新サービスの実開発に取り掛かる前に、サービスの方向性をクイックに検証するためにおこなうのがコンセプトテストです。コンセプトテストを活用すると、開発後に「そもそも想定していたニーズがなかった…」という事態を避けられるととともに、サービス開発で立ち返るポイントを作ることができます。

本記事で紹介する「定量コンセプトテスト」は、以下の3点に焦点をあてていています。

  • 有望なコンセプトを選出すること
  • ニーズ向上に貢献する要素を把握すること
  • 各コンセプトの強みと弱みを見つけること

この手法が特に有効なのは、プロジェクト初期段階において、複数のコンセプト案が出ているが、どの案で進めるべきかの判断に迷っているケースです。

既に絞り込んだコンセプトを対象に、ビジネス上間違えると致命的になる仮説を「定性的」に検証する方法は、ストーリーボードテクニカルプロトタイプ等を参照してください。

テストプランニング

定量コンセプトテストは、おおよそ4〜6週間を目安に実施します。以下、各プロセスについて説明します。

1. ターゲット顧客設定

まずはじめに、コンセプト評価を依頼する「ターゲット顧客」を定義し、リクルーティング方法を検討します。

ターゲット顧客にはどんな特徴がありますか?特徴に合わせて、自社の既存顧客にアプローチする場合もあれば、リサーチ会社に協力をお願いすることもあります。サンプル数は、おおよそn=〜300程度を目安にしてください。ここで、ターゲット顧客をニッチに設定しすぎると、リクルーティングにかかる労力やコストが増加するので注意します。

2. コンセプト準備

検証するコンセプトそれぞれに対して、コンセプトを説明する「短文」と「イメージ画像」を準備します。出来たら、価格やサービス利用料も併記します。

コンセプトは全部で5〜10程度を目安に準備してください。同時に10コ以上のコンセプトを検証する場合は、ターゲット顧客をいくつかのサブグループに分けて検証するのがオススメです。準備するコンセプトの中には、ベンチマークしている競合コンセプトを含めてもよいでしょう。

コンセプトを作成する際は下記の3点に留意してください。

  1. 簡潔な記述:1コンセプトにつき1アイデアを、可能な限りシンプルに記述します。被験者が熟考せずに選択できることが理想です。ターゲット顧客が専門家でない限り、難解な言い回しや専門用語の使用を避けてください。
  2. フォーマットの統一:各コンセプトの記述量やトーンを揃えます。コンセプトごとに体裁がバラバラだと正しい評価が得られません。
  3. 誇張しすぎない:コンセプトが実際に提供できる価値のみを記載します。オーバーな表現をして、良すぎる評価を得てしまわないようにしてください。

 

3. アンケート準備

コンセプトのポテンシャルを、2種類のアンケートを使って計測します。

1つ目のアンケートでは、コンセプトから受ける印象を5段階評価してもらいます。検証対象によって取り入れるべき指標は変わりますが、「購入(利用)意向」「独自性」「共感性」「新規性」「理解度」「信憑性」などの指標を設問に含めます。

具体的には、以下のような設問に、回答してもらいます。

続いて、2つ目のアンケートでは、各コンセプト文に含まれている文言を分解して提示し、下図のように順位付けしてもらいます。

4. 結果分析〜アクション設計

ここからは、アンケートで得られた結果を分析し、どうコンセプトを絞り込んでいくべきかを検討します。

■購入意向×独自性マップ

まずは、「購入意向」と「独自性」の2軸でマップを作り、検証結果の概観をつかみます。

  • 第1象限に位置するのは、有望コンセプト
  • 第2象限はコモディティ。商品の利用価値を競合よりも高められれば、チャンスが見えてくる可能性がある領域です
  • 第3象限は、見切りをつけた方がよいコンセプト
  • 第4象限は、機会あり(再検討)。この領域は、コンセプトが新しすぎる可能性を示します。ただし、市場によっては、一風変わったコンセプトにチャンスがあることもあるので、すぐに諦めず、検証しなおしたり、ストックしておくことがオススメです

■文言ランキング

次に、コンセプトのどこが評価されたのかを「文言ランキング」で確認します。以下は、洗濯用洗剤を題材にした架空の例です。

この例でいうと、ターゲット顧客から最も評価が高いのは「洗うだけでウイルス除去」です。汚れのみに留まらない洗浄力が重要な訴求となる可能性が読み取れます。

■総合評価

さいごに、上記2つの分析結果を並べて、振り返ります。

「コンセプト評価指標」の結果をみると、この例では、特にコンセプトA・Eについてさらなる検討をしていくとよさそうです。

ただし、購入意向」と「独自性」が全てではありません。他のコンセプト指標間での相関や文言ランキングを参照し、コンセプトの成功要因と失敗要因の仮説を立てて、検証することも重要です。例えば、上記の例からは「コンセプトEの『すすぎ1回で抗菌・防臭』に対して、コンセプトAで高く評価されている『洗うだけでウイルス除去』に関連する訴求を加えると、最も購買意欲が高まる」という仮説を立て、さらに詳しく検証してみるのも良いでしょう。

まとめ

本記事では5〜10程度の複数コンセプトをクイックに同時検証する「定量コンセプトテスト」についてご紹介しました。定量コンセプトテストを実施することで、ユーザーの声を取り入れながら、根拠をもって深ぼりすべきコンセプトの絞り込みができます。気になった方は、活用を検討してみてください。

資料ダウンロード

Goodpatchでは、上記の定量コンセプトテストを実施する「コンセプト検証プログラム」を提供しております。下記URLより詳細資料をダウンロードいただけます。

https://design-partnership.goodpatch.com/downloads/quantitative-concept-test