メンバーインタビュー

プロジェクトマネージャーはビジネス・デザイン・開発を接続する「翻訳者」たれ──SIer出身の2人が考える、グッドパッチのPjMの役割【Design Cats in Goodpatch_Vol.04】

UIデザイナー、UXデザイナー、エンジニア、デザインストラテジスト──グッドパッチのクライアントワークでは、さまざまな専門性を持ったデザイナーがチームとなって協力し、顧客の課題を解決していきます。

時に手分けして、時に膝を突き合わせて。デザイナー同士がどのようにコラボレーションをして仕事を進めているのか、「Design Cats in Goodpatch」と題し、インタビューを通じてそのリアルに迫っていきます。

第4回のテーマは「プロジェクトマネージャー(PjM)」。グッドパッチでは規模が大きい案件や開発が関わる案件でアサインされることが多いプロジェクトマネージャーですが、その仕事ぶりが表に出ることは多くはありません。

今回はプロジェクトマネージャーが現場のデザイナーとどう協働をするのか、一緒にプロジェクトを進めたPjMの永田とサービスデザイナーの高階に聞いてみました。

グッドパッチのPjMは監督じゃないんですよね。サッカーで言うなら、同じピッチに立つチームメイトなんです

ともにSIerに勤めていた経験がある2人。共鳴する部分もありながら、グッドパッチのクライアントワークならではのプロジェクトマネジメント像に話は発展していきます。

Cats(キャッツ)とは、ジャズを愛するミュージシャンへの愛称として使われるスラング。偶発性を楽しみながら、共にプロジェクトに向き合う様子を感じてもらえれば幸いです。

全体俯瞰に長けた2人 PjMとUXデザイナーはプロジェクトでどうタッグを組むのか?

──永田さんと高階さんはともに2021年入社で、初めてのプロジェクトが同じだったんですよね。

永田:
そうですね。大手金融企業が法人営業の際に利用するソリューションを新規で開発するプロジェクトでしたね。前任のPjMから引き継いで参加した案件でした。

高階:
UIデザイナーやUXデザイナーもいたし、PjMもいたし、ブランディング領域のデザイナーも参加していて、開発チームとの接続もある、いわば「全部盛り」みたいな巨大なプロジェクトでしたね。印象的だったのでよく覚えてますよ。懐かしいですね。

──こういった巨大なプロジェクトだと、PjMはどのような役割、というか立ち回りをすることになるのでしょう。

永田:
どの案件でもそうなんですが、まずはプロジェクト全体を俯瞰して見るところから始まります。プロジェクトの進行管理という役割は当然ありますが、特に自分が担うべき役割を探すことが多いです。

そのプロジェクトでも自チームの様子とクライアントの様子を見て、プロジェクトの状態をどう思っているのか、足りない部分はどこにあるのかを考えていました。結果として、このプロジェクトでは、PjMとしてデザインと開発との接続を主に担当することにしました。

──そこが永田さんが「足りない部分」だと考えたということですか?

永田:
グッドパッチ側のメンバーにパワフルなデザイナーがそろっていて、先方のビジネス部門も物事をグイグイ進める力がある方ばかり。ただ、一方で開発会社やソリューションを運用する方たちはプロジェクトの流れをキャッチアップしにくいこともあり、不安を抱えているなと思ったんです。

開発の立場からすれば、作る要件と機能の仕様を早く教えてほしい。でも、グッドパッチのデザインプロセスはもっと上流から話し合いを重ねていきます。議論の中で仕様が覆ることも少なくないのですが、言われる側からすれば不安になりますよね。「御社のデザインプロセスを説明してください」と言われたことも度々あります。そこで、デザイナーたちがどういう意思決定をして、今何をしているのかを、開発側に説明し、すり合わせる役割を担いました。

高階:
僕はUXデザイナーとして、体験設計から要件定義まで幅広く担当していました。それを開発会社の方たちに説明する場もあったんですが、永田さんが事前に関係性の土壌を作ってくれていたから、一度の説明で納得してもらえたんだと思います。その後のアフターケアもしてくれていたので、スムーズに進められました。

永田:
プロジェクトに参加していたデザイナーは、開発側のことを気にしながらでも、デザインを進めることもできたかもしれません。ただ、タスク量としても心理的にも負荷は高いですし、できるだけデザインに集中してほしいと思っていました。

──開発側との調整を担う一方で、PjMとしてデザイナー側にも関わっていたんですか?

