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数字を武器にする──データで事業を前進させる分析と設計思考【ウェビナーレポート】

「現場でのデータ分析」をなんとなく進めていませんか。ツールはそろっているのに、指標選びやデータ分析の進め方に迷ってレポートを作って終わり、そんな状態に心当たりはないでしょうか。

グッドパッチは2025年10月にウェビナー「数字を武器にする──データで事業を前進させる分析と設計思考」を開催しました。

この記事ではウェビナーでお話しした「現場のデータ分析で起きること・悩み」「現場のデータ分析における失敗事例」「定性データと定量データの各特徴」「データドリブンな組織作りに必要なアウトプット設計3選」など、データ活用情報をまとめてご紹介いたします。

仮説思考のコツ、KPI設計、定性・定量の生かし方、そして組織文化としての定着までまとめています。「なんとなくの分析」から卒業し、データを意思決定の武器に変えるヒントをぜひ本記事で得てください。

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なぜ、デザイン会社のグッドパッチがデータを扱うのか?

なぜ、デザイン会社のグッドパッチがデータを扱うのか?
引用:数字を武器にする『データで事業を前進させる分析と設計思考』(以下同)

グッドパッチにとって「デザイン」とは、ユーザーの課題を見つけ出し、解決へ導くための戦略的なプロセスです。そのプロセスにおいて欠かせないのが、データの活用です。私たちの考えるデザインは、見た目の装飾にとどまるものではありません。

例えば、「ユーザーの声や行動の背景を読み解く定性データ」と、「意思決定に確かな根拠を与える定量データ」を組み合わせることで、感覚に頼らない再現性のあるデザインが実現できます。

グッドパッチでは、「人を深く理解する視点」と「数字による裏付け」を掛け合わせることで、デザインによってビジネス成果を創出しています。だからこそ、私たちはデータ分析に強くこだわっているのです。

業務現場で起きがちなデータ分析の課題と悩み

業務現場で起きがちなデータ分析の課題と悩み
引用:数字を武器にする『データで事業を前進させる分析と設計思考』(以下同)

今ではほとんどのビジネス現場でデータ分析に取り組んでいると思いますが、さまざまな理由があってうまく進まないことがほとんど。まずは「現場のデータ分析で起きること・悩み」を3つご紹介します。実際に皆さんの現場で起こっている悩みをイメージしながら読み進めると「自分ごと化」しやすいはずです。

データ分析を「何からどう始めれば良いか」が分からない

よくある悩みや失敗の1つ目は「データ分析を何からどう始めれば良いかが分からない」です。

GA4(グーグルアナリティクス4)やBIツールなどデータの基盤は整っているのに、「どの指標から見れば良いのか」「どの順番で分析すれば良いのか」が分からない。このような状態は、多くの場合「仮説が立っていない」ことが原因です。

仮説(=問い)があれば、分析の焦点が定まり、必要なデータも自然に絞られます。例えば、「チャーン率が高いのは初期設定が完了していないことが原因ではないか?」という仮説を立てた場合、見るべき指標は「初期設定完了率」と「チャーン率」の相関に限定できます。

つまり、最初のステップは「何を明らかにしたいのか」を定義すること。これがデータ分析の無駄を防ぐ最も効果的な方法といえます。

データ分析したいが忙しいため、時間が確保できない

2つ目のよくある悩みは、「忙しくて分析の時間が確保できない」というものです。

このような場合は、アウトカム(=成果)から逆算して考えることがポイントです。まず「次の会議で何を判断したいのか」を明確にし、それに必要な最小限のデータのみを分析対象とすると良いでしょう。

最初から完璧を目指す必要はありません。暫定的な目標を仮置きし、運用の中で調整していくアプローチが現実的です。時間をかけるより「サイクルを回す」ことが「データドリブンな働き方」への第一歩となります。

