デザイン思考とは?5つのプロセスや役立つフレームワークも紹介
デザイン思考とは、端的にいうとデザイナーが実践しているデザインの思考法を非デザイナー向けに説いた思考プロセスのことです。デザイナーが当たり前に行っているユーザー視点での課題創出や仮説的推論、試行錯誤がビジネスにも活用できるのではないかと2010年代より注目を集め、人事研修や新規事業創出・既存事業のグロースなどに取り入れる企業も少なくありません。デザイン思考を実践するには正しいプロセスの把握が欠かせません。
本記事では、2011年の創業以来、デザインファームにおけるパイオニアとして多くの企業に向けてソフトウェアUIデザインやUXデザインを支援をしてきたグッドパッチが、デザイン思考の概要や必要性、具体的なプロセスなどデザイン思考を理解するために必要な基礎知識を解説していきます。
デザイン思考への理解を深め、ビジネスシーンで活用するためにも、ぜひ参考にしてみてください。
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監修者:秋野 比彩美(株式会社グッドパッチ UXデザイナー)
ヤフーでUIデザイナーとしてキャリアをスタートし、トップページの事業責任者を経験した後、大手通信企業のグループ会社でUXデザイナー兼組織マネージャーとして、クオリティー管理、UXデザイナーの採用と育成に取り組む。グッドパッチにUXデザイナーとして入社後は、インサイトリサーチ、ユーザーリサーチ領域をリードしている。趣味は飼っているうさぎを愛でながら、ビールを飲むこと。
目次
デザイン思考とは
デザイン思考とは、デザインに必要な思考方法と手法を利用して、ビジネス上の問題を解決するための考え方です。デザインにおけるデザイナー特有の考え方や認知活動、すなわちデザインの思考法を非デザイナーの方に向けて説いた思考プロセスともいえます。
デザインという言葉を聞くと、一般的に色・形など、表層的な造形のみだと考えがちですが、そもそもデザインとは「設計」という意味も持つ言葉です。デザイナー特有の視点や考え方を応用して事業やサービス、プロダクトなどを「設計」していくことが、デザイン思考というわけです。
グッドパッチでは、デザイン思考を以下のような思想、価値観と捉えています。
- ユーザー視点で考える
- プロセス(観察、アイデア創出、プロトタイプ、検証)を反復する
- 問題の本質を探る
- 1つの問題に対して複数の解決方法を考える
- 自由な発想からスタートする
- 素早く視覚化する
- シンプルにする
- チーム間のコミュニケーションを重視する
また、UIデザインやUXデザインとの関係性を表すと、下図のようになります。
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デザイン思考の歴史
デザイン思考という言葉は、1987年にピーター・G・ロウが書籍「デザインシンキング(Design Thinking)」の中で初めて使用しました。
ただし、この著書の中では建築と都市のデザインの文脈で使用されており、現在のような意味を持つものではありませんでした。
現在の文脈を持つデザイン思考は、アメリカのデザインコンサルタント会社「IDEO」により提唱され、世界に広まりました。1990年後半から2000年前半にかけて躍進したインターネットの普及や情報化の中で、ビジネスにおけるイノベーション創出が重要視されるようになりました。そこで、現在の文脈における「デザイン思考」が使われるようになったのです。
2003年にはスタンフォード大学のdスクール、2009年には東京大学のiスクールといった教育機関でも、デザイン以外を専門とする学生が、問題解決の方法としてデザイン思考を学ぶようになりました。
このように、現在の文脈でのデザイン思考の歴史は比較的浅く、ビジネスで積極的に活用されるようになったのは最近のことです。
デザイン思考の必要性
デザイン思考は、下記の3つの視点で必要性が増していると考えられます。
デザイン思考の必要性が増している理由
- データ利活用が当たり前になりロジカルシンキング(論理的思考)に頼った分析に限界が来ている
- モノ消費からコト消費へ変化した顧客のニーズに応える必要がある
- 顧客接点のデジタル化の加速により顧客中心のサービス設計が求められている
ロジカルシンキング(論理的思考)は、過去のデータとその分析に基づいて判断することが多いため、現代の複雑で変化の激しいビジネス環境に十分に対応することが難しくなってきています。イノベーションを起こすには今までの既存概念を覆すアイデアが必要です。そこで、デザイン思考のアプローチに注目が集まりました。
