CI(コーポレートアイデンティティ)においてロゴは非常に重要な部分を占めています。

また複雑で混沌とした社会になるにつれ、企業理念や創業者の思いをしっかりと定義したロゴの重要性は依然高まっているのではないでしょうか。最近ではCIデザインという言葉もよく聞くようになり、ロゴを含めAirbnbのCIがどのようにデザインされているかを表した動画も話題になりました。

ということで今回の記事では一般的なロゴデザインの種類、ロゴデザインに役立つウェブサイトなどをまとめてみました。ロゴデザインを始めたばかりの人や将来始めてみたいと思っている人のご参考になれば幸いです。

Goodpatchでは、ロゴデザインやCIのリニューアルのご相談も受けております。
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ロゴデザインの主な種類

1. シンプルな幾何学模様

シンプルな幾何学模様や線で構成されたロゴは記憶に残りやすく、時間が経っても色褪せないことが特徴です。以前私が書いた記事で紹介したインターナショナルスタイルの特徴を色濃く受けていることが分かると思います。またグリッドを使ってデザインするため、ロゴデザインを始めたばかりの人の練習には最適ではないでしょうか 。しかし大きな難点としてこのスタイルのパターンはデザインの世界で、ある程度飽和している為、この記事に書いてるようにシンプルが故にデザインが偶然かぶってしまう場合があるので注意しましょう。

2. ワードマークもしくはレターマーク

既存のフォントを使うロゴデザインは最もよく見られる手法の1つではないでしょうか。綿密に設計されたフォントを使うことで汎用性も高く、視認性に関しても媒体に関わらず高いクオリティを保つことが出来ます。ワードマークは基本的にGoogleやEtsyのような、ユニークな社名をそのままロゴにする種類が多いです。一方、IBMやHPのようなレターマークはワードマークと似ていますが、複数の既存の単語を使ってつけられた長い社名の頭文字を取ってシンボルにするパターンが多いです(例: IBM→International Business Machines Corporation)。

そして適切なフォントを選ぶ際には、セリフフォントは古典的で、サンセリフはモダンな印象など、そのフォントや企業が持つイメージを考慮して選ぶように心がけましょう。

3. 手書き

既存のフォントを使うことでロゴとしての汎用性は高まりますが、逆に手書きにすることでオリジナリティのある、企業や創業者の個性を強く反映したロゴを作ることができます(もちろんデジタル化する必要があります)。そして手書きのロゴもそのオリジナリティが故に時代にとらわれることなく企業のシンボルとして長年に渡り輝き続けます。

4. 簡略化されたシンボル

既存の物を簡略化してロゴにすることで「あの林檎のマーク」や「あの鳥のマーク」など イメージに残りやすく説明がしやすいロゴを作ることができます。この手法でロゴをデザインする場合は、物体の形状をそのまま形どるのではなく、デザイナーとしての持ち味を付け加えたり、企業のイメージを考えてデザインしてみるといいかもしれません。

5. 抽象的なシンボル

実在する物をベースに作ったロゴとは反対に、一見どういう意味が込められているのか説明しにくい抽象的な形状をしたロゴも少なからず存在します。メリットとしては人間の固定概念にとらわれず、1つのイメージに多くの意味合いを込めることができ、尚且つ非常にユニークなロゴになることです。

6. クラシックスタイル

エンブレムのように複雑でクラシックなロゴはシンプルなロゴと比べて汎用性や視認性など幾つかの点で劣るかもしれませんが、手書きのロゴと同じようにオリジナリティや、その企業が長年に渡って築き上げてきた高級感やブランドを演出できます。とは言っても、真新しいスタートアップやベンチャー企業などのロゴではこの種を見かけることは少なく、公的機関や老舗自動車メーカーなどで目にすることが多いです。

7. ネガティブスペース

ここから以下の2つは種類というよりロゴデザインの手法になります。ネガティブスペースは簡単に言えば「余白」という意味です。上記の例で説明するとFedExはEと小文字のXの間の余白がよく見ると矢印になっているのが分かります。この矢印には運送業として売りにしている「スピードと正確さ」が込められているといいます。去年まで使用されていたF1のロゴは見て分かる通り、上手く余白を使って1を表しています。という風に故意にネガティブスペースを生み出すことによってとてもユニークなロゴになり、複数の企業イメージや理念を1つのロゴに表現することができます。

8. 異なる色の重なり

人間は生来、色に対して異なるイメージを持っています。赤は情熱の色、紫は高貴な色などです。1つの色を巧みに利用するのも手ですが、複数の色をかけ合わせて色と感情の関係を上手く利用すればロゴデザインの可能性は大きく広がります。また白黒のロゴと違ってロゴ全体に深みを与えることができ、ユーザーの注目を惹きやすくなります。