データ分析は「現場の人間に任せて」おけば何とかなるはず

最後は「データ分析は業務担当者に任せておけば何とかなると思い込む」です。

「分析はアナリストやデータサイエンティストの仕事」と考え、専門家任せにしてしまうケースもよくあります。しかし実際には、依頼者(事業側)と実行者(分析側)で「求めるもの」の解釈がズレていることは少なくありません。

データ分析を依頼する際は下記3点を必ず共有しましょう。

1:明確な問い(何を明らかにしたいのか)
2:意思決定(その分析で何を判断したいのか)
3:想定アウトプット(グラフ・表などの完成イメージ)

上記内容を共有せず、「とりあえず分析してほしい」と丸投げすると、意思決定に役立たないレポートばかりが量産される結果になりかねないので注意が必要です。

業務現場のデータ分析における失敗事例

業務現場のデータ分析における失敗事例
引用:数字を武器にする『データで事業を前進させる分析と設計思考』(以下同)

次に、「現場のデータ分析における失敗事例」を3つご紹介します。

データ分析を万能視してしまう

1つ目の失敗事例は「データ分析を万能視してしまう」ことです。「データを渡せば、何かしらの答えが自動的に得られる」と考えてしまうケースは、多くの現場で見られる失敗パターンです。

データは万能ではなく、「問いや仮説が明確に存在しないデータ分析」では、方向性が定まらず、結果として「何を決めるためのデータなのか」が分からなくなります。データ分析は「魔法」ではありません。あくまで「問いを検証するための手段」として扱うべきものです。

データ分析の目的を見失っている

2つ目の失敗事例は、「データ分析の目的を見失ってしまう」ことです。「売上が上がった理由を知りたい」「下がった原因を特定したい」といった漠然とした要望だけでは、分析の目的としては不十分です。

本当に重要なのは、「その分析結果を使って何を判断したいのか」を明確にすることです。例えば、年末商戦で売上が伸びた場合、それが一時的なキャンペーン効果なのか、持続的なトレンドなのかを見極める必要があります。その上で、「次の施策の準備判断」に生かすという目的があれば、分析は意思決定の強力な武器となります。

データ分析についてチーム間で共通認識が取れていない

3つ目の失敗事例は、「チーム間でデータ分析に対する共通認識が取れていない」ことです。事業責任者・経営層・データ担当者の間で、「データ」という言葉の定義や捉え方がズレていると、求められる成果と実際のアウトプットが一致しないという問題が発生します。

例えば、経営層が求めているのは「事業成果」に関する判断材料である一方、アナリストは「個別指標の変動」に注目してしまい、結果としてレポートが意思決定に生かされないという事態になりかねません。KPIは単なる数字の羅列ではなく、「関係者全員が合意した成果物」であるべきです。

\理解を深めたい方は解説動画をご覧ください/
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定性データと定量データの各特徴について整理

定性データと定量データの各特徴について整理
引用:数字を武器にする『データで事業を前進させる分析と設計思考』(以下同)

データ分析を進める上での前提として、まず「定性データ」と「定量データ」の違いを正しく理解しておくことが重要です。

定性データは、ユーザーインタビューやアンケートの自由記述など、人の言葉や観察によって得られる非数値の情報です。意図や感情の背景を深く読み取ることができますが、再現性が低く、主観が入りやすいという特性があります。

一方、定量データはアクセス解析、売上、NPSなど、数値で表せる情報を指します。客観性が高く、傾向や相関を明確に示せる一方で、背景を知らずに数値だけ見てしまうと誤った解釈を導くリスクもあります。

定性データと定量データは対立するものではなく、相互に補完し合う関係です。定性データで仮説を立て、定量データで検証し、再び定性データで解釈する、このサイクルが最も効果的なアプローチです。

ビジネスの成長フェーズにおける定性・定量データの活用方法

ビジネスの成長フェーズにおける定性・定量データの活用方法

ビジネスの成長段階に応じて、活用すべきデータの種類やその比重は大きく変わってきます。

立ち上げ期(CPF/PSF)では、定性データ分析が中心となる傾向が見られます。ユーザーインタビューや観察を通じて課題の本質を見抜き、「バーニングニーズ(切実なニーズ)」を特定します。

