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Client
株式会社イプサ
Expertise
Brand Experience Design, Organization Design
Date

Overview

若い世代を中心に人気を博す化粧品ブランド「IPSA」。ブランド誕生以来、独自理論に基づく先進的な肌測定で一人ひとりに最適なレシピを提案するなど、顧客体験を重視してきました。これからもユーザーから支持され続けるブランドであり続けるために、彼らは「CX(顧客体験)デザイン」の強化に着目。

IPSAが進めるCXデザインに伴走するパートナーに選ばれたグッドパッチは、グループ会社のスタジオディテイルズと協力し、CXコンセプト策定や公式ECサイト・ブランドページ、各種サービスのリニューアル、クリエイティブ制作まで幅広く伴走しています。2年以上にわたり、イプサの各チームと協働して進めた顧客体験のデザインプロジェクトの概要をご紹介します。

Client

株式会社イプサ 様

IPSA CO.,LTD.
1986年誕生の化粧品ブランド。スキンケア、ベイスメイクアップ、ポイントメイクアップを日本、アジアの6つの国と地域で展開。誕生してから30年以上、一人ひとりに合わせて、美しさを引き出す方法をいちから手づくりする、きれいをつくる処方箋「レシピ」の共創体験を追求しつづけるブランド。ブランド名の由来は、ラテン語で「自ら」「自発的な」を意味し、ユニークなカスタマイゼーション体験を通じ、「自分らしくある。表現できる。」

Summary

ご支援の背景・課題

  • 常に一歩先を行く新しい顧客価値を提供し続けるために、時代に応じて変化するユーザーの価値観や行動を捉え、ユーザーインサイトやニーズを踏まえたオフラインとオンライン横断での顧客体験を設計したい
  • 顧客体験設計やデジタル領域のサービスデザインなどに強みを持つグッドパッチと共創し、ハイブリッド型のCXデザインチームを新たに発足。社内外のメンバーがフラットかつ柔軟なチーム環境下で協働し、新しいケイパビリティやナレッジを獲得しながら事業変革を促進していきたい
  • パートナーとの協働による新たな刺激と実践を通じて、未来志向かつコンシューマードリブンでの組織づくりやカルチャー醸成を目指したい
  • 日本市場を対象に、顧客体験価値の最大化に向けたCXコンセプト設計と顧客タッチポイントのUI/UX向上を図りたい
  • グッドパッチの選定・評価ポイントとしては、クライアントの事業戦略も踏まえた顧客起点での体験設計やデジタルサービスにおけるUI/UXデザイン・開発、組織デザイン、グループ会社のスタジオディテイルズも含めたクリエイティブの知見や実績などが評価された

グッドパッチの支援概要

  • 1つの商品開発において、ユーザーインサイトやトレンドベースでの新たなアプローチで商品企画を探索するラボを共同運営。有志で集まったイプサメンバーと共に、アイディエーションやユーザーリサーチ、体験設計、デザイン面でプロジェクトを共同で推進
  • 新設されたCXデザインチームと協働し、CXコンセプト策定からECサイトリニューアル、顧客向けのデジタルサービスのUI/UX改善、マーケティング施策・アクションプランの検討、クリエイティブ制作まで一貫して伴走
  • イプサマーケティングチームと連携し、販促物プロモーションを中心とした日本限定のクリエイティブ制作を実施。クリエイティブの事務局を立ち上げ、販促物の業務フローの最適化、全体ディレクション、キービジュアルからイベント制作物、LP、バナーに至るまで多くのクリエイティブを制作

プロジェクトの全体概要

CX起点での顧客像・体験リデザイン

もともと店頭でのカウンセリングを中心に顧客体験を重視してきたイプサですが、デジタル技術の進化を背景に、IPSAの顧客層である若者の行動様式が変化しつつあることに注目していました。変化し続けるユーザーのインサイトを的確に捉え、今後も顧客から支持され続けるブランドであり続けるために、顧客にどのような体験や価値を提供すべきか──。そこでイプサが着目したのがCXデザインでした。

