組織の文化として根付くDXとは「DX時代に必要な顧客体験」イベントレポート
2018年に経済産業省が「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」を発表して以来、さまざまな分野でDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が叫ばれています。
2020年5月26日に開催された完全オンラインイベント『DX時代に必要な顧客体験』では、前Salesforce Ventures Japan Head / 常務執行役員の浅田慎二氏と、Goodpatch 代表取締役社長 / CEO 土屋が登壇。
DXレポートで年間最大12兆円という経済損失が発生すると言及された「2025年の壁」の背景や海外のSaaSビジネスの動向、コロナショックによるDX化について語りました。
本記事では、第一部のフルリモートデザイン組織Goodpatch Anywhereの事業責任者 齋藤からGoodpatch Anywhereについての紹介と、本編である第二部の浅田氏と土屋の対談セッションの様子をお届けします。
登壇者紹介
浅田 慎二(前Salesforce Ventures Japan Head / 常務執行役員)
伊藤忠商事株式会社および伊藤忠テクノソリューションズ株式会社を経て、2012年より伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社にて、ユーザベース(IPO)、メルカリ(IPO)、Box(IPO)、WHILL、TokyoOtakuMode等国内外ITベンチャーへの投資および投資先企業へのハンズオン支援に従事。 2015年3月よりセールスフォース・ベンチャーズ 日本代表に就任しSansan(IPO)、TeamSpirit(IPO)、freee(IPO)、Goodpatch、ビズリーチ、Yappli、スタディスト(TeachmeBiz)、オクト(Andpad)、トレタ、カケハシ、マネーツリー等B2Bクラウドベンチャーへ投資。慶應義塾大学経済学部卒、マサチューセッツ工科大学経営大学院MBA修了。
Twitter:@asada23
土屋 尚史(株式会社グッドパッチ 代表取締役社長 / CEO)
1983年生まれ。サンフランシスコに渡り海外進出支援などを経験した後、2011年9月に株式会社グッドパッチを設立。海外拠点として、ベルリン、ミュンヘンにオフィスを展開している。スタートアップから大手企業まで数々の企業をデザインの力で支援し、自社開発のプロトタイピングツール「Prott」はグッドデザイン賞を受賞。経済産業省第4次産業革命クリエイティブ研究会の委員を務め、2018年にはデザイナーのキャリア支援サービス「ReDesigner」を発表し、デザイナーの価値向上を目指す。
Twitter:@tsuchinao83
齋藤 恵太(Goodpatch Anywhere 事業責任者)
制作会社を経て、2013年にグッドパッチにジョイン。代表的事例はマネーフォワード iOS(2014)やFiNC Technologies のアプリ・サービスデザイン。コミュニケーションを重視し長期的に案件に関わるスタイルで数々の組織の成長を体感、良いプロダクトやサービスを生み出す組織について研究しています。2018年10月よりリモートワークの新規事業 Goodpatch Anywhere を事業担当者として立ち上げ。
Twitter:@qnoub
Theme1|GoodpatchとGoodpatch Anywhereについて
ー 次世代型組織 Goodpatch Anywhere
齋藤:
Goodpatchは、東京・ベルリン・ミュンヘンにオフィスを構え、”デザインの力でビジネスの課題を解決するグローバルなデザインカンパニー”です。UI/UXに強みを持ち、”ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる”というビジョンと、”デザインの力を証明する”というミッションを掲げて活動しています。僕らは、表層を作るデザインではなく、お客様の事業に密着して全てのレイヤーでお手伝いできるように進化し続けてきました。市場からユーザーに至るまでの全てのレイヤーでサポートを行っているため、受託請負ではなく、課題に並走するデザインパートナーと言わせていただいています。そして、UI/UX専業企業としての豊富な実績を持っています。