また、昨今は、サービスや製品が飽和して、差別化が難しい時代になりました。
価格や性能で差がつけにくい状況において、ユーザーに選ばれる製品やサービスを作るには、情緒的価値や共感できるストーリーの提供が有力な手段となります。
そこで、ユーザーの行動や本質を理解して、新たな感動や共感を創出するデザイン思考が求められているのです。海外だけでなく、日本国内においてもコンサルティングファームなどデザインを専門としてこなかった企業によるデザイン会社の買収や業務提携、事業会社内でも独自のデザイン組織を構築するケースが増えており、デザイン起点のイノベーションにも注目が集まっています。
まさにビジネスとデザイン思考が切り離せない時代になってきているのです。
デザイン思考を取り入れるメリット
デザイン思考の概要が理解できたところで、デザイン思考を活用するメリットをご紹介します。
デザイン思考を取り入れるとユーザーに寄り添うサービス提供や新しいアイデアの創出などにつながります。どのようなメリットがあるのか、チェックしてみてください。
デザイン思考を取り入れるメリット
-
- ユーザーが本当に必要とするサービス提供につながる
- 既成概念にとらわれない革新的なアプローチができる
- 社内コミュニケーションが活発化する
ユーザーが本当に必要とするサービス提供につながる
デザイン思考は、ユーザーが本当に必要とするサービス提供につながります。なぜなら、ユーザーを起点にして課題や解決策を検討する思考法だからです。
ユーザーの深層心理に迫りユーザー自身が気付いていないニーズや課題を見つけることで、ユーザーが本当に求めていた新たな驚きや感動など、今までにない価値を提供できるでしょう。
差別化が困難な時代になりプロダクトの開発難度が向上している中で、ユーザーに選ばれる製品やサービスを生み出しやすくなるのはデザイン思考のメリットだと言えます。
既成概念にとらわれない革新的なアプローチができる
デザイン思考は、メンバーと試行錯誤を繰り返しながらアプローチを検討していきます。デザイン思考のプロセスに「プロトタイピング」があるように、まずはやってみる姿勢を大切にしています。
間違っていたらどうしようと躊躇することが減り、新しいアイデアを共有しやすくなるでしょう。その結果、多彩なアイデアや指摘が飛び交い、今までにない斬新なアプローチや革新的なプロダクトが生まれる可能性があります。
社内コミュニケーションが活発化する
デザイン思考が身につくと、社内コミュニケーションが活発化します。先ほども触れたように、デザイン思考はチーム内で自由にアイデア交換をする機会が生まれます。
もちろん誰もが気兼ねなく意見を出し合える環境を作る必要はありますが、意見を肯定的に受け止めるなどのルールを設ければ、さまざまな視点から多くの意見を発言しやすくなるでしょう。
メンバーの価値観や思いに対する理解が深まり、結束しやすくなるところもデザイン思考のメリットです。
デザイン思考を取り入れるデメリット
デザイン思考を取り入れるメリットが分かったところで、デザイン思考のデメリットをご紹介します。どのような点に留意しながらデザイン思考を取り入れるべきか、参考にしてみてください。
デザイン思考を取り入れるデメリット
- ゼロからのアイデア創出が難しい
- 特定のスキルやトレーニングが必要になる
ゼロからのアイデア創出が難しい
デザイン思考はユーザーニーズを軸として、アイデアを創出していきます。ニーズを基にアイデアを飛躍させる思考法なので、ゼロからアイデアを考えるときには向いていません。
ゼロから新しいアイデアを生み出す必要がある場合は、アート思考など別の思考法と組み合わせる必要があるでしょう。
特定のスキルやトレーニングが必要になる
デザイン思考は「デザイン思考を実行する5つのプロセス」に沿って実施しますが、各フェーズの目的や具体的な取り組み内容を深く理解しなければなりません。
場合によっては、フレームワークや使用ツールなど、デザイン思考に重要な知識も必要でしょう。そのため、デザイン思考についてワークショップ形式で学ぶ研修を行う企業もあります。座学だけで実践できるわけではなく、一定の時間をかけてトレーニングをして身につける必要があるのです。
デザイン思考で大切なマインド
ここでは、デザイン思考を実践するときに大切なマインドをご紹介します。マインドを整えるとデザイン思考が実践しやすくなるので、参考にしてみてください。
デザイン思考で大切なマインド
- 常にユーザー視点で考える
- コミュニケーションを重視する
- まずは試作を作ってみる
- 1つのアイデアに縛られない常にユーザー視点で考える
常にユーザー視点で考える
