AIと人間の関係性をどう捉え、どのようなスタンスで使うべきか──。その答えが見出せず、生成AIの活用が思うように進まなかったり、今後のキャリアに悩んでしまったり、というデザイナーはまだまだ多いのではないでしょうか。
グッドパッチでは2025年10月、「AI時代をどう切り拓く?デザイナー・PdMのリアルと実践」と題したウェビナーを開催。300名近くの方にご応募いただき、UI/UXデザイナー、PdM、サービスデザイナーの生成AI活用事例や、今後も価値を発揮できる環境・組織、個人が磨くべき資質などをお話ししました。
https://goodpatch.com/blog/2025-11-aipatch
初回の反響を踏まえて開催したVol.2では、UI/UXデザイナーのAI活用事例のほか、生成AI時代に求められるデザイナー像の考察を、グッドパッチの2名のデザイナーがお話ししました。
目次
UI/UXデザイナー業務をリプレイスする取り組み
はじめに登壇したのは、UI/UXデザイナーの千村。
これまで様々なクライアントに提供してきた「UI/UXフィードバック」というソリューションを、生成AIで自動化する取り組みを紹介しました。

自動化の仕組みを作った背景には、「知見が属人化している」「品質のバラつきがある」という課題があったそう。生成AIを使って、レビューにすぐに取り掛かることができ、誰が担当しても品質がブレない仕組みを作るために始めたといいます。
千村:
具体的な実現方法として、プロンプトの構成を「観点」「手法」ごとに分けました。
ベースの変動が少ない評価観点はシステムプロンプトに設定。「何を改善したいのか」という要件を組み込みカスタマイズができるように、プロンプトの書き方を全社展開しています。

次に、Webアプリケーション等のブラウザで表示できるサービスについては「ブラウザ操作自動化での評価」、ネイティブアプリなどブラウザでは閲覧できないサービスは「スクショ画像を元にした評価」を選択など、どんなレビュー対象であってもこの自動化ソリューションを使えるような仕組みにしました。
生成AIを活用する今考える、AI時代のキャリア
千村のLT後半は、AIという存在によって、デザイナーの仕事がどう変わるのか?の考察へ。

千村:
AIにできないことが人間の介在価値とすると、これから求められるデザイナー像は「選び、決めて、物事を動かすデザイナー」なのかなと思っています。
「誰でも簡単にモノが生成できるようになって、デザイナーとして葛藤はない?」と聞かれたら、 個人的には「ほぼない」と答えます。むしろ、自分のスキルだけでは辿り着けない領域で、AIという補助輪を使うことで挑戦できることが楽しいです。
デザイナーの仕事はなくならなくとも、重要視される仕事の定義は変わっていく。今後もデザイン業務へAIを取り入れ続け、使い続けることで、人間の介在価値を見つめ続けたい、と締めくくりました。
AI時代でも変わらない、デザイナーの軸とは
次に登壇したのは、UI/UXデザインチームのマネージャーでクリエイティブディレクターも務める栃尾。日々アップデートされ、進化を続ける生成AIの影響で「デザイナーは不要になるのではないか?」という問いに対する考えをお話ししました。栃尾が寄せた文章「AIでデザインをつくれる時代に、私がデザインを手放さない理由」もぜひあわせてご覧ください!
https://goodpatch.com/blog/2025-12-tochio

「つくる人」から、「事業の意思決定基準をつくる人」へ

まず語られたのは、デザイナーの役割そのものの変化です。
UIを「きれいにつくること」や「速く実装すること」は、生成AIの進化によってこれまで以上に多くの人が扱えるものになりつつあります。それらの価値がなくなるわけではありませんが、今後より重要になるのは、何をつくるか以前に、どんな体験を目指すのか、その判断の軸をつくることだと栃尾は話します。
これから価値が高まっていくのは、「体験をつくるデザイナー」。機能だけで差別化するのではなく、顧客にどう選ばれ、どう使い続けてもらうのか。そのために、体験を通してどんな意味や価値を積み上げていくのか。こうした問いに向き合いながら、意思決定を支える基準をつくることが、デザイナーの役割になっていくといいます。体験価値が、継続利用やブランド選好を通して経営に直結する時代だからこそ、今後もブレずに推進していきたい領域だと語りました。
「共創による成功体験」をつくることを最大の武器に

