1年働いて分かった、UXデザイナーからPdMになるために必要な変化
こんにちは。グッドパッチでプロダクトマネージャー(以下、PdM)をしている大本です。
Goodpatch Blogでは、「UXデザイナー→PdM」へのキャリアは有力な選択肢というお話を何度かしていますが、私自身、ちょうど1年前から「グッドパッチでPdM職を作りたい!」とPdM組織の立ち上げを行い、UXデザイナーからロールチェンジした1人です。
UXデザイナーとPdMの親和性は高いとしましたが、仕事の進め方や求められるスキルに違いはあるのか。約1年、働いてみて気付いたことをまとめようと思います。
目次
私がUXデザイナーからPdMにロールチェンジした理由
気付きの話をする前に、私自身がPdMにロールチェンジした経緯を説明させてください。
私はグッドパッチに入社して4年目になりますが、入社当初はUXデザイナーとしてプロジェクトに参加していました。PdMへのロールチェンジを考えたのは、クライアントワークでグロース領域のプロダクトに対し、UXデザイナーとしてプロダクト戦略立案を担当していたときです。
プロジェクト内で私はプロダクトの成長のために奔走していましたが、UXデザイナーとして関わる中で、施策を実行(実装)した後の結果計測までは携われなかったり、スポット的な関わりにとどまってしまうこともあり、結果まで伴走して、クライアントの本質的な課題を解決するという点では、物足りなさを感じることがありました。
そんな折に、プロダクトの戦略策定や施策の意思決定を行う「PdM」という役割があることを知り、プロダクトの成長にコミットするために、グッドパッチでも必要な役割だと考え、組織(職能)の新設を提案した──というのが経緯になります。
現在は、あるクライアントのプロダクト開発チームの一員として、特定のKPIを向上させる担当PdMとして半年ほど伴走しています。
UXデザイナーとPdMは何が違うのか?
先日、PdMのスキルマップについての記事でも触れましたが、PdMの仕事(や求められるスキル)に厳密な定義はありません。
私たちのチームでは、現在のところ、PdMの役割を「プロダクトの“Why”を考える仕事」と定義し、ユーザー、事業、そして開発チームと向き合い、プロダクトの成長をリードする存在と説明しています。
UXデザイナーとの役割分担も、以下のように考えています。とはいえ、親和性が高いため、(特にグッドパッチの場合は)協働の仕方はプロジェクトによって変わることが多いです。
UXデザイナーからPdMになって変わったこと
私自身はPdMになる前から、UXデザイナーという立場でプロダクト戦略や事業に関わっていた経験があるため、ロールチェンジをして、扱う領域が大きく変わったわけではないのですが、PdMになったことで、プロジェクトに臨むスタンスや、思考の優先順位などが変わったと考えています。
UXデザイナーという立場で参加していたころは、どちらかといえば「ユーザーにとっての価値」 を中心に活動し、議論に参加していたと思うのですが、現在は「あなたはこのプロダクトがどうしたら伸びると思うか?」 という問いに対して、
- プロダクトでできることを領域決めずに全て考える
- それらの施策をどの順番でやるか、誰かの「GO」を待たずに進めて、ファクトを集める
- 施策によって、プロダクトが抱えるKPIが伸びたかどうかまで責任を持つ
のが仕事だと感じています。UXデザイナーはユーザーが主語だったところから、PdMになって、主語が事業そのもの(=ユーザー+事業+開発組織)に変化した、というと分かりやすいでしょうか。それ以外にも、以下のような気付きがありました。
何はともあれ、一旦数字を信じる
PdMになってから、いわゆる事業上の目標数値やKGI、KPIといった「数字」との向き合い方は大きく変わりました。
UXデザイナーとして関わっていたころは、自身の考えている施策や企画によって定量的に成果が出るまでかなり時間がかかることが多かったのですが、PdMになってからは、施策の優先度を決めたり、短期的な施策と長期的な施策を両軸で進めていくことが増えたため、数値を頼りに仮説を組み立てる機会が増えました。