1つ目は、常にユーザー視点で考えることです。デザイン思考はユーザー視点に立ち「どのような課題があるのか」「何を求めているのか」を徹底的に考察し、定義するプロセスがあります。
「デザイン思考の必要性」でも触れたようにモノが飽和し、“モノ”よりも“コト”に重きが置かれるようになった現在は、ユーザーの気持ちを理解しユーザーに新たな体験価値を提供できる視点が欠かせません。
ユーザー視点の定性的な要素とビジネス観点の要素が揃い、事業・サービスには価値があると言えるので、常にユーザー視点で考えることを忘れないようにしましょう。
コミュニケーションを重視する
2つ目は、コミュニケーションを重視することです。デザイン思考は一人で黙々と考えるのではなくチームでアイデアを活発に出し合いながら、今までにない革新的な発想やイノベーションの発見につなげていきます。
アウトプットのクオリティは、コミュニケーション量に比例すると言われています。些細なことでも公平に意見が言えるよう配慮しながら、議論を交わしていくことが重要でしょう。
マネジメント担当者は議論での意思決定を効率化し、素早いアウトプットにつなげる工夫も必要です。
まずは試作を作ってみる
3つ目は、まずは試作を作ってみることです。デザイン思考のプロセスには「プロトタイピング」があります。プロトタイピングとは、検証・改善を重ねて、最終的に優れたプロダクトに近づけていく手法です。
始めから完璧なプロダクトを作る必要はありません。多少不確定要素がある状況でも早い段階で試作を作成し、実際にユーザーに触れてもらう機会を設けるようにしましょう。
1つのアイデアに縛られない
4つ目は、1つのアイデアに縛られないことです。早い段階でアイデアを固めすぎてしまうと、柔軟性が失われます。
ユーザーの課題や要望は移り変わるので、既成概念に縛られないようにしましょう。できる限り多種多様なアイデアを発散し、仮説検証によって整理していく流れが好ましいです。
デザイン思考を実行する5つのプロセス
(出典:Goodpatch Blog|デザイン思考とは?プロセスとビジネスでの活用法)
ここでは、デザイン思考を実行するための5つのステップをご紹介します。デザイン思考では5つのステップを通じてユーザーニーズを理解し、課題解決や付加価値の提供を目指します。どのように進めるのか参考にしてみてください。
1.観察・共感
まずは、ユーザー目線とビジネス目線の2軸でターゲットを理解します。ユーザー視点の定性的な要素とビジネス観点の2軸が揃って、製品やサービスには価値があると言えるからです。
ターゲットの視点に立ち「どのようなニーズがあるのか」「どのような課題を解決できるのか」などを探っていきます。
具体的にはユーザーインタビューやユーザーテストを行い、ターゲットの潜在的なニーズや認識できていない課題などを模索していきます。
2.問題定義
「観察・共感」を終えると、ユーザーが抱えている課題や問題点が明確になります。このフェーズではさらに課題や問題を深掘りして、核となる問題を定義します。
ユーザーが本当に悩んでいる課題や、ユーザー自身も気付いていない問題を見つけることで、優れたユーザー体験につながるでしょう。
ここで決まった定義はチーム全員の認識にずれが起きないように、ゴールやコンセプトという形で明確にしておいてください。
3.アイデア創出
ユーザーに最適な問題解決策を提案するために、多角的な視点からアイデアを創出します。
このフェーズで重要なのはありきたりな解決策におさまらず、質より量を重視し、思いつく限りのアイデアを出し尽くすことです。実現性に囚われないで、今までにない革新的なアイデアや異なるアプローチができるアイデアなどを考えてみましょう。
アイデアがある程度出てきたらアイデアとアイデアを掛け合わせ、より新しいアイデアを創出できないか検討してみてください。
4.プロトタイピング
アイデアを創出できたら、プロトタイプ(試作)を作成します。
プロトタイプを作成するとアイデアを具現化でき、イメージが湧きやすくなるでしょう。また、早い段階で修正点や問題点を発見でき、開発メンバーの技術的な実現性を判断する材料にもなります。
このときにプロトタイピングツールを活用すると、時間をかけずに効率よくプロトタイプを作成できるのでおすすめです。
5.検証
プロトタイプをユーザーに使用してもらい、得られた成果や課題を分析します。フィードバックを基に試行錯誤を繰り返して、最終的にクオリティの高いアウトプットを目指します。検証項目が増えてしまった場合は優先順位をつけて、取り組むといいでしょう。
デザイン思考に役立つフレームワーク
ここでは、デザイン思考のプロセスで活用できるフレームワークをご紹介します。適切に活用できると作業スピードや精度が向上するので、ぜひ参考にしてみてください。
デザイン思考に役立つフレームワーク