既存顧客/潜在顧客に向けた定量アンケート調査に加え、美容に関する考え方や潜在的な欲求を明らかにする定性インタビューを実施し分析した後、複数の代表的なターゲットを策定。また、顧客の行動を「知る」「選ぶ」「使う」「続ける」の4段階に分け、各段階での気持ちや行動を整理しました。

また各ターゲットにとっての理想的な体験について検討。さらに、既存の取り組みの改善や新しいアイデア創出に向けて、現状の店舗での施策やデジタル上のタッチポイントだけでなく、将来的に検討したい取り組みも考慮し、顧客体験のシナリオの言語化・図式化を行いました。

タッチポイントのリデザイン──企画・UI/UX・クリエイティブの繋ぎ込み

ブランドとしてのCXの全体像を描きながら、コンセプトに基づく形で個別タッチポイントのリデザインやリニューアルを実施していきました。ここからは、グッドパッチが支援した施策を紹介していきます。

公式ECサイト・ブランドページのリニューアル

まずは顧客とのデジタル上のタッチポイントとしてメインとなる、ECサイトならびにブランドページのリニューアルプロジェクトです。グッドパッチはプロジェクト立ち上げからUI/UXデザイン、プロジェクトマネジメント、開発を担当。顧客にとって、より魅力的で使いやすいECサイトの実現を目指しました。具体的な施策は以下の通りです。

プロジェクトの立ち上げ支援

まずはプロジェクト立ち上げに向け、現状のサイトの課題整理・分析、利用状況の数字分析、システム構造の理解、ステークホルダーや運用体制の把握などの現状把握を行いました。また、イプサのメンバーと一緒にプロジェクトプランニングやゴール設計を行いながら、初期のプロジェクトの体制構築を協働しました。

ユーザー行動の把握と理想体験の策定

イプサ内の部署横断で集まったプロジェクトメンバーを交え、サイトをユーザーにとってどのような体験を提供する場にしたいか、具体的にどんな改善をすべきかアイデアを出し合いました。

さらに、店頭で商品を購入するユーザーとECサイトで購入するユーザーの違いを理解するため、ユーザーインタビューを実施。この結果を踏まえ、プロジェクトで取り組む内容を以下の項目に整理し、それぞれのプロセスに伴走しました。

  1. デザインのリニューアル(使いやすさと見た目の改善)
  2. インタビューから得た示唆に基づく動線改善と商品情報のリッチ化

デザインリニューアル

デザインのリニューアルについては、使いやすさの設計(UXデザイン)をグッドパッチが、ビジュアルのデザイン(UIデザイン)をグッドパッチのグループ会社のスタジオディテイルズが担当しました。

ユーザー体験の改善として、注力したのは以下のポイントです。

  1. 少ないクリック数で目当ての商品にたどり着けるよう、商品カテゴリなどの情報設計や検索性を改善
  2. 商品をカートに入れてから購入完了までの手間を減らすため、ステップ数を削減
  3. ユーザーが公式サイトに求める情報をリサーチ・分析し、商品情報をより詳しく充実

UIデザインでは、基本的な品質を担保するべく、ユーザーの利用実態に合わせてスマートフォンの表示を優先したデザインを、開発効率向上のためにレスポンシブデザインを採用しました。また、顧客にとって一部伝わりにくい構成や表現になっていた部分を見直し、今後のサイト改善や新機能追加時にも一貫したブランドイメージを保てるよう、デザインライブラリの整備も行いました。

同時に、イプサのブランドサイトでもある「ABOUT IPSA」も刷新。イプサが大切にしているブランド哲学や商品開発への想いなどを、ユーザーに分かりやすい形で伝えています。グッドパッチは現在も、UI/UXのデザインやプロジェクトマネジメントを中心にサポートをしています。

メンバーシッププログラム「IPSA meets」の企画・伴走による顧客エンゲージメント向上

イプサは商品購入金額に応じてポイントを還元する「ポイントプログラム」を展開していましたが、さらなる顧客ロイヤリティ強化を目的として、同プログラムを発展させた「メンバーシッププログラム」を検討しました。

