多様な経験のシェアでUXデザイナーの学びを深める「教えて!パイセン」の活動
こんにちは!GoodpatchのUXデザイナー若手3人組(児玉、福田、山根)です!
Goodpatchには現在30名ほどのUXデザイナーが在籍しており、専門性によってグループに分かれて日々活動をしています。
今回は2021年の夏から私たちが開催している『教えて!パイセン』という社内向けの取り組みについてご紹介させていただきたいと思います!
この記事は Goodpatch Design Advent Calendar 2021 8日目の記事です。
目次
「教えて!パイセン」とは?
この取り組みは、ひとことで言うと「テーマを中心としたケーススタディの場」です。UXデザイナーが “今気になるテーマ” を設定し、そのテーマに対してメインの相談者とメインの「パイセン」、そしてその他テーマに関心のある人が集まって、ざっくばらんに経験談をシェアしています。
この記事ではこの取り組みの背景と内容、負荷の少ない運営方法についてお伝えできたらと思います!
『教えて!パイセン』を開始した背景と目的
この取り組みの話が持ち上がったのが2021年の6月末。
元々UXデザインチームでは社員同士がカジュアルに悩みを持ち寄る「壁打ち」のカルチャーがありましたが、同時に以下のような想いもありました。
- 特定のプロジェクトに閉じず、デザインに関係するテーマを深掘りして探求できたらいいな
- 誰でもフランクに参加でき、年齢や立場に関係なくそのテーマに関して詳しい人にその経験談などを話してもらいたいな
- 運用負荷を減らして、ポジティブに継続して活動したい
これらの想いから、壁打ち会でもナレッジシェアでもない、「テーマを中心としたケーススタディの場」としての教えて!パイセンのコンセプトができました。
このコンセプトのメリットとして、以下のようなことが挙げられると考えています。
- テーマを中心に据えることで、プロジェクトを問わずテーマに関心のある人が参加でき、多様な視点を取り込める
- 直近の具体的な課題でない、抽象的な相談も場にあげることができる
- 「ナレッジ」でなく「経験」を語る場なのでパイセン側の参加ハードルが下がる
- 体系化する段階で抜け落ちやすい具体的な経験が知れて実践に役立つ
また、「教えて!パイセン」というネーミングも、年齢や立場に関係なくそのテーマに関して知りたい人は相談側に、経験のある人はパイセンとして参加できるフラットな関係性を目指して命名しています。
教えて!パイセンの企画詳細
教えて!パイセンはオンラインで開催しており、グッドパッチが開発するオンラインホワイトボード「Strap(ストラップ)」を活用しています。
具体的な企画の構成は、大きく3つの要素に分かれています。
①テーマはプロダクトマネジメント、チームづくりなど様々
一番大事と言っても過言ではないのがテーマ設定です。
UXデザイナーが「今プロジェクトで困っていること」や「もやもやしていること」「深堀りしてみたいこと」などを定期的にメンバーから募集、集まったテーマの中から運営が選定するという流れでテーマを設定しています。
▼過去に実施したテーマはこちら
・『0→1プロダクト開発のプロダクトマネジメント』
・『リモートでのユーザーテスト、みんなどうやってる?』
・『初めてのキックオフを成功させたい!』etc…
2021年7月から始めて、今までで計13回開催しました!
スピンオフ企画として、『日々のトレンドや情報収集をどうやってる?』といったテーマで開催したこともあります。
当日は、テーマをあげてくれた相談者から「今どんなことに悩んでいるのか・どんなフィードバックが欲しいか」などを共有し、次のディスカッションに向けた目線合わせをしていきます。
②パイセンはPMやエンジニア、UIデザイナーを呼ぶことも!
お呼びするパイセンはUXデザイナーに限りません。決めたテーマに関して経験が豊富そうなパイセンに「ぜひ来て下さい!」とお声かけします。
例えば…
・「リサーチ段階におけるUXデザイナーとUIデザイナーの連携方法」について、リサーチから参加したことがあるUIデザイナーのパイセンをお呼びしたり
・「SaaSの0→1開発におけるプロダクトマネジメント」について、自社プロダクト開発チームのパイセンをお呼びしたり
・「プロダクトのリニューアルは本当にするべきなのか」という問いに対して、デザインストラテジストのパイセンをお呼びし一緒にディスカッションをしたり
・「ユーザーの課題を深堀りするインタビュー分析のやり方」や「リモートでのユーザーストのやり方」について、リサーチの知見が豊富なパイセンをお呼びしたり
「デザイナー」といっても、多様なバックグラウンドや経験をしてきたメンバーがたくさんいるGoodpatchの強みを生かして、メンバーを巻き込んで企画しているのが特徴です。
当日は、相談者の内容を受けて
・過去プロジェクトでの実践例
・ナレッジ(フレームワークや実践方法、思考法など)
などを共有してもらいます。パイセンからのアドバイスから話を膨らませていき、参加者みんなであれこれディスカッションをしていきます。(ファシリテーターの腕の見せ所ですね💪)
話が着地することもあれば、続けて考えていかなきゃだね…となる話題もあります。それでも各自がディスカッションを通して理解や考察を深めていけたら良いなと思っています。
③締めくくりはリフレクション
会の最後には「今日の会を通して学んだこと」「今日の名言」を付箋で出す時間を設けています。
改めて自分の学びを言語化することで、その会で話されたこと・学んだことを自分なりに消化してもらうようにしています。
参加者がテーマに関する考察を深めプロジェクトに活かせる学びを得られるように、このような企画構成で実施しています。
参加者の学びや感想
最後に、「教えて!パイセン」に参加してくれたメンバーの声を紹介します。
プロダクトマネージャーとして実際にやられている方からのお話が聞けるなんて、とっても貴重なお時間でした!日本ってまだまだプロダクトマネージャーっていう役割がそこまで浸透してない気がしていています。(PMと被るからPdMと訳されてしまうぐらい)PMチームに所属していますが、PdMの知識・経験がPMにも必要だなと思っていたので、とっても学びのある時間でした!