- 共感マップ
- リーンキャンバス
- カスタマージャーニーマップ
- SWOT分析
- How Might We
共感マップ(エンパシーマップ)
共感マップ(エンパシーマップ)とは、ユーザーが置かれている状況や感情を整理して、どのようなニーズがあるのか抽出するフレームワークです。
共感マップはユーザーインタビューやペルソナ設定を実施した上で、下記の6項目について書き出し1枚のマップにまとめます。
共感マップの6項目
- Think and Feel:考えていることや感じていること
- See:見ていること
- Hear:聞いていること
- Say and Do:言っていることや行っていること
- Pain:痛みやストレスに感じていること
- Gain:Painを解決したら得られること
リーンキャンバス
リーンキャンバスは、リーンスタートアップという著書で有名な起業家のエリック・リースから応用されたビジネスモデルを一枚の図にまとめたフレームワークです。
リーンキャンバスの目的は、アイデアに対してビジネス視点からも検討できるようユーザーとビジネスのバランスを考えることです。言い換えると、ユーザー視点で事業の価値を定義し、価値の構造を可視化することで実現性を検証することが可能になります。
【関連記事】リーンキャンバス(Lean Canvas)とは?作り方を事例ベースでわかりやすく解説
リーンキャンバスの9つの要素
- ユーザーセグメント:製品やサービスの対象となる主要なユーザーグループ
- 課題:ユーザーが抱える主要な3つの問題
- 独自の価値提案:競合他社と比較して製品やサービスが提供する独自の価値
- 解決策:ユーザーの問題を解決するための具体的な製品やサービス
- ユーザー流入元:ユーザーとの接点やつながり
- 収入の流れ:製品やサービスから得られる収益源。
- コスト構造:ユーザーに価値提供するために発生するコスト
- 主要指標:事業を継続していく上で成長を計測する指標
- 競合優位性:他社の競合と比較した際の優位性
カスタマージャーニーマップ
カスタマージャーニーとは、顧客がサービスやブランドと接するすべてのタッチポイントを時系列に沿って視覚化したものです。
顧客との最初の接点から、購入、アフターサービスまで、すべての段階を詳細にマップします。カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客がサービスやブランドとどのように関わり、どのような感情を抱くかを理解することができます。これは顧客体験を改善し、顧客満足度を高めるために役立つでしょう。
カスタマージャーニーマップには以下のような項目が含まれます。
- タッチポイント:ユーザーがブランドと接するすべてのポイント
- 行動:ユーザーが各タッチポイントで行う行動
- 感情:ユーザーが各タッチポイントで感じる感情
- 課題:ユーザーが各タッチポイントで抱える課題
カスタマージャーニーマップは、企業が顧客をより深く理解し、より良い顧客体験を提供するために役立つ貴重なツールです。
SWOT分析
SWOT分析とは、事業を取り巻く外部環境と内部環境をマイナス要因、プラス要因に分けて分析するフレームワークです。事業に携わる人材が理解しきれていなかった強みや弱みが分かり、課題や目標を明確にできます。
事業の戦略に影響を与える下記の4つの要素を把握しておくことで、実現性の高い事業戦略やマーケティング戦略を立案できるでしょう。
SWOT分析の4つの要素
- 強み(Strength):事業やプロダクトの長所や強みは何か
- 弱み(Weakness):事業やプロダクトの短所や弱みは何か
- 機会(Opportunity):社会や市場の変化によりプラスに働く要素は何か
- 脅威(Threat):社会や市場の変化により成長の妨げになる要素は何か
How Might We
「How Might We」とは問題解決やアイデア創出の際に用いられる手法です。多様な視点からアイデアを出すことで発想の幅が広がり、より適した解決策にたどり着く可能性が高まります。
具体的には、解決したい問題に対して「どうすれば〇〇できるだろうか?(How Might Weの日本語訳)」という問いかけを繰り返します。チームでのディスカッションに取り入れられれば議論が活発化するでしょう。
▼例文
問題 | ECサイトで商品を探しているユーザーが、欲しい商品を見つけられないことが多い。 |
HMW | どうすればユーザーがECサイトで迷うことなく欲しい商品を見つけられるような直感的な検索体験を提供できるだろうか? |