Goodpatch Anywhereはフルリモートデザインチームで、一昨年2018年に立ち上げました。Goodpatchには6年以上在籍をしており、クライアントワークではFiNC TechnologiesさんやMoney Forwardさんを担当させていただきました。Goodpatch Anywhereとは、Goodpatchのデザインパートナー事業から「東京のオフィスでフルタイムで働く」という制約を外した実験組織です。
メンバーは日本全国、海外に在籍し、UI/UXデザイナーを中心に多様な人材が集まっています。こういった人材の力を結集して、今までよりもさらに面白いプロジェクトにチャレンジしています。僕たちは、コロナの流行が始まる前からリモートワークに取り組んでいました。当然、進行中のプロジェクトはコロナの影響を受けませんでした。むしろクライアント様もリモートに移行したことで、オフィスで行われていたコミュニケーションがすべてオンラインに集約されたことで、プロジェクトのスピードは上がったと感じています。
ー 文化を浸透させるGoodpatch Anywhere
本日はDXのイベントなのでそこに絡めたお話をしますと、DXの流れを受けて、プロダクトだけではなく組織文化の変革も重要であると感じています。
Goodpatch Anywhereのプロジェクトに関わってくださった方々には、”デザインの背景にあるUI/UXは大事であるということをチーム全体に浸透させてくれたのがAnywhere”、”会社の文化に影響を与えた”、”この業界にこの考え方をどんどん広めて欲しい”と言っていただけることが増えました。僕らのプロジェクトを通して組織に対するアプローチをうまく行うことができているなと感じています。
それでは続いて、第二部の対談セッションもお楽しみください。
Theme2|DX推進における心構えとデザインの価値
土屋:
最初に、自己紹介をさせていただきます。
浅田:
2015年から2020年3月末までセールスフォースベンチャーズというCVC(Corporate Venture Capital)で、SaaS企業に特化した投資活動してました。その前は、伊藤忠商事でIT新規事業立ち上げ、投資、M&Aを行っていました。今年の4月からは、独立をして、新たにベンチャーキャピタルを立ち上げる予定です。プレスリリースは6月に予定してます。
土屋:
浅田さんとは、初期のGoodpatchに出資をしていただいた頃からの付き合いです。
僕も簡単に自己紹介します。Goodpatchの土屋と申します。Goodpatchは、2011年に僕が立ち上げた会社です。もともと、僕がWebサイトのディレクターをしていた2011年頃に、スタートアップ勃興期のサンフランシスコに行く機会がありました。そこでUberやInstagramなどのリリースして間もないスタートアップを見て、あまりにもUIが優れているというのを感じ、帰国後に起業したのが約9年前になります。
ー 日本にDX化が求められる背景
土屋:
2015年から2017年の2年間で一気に、DXというキーワードが聞かれるようになり、マーケットの中でDXしていかないとまずいぞという流れになったと思っています。浅田さんはいわゆるSIベンダーで働かれていたご自身の経験を通して、肌感としてどの様な変化が周りに起きていったと感じていますか。
浅田:
この10年から15年間は、日本では大企業から中小企業までどのセグメントにおいてもITを単なるツールと扱ってきたと思います。それは背景に、人に会ったときの温もりや勤勉さなどを神格化してしまい、テクノロジーを使うと品質の低いものになってしまうのではないかという勘違いがあったからです。テクノロジーを使わなかった結果、対面、紙、印鑑などが重んじられ、完全なるIT後進国になってしまっているというのが現状です。
土屋:
これは10年前から言われ続けていたはずなのに、なぜ変化できなかったのだろうと本当に不思議でしょうがないです。
浅田:
少し哲学的なコメントになるのですが、変わる事は基本的に面倒くさくて難しいです。そもそも組織が変われないシステムだったら、100人束ねても変われないと思います。だから、システムが最強でそのシステムが変わらないから変化できないのだと思います。そのシステムというのは、社会的な通念や価値観であり、長年ミルフィーユのように積み重なって厚い層になっている。変化をしなくても生きていくことができた。その為、気がつかないうちに実は足元がめちゃくちゃ揺らいでいたということだと思います。