オフライン/オンラインで顧客がブランドに触れる中でどのような関係性が育まれるか、また顧客の愛着度に応じてどのような関わり方が心地よいかなど、顧客視点・ブランド視点双方を取り入れながら、ストーリーやビジュアル、ステージ(階層分け)やリワードなど広く検討を重ね、イプサならではのユニークな世界観を表現しリニューアルに至りました。

プロジェクトの主な取り組み:

コンセプト策定

ブランド起点で顧客リレーションにおける理想の状態を広く発散し、試作品(プロトタイプ)を作成しながら、ネーミング、キービジュアル、ストーリーの設計を行いました。

クリエイティブ開発

策定したコンセプトに基づき、顧客向けの訴求や運用方法、特典/リワードなど、オフライン/オンラインでのコミュニケーションに必要なクリエイティブを広く展開しました。特にステージ上位の顧客向けの特典となる進呈品の企画・製作に注力し、年間を通じてブランドを愛用してくださった顧客への感謝の気持ちを、アイテムやメッセージを通じて表現しています。

このメンバーシッププログラムの取り組みは、ブランドと顧客との深い絆を育む基盤として活用され、リニューアル後も伴走しています。

カウンセリングのメリットの明確化・タッチポイントのデザイン改善による認知度向上

イプサは創業当初から質の高い「カウンセリング(肌診断)」を行っており、ブランド体験を形作る重要な要素だと捉えました。一方、他社も店頭でのカウンセリング体験はもちろん、デジタル上のカウンセリングサービスを拡充させる中、改めてイプサのカウセリングのメリットに着目しました。

また、コロナ禍でやむを得ず店頭でのカウンセリング体験が制限され、若手レシピストを中心に店頭でのカウンセリングの機会も減る中、イプサのカウンセリングに対する共通認識を醸成することも期待されました。

こうした中、イプサの商品や体験の魅力をより知ってもらうため、カウンセリング体験の価値定義プロジェクトを組成。認知度とカウンセリング率の向上に向け、イプサのカウンセリングの独自性や強みを定義し、重要な顧客タッチポイントのデザインに反映させていきました。

イプサのカウンセリング(肌診断)

プロジェクトの主な取り組み:

顧客との接点をデザイン面でリニューアル

作成したマスターステートメントを軸に、一貫性のある訴求方法を設計しました。この設計に基づき、公式ブランドページ内の特集ページのデザインを全面的に刷新しています。さらに、店頭で使用する配布物やPOP、ウェブ広告など、複数の顧客接点を統一的にリニューアルし、ブランドメッセージの一貫性を担保しました。

データに基づく継続的な改善

プロジェクトの効果を客観的に測定するため、効果検証の方法を設計して実施しました。得られたデータや顧客の反応を詳細に分析し、その結果に基づいて訴求ポイントを最適化。この過程を繰り返すことで、継続的な改善を実現しています。

このプロジェクトを通じて、イプサの強みであるカウンセリングサービスの価値をより多くの顧客に伝え、体験してもらうための基盤が整いました。今後も顧客の反応や市場の変化に応じて、継続的に改善を行っていく予定です。

UIデザインリニューアル:オンライン肌測定

イプサでは、スマートフォンによる撮影と質問への回答を通じて、顧客が自らオンライン上で簡単に肌状態が分かる肌測定のサービスをローンチしたものの、撮影画面での離脱率と継続利用の促進が課題でした。そこでグッドパッチは、ユーザビリティの向上と魅力的な結果表示に注力し、デザインリニューアルを行いました。

プロジェクトの主な取り組み:

質問回答画面・結果画面のリニューアル

文字情報の多い表示を改め、グラフ表現を視覚的に分かりやすくしました。イプサの「一人一人の美を尊重する」理念に基づき、画一的な良し悪しの表現は避けつつ、改善ポイントを明確に示す設計としています。

撮影画面のインタラクション改善

離脱の主な要因だった撮影の難しさに対応しました。顔のポジション、向き、カメラとの距離のチェック項目を追加し、条件クリアの可視化を図りつつ、顔型の枠を導入し、正確な位置合わせを容易にしました。

