Goodpatchのメンバーが今、読者の皆さんにオススメしたい本を紹介する「読書週間2023」。

5日目となる今日は、先日プロダクトマネジメントの支援サービス「Product Growth Partnerships」を発表したPdMチームのメンバーが、PdMを目指すUXデザイナーにオススメの書籍を紹介してくれます。

読書週間の期間は終わってしまいましたが、Goodpatch Blogの読書週間連載はもう少しだけ続きます。ぜひお付き合いいただければ幸いです。

PdMの入門書から、壁にぶつかったときに役立つ本まで

先日、Goodpatch BlogでUXデザイナーこそプロダクトマネージャー(PdM)に挑戦しよう、という記事を出して、大きな反響をいただきました。やはり、それだけUXデザイナーのキャリアに悩みや関心がある方が多いということなのかもしれません。

一方で、記事中では「UXデザイナーの誰もが簡単にPdMになれるというわけではない」という話も書きました。

UXの領域を生かしたプロダクトマネジメントは、ユーザー中心の価値設計に非常に有用ですが、「開発者」と「ビジネス」の側面については、新たに学んだり、キャッチアップする必要があるためです。

今回は「読書週間」企画ということで、そんな壁にぶつかったときに参考になるオススメの書籍を6冊ご紹介します。実際にグッドパッチでPdMとして動くUXデザイナーも読んでいる本です。ぜひご覧ください。

1. 『プロダクトマネージャーになりたい人のための本』

プロダクトマネージャーになりたい人のための本

まずは、入門書にオススメの1冊『プロダクトマネージャーになりたい人のための本』です。プロダクトマネージャーに求められるスキルやマインドセットの紹介に始まり、他職種と比較した、プロダクトマネージャーの役割についても解説しています。

プロダクトマネージャーという役割やキャリアが気になったときに、ぜひ読んでみてください。

特に第4章では、プロダクトマネージャーになってから意識すべきことや、よくぶつかる壁が紹介されていますが、これはプロダクトマネージャーとして働き始めた後でも見返してヒントを得られる内容です。

2. 『ユニコーン企業のひみつ ―Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方』

ユニコーン企業のひみつ Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方

続いて紹介するのは、『ユニコーン企業のひみつ ―Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方』という本です。どのようなプロダクト開発組織でも起こり得る問題や、陥りがちなポイント、チームをリードする際の心構えについて、具体的なエピソードを基に紹介されています。

とにかくエピソードが具体的でリアルなので、プロダクトマネージャーとして見える世界を擬似体験することができます。PdMを目指そうと決意したら読んでみるといいでしょう。

UXデザイナーとしてプロダクト開発に詰まったとき、そしてプロダクトマネージャー視点でのソフトウェア開発現場を体験したいとき。思考シミュレーションをしながら、読み進めるのがおすすめです。

3. 『クラウド誕生 セールスフォース・ドットコム物語』

クラウド誕生 セールスフォース・ドットコム物語

ここからは「ビジネス」領域のキャッチアップに参考になる本を2冊。まずはSalesforceの創業者、マーク・ベニオフの全く新しい概念やイノベーションを作り上げる困難や過程が書かれている名書『クラウド誕生 セールスフォース・ドットコム物語』です。

PdMは多岐にわたるスキルや機能連携が必要となります。特にプロダクトに従事されている方には、マーケティングの考え方という面で気付きが多いはず。

SaaSのBtoBマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスといった職種理解や、それらをどのように機能させるか? といったSalesforceの実例を交えたノウハウは必見です。

マーケティング戦略を本質から見直したり、考えたりするときや、PR/メディア戦略を検討するときは手放せません。

4.  『LOVED 市場を形づくり製品を定着に導くプロダクトマーケティング』

LOVED 市場を形づくり製品を定着に導くプロダクトマーケティング

最近では、PdMの領域が広すぎるが故に、主にビジネス領域の責任を担う「プロダクトマーケティングマネージャー(PMM)」に役割を切り出す分業体制も増えてきています。

ここで取り上げる『LOVED 市場を形づくり製品を定着に導くプロダクトマーケティング』は、PdMとしてプロダクトチームとビジネスチームがどうやってシームレスに連携すべきか、その基礎となるプロダクトマーケティングの概念が学べる良書です。

プロダクトマーケティングは、以下の4つの基礎で構成されており、この概念を押さえることで、自社プロダクトの「Go-to-Market戦略」の精度や共通理解の浸透度が変化するでしょう。

  1. アンバサダー:顧客と市場のインサイトをつなぐ
  2. ストラテジスト:プロダクトのGo-to-Marketを方向づける
  3. ストーリーテラー:世界がプロダクトをどう捉えるか形づくる
  4. エバンジェリスト:他者がストーリーを語れるようにする

5. 『正しいものを正しくつくる』

正しいものを正しくつくる

次はプロダクト開発、エンジニアの観点を学ぶためにオススメの本です。界隈では有名な『正しいものを正しくつくる』。

この本では、タイトルの言葉に反して(?)、「プロダクトづくりに正解はない」という前提から始まります。不確実性の高い現代において、どのような姿勢でプロダクトづくりと向き合うべきかを学ぶことができるでしょう。

不確実性の高い状況におけるアジャイル開発の取り組み方や、スクラムの進め方などが紹介されています。プロダクトづくりに向き合う姿勢を見直したいとき、さらにはプロダクトチームがアジャイル開発を取り入れるときには、必ず役に立つはずです。

6. 『ラディカル・プロダクト・シンキング』

ラディカル・プロダクト・シンキング

プロダクトが成長し続けるためにはアジャイルに開発を進めるだけでは不十分で、プロダクトがどこに向かうべきかを示す必要があります。

この『ラディカル・プロダクト・シンキング』では、プロダクトが目指す世界観を示すプロダクトビジョンの立て方、そしてビジョンドリブンにプロダクトを成長させるためのアプローチが紹介されています。

特に印象深かったのは第2章。プロダクト開発の現場が陥りがちな「プロダクト病」について書かれています。

例えば、主にBtoBプロダクトで「あの顧客が機能Aを付け加えれば買ってくれる」とセールスに言われて、短期的な需要に追われてしまう「強迫性セールス障害」。ABテストにとらわれ、測定可能な数値のみに着目し、その数値が本当にインパクトのあるものなのかを考えられていない「数値指標依存症」などが紹介されています。自身のプロダクトがこれらの「病」にかかっていないかを照らし合わせながら読むのもおすすめです。

以上、UXデザイナーが次のキャリアとしてPdMを目指す際に役立つ本を6冊ご紹介しました。プロダクトマネージャーは職域のスキル幅がとても広く、身につけるべきことも多いです。ぜひ参考にしていただき、新たなキャリアを切り開いてください!