プロダクトが形になり始める段階(SPF/PMF)では、定性データと定量データをバランスよく活用することが求められます。プロトタイプを使ったユーザーテストや実際の行動データを通じて、プロダクトの価値やユーザビリティを検証します。

グロース段階(GTM以降)では、定量データ分析が中心となります。CAC(顧客獲得コスト)やLTV(顧客生涯価値)、コンバージョン率、リテンションなどの指標をもとに、施策ごとのROI(投資対効果)を評価していきます。なお、定量データに加えて、営業やマーケティング部門で得られる定性情報を補完的に活用し、改善仮説の立案にもつなげます。

また、ビジネスの上流・中流・下流といった各工程でも、扱うべきデータの種類は異なります。この点については、ウェビナー内でより詳しく紹介していますので、興味のある方は下記リンクよりアーカイブ動画をご覧ください。

数字を武器にする『データで事業を前進させる分析と設計思考』のアーカイブ動画を視聴する

意思決定につながるアウトプット設計

意思決定につながるアウトプット設計
引用:数字を武器にする『データで事業を前進させる分析と設計思考』(以下同)

データ活用の最終目的は、現場や経営の意思決定を支えることにあります。単にレポートを作成するだけで終わらせず、「判断につながるアウトプット」へと落とし込む視点が求められます。ここでは、組織が継続的に成果を生み出すために必要な、実践的かつ再現性の高いアウトプット設計の考え方を紹介します。

事業のメトリクスを設計する

事業のメトリクスを設計する

意思決定につながるアウトプットを設計するための第一歩は、事業全体で共有できるメトリクス(指標)体系を整えることです。まず、組織の方向性を示すノーススターメトリクス(North Star Metric)を定め、それを軸にして KGI(重要目標達成指標)→ KPI(重要業績評価指標)→ サブKPI へと細分化し、ツリー構造で整理します。

ここで定めたノーススターメトリクスは、「完成形」ではなく「出発点」と捉えましょう。事業の成長や市場環境の変化に応じて、柔軟に見直しを加えることが重要です。

また、KPIを部門単位でバラバラに設計するのではなく、事業全体で共通する指標体系として構築することで、セクショナリズムを防ぎ、チーム全体の一体感を高めることができます。

データ分析の目的を適切に設計する

データ分析の目的を適切に設計する

データ分析を依頼する際は、「何を判断したいのか」という意思決定の目的を適切に設計することが大切です。データ活用が意思決定につながるかどうかは、「何のために分析を行うのか」という目的設計の質にかかっています。

売上の増減の理由を探るだけではなく、そのデータから「施策の継続可否」や「予算配分の是非」といった具体的な判断基準を設定することで、分析の価値が高まります。目的が明確であれば、分析者も適切なアウトプットを設計でき、依頼側との認識のズレが大幅に減ります。

アウトプットの解像度を高める

アウトプットの解像度を高める

データを意思決定に活かすためには、アウトプットの「解像度」を高めることが欠かせません。分析を依頼する際は、5W1H(誰が、何を、いつ、どのように、なぜ)を整理し、「どんな形のアウトプットを期待しているのか」を具体的に共有することが重要です。

「売上データを分析してください」といった抽象的な依頼では、分析者は「何を分析すべきか」「どの粒度で」「どう見せるべきか」が判断できず、アウトプットが目的に沿わない結果になりがちです。ラフスケッチや参考のグラフを共有するだけでも、認識のズレを防ぎ、より的確なアウトプットにつながります。

\定性・定量データについて解説動画からご確認ください/
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人・組織・文化で「データ活用が当たり前の組織」へ

人・組織・文化で「データ活用が当たり前の組織」へ
引用:数字を武器にする『データで事業を前進させる分析と設計思考』

データを武器にする組織をつくるには、特別な才能やツールが必要なわけではありません。必要なのは「人・組織・文化」の3つの視点から、データを扱いやすい環境を整えることです。