ポイントは解決すべき問題を明確にすることです。明確な問題設定によりアイデアが散漫になる状態を防げます。また、チームで取り組む場合は多様なバックグラウンドを持つメンバー同士でチームを組むと多様な視点からアイデアを生むことにつながるでしょう。
デザイン思考を取り入れた企業の活用事例
ここでは、デザイン思考をビジネスに活用した企業の事例をご紹介します。デザイン思考をプロダクトやブランディングにどのように活用しているのか、チェックしてみてください。
Apple
AppleはiPhoneやiPad、Macなどで知られるアメリカのテクノロジー企業です。Appleの手掛けた「iPhone」は、デザイン思考が重要視されるきっかけになった製品です。
当時の国内メーカーは市場調査からニーズを導き、ニーズに対するインパクトを試算、インパクトの大きいものを実装するマーケットドリブンが主流でした。一方でiPhoneは、ユーザーが今まで味わったことのない潜在的欲求を定義して製品に反映しました。
iPhoneの発売に合わせて、アプリプラットフォームを開放。ユーザーは欲しい機能をアプリ経由で追加でき、開発者はニーズに応じたアプリを開発できる場も提供しました。
iPhoneはデザイン思考でビジネスを成長させた好事例だと言えるでしょう。
Dyson
Dysonは、サイクロン式掃除機を初めて開発・製造した電気機器メーカーです。Dysonはコードレスクリーナーの「便利だけど吸引力が弱い」という課題に着目し、問題解決のために試行錯誤を重ねました。プロトタイプを5,000台以上作成し、試行錯誤の末たどり着いたのが現在のDysonのコードレスクリーナーです。
Dysonはエンジニアが顧客のニーズを基に製品をデザインし、機能性とデザイン性の双方にこだわっているところも特徴。特にコードレスクリーナーは、生活感のない洗練されたデザインに仕上がっています。
リビングに置いても違和感がなく、所有欲を満たす家電製品の1つとしてブランディングしています。デザイン思考により、今までにない体験価値を感じられる新しい掃除機を実現した事例だと言えるでしょう。
Ubie
Ubieは、医療従事者の負担軽減を目的としたAI問診システムです。全国に約10万軒あるクリニックにUbieを導入する際、営業担当者による病院ごとの個別サポートは現実的ではありませんでした。
そこで、医療従事者一人ひとりのペルソナを作成し、それぞれの視点に立ったコンテンツを制作しました。例えば、医師向けのガイドブックでは、医療の質向上につながることを強調し、看護師向けには、日々の業務へのスムーズな導入を図解で示しました。
その結果、Ubieは医療従事者が抱える導入へのハードルを下げ、スムーズな導入を実現しました。
デザイン思考のユーザー視点の考え方によって、製品やサービスの質を高めたり、ユーザーとの共感を深めたりできます。その結果、ユーザーとの長期的な関係構築にもつながります。
デザイン思考のプロセスを実践的に学べるワークショップ
ここまで解説してきたように、ユーザーニーズを理解し価値のある製品やサービスを提供するには、デザイン思考の習得がおすすめです。
とはいえ、デザイン思考をどのように身につければいいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。グッドパッチでは、デザイン思考やUI/UXの考え方に基づいたワークショップを実施しています。
グッドパッチがさまざまなクライアントを伴走支援する現場で培われたデザイン思考の基盤となる課題抽出やアイデア創出、検証などから実践するための気づきや手法を1回4〜6時間程度で学べるところが特徴です。
実践的な演習を通じてデザイン思考を体系的に学ぶことを重視しており、参加者さまが即戦力となるスキルを身につけることを目指します。
- デザイン思考を基礎から学びたい
- チーム全体のデザイン理解・スキルをアップさせたい
- デザイン思考に欠かせないアイデアを創出する力を磨きたい
など、自社のデザイン思考の習得に課題を感じている方は、お気軽にお問い合わせください。
【資料ダウンロード】デザイン思考のプロセスを1日で体験できる実践型デザイン思考研修のご紹介
デザイン思考を活用してユーザーに必要とされるサービスを世の中へ
本記事ではデザイン思考の概要や必要性、具体的なプロセスをまとめて解説しました。デザイン思考は、ユーザーが本当に必要とするプロダクトや革新的なアイデアの創出に有効活用できる思考法です。
デザイン思考を活用するにはマインドを整え、適切なプロセスを踏めるよう知識を身につける必要があるでしょう。
「デザイン思考を実践したいけれどなかなかうまくいかない」「デザイン思考をビジネスに落とし込めない」など、デザイン思考の習得や活用にお悩みの場合は、グッドパッチのワークショップをご活用ください。