本日は、グッドパッチの自社プロダクトであるProttチームで活躍するエンジニア、西山雄也のインタビューをお届けします。起業やフリーランスを経験した西山が、なぜグッドパッチを選んだのか。入社して感じるグッドパッチの魅力と、これから目指す先についてお話を聞いてみました。
コンピューターミュージックからプログラミングの道へ
学生時代から、音楽が好きでした。大学は環境情報学部にいて、当時新しくできたばかりの学部だったんですが、コンピューターやソフトウェアを勉強するだけではなくて、それらを道具として色々な領域の問題を解決することを目的とする学部でした。例えば政治経済や、建築などの授業もありましたが、僕はメディアアートの領域で、コンピューターミュージックの研究室にいました。プログラミングでアルゴリズムを使って作曲をしたり、DSPを使った音響の合成技術を研究していたんです。
もともと音楽は好きだったものの技術自体にはあまり興味がなかったんですが、コンピューターミュージックがきっかけでプログラミングを学びはじめ、勉強しているうちにプログラミングそのものに関心が移っていきました。
大学の友人との起業
僕が大学に在学していた2000年前後って、日本にインターネットが普及し始めた時期なんですよね。
そうした中でインターネットを使って起業する人が増え始めました。同時に、オープンソースカルチャーの「なんでもオープンに公開していく」アイデアがデジタル以外のビジネスの領域にも適用できるよね、という流れが出てきた時期でもあります。
僕の周りでも自分でWebサービスを立ち上げる人が出てきて、先輩でもある友人が立ち上げたサービスを在学中から手伝い始めたんです。
当時手伝っていたのは、「70億人に70億通りのファッション」というテーマの元に、オープンソースの考え方をファッション領域に当てはめて、服を作りたい人と作って欲しい人をマッチングさせるサービスでした。当時はSNSという言葉もなかったけど、ネット上でコミュニティを作れるような機能も提供していましたね。学生時代からサービス立ち上げに関わって、リリースまで開発を体験することができたのはいい経験だったと思います。そのまま就職することも考えましたが、新卒1年目は、あえて違う環境を選び、SIerに入社しました。スタートアップに新卒入社することがあまり一般的ではなかった時期で親に心配されたこともありますが、加えて、一度は職業プログラマーとしてきちんと経験を積みたい、プロの集団の中でソフトウェア開発をしてみたいという思いもあったので、SIerを選びました。それでも、いつかは在学中に手伝っていた会社に戻る前提だったので、新卒入社の数年間は修行するような意気込みでした。
SIer、スタートアップ、フリーランスの経験
新卒で入ったSIerでは、複数の関連会社それぞれがサブシステムを持って、一つの大きなシステムを作るという、大人数が関わるプロジェクトの全体像を学びました。チームは最大時で20人くらいいたんですけど、新卒2年目くらいからは学生時代のサービス立ち上げの経験を買われて、開発リーダーのポジションを任されていました。この時気付いたことは、自分で0からプロダクトを作った経験は、物作りをする上で役に立つということです。要件をまとめる段階で実現方法が見えていると、クライアントと話すときもスムーズなので、SIerでも色んな打ち合わせに呼ばれるようになりました。開発メンバーとも直接会話をして、マネジメントもするようになって、新卒ではなかなかできないような経験をさせてもらえたと思います。
新卒入社したSIerには3年勤めましたが、やっぱり自分がやりたいことに打ち込みたくて、学生時代手伝っていた会社に戻りました。在学中はアルバイトで関わっていましたが、戻ってからは正社員として働くことになります。サービス立ち上げのフェーズから、ビジネスとしてマネタイズを考えるフェーズに変わっていたので、僕もビジネスサイドに踏み込んだ関わり方をするようになりました。
開発メンバーは、最小構成でしたね。その頃社員が5,6人くらいいて、その内プログラミングができるのが僕1人で、デザイナーがもう1人と、デザイン寄りのプログラミングができる人が1人というチーム構成で開発をしていました。オフィスとして一軒家を借りて、他のフロアには起業メンバーが住んでて、自分も住んで、というスタートアップらしい環境でした(笑)。
その会社に戻ってきてからは、5年在籍しました。いくつものプロジェクトで開発をメインにリードして、技術選定から設計、実装、運用まで担当してきました。技術としてはやり尽くしたという節目で、新しい経験を得るためにフリーランスに転身することを決めました。20代の大半を費やして燃え尽きた感覚もあったので、しばらくは会社に所属せず、技術的なチャレンジとして見聞を広めようと思ったんです。
フリーランスになってからも、ファッションつながりで、ECサイトのUI改善や、バイラルマーケティングの仕組みを提案したりしていました。他にもソーシャルゲームのサーバーサイドを担当したり、メーカーの顧客管理システムを作ったりというお手伝いもしましたね。独立した目的通り、案件を受ける基準として技術的に自由度がある仕事かどうかは気にしながら働いていました。
技術的なチャレンジというと、RTB(Real Time Bidding)広告という仕組みが出てきた2013年頃に所属していたスタートアップで担当した仕事は印象的でした。サイト訪問者の閲覧履歴から属性を分析して、広告入札のネットワークに参加している企業が買った広告が表示されるというものです。今でいうターゲティング広告ですね。実際にミリ秒単位で計算して、この属性を持ったユーザーにはこんな広告を出したいという企業のリクエストに応えるための処理をして返す、というのは技術的なチャレンジができたいい経験でしたね。
