朝晩の風に秋の気配を感じ、空の青さがどこか透き通ってくる9月。高くなった空の下で、新しいものに出会いたくなる季節です。そんな時こそ、新しい発見や面白いサービスとの出会いが、ふとした気分転換になってくれます。
それでは今月もグッドパッチで話題になったサービスやトレンドを紹介します!
AI
「使いに行く」から「いつのまにか使っている」へ。Apple、初の折りたたみiPhone「iPhone Duo」を発表

2026年9月9日、Appleは初の折りたたみ型iPhone「iPhone Duo」を発表しました。開いた状態では7.6インチのインナーディスプレイ、閉じた状態では5.4インチのアウターディスプレイを搭載し、どちらも同じアスペクト比を採用することで、開閉時の視覚的な連続性を確保しています。iOS 27はiPhone Duo専用に再設計されており、Split Viewによる2アプリの並列表示、折りたたみ状態に応じたコンテンツの自動追従などの新しいインタラクションが実装されています。また、次世代のSiri AIがApple Intelligenceと連動し、ユーザーのパーソナルコンテクストを踏まえた自然な会話・文章生成・画面に映っているものをSiriが認識する機能を備えています。
今回の発表で印象的だったのは、ハードウェアの革新よりも「AIをどう日常に織り込むか」という設計の変化です。Apple Intelligenceと連動した新しいSiriは、より自然な会話が可能になり、メッセージや写真、メールといったパーソナルコンテクストと組み合わせることで、ユーザーが本当に必要な場面で自然に使えるよう動線が設計されています。たとえばアプリを開きながら画面の反対側でSiriに話しかけたり、見ているものをそのままSiriが認識してアクションを提案したりと、「使いに行く」のではなく「いつのまにか使っている」体験です。AIが「使うツール」から「そこにいる存在」へと変わるとき、私たちが問い直すべきは、その存在をどう自然に日常の中に溶け込ませるか、ということかもしれません。
サービス・プロダクト
Dyson「CameraJet」、カメラとAIで歯のすき間を見つけて洗う初の電動歯ブラシ

2026年9月1日、Dysonは初めての電動歯ブラシ「Dyson CameraJet」を発表しました。小さなカメラとAI、そして細い水の噴射を組み合わせ、歯と歯のすき間に残った汚れ(歯垢)を狙って落とす歯ブラシです。
CameraJetのブラシの先には小さなカメラがついていて、磨いている間、AIがカメラの映像を見ながら歯と歯のすき間を自動で見つけます。すき間を見つけると、すぐに水を噴射して汚れを洗い流す仕組みです。噴射する水は、細い一本の線ではなく、広がる形で当たるように作られており、汚れを落としつつ、歯ぐきや歯の表面への負担をおさえる狙いがあります。
このAIには、あらかじめ47万枚もの歯の画像を学習させることで、すき間を見分けられるようにしています。開発には6年を要し、シンガポール国立大学の歯学部とも5年間にわたって共同研究が進められました。カメラとAIを歯ブラシに組み込んだ、これまでにない製品です。
興味深いのは、AIが組み込まれた対象が「歯ブラシ」だった点です。毎日手に取る日用品にまでAIが組み込まれ始めたことは、身の回りの物理プロダクトが少しずつ変化していく時代の先駆けと言えそうです。こうした技術が暮らしの中に増えていくことで、日々の道具がどう変わっていくのか、可能性を感じました。
リアル店舗とアプリを滑らかに繋ぐ。ロフトアプリに見るリテールCX

株式会社ロフトが、顧客体験の拡張とロイヤルティの強化を目的に、公式アプリ「ロフトアプリ」の全面リニューアルと新サービス「ロフトプラスプログラム」を発表しました。
今回の刷新では、購入実績にとどまらず、店舗チェックインや商品レビューの投稿など、日常の多様な行動を評価する多角的なロイヤルティシステムへ進化。さらに、購入額に応じた会員ステージ制度や、人気クリエイターとコラボした「選べるデザイン会員証」の導入など、ユーザーの愛着と所有欲を刺激する工夫がデジタルUIに組み込まれています。
店舗のリアルタイムな在庫確認やメディアコンテンツの配信、ネットストアとのノンストレスな連携まで、店舗とオンラインを往復する購買体験をスムーズに統合した点も大きな特徴です。こうした設計の随所に、ロフトがユーザーとどんな関係を築きたいかが見えてきます。
今回のリニューアルで印象的な点は、「買った」という結果だけでなく、店舗チェックインや商品レビュー、キャンペーンなどの行動によってもポイントが貯まる、つまり「来た」「見た」「伝えた」という行動すべてをロイヤルティとして評価しようとしている点です。ポイントを貯めるためにアプリを開くのではなく、ロフトとの関わりそのものが積み重なっていく設計は、単なる購買促進を超えて、ブランドとユーザーの関係性をどう育てるかという問いに向き合っているように見えます。リアルな店舗体験とデジタルの接点を、どう一つの体験としてつなぐか。ロフトアプリのリニューアルは、その答えの一つを見せてくれているように思います。
リアルとデジタルが滑らかに調和した新しいリテールCXの可能性を、手元のアプリで確かめてみてはいかがでしょうか。
ビジネス
つなぐのではなく、揃える。ブランドとマーケティングを一体で支援する専門チーム