ー 日本とアメリカ 決定的な違いはエンジニアの生息地
土屋:
まだデジタルITという領域では、やはりアメリカの方がまだ日本よりも進んでいる印象があります。そこには、何が違いとしてあると思われますか。
浅田:
端的に理由は1つで、どこにでもエンジニアが生息しているからという違いです。
アメリカの企業には大量のエンジニアがいると思います。また、非ITの会社でも、情報システム部の人たちはコードを書くことができ、プロジェクトマネジメントではなく、プロダクトマネジメントができる。つまり、技術選択をできるエンジニアがユーザー企業にいるんですよ。
土屋:
なるほど。
浅田:
例えば数字で言うと、100のパイがあるとしたら、アメリカではエンジニアの70%以上がユーザー企業にいます。つまり、20から25%くらいがITベンダーにいます。日本は真逆で、ITベンダーに70%から75%くらいエンジニアがいてユーザー企業に5%くらいしかいないんですよ。
そうなると基本的には社内にITリテラシーを持たないので、プロダクトマネジメントではなくてプロジェクトマネジメントをするユーザー企業の情報システム部門が存在するわけです。ベンダー側からすると、ユーザー企業に流行っているライセンスの安いクラウドなんかを導入されてしまうと困るので、世界唯一の経費生産システムを作りましょうみたいな話になるんですよね。
土屋:
まさに今図に出ているここの2025年の崖の話ですね。
引用:経済産業省『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』
浅田:
この図でいう2025年の崖に落ちないために、AIというバズワードが盛り込まれた新しいオンプレミスのシステム開発の機会が増えるのではないかとSIerの方々は前向きに解釈します。そうすると1番不安なのは、また歴史が繰り返されてしまう恐れがあるということです。
土屋:
そうですね、今マーケットではその歴史が繰り返されてしまいそうな流れを感じています。それこそ、DXだ!と叫んでいる活況のみられるところには、SIerの方々がいますよね。そのSIerの方々が、大企業向けにゼロからDXするためのツールを提供したり、フルスクラッチでDXツールを作りますみたいなこと提案し、そこに大企業が何十億円、何百億円を費やしてしまう。そんな事態になりそうな感覚はあります。結構大変なことですよね。
浅田:
この構図が変わるためには、発注する側のユーザー企業が変わる必要があると考えます。発注する側のユーザー企業のCIO(Chief Information Officer)の方々が、自社の競争優位IT投資とコモディティのIT投資といった攻めのIT投資と守りのIT投資の2つに分けなければならない。
具体的には、コモディティのIT投資とは、経費精算や旅費管理や資産管理、営業管理などのITツールへの投資のこと。そういったコモディティ領域には、成熟しているソフトウェアがあります。そこで自社のオリジナリティーを変にこだわって世界最高の経費精算システムとかを作ってはいけない。そこの部分は一般的に提供されているSaaSを使うべきで、自社の競争優位になる攻めのIT投資こそ内製しなければならないんです。
ー コモディティ領域における海外の注目SaaSビジネス
土屋:
先ほど、コモディティのIT投資というお話しが出ました。世界の動向から、コモディティ領域のSaaSビジネスで注目されている、もしくはこれから注目されそうなプロダクトや会社はどのようなものが挙げられますか。
浅田:
今既に流行っているのはZoomなどのテレビ会議ツールや電子署名ですね。後は、エンジニア向けの、SaaS間の連携を促すツールはものすごい勢いで伸びています。
もう少し具体的に言うと、多くのSaaSはクラウド上に存在していて、APIを公開しているので他のSaaSとデータ連携できるようになっています。例えば、Slackを立ち上げると、GoogleドライブなどのSaaSとは2ステップで繋げられます。
しかし、もっと深いレイヤーでデータ連携したいときには、APIだけでは難しく、SaaSとSaaSを繋げたりするツールiPaaS(Integration Platform as a Service)みたいなものも出てきています。一見、クラウドにあるとシームレスに全部繋がりそうじゃないですか。一方で、特定のクラウドの中でしかアクセスできないデータもあるので、それが分散しまくっていたらどうやってデータ統合して経営に役立てるのかみたいな課題が出てきます。なので、SnowflakeなどのデータウェアハウスのインフラのiPaaSがどんどん立ち上がっている。
