高速でアイディア検証を実践する「デザインスプリント」のプロセスとメリット
「デザインスプリント」と呼ばれるプログラムを試したことはありますか?
具体的なプロセスやアイデアの生み出し方、注意点などを初めて実践する人向けにまとめました。疑問や不安を解消し、チームでデザインスプリントを導入するきっかけとして、ぜひご覧ください!
そもそもデザインスプリントとは?
デザインスプリントは、GV(旧 Google Ventures)によって開発されたもので、高速でプロセスを回し、アイデアの価値を検証するプログラムです。
企業がデザインスプリントを導入する理由としては、プロジェクトの早い段階で、提供するサービスの価値を確認できるという点があります。また、このプログラムは企業の規模感に合わせて柔軟に対応させ、活用することができます。
プログラムは基本的に5日間で構成されており、フェーズごとにサービス開発のための様々な手法を使います。
デザインスプリントのプロセス
【Day 1: Understand(理解)】
理解のフェーズでは、サービスが解決すべき課題を定義し、ユーザーインタビューをしたり、インタビュー結果などのデータ分析を行います。グッドパッチでは、今回ご紹介したユーザーインタビュー以外にも、ユーザー像を把握しターゲットユーザーを設定するために様々な手法を用いて調査分析を行っています。
【Day 2: Diverge(発散)】
発散のフェーズでは、課題を解決するためのアイデアを生み出します。短時間でアイデアを生み出すための手法としてはクレイジー8が代表的です。ここで生まれたアイデアをストーリーボードを用いて素早く可視化することは、チームメンバーの共通認識、帰属意識の形成にも有効です。
【Day 3: Decide(決定)】
決定のフェーズでは、どのアイデアを採用し検証するのか決定します。発散のフェーズで生まれたアイデアの取捨選択を行い、情報の整理を行います。情報を整理し、チーム内の認識を合わせる手法としてはワイヤーフレームが使われます。
【Day 4: Prototype(プロトタイプ)】
プロトタイプのフェーズでは、ユーザーが実際に利用できるプロトタイプを作成します。
プロトタイプを作成することで、アイデアが具現化するだけでなく、インタラクションやユーザー体験への理解を深めることもできます。
関連記事:プロダクト作りのプロたちが知るべき「プロトタイピングの基本」とは
Goodpatchでは、コードを書かずに動くプロトタイプを作ることができる「Prott」をインハウスサービスとして開発しています。ぜひこちらもご参考になさってください!
関連記事:Prottユーザー必見!開発メンバーおすすめ活用TIPSまとめ
【Day 5: Validate(検証)】
検証のフェーズでは、ユーザーがプロトタイプをどのように使うのかを観察して、Day1から立ててきた仮説の検証を行います。
代表的な検証方法にはユーザビリティテストがあります。ユーザーにとって、開発したプロダクトやサービスがどの程度使いやすいか/使いにくいかといった問題を明らかにできます。ここで明らかになった問題を指標にさらなる改善を重ねます。結果を整理する際には、ビジネス視点とユーザー視点の4象限マトリクスを用いることもあります。
デザインスプリントのメリット
デザインスプリントの最も大きなメリットは、プロセスを高速で回すことで、出てきたアイデアを検証し、早い段階でその価値を確認できるという点です。他にも、Goodpatchで実際に行われたデザインスプリントからは、以下のメリットを感じることができました。
- チームのコミュニケーションが濃くなる
- 集中力がより継続する
- 効率的にアイディアを出せる
繰り返し行うことでスプリント自体の質、結果の向上が見込める
それぞれのメリットについては下記の記事で詳しく解説しています。
サービスやプロダクトの開発といったプロジェクトへ本格的に導入する前に、デザインスプリントをひととおり体験することも可能です。プロジェクトの提案時にデザインスプリントを導入すると、プロセスの手順や課題を把握できるというメリットもあるので、実践してみてはいかがでしょうか。
関連記事:プロジェクト開始前にも使える!提案時にデザインスプリントを取り入れる3つのメリット
デザインスプリント実践における注意点
サービスやプロダクトの開発において大きなメリットを生むデザインスプリントですが、万能ではありません。デザインスプリントの型がどんな状況にも適応する訳ではないという点に注意が必要です。
デザインスプリントの特徴を理解した上で、プロジェクトに合わせて調整することが重要です。理解を深める際にはGV(旧 Google Ventures)によるデザインスプリントの解説書や「SPRINT 最速仕事術」といった書籍が参考になります。
関連記事:改めて考えたい、プロジェクト内でのデザインスプリントの扱い方
さらに、デザインスプリントの実践において、プロジェクトメンバーの「やってよかった!」に繋げるには、
- ログを残しながら進める
- 適切な仮説を選定する
- プロトタイプの精度とスピード感を意識する
- ビジュアルは改めて検討する
といったポイントがあります。チームでアイディアをより素早く、効率的に検証するためにも、以下の記事からポイントの詳細を確認してみましょう。
むすびに
デザインスプリントに対してお持ちだった疑問は解消されましたか?
デザインスプリントという手法、チームへの影響といったメリットや実践のポイントを中心にお伝えしました。デザインスプリントの性質について理解が深まった後は、できるところから取り入れてみてはいかがでしょうか。
Goodpatchでは、様々なプロジェクトで得た知見を共有し、デザインスプリントにも注力しています。デザインパートナーとしてお力になりますので、お気軽にお問い合わせください。