デザイナーを目指している、あるいはロゴデザインに初めて取り組もうとする方には役割を果たすロゴをデザインしたいとき、どんなことを考えるべきなのかが分かりにくいかもしれません。
今回は、ロゴデザインをする前に知っておきたいノウハウをまとめました。

ロゴデザインをする前に

ロゴとVIの関係性

近年、ブランド再定義を行う際の視覚的なアプローチとして注目されるVI(ビジュアル・アイデンティティ)というものをご存知でしょうか。
VIはロゴやシンボルマーク、ブランドカラーなどに代表される統一化された視覚的要素であり、その目的は「ブランドのコンセプトを可視化し、その存在意義をユーザー、社会に対して浸透させること」です。
多くの場合、この目的を果たす一つの手段としてロゴデザインが用いられるため、ロゴデザインにおいてもその役割を意識する必要があります。

VIの一部としてのロゴ

VIの一部としてロゴが機能することで、どんな効果があるのでしょうか。ここでは、GoodpatchがUI/UXデザインからビジュアルアイデンティティの構築、ロゴデザイン、開発までお手伝いしたTBSテレビのWebメディア「Catari」の事例を元にご紹介します。

ロゴについても当初、TBS社内にいるデザイナーに作ってもらおうと考えていました。でも、UIデザイナーの米永さんに「メディア全体の世界観を統一するためには、ロゴはとても重要な要素です」と言われて、その通りだなと腑に落ちたんです。それで米永さんにロゴまでお願いしようと決めました。

ビジュアルアイデンティティの一部としてロゴを機能させることで、ブランド全体の世界観が統一され、特定の市場において独自価値が生まれます。そのためには、ロゴをはじめとするユーザーの目に触れるあらゆるもののデザインにおいて、ビジュアルアイデンティティを考慮し一貫性・統一性をもったものにするべきでしょう。

ロゴデザインの主なプロセス

ロゴデザインとビジュアルアイデンティティの関係性について理解したところで、続いては、実際のロゴデザインの流れを掴みましょう。こちらの記事では、単語のイメージをベースにロゴを作り上げる一連のプロセスがまとめられています。

記事中のプロセスの大まかな流れは以下の通りです。

  1. イメージを言語化する
  2. ムードボードを作成する
  3. 全体に合ったフォントを探し出す
  4. 詳細を詰める

こちらのロゴができるまでのプロセスが具体的にまとめられています。イメージをどのようにビジュアルに起こすのか、フォントの選び方、最終調整をどのように行うのかなど、プロセスの全体像を知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

実際にロゴデザインする時に重要な観点

先ほどの大まかなデザインプロセスに加えて、ロゴデザインにおいて特に重要な観点を掘り下げていきましょう。
ロゴは様々な要素から構成されており、それらはブランドのコンセプト・思想を可視化したものの一部として組み込まれているわけですから各々が意味をもってきます。また、こうして作られたものがユーザーに対して意図した通りの印象を与えられるかは、検証し確かめる必要があります。

一方で、姿においては、そうした検証が研究という形でなされてきました。そのおかげでこの2つの要素については、デザインに利用できるフレームワークが存在するのです。もちろんロゴデザインにも有効なので、ここではその足がかりとして読んでおきたい記事を紹介します。

フォント

使用されるフォントが変わるだけで、ロゴ全体の雰囲気はガラッと変わります。数ある中から適したフォントを選択するために、一覧で複数のフォントを比較できるツールや、普段から引き出しを増やすのに一役買ってくれるツールを利用してみることをおすすめします。

「大胆な」「ロマンチックな」「真面目な」など様々な形容詞・形容動詞と私たちが色に対して持っている共通の感覚との相互関係から生み出された日本カラーデザイン研究所による「イメージスケール」はブランドのイメージをカラーに起こすための必需品と言わざるを得ません。
このイメージスケールを利用してブランドの思想からブランドカラーを選ぶ方法を1つの選択肢として提案しています。

姿

幾何学模様で構成されたロゴと、手書きで書かれたロゴ。これらを見比べた時、受ける印象はそれぞれ違いませんか?
何をシンボルとするか、どのように配置し組み合わせるかによってユーザーに与える印象が異なります。まずは、それを敏感に感じ取る審美眼を磨き取り入れてみてはいかがでしょうか。

また、ロゴの姿をデザインする上で、視覚調整というスキルを知っておきたいです。
視覚調整はいわゆる目の錯覚を考慮したデザインの調整のことで、様々なデザインの現場で意識されているスキルでもあります。
ロゴデザインにおいても視覚調整の知識を利用して、本来の見せたい姿を見てもらうための最後の詰めを行うことをおすすめします。

【番外編】DI(ダイナミック・アイデンティティ)


画像引用元:http://www.brucemaudesign.com/work/ocad-university

ロゴの新たな表現方法としてDI(ダイナミック・アイデンティティ)というものが存在します。可変的でフレキシブルなものであるため、これまで一般的とされてきたロゴの利用場面とは異なるところで活躍しそうです。DIを用いることで静的なイメージでは可視化しきれない概念を表現することができるかもしれませんね。

https://goodpatch.com/blog/dynamic-identity/

おわりに

今回はテーマを“ロゴデザイン”に絞り、理解しておきたい概念から実際の作業に利用できるノウハウを集めてみました。これからロゴデザインに取り組もうとしている方のお役に立てていれば幸いです!

参考資料

http://chibico.co.jp/blog/business/ci-vi-bi/
http://chibico.co.jp/blog/business/vi-visual-identity/
https://forbesjapan.com/articles/detail/19016