上記で紹介した例はあくまでロゴデザインの基本的な手法です。多くのロゴは上記の種類を組み合わせて作られています。またタイポグラフィーでも社名の頭文字だけをとってデザインしたり、オリジナリティを更に追求してGithubやAndroid、Redditなどのオリジナルマスコットをロゴにするなど、デザインの方法は無数にあるので是非チャレンジしてみてください。

次の項目ではロゴデザインに役に立つウェブサイトを紹介します。こちらもご参考になれば幸いです。

ロゴデザインで役に立つウェブサイト

1. Behance

BehanceはPhotoshopやIllustratorなどのソフトウェアを開発しているAdobeが運営している、クリエイターの為のポートフォリオ型コミュニティウェブサイトです。皆さんも日頃からお世話になっているのではないのでしょうか?3Dや2Dに関わらず日々プロフェッショナルな作品が投稿されています。

同じような作品投稿型ウェブサイトのDribbbleも良いですが、Behanceはプロのデザイナーがどういう風にブランドガイドラインの下、ロゴを完成させるまでの工程を見ることができるので、初心者の人におすすめです(例1例2)。

2. Instagram

写真を閲覧、投稿するためのInstagramは実はロゴデザインのインスピレーションを受けるのにはおすすめのアプリで、アクティブユーザー数が多いだけあって、BehanceやDribbbleより速いペースでデザイナーたちが高いクオリティのロゴを投稿しています。また上記で紹介しなかった最新のロゴデザインのトレンド等を踏まえてデザインされているのでいい刺激を受けられます。おすすめのアカウントは@logoimport, @logolearn, @logo_showcase, @logotypeclubです。@logo_learnはどういう風にロゴが出来ているのかを示した画像が多く掲載されているので特におすすめです。

3. BrandNew

BrandNewはCIデザインに特化したコミュニティウェブサイトです。ユーザーが最近アップデートしたCIやロゴに対して意見を言い合ったり、投票することできます。またいくつかの記事には有名企業のCIがどういう理由や背景から変化を遂げたのかなど、読むだけで面白い情報も掲載されているので、英語のみではありますが是非おすすめしたいと思います。現役のグラフィックデザイナー達からのコメントも多く、色んな人の考えを知ることができるので見ていて興味深いです。

4. Logo Design Love

Logo Design Loveはアイルランドのグラフィックデザイナー、David Aireyさんに運営されているロゴデザインやCI系の情報を掲載しているブログです。ロゴデザインの歴史の考察や有名企業のCIの変遷についてなど、興味深い記事が数多く掲載されているので英語ですが画像を交えて紹介しているので、見ていてタメになります。実はこのブログをまとめたがアメリカで発売されており、ブランディングとロゴデザインのカテゴリーでNo.1ベストセラーになるなどかなりの人気を博しています。そして日本でも日本語版が発売されているので興味がある人は是非チェックしてみてください。

5. 家紋データベース

少し毛色は違いますが家紋データベースは凄く個人的におすすめしたいウェブサイトの1つです。ウェブサイトに記述されている通り日本のデザインの礎である家紋が約3000種類も掲載されています。時代にとらわれない家紋の美しさは現代のロゴに通ずるものがあり、また各家紋がどういう風に出来たかを調べることで、どう組織の思いなどをロゴに落とし込めるかなどの思考の練習にもなります。違ったアプローチのインスピレーションが欲しい人にはおすすめのウェブサイトです。

Worldvectorlogoは世界中の企業のロゴのベクターデータを網羅していて無料でダウンロードできるウェブサイトです。最近Twitter界隈でUIトレースが流行しているので是非この機会に有名企業のロゴを研究して、ロゴトレースなるものをやってみてはいかがでしょうか?きっとロゴデザインの練習に役立つと思います(※使用条件に記載されている通り、新しいロゴを作る為のウェブサイトですのでロゴの悪用は厳禁です)。

7. WhatTheFont!

皆さんはロゴに使われているフォントがどんな種類のものか気になったことはないでしょうか?WhatTheFont!はフォントの画像をアップロードするだけでよく似た形状の何十種類ものフォントを提示してくれます。カスタムフォントなどの場合は完全に同じフォントを提示できませんが、それでもロゴデザインに役に立つことは間違いありません。また最近ではディープラーニングにより更に精度を増したモバイルアプリ(iOS, Android)も発表されましたので、是非ダウンロードしてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回はロゴデザインの主な種類とインスピレーションを受けられるウェブサイトをご紹介させていただきました。

ひとえにロゴと言っても、何年も企業の顔になる存在ですし、非常に奥が深く一朝一夕では全てを理解するのは難しいと思います。私もこの記事を書いていて、ロゴデザインの面白さや難解さを再認識することができました。この記事を読んでいただいて少しでもロゴデザインに興味を持って頂ければ幸いです。

Goodpatchでは、企業やサービスの理念からCI/VIの構築を行い、それらに紐づくUIデザイン、ロゴデザインなども行っています。もしブランドについて課題感をお持ちの方は是非こちらからお気軽にご相談ください。