永田:
グッドパッチで初めてのプロジェクトだったこともあり、デザイナーとの関わり方は最初は探り探りのところもあって、デザイン実務の深いところも全部把握しなきゃいけないのかなと思っていた時期もありました。

でも、デザイン実務はデザイナーを信頼して任せた方が絶対に良い、と確信できてからは、チームのみんながタスクを漏れなく進められているか確認したり、「こうしたらどうかな?」「ここは客観的に聞いて疑問に思うかも」「あの人があのときこう言っていたけど考慮できていますかね?」といった、プロジェクト内でのデザインの合意形成のために必要だと思うことを一緒に相談するスタイルになりました。

クライアントでもなく、デザイナーでもなく、良い意味で客観的な立場で隙間を埋める感じの動き方でしょうか。 そういう意味では、デザインについて主観っぽい意見もたくさん出したと思いますが、みんなちゃんと聞いてくれました(笑)。

高階:
僕たちデザイナーからすると“落ちそうなボールを拾う”ような動きだと思っていて。開発側にも、UXデザイナー側にもまんべんなく目を配って、必要なときにちょうどいいタイミングで助言してくれるんです。上から指示するような形ではなく、とても安心感があってありがたかったです。

Goodpatch サービスデザイナー 高階

Goodpatch サービスデザイナー 高階

──信頼関係の下で、背中を預け合っているような感覚ですかね。

永田:
大きなプロジェクトになれば、一人がすべてを細かく把握して管理するというのはまず無理ですから。チームでできるだけ分担した方がいいですよね。その点、信頼できるデザイナーがいるというのは心強いです。任せておけば大丈夫、というか、自分が細かい口出しをするより絶対いい結果になると分かってますからね。せっかくグッドパッチにいるんだから、自分のキャパの範囲にプロジェクトメンバー全員を収めようとしても、いいことないですから。

逆にプロジェクトの後半で開発側にボールを渡す部分は、自分がリードしてやらないといけないところだと思ってたので、そこは主体的にグイッと進めていきました。

高階:
グッドパッチの場合、「PjMがチームに指示を出す」といった上下の関係ではなく、同じゴールを目指すメンバーであり横並びの関係なんですよね。サッカーに例えると監督のような形でフィールドの外から全体を仕切るのではなく、同じピッチの上に立っているという感じ。

メンバーそれぞれの強みや主体性を信頼して、必要なときに手を貸す。細かいことまで全部抱え込もうとはしないから、逆に拾うべき隙間やチームの迷いにいち早く気付けるというか。“自分たちでやること”と“PjMに頼っていいこと”の線引きを対話しながら見極めていける。それが安心感やスムーズなプロジェクト運営につながっているのかなと。

永田:
横並びなんだけど、全体を俯瞰しているというよく分からないポジションですよね(笑)。サッカーで例えるなら、ボランチみたいな感じですかね。チームの状態や試合の状況に応じて、攻めの起点も作るし、状況によってはディフェンスにも回ることもありますし。

Goodpatch プロジェクトマネージャー 永田

Goodpatch プロジェクトマネージャー 永田

グッドパッチのPjMは、ビジネスとデザイン、そして開発をつなぐ「翻訳者」

──今、グッドパッチのPjMにおける特徴の話になりましたが、お二人ともSIerでのPjM経験があるんですよね。グッドパッチとSIerのPjMはどんなところに違いがあると考えていますか?

