2016年4月13日にJINSが発表した公式アプリケーションシリーズ。その中の「集中力を可視化してユーザーのパフォーマンスを向上させる」というコンセプトの「JINS MEME OFFICE(オフィス)」をグッドパッチがデザイン・開発をサポートさせていただきました。今回は、JINS MEMEプロダクトオーナーの井上一鷹さんをお招きし、プロダクトに携わっているグッドパッチのプロジェクトマネージャーの徐福、iOSデベロッパーの石井、デザイナーの三橋にお話を伺いました。

UXをしっかり設計するなら、グッドパッチしか思い浮かばない

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— まずJINS MEME OFFICEプロジェクトについて教えてください。

— 井上さん
2014年の発表以来、JINS MEMEは「世界初、自分を見るメガネ」という全く新しい世界観を提示し、世の中に驚きを持って受け入れられてきたと感じています。そしていよいよ本格的な販売を開始した今、これまでの世界観に加え、ユーザー体験を踏まえた「モノ」に落とし込むフェーズに突入したと感じています。JINS MEMEはウェアラブルデバイスなので、ユーザー体験を担保するものはアプリなんです。いままでJINS MEMEのユーザー体験の根幹になり、ユーザーの窓口になるようなアプリはありませんでした。
また、ウェアラブルという有形の「モノ」とアプリという無形の「モノ」を融合させ一つのユーザー体験に落とすためには、単なるデザイン力やプログラム力ではなく、UI・UXを高度な視点からとらえることのできる開発力を持った会社でなくてはなりません。私たちは、その根幹となるアプリを託すパートナーを探していたんです。そんな折、JINS MEMEプロジェクトに立ち上げ当初から参加しているパートナーの方に尋ねたところ「グッドパッチしか思い浮かばない」と絶賛、私が絶対的に信頼している彼が言うなら間違いないだろうと思いグッドパッチさんにコンタクトすることになったのがこのプロジェクトの始まりです。

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JINS MEME OFFICEでは「測った結果を生かして集中力を高める」というように計測後の体験を変えなくてはいけません。カッコよく集中力を測ろうということではなくて、よりハイパフォーマンスにするためのユーザー体験までを考える必要がありました。
例えば、体温計というのは37度超えたらお医者さんに行きなさいというものですが、そのお医者さんに行くという体験まで、JINS MEME OFFICEアプリで実現しているんです。

僕よりもJINS MEMEのことを考えてくれる人たち

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—実際に仕事をしてみたチームの印象はいかがでしたか?

— 井上さん
彼らは「何がユーザーにとって一番いいのか」ということについて、僕と同じくらい、時には僕よりも考えてくれているなという感覚があります。グッドパッチの人のはずなのにJINSの人なんじゃないかと思うくらい自分たちのプロダクトとしてフルコミットしてくださるんですよ。

— 徐福
井上さんが僕たちを信頼し、考える余地を与えてくださっているからだと思います。自分ごと化して、より深く考えていけるんです。

— 石井
要件は全員で決めましたね。作って壊すをチーム内で何度も繰り返していきました。井上さんは「これをこうしてください」ではなくて「こう思うんですけど、どう思いますか?」と意見を聞いてくださるんですよ。

— 井上さん
このアプリのお題は今まで誰も向かい合ってきたことのないものでした。今まで自分たちで話していた時には論点にも上がらなかった課題を指摘してくれる人って、すごく信頼できますからね。場合によっては自分たちの仕事を増やしてしまうリスクがあることでも、プロダクトにとって本当に良いことだけを言ってきてくれる。これが彼らを絶対的に信頼できる根幹の理由ですね。

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— 三橋
打ち合わせでも常に動くアウトプットを見せながら「僕たちはこう思っています」と決めてきた答えをお伝えするコミュニケーションをしています。万が一ずれていたら、すぐに正直な意見をいただけるので、作っていても本当に楽しいんですよね。

— 井上さん
いつも2案ほど持ってきてくれるんですけど、僕が聞くのは「三橋さんはどっちがいいの?」ですね。彼らをそこまで信頼している理由としては、仕事のスタンスが9割です。僕は彼らのスタンスに惚れているので「三橋さんはこれがいいと思っているんだから、9割こっちがいいんだろうな」と素直に思うんですよ。JINS MEMEのような新規事業は、開発者たちがワクワクしていないと、絶対にユーザーはワクワクしないと思っています。グッドパッチのメンバーはすごく楽しんでくれているので、そのワクワクが作るものにも反映されているんですよね。

壊すのは手戻りではなく、前に進んでいる証拠。

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—ワクワクの源はなんだったんでしょうか?