フロントはAWSでミドルはGCPやHerokuを使うなど、いくつかIaaS(Infrastructure as a Service)を分解したりするので、そこのデータをどうするのかというときに、このSnowflakeみたいな会社が活躍すると思います。
ー 企業がアップデートすべき3つの価値観
土屋:
企業がDXを推進するために必要な心構えや組織のあり方はどのようなものがあるでしょうか。
浅田:
まずDXがなぜ必要かを凄く簡単に言うと、ソフトウェア企業にならなければ生き残れないということだと思います。
そこで、ソフトウェア企業になりましょうといった時に、価値観がアップデートされなければなりません。価値観は3つあり、1つ目は”早い”こと。これは、意思決定を早くする、行動を早くするということです。2つ目は”繋がっている”ということ。今日のイベントでも、皆さんいる場所は異なりますが、Zoomで繋がっていますよね。3つ目が”データドリブン”。例えば、昔はアンケート1つ取るのにも、アンケート用紙を自宅に郵送して集計を行っていましたが、今はLINEのコロナアンケートのように、数千万人を対象としたアンケートでもオンライン上ですぐに集計できたじゃないですか。多くのデータが存在していて、それらのデータにはある程度の示唆があります。
この3つの価値観を持ち得ないとソフトウェア会社に変われないと思います。
ー コロナショックによるDX化
土屋:
今の価値観のアップデートのお話に加えて、これからさらに加速して起きると思うのは、組織の内側に向けたDX。例えば、社員のエンゲージメントを計測可能にすることで組織を良くする事。あとは、無駄な作業や生産性の低いことを計測可能にすることで生産性の高い仕事のやり方に変えていくということだと思っています。今回のコロナショックで経済がかなり痛んだ部分がありますが、生産性改善のショック療法としてはかなり大きなアドバンテージになりましたよね。
浅田:
圧倒的に大きいですね。政府は会社に出社してはいけないと奨励しているわけですが、例えば会社に行って捺印しなけはればならないプロセスが残っていたら、それを破ってまで出社しなければならないなど、コロナに感染するリスクを侵さなければならなくなります。今は社員を守るため、守りのDX化を先に進めるべきです。それを進めることで、あらゆる現場の古い様式が見える化すると思います。
例えば、現在の会議はZoomで成り立っていますが、従来は物理的に10人が同じ場所にいました。そして、話す人は3人だけで、残りの7人は情報共有のためだけに参加していました。情報共有はSlackで議事録を共有すれば済む話です。コロナショックにより、このような仕事のやり方が、曖昧なメンバーシップ型からプロフェッショナルなジョブ型に変わってきています。
土屋:
2020年のコロナショックでの変化に対応できる会社とそうでない会社で、明らかに成長スピードが変わると思います。強制リモートにせざるを得なくなったことで、様々なことが露呈したと思います。例えば、社員は意外にリモートでも対応できるとを思っているが、経営サイドは、社員を信用せずリモート対応できていない。そういった会社の考え方をアップデートしなければ、組織も崩れていくだろうし、経営と社員の距離がどんどん離れていく状況になると思っています。
ー攻めのIT投資、守りのIT投資
浅田:
先ほどから何度も攻めのIT投資、守りのIT投資という言葉を使っていますが、すごくざっくり言うと、攻めのIT投資とは、売り上げや利益の増大を目的としたものです。これは自社の競争優位を目的に内製化をしたり、外部との共同事業としてラボ型開発をしたりすることです。一方で、守りのIT投資とはコスト削減や管理を目的としたものです。これには一般的なSaaSの利用が良いと思っています。
これをもう少し解像度高く分解して説明します。まず、事業の売上や利益の増大に必要な投資については、内製のチームで対応していきましょうということです。例えば、解約率に致命的なログイン障害があったりするじゃないですか。それを外注していたら1、2ヶ月かかるわけですよ。
