メンバーインタビュー

「想像できない未来も、チームでなら実現できる」──デジタル未経験で新卒入社した三浦寛大が、部長職に就くまで

2019年にグッドパッチへ新卒入社し、サービスデザイナー、マネージャーを経て、2026年9月にディレクター(部長職)へ就任した三浦。

デジタル領域未経験で始まったキャリアは、ユーザーの声が人や組織を動かす体験と、仲間とだからこそ生み出せる価値への確信によって、大きく広がっていったと言います。

与えられた機会に向き合い、自分なりの意思を重ねながら、今度は機会をつくる側へ。新卒デザイナーが部長職になるまでに大切にしてきたことと、これから実現したい組織について聞きました。

「作ることで人はここまで感動するんだ」から始まったデザイナーへの道

──まず、デザインに興味を持ったきっかけを教えてください。

幼い頃から折り紙が大好きでアート教室にも通うなど、昔からものづくりに親しんでいました。

そこからデザインの道を意識したきっかけは、家のリフォームをするテレビ番組です。家を作ることで人が感動し、涙を流す場面を見て、「作ることで、人ってここまで感動するんだ」と強烈に感じました。

最初は建築士を目指したのですが、中学に入ると数学が全然できなくて(笑)。視野を広げて調べる中でデザイナーという職業を知り、目指すようになりました。

──大学ではプロダクトデザインを専攻していたんですよね。

木で椅子を作ったり、鉄を叩いて形にしたり、手を動かすものづくり寄りの専攻にいました。ただ、就職活動でメーカー系のインターンを受けたときに求められているクラフト力よりも、自分は企画したり考えたりする方に面白さを感じていると気付いたんです。

大学で展示企画に携わった経験も大きかったですね。来場者はどんな人で、何を届けたら喜んでもらえるのか。作品のテーマや会場の動線をどうすれば体験が豊かになるのか。そうしたことを考えながら作るのがとても楽しくて、次第に空間や体験を設計する仕事を探すようになりました。

──そこから、どのようにデジタル領域やグッドパッチへたどり着いたのでしょうか。

きっかけは、就職活動への不満をnoteに書いたことです(笑)。

ある会社説明会で「これからデザインに力を入れていく」と言いながら、新卒デザイナーは採用しないという話を聞きました。「新卒のときからデザインにのめり込める環境がほしいのに、もったいない」と書いたところ、その投稿を見た代表の土屋が当時のTwitterで声をかけてくれたんです。

当時読んだグッドパッチの記事で、UXの考え方はフィジカルなプロダクトや空間にも応用できると知ったことも、志望度が上がったきっかけでした。「自分が届けたかった『作ることで人を感動させる』ことに、手段は問わなかったんだ」と気付いたんです。空間かデジタルかではなく、体験を考えたい。その軸でグッドパッチを選びました。

成功体験の積み重ねが、次の挑戦へ進む力になった

──入社後、最初にぶつかった壁は何でしたか。

新卒研修のインタビュー演習を、30分想定のところ6分で終えてしまったことです(笑)。スクリプトを用意して臨んだのに、途中で何を聞けばよいのか分からなくなってしまって。

同期にはUXを学んできた人も多い中、自分はデジタル領域もUXも未経験でした。「自分にはUXができない」というコンプレックスから、人より努力しなければという気持ちで1年目は動いていました。

──そこから、自信につながった経験はありましたか。

いくつかのプロジェクトで得られた、成功体験が大きかったです。

シニア向けのプロダクトを手掛けた際は、利用者へのインタビューを通じて、デジタルが本当に人の生活を変え得るのだと実感しました。身体の痛みから外出が難しかった方が、サービスを使う中で少しずつ元気を取り戻し、散歩を楽しめるまでになっていた。その声を映像でクライアントへ届けると「目の前の数字を追うだけでなく、ユーザーを喜ばせるサービス運営がしたい」という想いをチームで再確認し、改めて同じ方向を向いたんです。

インタビューはアウトプットを作るための材料集めではなく、人を動かし、組織を前へ進める媒介にもなり得る。「人の声には、組織を動かす力がある」と腹落ちした経験でした。

それとは別の自動車関連のプロジェクトでは、複数のデザイナーをディレクションしながら携わりました。自分一人で手を動かすのではなく、クライアントとの信頼を保ち、チームの力を借りながら品質を担保していく。誰かと作ることで、自分一人の想像を超えるものが生まれる面白さを知りました。

苦しい場面がなかったわけではありません。それでも早い時期に「自分が関わったことで、よい変化を生み出せた」と思える経験を得られたから、まだ挑戦できると思えた。その積み重ねが、その後のキャリアを支えてくれたのだと思います。