『0→1プロダクト開発のプロダクトマネジメント』会より
オンラインユーザーテストは決して新しい手法では無いが、新鮮でないからこそ1人1人の違いが確認できてよかった!何より他の人の実践を聞いて自分がやっていることを相対化して見ることができて安心した!笑
『リモートでのユーザーテスト、みんなどうやってる?』会より
いろいろな先輩方がPJキックオフで心掛けていること、実際に起こったことや対処法を聞くことができて大変勉強になりました。今回学んだことを今後実践していこうと思います。
『初めてのキックオフを成功させたい!』会より
ちなみに参加者の平均満足度は、5点満点で4.6点です!
参加者が何かしら学びを持って帰ってもらえるように、引き続き頑張って運営していきたいと思います💪
負荷を減らした運営体制
ここからは、教えて!パイセンを運営メンバーが意識していることについてご紹介します。社内施策の一環といえど、コンスタントに活動をしていくのはなかなか難しいかと思います。実際、始めた当初は軌道に乗らず苦戦しましたが、以下の3つポイントを意識することで、改善することができました。
意識していることは3つです。
①1人でやるのはやめよう
②コスパよく実施しよう
③運営が一番旨味がある形にしよう
①1人でやるのはやめよう
教えて!パイセンの前身となる壁打ち会は、1人で運営をしていましたが、なかなか手が回らず会を良くする改善施策も打てずにいました。
そこで、運営メンバーを1人から3人体制にすることにしました。
3人体制で運営することのメリットは、
- 誰かが休んでも一人になることはないので、安定して運営できる
- ファシリテーターとその場でメモをする係を分担できるので、より充実した会にできる
- 「3人集まれば文殊の知恵。」であり、改善施策やテーマの幅が広がる
- コンパクトに運営していくには3人が丁度良い人数
- 何より一緒にできるメンバーが居るので、心強く楽しい!
です。安定して運営できるようになったことで、教えて!パイセンを1〜2週に一回という頻度で開催でき社内での認知度向上や、実際のプロジェクトの相談に役立つケースが増えてきました。
②コスパよく実施しよう
よくメンバーで話しているのが「コスパよくやっていこう!」ということです。限られた時間で、頻度高く開催し会の質を上げていくためには、最小の労力で最大の効果を上げることを意識するのが重要です。
意識するだけでは、上手く行かないので仕組みを作ることで実行できるようにしています。
- 振り返りを30分設け、実施した会のKPTを簡易的に行い改善施策を考える
- 改善施策を踏まえ、次回の会の設計を行う
- 会の設計は当日の役割分担と準備すること、当日までの動きをリスト化することで、担当を決めたら自動で動ける体制にする
- テーマのストックをしておくことで、迷わずサクッと決められる
以上を仕組み化したことで、運営負担が少なくなり、会の内容について考えを集中できるようになりました。
③運営が一番旨味がある形にしよう
運営メンバー3人は新卒1〜3年目が1人ずつ入っています。そこで、私達自身が学びたいことや、諸先輩方に教えていただきたいことも学べる機会にしようと考えています。
リモート環境になり普段仕事を一緒にしている社員以外と、なかなかコミュニケーションが取れない状況になりましたが、一度お話を聞いてみたい先輩と話せる機会を作るきっかけにもなっています。
多様な先輩から様々な経験談やナレッジを聞ける場を作ることで、自分自身が勉強になった充実感を得て実際にプロジェクトの質を向上させられることで、運営するモチベーションにつながっています。
仕組み化することも重要ですが、モチベーションを維持することも重要だと感じています。
UXデザインを探求したいメンバーを募集中です
最後にちょっとだけ宣伝させてください。
Goodpatchでは「教えて!パイセン」のように、UXデザインのクオリティを一層向上させるためにさまざまな取り組みをしています。
そんな環境で一緒にUXデザインを探求したいメンバーも随時募集中です!
ぜひお気軽にご連絡ください。
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