今はアプリ上でも広告が出てくると思いますが、「なんだか怖くて、うかつにクリックできない」という声を周りでよく聞きますよね。でも、ユーザーが「怖い」と感じてしまうのは、技術的に未熟だからだと思うんです。理想は、それぞれが本当に興味があるものが見れるようになることではないでしょうか。自分が知りたいけど、まだ知らないでいるおすすめ情報が知れたら嬉しいですよね。当時は広告でしたが、こうした問題を、技術の力で変えて、解決できないだろうかといつも考えていました。
フリーランスとしてグッドパッチと出会う
フリーランス時代は色々なサービスをお手伝いさせてもらって、知見を深めることができました。その最後のクライアントが、グッドパッチなんです。その時もやはり技術ベースで仕事を探していて、JavaScriptを使ってSPA(Single Page Application)を作る開発がしたい、というピンポイントな要望だったのですが、当時新しい自社プロダクトを立ち上げようとしていたグッドパッチがちょうどマッチして、話を聞きに行ったのが最初の出会いです。
面接をしてくれたエンジニアのメンバーとはすごく意気投合できて、業務委託として働くことになりました。最初はメンバーがみんな若くてキラキラしてて、ちょっと焦りましたね(笑)。オフィスに初めて訪れた時は、オープンスペースのスタイリッシュで開放的な雰囲気に感動しましたし、外国籍のメンバーが多いことも好印象に感じていました。大学で、帰国子女が比較的多い環境にいたこともあって、その頃の自由な雰囲気と似ているなと思ったんです。実際に働き始めてから、よりグッドパッチの空気感に親近感を持つようになりましたね。
働き始めて半年経つ頃、手伝っていたプロジェクトはリリース前にクローズすることが決定しました。PMF(Product Market Fit)できなかったなど、色々な理由があります。チームの立ち上げからクローズまでに紆余曲折がありながらも、すごく楽しかったんですよね。同じチームにいたデザイナーはイタリア出身だったのですが、外国籍のデザイナーと近くで働くことも含めて、なかなか出来ない経験をさせてもらえたと思っています。
でも同時に、「会社にもっと深く踏み込んでいたら、できたことは色々あったかもしれない」という気持ちも抱いていました。業務委託時代は、コミットできる範囲がどうしても限定的になってしまって、仲間が悩んでいるのに同じ目線で話を聞いてあげられないことにもどかしさを感じていたんです。
グッドパッチで仕事を始めてからは、若いエンジニアと働く機会も増えたので、僕の経験を伝えられることがあれば伝えてあげたいとも考えるようになりました。彼らから新しい技術を教えてもらったり、成長の早さから刺激をもらうことも多いので、ここに僕が入ることで、少しでもいい影響を与えたり、シナジーを生み出せるんじゃないかと。そんな思いがあって「この会社ともっと本気で関わりたいです」と相談させてもらって、働き始めて1年経った去年の秋から、正社員として働いています。
グローバルチームで学んだ、伝えるための姿勢
現在は、業務委託時代から手伝っていた自社プロダクト「Prott」の開発をリードしています。ProttチームはUXデザイナーもUIデザイナーも外国籍メンバーで、かつデザイナーが意思決定することが多いので、英語で話す場面が多いです。チームに入ったばかりの時は焦ったこともありますが、相手のことを理解するためにも、まずは相手に伝わる言葉を使おうと歩み寄る姿勢が大事ですよね。相手の文化や語彙を学んで、その言葉を使って伝えるということは意識していることです。チームに言語という壁があったからこそ、気づけたことかもしれません。外国籍メンバーの日本語への学習意欲がとても強いので、僕が英語で質問したら日本語で返ってきたり、言語が入り乱れることもあります(笑)。
開発プロセス自体はアジャイルプロセスを導入しており、不明点があったらすぐにホワイトボードやポストイットで貼り出すなど、自分たちのプロセス自体を可視化することを心がけています。また、エンジニアもデザインプロセスに参加します。ワイヤーフレームの段階から一緒にディスカッションしたり、ユーザーインタビューに参加して改善点を直接肌で感じたり、エンジニアとデザイナーはお互いにフィードバックを与え合っています。とにかくオープンマインドなチームなので、とても働きやすいです。
参考記事:
「UXデザイナーはファシリテーターに」チームのパフォーマンスを加速させるコラボレーションとは
今までの自分を振り返ると、スタートアップと仕事をしてきた経験が多く、0から作り上げることが好きなんだと思います。社会にいる人たちが幸せになれるような仕組みづくりが何かできないだろうか、といつも考えていたような気がします。昔から、古着や中古のレコードやラジカセなど、誰も見向きもしないようなところから、自分が使えそうなものを発掘して、新しいものを作ることが好きだったんです。今の働き方にも、そんなところが現れているのかもしれません。
僕はグッドパッチで働き始めるまで、デザインはエンジニアの仕事ではなくて、デザイナーの仕事だと考えていました。でも、今では僕自身もデザインに関心を持つようになった。関係ないものだと思っていたデザインが、自分の中ですごく大きなフロンティアに思えてきたんです。これからはエンジニアとして、技術とデザインの関係性を深めながら、技術の力を使って、社会にある様々な問題を解決していきたいと思っています。
Goodpatchは、エンジニアリングを提供価値の1つとして重視しています。実装前のフェーズから常にデザイナーとコミュニケーションをとったり、体験設計に携わることに興味のある方は、ぜひこちらをご覧ください。