こんにちは、プロジェクトマネージャーをしているsynapseです!
今回は、Goodpatchの新卒研修の一つをご紹介します。通称「社長研修」!
まず、事前に社長からお題と課題図書を提示されます。その課題図書を読んだ上でお題に対して考え、各自発表し社長とディスカッションするという内容です。

文献やオンライン上では知ることができない、現場や最前線の情報を代表の土屋から得る貴重な場となっており、新卒にとっては刺激が多いです。

今回の課題図書は、IDEOのティム・ブラウンが著者の「デザイン思考が世界を変える」。

なぜ、デザインが今のビジネスに必要なのか読み解く」をテーマに各自が発表をしました。

プロジェクトマネージャー、エンジニア、デザイナーと職種ごとに色が違う意見が出ました。

そこでこの記事では、Goodpatchの新卒研修の内容やその雰囲気をご紹介したいと思います。
入社を考えている学生の皆さんの参考になれば幸いです!

デザインとビジネスは不可分|プロジェクトマネージャー

デザインの定義が時代とともに変わり、そこから求められているデザインについて話を展開してくれました。

デザインの価値が強調されるなかで、「なぜデザインがビジネスにとって重要なのか?」という問いを耳にしたことがある人は少なくないと思います。

この問いに対して、ビジネスすることはデザインすることであり、大量生産・大量消費が始まってデザインがマス化して以降、ビジネスとデザインは切っても切り離せない存在になったと話してくれました。

1980年代頃は機能価値に、1990-2000年代はデザイン価値に重きが置かれ、かっこよさ、おしゃれさが消費者に選ばれるためのポイントになっていましたが、現在は「経験価値の時代」です。

表層的な差別化は意味をなさなくなり、人々はたくさんのものから、それを所有する意味を求めています。

ビジネス・テクノロジーがデザインを牽引していた時代から、デザインがビジネス・テクノロジーを牽引する時代になりつつあるかもしれません。

“学習=未来を感じるワクワクした体験”時代の終わり|デザイナー

デザイン思考が生まれた背景を、ユーザー体験の過去と現在の違いから考えてくれました。

過去は、どんなモノも新しく使い方がわからなかったりしても、使い方を覚える過程が新鮮でした。

「新しい技術を学ぶことで、ユーザーは自分が未来に近づいたワクワクした感覚を持てたのではないか」

当たり前が作られる前で、全てが新しかったと話してくれました。

しかし、今はどんな技術も当たり前になった時代。
昔は、ワクワクした未来として許された学習も、拒まれるようになってしまったのです。

どんなに斬新なアプリでも、iPhone,Android上で使いにくいものは「はねのける対象」でしかないのです。

ユーザーは何に困っていて、何が欲しいのか。今の時代は、しっかりと耳を傾けた上で、キャッチしやすいようにボールを投げる必要があります。「キャッチしやすいように」というのがポイントです。

この中で、デザイン思考の重要性が高まってきました。

 

組織デザインこそが実現性をあげる|エンジニア

現代のビジネスで、より良いプロダクト開発を実現するために何が必要かを話してくれました。

まず、製品もサービスもその根底にあるのは人の体験であり、デザインとはその体験の中にある本質的な課題を解決すること。そしてそれは組織そのものにも当てはまるとのこと。

ビジネスに必要な理由としては、「製品・サービスに対するデザイン」と「組織に対するデザイン」の2つがあります

1つ目は製品やサービスをデザインすることで、ユーザーが潜在的に求めている体験を見つけて提供するために必要であり、2つ目は組織をデザインすることで、それを確実に実現するために必要です。