— 徐福
よくチームで仕事をしているとモヤモヤがたまってしまうことがあると思うのですが、思っていることは素直に言った方が良いんですよね。「これちょっと違くない?」とか。仮にその場の議論が発散しすぎてしまったり、一時的に空気が重くなってしまっても結果的には良いプロダクトにつながるので、思ったことは言うというのが大事だと考えています。
一人が勇気を出して「これちょっと違くない?」と言えたら「実は俺も思ってた」みたいな感情が出てくるのは決してネガティブなことではないと思ってます。言える空気ができているということですから。その空気ができていれば、スケジュールなどに左右されずプロダクトにとっていい選択肢を考えることができるようになりましたね。壁にぶつかっても「これを乗り越えたら絶対に良いプロダクトになる」とチームで確信できる状態が好ましいと思います。

— 三橋
今回の場合「これ作ったけど、やっぱりいらなくない?」という話になり、画面数がどんどん減っていきました。もちろん実装もしていたのですが、躊躇なく削ぎ落としました。(笑)実際にモノがないと「いらないね」というジャッジはできないので、モノは何かを決める軸になればいいなと思っています。

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— 石井
通常、コンセプトを決めるときは、アイディアを発散している状態なので、追加したい機能がたくさん出てきます。でも僕たちはアイディアを全て機能に載せずにあえて「集中力を可視化できる」という価値をどうしたらユーザーに面白い体験として伝えられるかということにフォーカスしました。「集中データを測定してパフォーマンスアップをサポートするアプリ」という「こういうものを作るんだ」というコンセプトを明確にするのには、チーム全員で結構な時間をかけて行いましたね。この言葉を決めることで、何があっても全員がその言葉に立ち返って判断できるんです。

アイディアを発散させることは素晴らしいことなんですが、一つのアプリを作るときには結構な足かせになってしまうんですよね。どのぐらいの粒度で必要かというと、人に「今、何を作っているの?」と聞かれた時にパッと答えられるものがあることが重要ですね。

— 徐福
最初に発散したアイディアは、市場の声を聞き、重要なものからアップデートしていければと思っています。
ものづくりをしていると、作ることが目的になってしまいがちですが、作っている時も常にユーザーの視点で自分たちに問いかけています。「これ本当に必要か?」と。僕たちが頑張って作ったというのはユーザーには全く関係ありませんからね。
手前味噌ですが、石井と三橋のすごいなと思うところは、変わっていくことへの恐怖がないところですね。「プロダクトが良くなるならやろうぜ!」と言ってくれる。一見手戻りと言われてしまうことでも批判的にならず、最終的に良くなるならやろうとリードしてくれるんです。

— 石井
一般的には、自分の仕事が増えるのが「手戻り」ですから、嫌がられますよね。仕事も壊したら増える。でもそれって、前に進んでいる証拠なんですよ。もちろんスケジュールもありますから「やばいな」とも思いますけど、それでも前に進むしかないんですよね。
デベロッパーというロールは、プロジェクトマネージャーを通して要件などを聞くことが一般的だと思うんですが、このチームは違うんです。僕も直接やりとりさせていただき、デベロッパーというロールを飛び越えた仕事ができているなと思えました。

— 三橋
デザイナーも同じで、Sketchを使いたくてものづくりをしているわけじゃないですからね。いいものを作りたくてグッドパッチにいるわけですからね。
JINSの皆さんも僕たちと一緒に同じ方向を向いているとわかっているから、絶対こっちの方がいいと自信を持って提案できるんです。もちろん思うところはたくさんあると思うのですが、物事を決めつけないで意見やアイディアを一旦受け止めてくださるんですよ。

— 井上さん
JINS MEMEのような新しい商品を作るには、今までの知見なんて使えると思わない方がいい。新しい価値は、何かを否定していては生まれないんです。

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JINS MEME OFFICEのこれから

ー JINS MEMEのアプリシリーズは様々なメディアに取り上げられ注目を集めていますね。

— 井上さん
4/13に実施したアプリ発表会以降「集中力が測れる」という新しい切り口で、数多くのメディアに取り上げられました。JINS MEMEはカラダとココロの状態を測れるのですが、今まではカラダがメインでした。今回OFFICEアプリがリリースされたことにより、集中力というココロの状態も測れるというプロダクトになったんです。僕たちが長い時間をかけて実現したかった世界に一歩近づいたんです。

— 徐福
僕たちにとっても衝撃でしたよ。自分が目の前のことに集中したら目の前のグラフがギュッと上がるんですから本当に面白い。これは、1日も早くユーザーに体験して欲しいと思いました。

— 三橋
リリースしてみて、ソーシャルなどでの反響を見ていると「集中力って測れるんだ」という声も多くあって。もし色々機能があるままだったら、これが伝わらなかったかもしれないなと思いました。まずは「集中力が測れる」という価値だけを伝えたかったので、安心しましたね。

— 徐福
職域を問わず、ユーザー体験実現のために各々のスキルを活かそうと考えるメンバーがこのチームには集まっています。非常にシンプルなものづくりができていますね。

— 井上さん
彼らは僕が求めていることをそのまま体現してくれているチームです。まだまだリリースしたばかりなので、引き続き僕たちが届けたいユーザーのことを一番に考えて、どんどんアップデートしていけたらと考えています。JINS MEMEを新しい当たり前をより多くの皆さんに手にとっていただけるよう頑張ります!

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引き続きどんどんアップデートしていくJINS MEME OFFICE。
今後のJINS MEME OFFICEチームにご期待ください!


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