そういうのは内部のチームでやっていきましょう。一方で、しつこくて申し訳ないんですが、守りのITの領域でSaaSのパッケージ利用を前提とするべきです経費生産システムなんて、世界一ユニークなものなんてないですから、freeeさんやMoney Fowardさんの経費精算SaaSを使うべきだと思います。
土屋:
僕らは今攻めのIT投資と守りのIT投資でいうと、完全に攻めのIT投資側であり、さらに企業の付加価値を上げていくというところに関わっています。多くのユーザー企業は、内製化していくという所に相当なハードルがあると思っています。そこに対して、Goodpatchのスタンスとして、本来はプロジェクトにおいて長期的にクライアントと関わり続けて、僕らがいないと回らない状況にしていくのが実はビジネス的には正しいと思います。
しかし、僕らはそうはしたくはないんです。いかに先方の会社で、内製で良いチームが回っていくかが大切で、僕らが関わらなくなったら、ビジネスサイドの意見が強くなって、思うようなプロダクトを開発ができなくなると困るので文化として根付くところまで仕事を行っています。
いわゆるUI/UXのプロダクトを納品するだけでなく、文化を先方の企業に根付かせた上で、さらに僕らのReDesignerというサービスで、内製化するデザイナーを探して紹介するところまでが僕らの納品物です。
イベントも終盤に差し掛かり、最後に参加者からチャットで送られた質問に答える、質疑応答を行いました。
QA 1『変化したがらない日本的企業を動かす言葉はあると思いますか。シミュレーションした数字で脅すしかないのでしょうか。』
浅田:
少し精神論になりますが、変化させたければ、マジカルな1つの手段ではなくて、打ち手の数を星の数ほどやると変わると思います。自分が達成したいことを達成する為に最低限4つの方法を用いろということを書いた論文があって、脅すのも1つだろうし、褒めるのも1つだろうし、大勢が4つの方法を行うとすごい数になりますよね。
土屋:
これは難しいですね。当然行動が伴っていないといけないので、言葉だけでは無理ですね。結局、創業者や最終意思決定者の人たちとの信頼関係を築きあげないと変われない部分もあると思うので、真っ向面からぶつかるだけではなく、まず小さな課題を解決して信頼関係を築いていきながら変えていくこと重要だと思っています。僕はあんまり政治力がないタイプなのでアレですけど(笑)
QA2『 DXの為に社内でプロダクトマネージャーを育成するために、ビジネス出身の人間にどこまでテクノロジーやデザインを学ばせるべきでしょうか。その方法もあれば教えてください。』
土屋:
プロダクトマネージャーの数が圧倒的にこれから足りなくなっていきます。そこでビジネスサイドの人がどれだけキャッチアップできるかという話だと思いますが、浅田さんいかがでしょうか。
浅田:
プロダクトとビジネスは両極端に見えますが、どちらの出身なのかはこだわる必要はないと思います。プロダクトサイドから来た人、ビジネスサイドから来た人、その両方の出身者がいると思います。プロダクトマネジメントとは、プロダクトをマネージすること、つまり人々がワクワクするプロダクトを作るということです。ワイヤーフレームやカスタマージャーニーが描けることは手段であり、調べることができるので、どちちのパターンからでもいけると思います。
土屋:
僕も、デザインの会社をやっていますが、デザイナーでも、エンジニア出身でもないんですよ。僕は、テクノロジーとデザインに関しては、デザイナーやエンジニアとコミュニケーションをきちんとできるというのが重要かなと思っています。そのコミュニケーションができるだけのリテラシーは確実に必要ですが、極める必要はないと思います。一番プロダクトマネージャーに必要なのは、判断軸を持つことだと思っています。
具体的には、その時にユーザーが何を欲しているかというニーズを把握する力と、ビジネスを前に進めるために何が必要なのかを決めて、進める力です。プロダクトマネージャーは、本質的に重要なことを理解できないと、たとえテクノロジーやデザインを理解していても機能しないと思います。
以上、『DX時代に必要な顧客体験』のイベントレポートをお届けしました。今回のイベントの大きなテーマであったDXは、事業の多角化、新しいビジネスモデルの構築、業務効率化によるCX改善など、その対象や効果は多種多様です。Goodpatchは、今後もクライアントのビジネスに併走しデザインの価値提供領域を拡張することに挑戦し続けます。
ご依頼やご相談については、お気軽にこちらからお問い合わせください。