数字を信じた上でも、施策がうまくいかないときこそがUX視点を活用するポイントです。「ユーザーはこう考えるはず」は定量的に見たら必ずしもそうではない、というケースは少なくありません。
UXデザイナー的な思考だけでは、本質を見誤ってしまうこともあります。数字の実態とユーザー視点の仮説を行き来することで、施策の精度を高めていくのです。
各所から来る要望に「即レス」しない
PdMはマーケティングや事業部、エンジニアチームやデザイン組織など、とにかくステークホルダーが多いです。そうなると、必然的にプロダクトに対して「こうして欲しい!」という要望をたくさんいただくことになります。
しかし、それに即時対応しているだけでは単なる「御用聞き」。PdMの介在価値が発揮できません。優先順位1つとっても、とにかく「自分はこうした方がいいと考えている」というスタンスを出さないと話が進みません。何より意志が大事なのです。
もちろん、各所の要望に着実に対応するのも大切です。「プロダクトバックログに積みますね」という人格と「インパクトを出すために、今何をすべきか、ユーザーに何を提供すべきか」に意思を持つ人格の使い分け(バランス)が求められるというわけです。
改善はとにかく「プラクティス」の連続
プロダクト(サービス)の改善を続けていると、ABテストで変化が起きないこともザラですし、逆に数字が悪くなることもあります。それらの結果全てに一喜一憂していては心が持たないと思います。
そういうときには「この施策によって学びがあったか、なかったか」を自分の活動の評価基準にすると動きやすくなるでしょう。だからこそ、仮説の組み立ては妥協しない方が良いです。私自身は「地に足つけた仮説を検証しまくる癖」をつけたいと考えています。
PdMになっても、UXデザイナー時代から変わらないこと
一方で、PdMとして関わる中でも、UXデザイナー時代にしていた考え方が生きることや、スキルの掛け合わせで議論が前進しやすくなることもありました。
まずは、「事業視点とユーザー視点のバランスをとりながら議論ができる」という点です。事業指標を基に改善を繰り返していると、どうしても短期的な視点に寄ってしまい、「ユーザーから見て、最適な状態になっているか」を振り返ったり議論したりする機会が減ってしまう傾向があります。
そんなときにUXデザイナーの視点を活用し、ユーザー像の具体化や提供価値の構造整理など行うことで、事業視点とユーザー視点を行ったり来たりできるようになり、議論の深化ができるようになるのです。
もう1つは「情報設計上の矛盾にすぐに気付ける」という点です。事業視点で改善すると、当初の情報設計が崩れてしまったり、イレギュラーなUIが出来上がってしまったりすることがあります。
そういうときに、改善案を精査する際に気付いて都度修正したり、情報設計が崩れない別の改善案を選択したりできるのは、UXデザイナーとしての経験が生きるポイントでした。
クライアントワークのPdMに興味がある方、お話ししましょう
今回は「UXデザイナーがPdMにロールチェンジして感じた変化」についてまとめてみましたが、私もまだPdMを名乗り始めてまだ1年ほど。これから経験を重ねるにつれて、違いや共通点を感じることは増えていくはず。その時はまた、改めて記事などで発信したいと考えています。
これまでUXデザイナーやソフトウェアデザイナーとしてキャリアを積んできた方で、プロダクトの戦略策定や成長のための仮説検証に興味がある方は、ぜひPdMを次のキャリア選択の候補に入れてみてはいかがでしょうか。
現在、グッドパッチではプロダクトの成長にコミットするPdMを募集しています。クライアントワークのPdMという珍しいポジションですが、デザインのスキルセットや経験を生かしながらプロダクト成長にコミットできるやりがいがあります。カジュアル面談も実施しておりますので、気になる方はぜひご応募ください。