永田:
SIerは本当に大規模で難度の高い案件を、決められた納期・品質で絶対にリリースするための仕組みやマネジメントが求められる場所です。それだけ責任も大きいし、堅実に進める手法が磨かれていると思います。

一方グッドパッチでは、もっと「本当にユーザーやクライアントにとって良いものは何か」を突き詰めて、さまざまな提案を行いながら、プロジェクトの枠組みそのものを柔軟に広げたり、深堀りしたりすることが多いですね。どちらが優れているということではなく、扱う案件や立場が違うから進め方が変わるという話です。僕自身、そういったSIerのチームと一緒に現場で積んだ経験も大切にしていますし、それが生きる場面も多いです。

高階:
どちらの経験もあるからこそ、ステークホルダーの皆とうまくコミュニケーションが取れるんじゃないですかね。

永田:
ビジネスとデザインと開発、それぞれの領域を一通り経験していると言うのもありますし、気持ちは分かる気がします。SIer的な厳格で確実な進め方と、グッドパッチのようなデザインドリブンというか「探索型」の進め方、両方を経験できているというのは、プロジェクトを進める上で助けになっていますね。

クライアントの事情も分かるし、プロジェクトメンバーが抱えているモヤモヤや「こうしたい」という気持ちにも共感できる。両方の視点で考えられることが、グッドパッチでPjMをやる上での強みになっていると思います。高階さんも似たところがあるとは思いますが(笑)。

高階:
永田さんのプロジェクトでの立ち回りは「翻訳者」みたいな存在だと感じています。開発と事業部門、あるいは複数の価値観や立場の間に立って、情報や課題、温度感をつないでいく。各者に対してリスペクトがあるので、0か1ではなく、相手の立場に寄り添ったコミュニケーションを大切にされているイメージです。

──「翻訳」っていい言葉ですね。デザイナーならではの探索的なプロジェクトの進め方を知ったことで変わったことはありますか?

永田:
正直に言うと、以前はタイミングにもよりますが、サービスやプロダクトを「もっとこうしたい、より良くしたい」と声を上げることに少しハードルの高さを感じていた気がします。手を抜いていたとか、そういう話ではなく、巨大なプロジェクトを安全に着地させることに翻弄されていた感じですね。

グッドパッチに来てからは、ルールや進め方も柔軟ですし、メンバーそれぞれが「より良いサービスにするためには?」という視点で意見を出し合えるのが新鮮でした。PjMも、ただ計画を守るだけでなくチームの一員として「こうしたい」「こうあるべきでは」と自然に話せる文化があるんです。その変化は、自分にとってとても影響が大きかったと思います。

高階:
その気持ちはよく分かります。僕もSIerでは「今あるものをより良くしよう」と言うのはちょっとためらわれることもありました。周囲のメンバーも「まずは決められたタスクをきっちりこなす」ことが大事という雰囲気があり、自分だけ声を上げても「なんでそんなことを考えるんだろう?」と思われることもあったので。

でもグッドパッチは、チーム全員が「サービスや体験をもっと良くしたい」と思うことが自然に受け入れられる。そういうマインドが当たり前なので、「細かな改善アイデアでも言ってみよう」「より良くするためなら積極的に動こう」という意識になれます。その前提がそろっているのが、一番大きな違いだと感じています。

大変だけど、これこそがPjMの醍醐味だ──スコープが広がっていくプロジェクトへの向き合い方

──グッドパッチでは「プロジェクトの枠組みそのものを柔軟に広げたり、深堀りしたりする」というお話しでしたが、PjMという立場からすると、途中でスコープが広がっていくのはかなり負荷が高いように思うんですが、実際のところどうなんですか?

永田:
もちろん大変ですけど、プロジェクトの面白いところの1つなのは間違いないですね。例えば、最初は単なる機能追加の依頼だったはずが、議論を重ねていく中で「この体験自体を見直せないか?」とか「もっと別のユーザーにも価値を届けられないか?」と自然にアイデアが膨らむことがあるんです。スコープを広げるべきかどうかはもちろんチームでしっかり議論しますが、「広げられるなら、やってみるか」という気持ちは持っています。デザイナーのみんなも「本質的なことをやりたい」という気持ちが強いですし。

高階:
確かにそうですよね。案件が広がりそうな予兆があるときは、必ず永田さんを呼ぶようにしていました。「作戦会議だ!」っていう感じで(笑)。

永田:
黙って見ているだけだと、依頼された部分だけでプロジェクトは終わってしまいます。だから、新しい可能性を見つけてどんどん広げてくれる人がいるというのは、とても頼もしいことです。

