザー数」など、事業の価値を客観的に捉えることができます。

リーンキャンバスの作成例

9つの要素を、料理教室のビジネスモデルで書くとこのようなリーンキャンバスが完成します。ぜひ参考にしてみてください!

この例ではレシピに悩まず料理が楽しくなるような料理教室のビジネスモデルを一枚の紙に整理することができます。リーンキャンバスから、ペルソナカスタマージャーニーマップの作成につなげることができます。

リーンキャンバスが完成したら、ユーザーの反応から価値を検証し、どんどんアップデートしていきましょう。仮説検証で使えるユーザーインタビューについては、こちらも参考にしてください!

おわりに

新規事業で利益を生むためには、事業の可能性や達成したいKPIを明確にすることが重要です。リーンキャンバスは、チームで新規事業立ち上げの際に役立つので、ぜひ参考にしてみてください。ワークで抽出されたペルソナや、ユーザーヒアリング、カスタマージャーニーマップなどの結果をリーンキャンバスにまとめてみましょう。そして何回も仮説を実践し、リーンキャンバスをアップデートするで、成功するビジネスモデルへの一歩となります。リーンキャンバスを通して、ビジネスの課題だけではなく様々なメリットやデメリット、気づきが見えてくるのではないでしょうか。

Goodpatchでは、新規サービスの立ち上げやサービス・プロダクトの改善のご相談も受けております。
⇒【資料ダウンロード】事業アイデアを素早く検証できる「デザインスプリント」とは?

お問い合わせはこちら