人:誰もがデータを理解し、活用できるように、専門用語に依存せず伝えられるリテラシーを育てる
組織:データカタログの整備やKPIの標準化など、誰もが使いやすい形で情報基盤を構築する
文化:数字をもとに意思決定する習慣を浸透させ、成功事例を積極的に共有する

KPIは「作って終わり」ではなく、「チーム全員で合意し、使い続ける」ことが大切です。仮説を立て、目的を共有し、データに基づいた合意を重ねる。このサイクルを回すことで、数字は「ただの報告」ではなく、「行動を導く指針」になります。

データを活用することが、特別なことではなく当たり前になる。そんな組織づくりを目指して、今日から一歩を踏み出しましょう。

「データドリブン」な環境の醸成に必要なこと

「データドリブン」な環境の醸成に必要なこと
引用:数字を武器にする『データで事業を前進させる分析と設計思考』(以下同)

データを活用して意思決定を行う文化を組織に根付かせるには、単なるツール導入や指標の整備だけでは不十分です。現場・仕組み・人の意識といった多角的な側面から、「環境づくり」そのものをていねいに設計していくことが求められます。ここからは「データドリブンな組織作りの醸成に必要なこと」について、上図の通り、4つの観点についてご紹介いたします。

問いをもとに必要な要素を洗い出す

問いをもとに必要な要素を洗い出す

データドリブンな環境づくりの第一歩は「問いをもとに必要な要素を洗い出す」です。問いは、データ分析に取り組む際の出発点であり、方向性を定める羅針盤となります。

「何を明らかにしたいのか」、その問いを解くためにどんなデータが必要かを関係者で整理して必要な要素を漏れなく洗い出します。 このプロセスを通じて、組織全体に仮説思考と目的志向の姿勢が自然と根づいていきます。

業務部門との密接な連携

業務部門との密接な連携

データを環境として根づかせるには「業務部門との密接な連携」が不可欠です。数字だけを見ていても、そこに至る背景や文脈は読み取れません。営業・マーケ・CSなど、現場の担当者と対話しながらデータを読み解くことで、数字の背景にある事象を正しく把握できるようになります。

例えば、「大型受注があった」「一時的にキャンペーンが走った」といった要因を理解し分析することで、より「リアリティのある分析結果の獲得」とその先の「施策検討」に移ることができます。

因果構造を検討する

因果構造を検討する

データドリブンな環境を育てるには「因果構造を検討する」ことも求められます。例えば「売上 = 客数 × 単価 × 購買頻度」のように、成果を因数分解していくことで、何がボトルネックとなっているのか、どこにテコ入れすべきかが明確になります。

この時、どの要素が課題で、どこにテコ入れすべきかを論理的に把握するために、関係者全員で因果関係を議論すると良いです。この議論のプロセス自体が、データドリブンな意思決定文化の土台を形成します。

構造化した指標は関係者と共に設計する

構造化した指標は関係者と共に設計する

データを生かす環境を定着させるには「構造化した指標は関係者と共に設計する」ことも大切です。KPIや指標を分析部門だけで閉じないようにしましょう。

現場の視点を反映し「当事者が納得できる形で指標を共に設計する」ことで、数字への主体性と納得感が生まれます。関係者を巻き込んで合意形成することが「形骸化しないKPI運用」のカギです。

数字を武器に、データで事業を前進させましょう

データを活用することは、一部の専門職だけの役割ではありません。日々の業務の中で、誰もが「問いを立て、仮説を検証し、よりよい判断につなげる」ための土台になります。数字を使いこなす力は、一歩ずつの実践と対話から育まれます。データをレポートで終わらせず、事業を前に進めるための武器に変える。その第一歩として、本記事の内容が皆さまのヒントとなれば幸いです。

最後に、本記事でご紹介しましたデータ分析に関連するお役立ち資料もご用意しております。最後までお読みいただいた皆様にとって有益な資料です。ご興味をお持ちの方は、ぜひご覧ください。

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