次に触れられたのは、デザインの進め方そのものについてです。
デザインは、決して一人で完結するものではありません。クライアントや他職種と一緒に悩み、一緒に考え、試行錯誤しながら成果を出していく。そのプロセスの中で生まれる信頼関係こそが、結果として次の仕事や次の挑戦に繋がります。
単にアウトプットの完成度だけでなく、共創のプロセスそのものが成功体験として蓄積されていくこと。それが、個人にとっても、組織にとっても、最も強い武器になるという考え方です。
グッドパッチが大切にしてきた「共創」というスタンスを、これからの時代においても価値あるものとして磨き続けていく。その姿勢が、組織の方針として語られました。
「武器を扱い、進化させるプレイヤー」になる

最後に語られたのは、デザイナー個人のあり方です。
AI、デザインシステム、新しいツールや考え方。これからの時代、デザイナーが扱える武器は増え続けていきます。その一方で、それらをどう理解し、どの場面で、どのように使うのかによって、成果や価値の差が生まれていくのも事実でしょう。
重要なのは、ツールを「扱えるか」ではなく、それを通してどんな体験や価値を生み出そうとしているのか。武器そのものよりも、目的に応じて選び、組み合わせ、進化させながら使いこなす判断力が、これからのデザイナーにはより強く求められていくと栃尾は語ります。
ただしそれは、恐れるべき変化ではなく、むしろ「面白い時代が来た」という前向きな変化だと捉えています。自分の武器を理解し、磨き、アップデートし続けながら、体験の価値を広げていく。グッドパッチのデザイナーは、変化に流されるのではなく、変化を使いこなすプレイヤーでありたいという想いが語られました。
画面をつくる前提のソフトウェア開発は、どう変わるのか
LTでは、少し先の未来でのソフトウェア開発の可能性にも触れられました。
栃尾:
もしかすると将来的には、AIエージェントの普及によって、UIそのものが見えなくなる場面も出てくるかもしれない。専用のアプリ画面を開かなくても、会話だけで予約や注文、問い合わせが完結する。実際に、検索エンジンではなく対話型AIに情報を尋ねる人はすでに増え始めています。
こうした変化は、「画面をつくることが前提」というソフトウェア開発の考え方そのものを揺るがすからこそ、今後はUIを設計すること以上に、どんな体験を、どのような構造で成立させていくのかというユーザー体験の設計力が、より重要になっていくと思います。
グッドパッチではUI/UXデザイナーを募集中です
今回ご紹介した取り組みや、デザイナー像の考察が、「AIをどう使うか」ではなく「デザイナーの仕事をどのように拡張・変化させていくか」を考えるきっかけになれば幸いです。
AI時代、デザイナーの真価は「画面をつくること」ではなく、「どの問いを立てるか」という視座と、事業を勝たせる「判断の質」にこそ宿ると私たちは考えています。
- AI活用を模索する中で、自分にしかできない「介在価値」を再定義したい
- 「なぜこのデザインか」を事業文脈で語りきる、判断の拠り所を研ぎ澄ませたい
- キャリアが「作業」で終わることに危機感があり、意思決定の側に立ちたい
その様な思考をお持ち方と考えを交換する場として、カジュアルな1on1面談をいつでも歓迎しています。
まずはご自身の状況を整理するきっかけとして、お話しいただく形でも構いません。ぜひお気軽にご連絡ください。
1on1面談のお申し込みは下記リンクからどうぞ!
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