私はどちらかというと計画やリリースに向けてプロジェクトをきちんとまとめあげる──いわば、着地させる役割が好きなのですが、スコープを広げてくれるメンバーがいると、その拡張した範囲をどう実現していくかを一緒に考えて着地させる工程自体が楽しいですね。要件が増えたり、新しい機能の議論が始まったりしたとき、「この範囲までやってみよう」「本当にインパクトがあるのはどこか」といった具体的な落とし所を探るのが、個人的には醍醐味だと思ってます。

高階:
「このタイミングでアプローチできそう」「こう整理して進めていこうか」「先方の誰に相談するといいよね」みたいな話にきちんと落としてくれる。現場のデザイナーの中で盛り上がっているアイデアを、大人な話として着地させてくれるのがありがたいです、本当に。

プロジェクトのスコープが広がっていく過程を前向きに楽しめるかどうかって、グッドパッチにおいてはすごく大事ですよね。デザインプロセスって、新しい課題とかがパッと現れることも多いですし(笑)。その影響を一番受けるのってPjMだと思うんですよ。

永田:
そうですね。プロジェクトの途中で想定外の課題が出てきたり、「この工程、こういうやり方に変えた方がいいんじゃないか?」という気付きが生まれて、プロセスやアプローチが変わることも珍しくないです。

「この段階でこの成果物をしっかり作ろう」というポイントだけ認識を合わせた上で、そこに至るやり方や工夫はむしろデザイナーやチームのみんなが一番やりやすい形で進める。そうすればみんなが柔軟に動けるし、一人ひとりのクリエイティビティも発揮されると思います。

高階:
前職でもPjMが話をまとめたり、調整役に徹する場面はよくありましたが、グッドパッチでは「みんなでどうやって進めていくか」「変化するプロジェクトの中で何が今一番大事か」を対話しながら決めていく。だからこそ、プロジェクトでは、PjMも含めてそれぞれのプレイヤーが主体的に動く必要があると感じています。

PjMの仕事に「デザイン」を当てはめて考えてみたことがあるか

──これまでの話を踏まえると、グッドパッチのPjMはどんな人が向いていると思いますか?

永田:
先ほども触れましたが、ウォーターフォールのような堅実な進め方と、デザインプロセスのような探索的な進め方と両方を知っているといいですよね。不確実性の高いプロジェクトを進める上で使える技は多い方がいいです。

それと、よく話すのですが、「デザイナーと一緒にいいものを作りたい」という気持ちは大事ですよね。デザインに“興味がある”だけでなく、何でも良いので実践したことがあるとなお良いです。仮にチームで実践できる場がなかったとしても、自分でコントロールできる範囲でデザインプロセスを試してみた、考えてみた、みたいなことでもいいと思います。

私も入社以前から、グッドパッチのBlogを読んで、「UI/UXデザイン」とは言わなくても自分のプロジェクトで試してみたりしていました。高階さんもそういうことありました?

高階:
ありましたね。コンサルティングのプロジェクトで、この工程でもうちょっとユーザーインタビューをして、分析をして、得られたインサイトを業務プロセスに反映して、要件定義に落としたら──とか。ウォーターフォール型の開発は変えられないけど、上流部分で何かできるんじゃないかとか。そういうことを妄想したり、できる範囲で実践したりしてました。

永田:
面白い!今度PjMの採用面接のときに「これまで経験したプロジェクトで、デザインを使って、どういった改善ができると考えていましたか?」みたいなことを候補者の方々とも話してみたいと思いました。

高階:
いいですね、それ。自分が入社するときの面接でも似た質問があって大変だったことを思い出しました(笑)。ケース問題みたいな感じで。

──翻訳者だったり、サッカーのボランチだったり、グッドパッチのPjMを知るためのキーワードがいろいろと出てきて面白かったです。今日はありがとうございました。

永田:
本当にいろいろなクライアントと幅広いデザインテーマで仕事ができますし、途中でスコープが広がるなど、プロジェクト自体が進化していくこともあります。変化が多い環境ですが、その分、学びや成長の機会も多いです。デザインへの興味やデザイナーへのリスペクトがあれば、チームメンバーともうまく連携できると思います。そういう方がいれば、ぜひグッドパッチで一緒に働きたいと思っています!

関連記事

Design Cats in Goodpatchではデザイナー同士がどのようにコラボレーションをして仕事を進めているのかを知ることができます。ぜひ、併せてご覧ください。

We are hiring. 採用情報を詳しくみる