これらのことから、製品やサービスの体験をデザインするだけではなく組織をデザインしていく姿勢が必要だと考察していました。

私が考えたこと

これまでのビジネスで顧客の声が反映されていなかったわけではないと、私は思います。

生産の初期段階での課題抽出やモノの最大の価値を伝える努力をリサーチャーやマーケッターが行なってきました。

しかし、ユーザーの体験を軸としてプロジェクト全体のファシリテーションをする役割の需要が現場の作り手側で高まりました。

創って壊すを繰り返すプロセスでは、調査だけでなくモノを形にする段階でも、ユーザーの視点を持ち意思決定を細く続けることが重要になったからです。

また、様々な意見を汲み取ることでクオリティを高めるような、多様性を求める潮流が生まれたことも理由の1つだと思います。

こういった共創と改善のプロセスが根付いている時代に注目されたのがUXデザイナーという職種ではないかと感じました。

意見交換

以上の発表を踏まえて、どの様な意見交換を行ったか、一部をご紹介します!

1. Innovation or Improvement

“イノベーティブ”とするサービスはどのように生まれるのでしょうか?

以下の2つの視点があると議論になりました。

  • 最初に構想したビジネスモデルやアイデアの種が素晴らしく大成したもの
  • 最初はイマイチだったが幾多の改善を繰り返して成功したもの

様々な成功物語があるため、一概には言えませんが、後者の例は圧倒的に多いと思います。改善の果てに後世から見ると、それは“イノベーティブ”とされるケースが多いと結論に至りました。

新規事業を打ち立てる際、ついついビジネスモデルや市場調査などのアイデアの始まりのみを見てしまいがちでした。しかし、それと同様、いや、それ以上にいかに改善が施される環境、体制があるかが重要であるとの金言は、私たち新卒メンバーの心に響きました。

具体例としては、Airbnbが挙げられました。

サービス開始当初は、人の家にお金を払ってまで宿泊するニーズがないという疑問の声が多かったり、Couchsurfingという無料宿泊サービスが先行しておりグロースしないだろうと言われていました。決して万人から受け入れられる”革命”的なアイデアではなかったと聞きます。
しかし、サービス利用者に対して直接インタビューを行う、写真をプロ仕様に変更するなど、地道な改善や修正を通して現在の地位まで上り詰めました。

2. 多数決は意味を成さない

デザインスプリントなど多くのプロセスで最終的なアイデアの絞り込みをする上で、多数決という手法が取られています。しかし、多数決は合意形成の手段として最良ではあっても、アイデアの質を決定する際に最良の手段なのか?という疑問は残りました。

日本が誇るイノベーションの代表的な事例、SONY ウォークマンも社内の企画会議では大反対を受けたと聞きます。当時、録音と再生が主な音楽プレイヤーの機能であり利便性に劣ると捉えられていたためです。
しかし、SONY創業者の盛田氏が企画の責任を引き受ける意思を表明。組織の中での合意形成、リスクの調整プロセスを打破したのです。

ここから音楽を持ち運ぶ新体験を武器に歴史に名を刻む製品となったウォークマン。多数決という意思決定プロセスを絶対的な手法として採用していたら、実現されなかったアイデアです。

人間とは自己の経験や過去の事例に依存した判断を下しがちであります。このような自分だけの信念に通じる意見に対して、納得感をいかにもってもらうか?

そのための方法として、以下の3つがあるのではないかと考察しました。

  • 自分が創業者であるなどして圧倒的なリスクをとっている。
  • 圧倒的な実績を過去に持つ。
  • 地道な信頼を勝ち得る。

社内での実績がない間は、地道な信頼を得るために日常の取り組みが物を言う。実績もなくリスクもとっていない中で事業を進める必要性が高い新卒メンバーの胸に深く突き刺さりました。

まとめ

同じ課題図書を読んでも、各職種ごとの色が出た発表となり興味深かったです!また、アイデアの始まりはもちろんだけれども、改善を施すための環境づくりこそが偉大なプロダクトの必要条件であるとの想いが一層強まりました。
プロダクト自体の改善だけでなく、改善と共創のための文化や環境を展開する姿勢を持ってGoodpatchの新卒一同精進してまいります!

個人としては、強みが異なる業種、文化が異なる企業、これらを柔軟につなぐ役割を今後担っていきたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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