これらを通じて、ユーザーの離脱率低下の改善と継続利用の促進に貢献。合わせて店頭ユーザーへのサービス認知向上のためリーフレットを作成・配布し、オンラインと実店舗の連携も図りました。

特に、肌測定結果を表示する最後のページには、顧客が商品のテスターに触れやすくなるようなイラストを配置したり、店舗スタッフが声をかけやすくなるような案内文を表示する工夫をしました。

肌測定から実際の接客へとスムーズにつながる店舗体験を想定し、画面デザインを設計したことで、デジタル技術を活用しながらも、実際の商品体験や人による接客へと自然に誘導する仕組みを構築しています。短時間でもイプサの魅力を効果的に伝え、潜在的な顧客の獲得につなげることを期待されており、今後も随時、画面はアップデート予定です。

ギフト体験のコンセプト設計とタッチポイントデザイン

昨今のギフトニーズの伸長に伴い、ギフトもイプサの顧客との重要な接点になっています。そこでイプサのあるべきギフト体験のカスタマージャーニーとコンセプトを改めて策定。オンラインとオフラインの両方でギフト施策を設計し、各施策の実行や推進を伴走しました。さらに、関連するクリエイティブ制作にも携わっています。

プロジェクトの主な取り組み:

ECサイトの紙ギフトラッピングに関して、運用上の課題に対応するため、新しいラッピングデザインの検討に着手。イプサらしさを体現し、ギフト体験をより良いものにするため、形状、素材、カラー、コストの各側面から綿密に協議を重ねました。

その結果、高品質でリユース可能な巾着タイプのラッピングをデザイン。このデザインは後に店頭販売とECの両方で、イプサの定番ギフトラッピングとして採用されるに至りました。また、期間限定のシードペーパーメッセージカード&メッセージカードタグも制作しています。

クリエイティブ

グループ会社のスタジオディテイルズ社を中心に、日本限定の一部の製品やキャンペーンのキービジュアル制作を実施。それらを活用した店頭販促物やSNS用PRツールの制作を担当しました。また、GWP製品のデザインや公式サイトのページ制作にも幅広く携わっています。

さらに、撮影ディレクションやコピーライティングを通じて、商品の魅力を最大限に引き出し、ターゲットに響くメッセージを設計。これら多様なクリエイティブ要素を統合することで、ブランド全体の一貫性を保ちながら、その価値向上に貢献しています。

プロジェクトの主な取り組み:

クリエイティブ専任チームの事務局を立ち上げ、業務フローの最適化を推進。制作プロセスの効率化を実現し、スムーズな進行管理と質の高いクリエイティブの提供を可能にしました。

  • アルティメイトシリーズ:キービジュアルおよび各種販促物の制作
  • ギフト:キービジュアルの制作およびラッピング制作 など

Credit

Goodpatch
プロジェクト全体統括:酒井 亮輔、小川 麟太郎
アカウントマネージャー:浦田 文恭
UXデザイナー:江原 美佳、西村 洋、大谷 真菜、門屋町 咲穂、今宿 未悠、飯塚 幸雄
UIデザイナー:栃尾 行美、小幡 菜摘、韓 悦生、土田 茉奈美
アートディレクター:片柳 満、中田 彩、有末 海
BXデザイナー:中林 保之、大久保 彩佳
コピーライター:稲田 桃子、豊田 圭美
デザインストラテジスト:塩澤 美和
デザインリサーチャー:米田 真依
プロジェクトマネージャー:東村山 千晃、玉城 伸太朗

Studio Details
<プロジェクト全体統括>
クリエイティブディレクター :小猿 啓太
<Brand.com事務局>
ディレクター:湖内 慶吾
デザイナー:小倉 裕香
フロントエンジニア:杉浦 友紀、大島 涼佑、岩下 明日海、水澤 志歩、森岡 良介、角田 雄人、岩井 玄貴、岩崎 航也
<クリエイティブ事務局>
ディレクター/コピーライター:福田 悠斗
デザイナー:本名 静菜、島吉 信之介、福邉 美波、岡嵜 帆乃香、城塚 建人

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