グッドパッチ、ブランド戦略からマーケティング実務までを一貫して支援する専門チーム「Goodpatch BMX」を発足
ブランド戦略とマーケティング施策では、見ている時間軸も評価の指標も異なるため、社内で連携しようとすると意見がぶつかることも少なくありません。そこで、第三者の立場から双方の考えを整理し、共通の判断軸をつくる支援の需要が高まっています。9月、グッドパッチにも専門チーム「Goodpatch BMX(Brand Marketing Transformation)」が発足しました。
ブランドとマーケティング、それぞれの専門性を持つメンバーが一つのチームとなり、両者の視点を行き来しながら最適な解を導き出します。
ブランド側には「何で測るのか」「どの時間軸で成果を見るのか」という問いに、複数の測り方を示します。浸透度調査だけでなく、掲げた理念に沿った社内の会話や行動の変化から捉える方法もあります。マーケティング側には、顧客起点のデザイン思考を持ち込み、中長期のブランド価値まで含めて施策を考える視点を渡します。
単に二つをつなぐのではなく、それぞれの専門性を尊重しながら時間軸と評価軸を揃え、組織として一つの意思決定ができる状態をつくる。両者の間に立つ役割は、これから多くの企業で必要になりそうです。
イベント
地域とパン好きが交差する2日間、「世田谷パン祭り2026」開催

パンの祭典『世田谷パン祭り2026』、2026年10月31日(土)、11月1日(日)開催決定
2026年10月31日(土)・11月1日(日)の2日間、世田谷公園やHOME/WORK VILLAGEなどを会場に「世田谷パン祭り2026」が開催されます。16回目を迎える今年のテーマは「DANCE with bread」。パンとの出会いをきっかけに心が弾み、人が動き、街全体が動き出すといった想いが込められているそうです。
過去にこのお祭りを訪れたことがありますが、魅力は、普段はなかなか足を運べない全国各地の名店やこだわりのつくり手たちと、直接この場で出会えることだと思います。パンだけでなく、ジャムやスプレッドといった「パンのおとも」、パンモチーフの雑貨、厳選素材のフードやドリンク、パンと合わせて楽しめるお酒まで並び、会場を歩いているだけで新しい発見の連続でした。買っては食べて、また次のブースへ向かい、気に入った一品を持ち帰る、その一連の体験そのものが、このお祭りの醍醐味だと感じています。
昨年は2日間でのべ253店舗が出店し、約6万人が来場するイベントへと成長しました。ひとつの食を軸にこれだけ多様なつくり手と来場者が集まり、地域全体の熱量へと変わっていく様子は、コミュニティやまちづくりにおける理想的な空間づくりのひとつのかたちと言えるでしょう。
ナラティブアート専門の美術館がLAに開館——ジョージ・ルーカスが集めた4万点のコレクションを所蔵

MAD Architects’ Lucas Museum of Narrative Art Opens to the Public in Los Angeles
漫画やイラスト、映画のポスターも「美術館に飾られるべき芸術だ」と思ったことはありますか?洞窟壁画からコミック、マンガ、映画まで「物語を伝える芸術=ナラティブアート」を専門とする美術館が、9月22日にロサンゼルスで開館します。設立者の映画監督のジョージ・ルーカスが50年かけて集めた4万点超のコレクションが一堂に並ぶ、これまでにないジャンルの美術館です。
建物を手がけたのは中国出身の建築家・馬岩松が率いるMAD Architectsです。地面から浮いたように見える有機的な曲線の外観が特徴で、1,271枚の異なる形状のパネルで覆われた外壁は、まるで宇宙から降り立った生き物のようです。内部には約9,300㎡のギャラリーに加え、2つのシアター、図書館、レストランなども備えています。
「物語を伝える」というコンセプトを軸に、コレクションと空間が一体となって設計されているのがこの美術館の面白さです。コンテンツと建築がどう絡み合い、体験をつくるのか——インテリアやデザインに関心のある方にとっても示唆に富む事例だと思います。ロサンゼルスに行く機会があれば、ぜひ自分の目で確かめてみてください。
「虎ノ門広告祭2026」、チケット販売開始

2026年10月9日(金)から17日(土)までの9日間開催される「虎ノ門広告祭2026」のチケット販売がはじまりました。会場は、虎ノ門ヒルズ内の複合施設「TOKYO NODE」です。
同イベントは、業界・世代・所属を超えたクリエイターが集う、日本最大規模をうたう広告クリエイティブフェスティバルです。2025年に初開催され、多くの来場者を集めたことを受けて、2年目となる今年は会期を拡大しての開催となります。広告業界の第一線で活躍するクリエイターに加え、業界外からも幅広い顔ぶれが登壇する予定です。
このイベントで注目したいのが、コンテンツの充実に加えて、その体験のつくりかたです。会場はTOKYO NODE HALLでのトークセッション、GALLERY A/B/Cでの展示・ミニシアター・ワークショップ、ARRIVAL HALLのラウンジ、SKY GARDEN & POOLでのパーティーと、複数のエリアで異なる性質のコンテンツが展開されます。話を「聞く」、作品に「触れる」、人と「話す」、そして「祝う」。それぞれ熱量の異なる体験が場所ごとに用意されており、来場者は会場を移動しながら段階的に異なる関わり方を経験できる構成になっているとも見て取れます。
チケットには早割・ヤング割(U30)・学割も用意され、昨年は来場者の多くを20〜30代が占めました。こうした価格設計も、結果として世代や所属の異なる人々が集まりやすい状況をつくっている一因かもしれません。
情報がいくらでも手に入る時代に、あえて同じ場所・同じ時間に人を集める。虎ノ門広告祭は、情報を届けることだけでなく、体験を共有する場そのものにも価値を置いたイベントと言えそうです。
メンバー募集のお知らせ
今月の「まとめ」はいかがでしたか?新しい出来事やリリースが盛りだくさんでした。この記事は、グッドパッチの2026年入社の新卒メンバーで共同執筆しています。グッドパッチのものづくりの環境が気になった方は、ぜひ採用ページも合わせてご覧ください!
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