受け取った問いを、次のメンバーへ

──キャリアの中で、今も残っている言葉はありますか。

新卒時代のマネージャーから言われた、「完了した状態を想像できていますか?」という問いです。分からないと答えると「もう一度考えてきて」と言われ、想像できたと伝えたら、「想像できたなら必ず実現できる。あとは任せた」とパスしてくれました。

ゴールを鮮明に想像できているかが、物事の成否を分ける。元をたどると「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」というジュール・ヴェルヌの言葉だそうですが、今もメンバーと向き合うときに大切にしています。

もう一つは、先輩から繰り返し問われた「ミーティングの目的は何?」「やることは分かった。やらないことは何だ?」という言葉です。目的をあいまいにしたまま走らず、やらないことを決めてスコープを明確にする。クライアントとの会話でも、チームとの議論でも意識しています。

──マネージャーになってからは、メンバーとどのように向き合ってきたのでしょうか。

マネージャーになった当初は、メンバーのプロジェクトへ深く入り、一緒にアウトプットを作りにいっていました。でも、メンバーが増えるにつれて、自分が答えを出し続けることは、相手の成長機会を奪うことにもなると気付きました。今は必要な情報は渡す一方で、考えることは相手に委ねる。そのための問いかけを意識しています。

もう一つ大切にしてきたのは、メンバーの機会を自分から取りにいくことです。自分が提案に積極的に入り、メンバーにも同席してもらう。長期のプロジェクトに入っているメンバーを提案の場へ連れ出し、経験の幅を広げる。機会は待つだけではなく、取りにいけるものだと自分自身が学んだからこそ、メンバーの打席を増やしたいと思っています。

メンバーから「自分もマネージャーをやってみたいと思い始めた」と言ってもらえる瞬間は、特にうれしいですね。自分が楽しそうに働けているのかなと思えるので。

──その後、社員総会でマネージャー賞(Most Valuable Manager)も受賞していましたよね。振り返ってみていかがですか。

正直、大それたことをしたから受賞したという感覚はありませんでした。提案がつながって売上に貢献できたこと、メンバーと向き合ってきたこと。その一つひとつを評価してもらい、「今までやってきたことは間違っていなかった」と安心できたことの方が大きかったです。燃え尽きるのではなく、「これなら続けていける」と思えました。

与えられる側から、組織を動かす側へ

──その後、ディレクター就任の話はどのように届いたのでしょうか。

組織として、意思決定をより速くし、責任を適切に分担するため、複数のディレクターを置く方針がありました。その中で、グッドパッチへ新卒で入り、カルチャーや組織を理解している自分に声をかけてもらいました。

当時は、上司から組織の意思決定やアサインの流れ、数字の見方、案件提案など、これまでより広い範囲を経験する機会をもらっていました。ちょうどマネジメントの面白さに気付き始めていた時期でもありました。より多くのメンバーを支え、組織をよい方向へ動かすことで、誰かに負荷が集中しない、健やかで持続可能な組織をつくれるならと思い、挑戦することにしました。

──マネージャーからディレクターになり、大きく変わったことは何ですか。

大きいのは、組織の売上や利益を含む数字に責任を持つことです。採用にどれくらい投資し、どんな仲間を迎えるのか。案件をどのように提案し、誰が担うのか。自分がプロジェクトを回せばよかったところから、他のメンバーが回せる環境をつくることへ、持ち場が変わりました。

自分がデリバリーの現場から離れないと、ディレクターとしての役割を守れない場面も増えています。一方で、僕は作ることが好きですし、現場感覚を失いたくはありません。組織を見る責任を果たしながら、作る側の感覚をどう保つか。そのバランスは、これから向き合っていくテーマです。

もともと、いつか自分で事業を立ち上げることを考えた時期もありました。デザインの価値を届けるには、ビジネスにつなげる必要がある。でも、自分ひとりでものを作るだけでは、仲間や環境をゼロからつくる難しさがあります。ディレクターは、規模は違っても、一つの組織を経営する感覚を実際に得られる機会でもあります。社内でキャリアを広げながら、未経験だった領域へ挑戦できることに大きな意味を感じています。

新卒の頃は、今の自分をまったく想像していませんでした。これまで会社や周囲から機会を与えてもらう側だった自分が、今度は組織を動かし、機会をつくる側へ変わってきた。新卒入社した自分がその役割を担う意味も、これから行動で示していきたいと思っています。

一人の想像から、チームで共有するビジョンへ

──「想像できたことは、必ず実現できる」という言葉は、ディレクターになった今、どのような意味を持っていますか。

これまでは、自分の中に完成のイメージがあり、それをどう実現するかを考えることが多かったです。複数のデザイナーをディレクションしたときも、自分が想像しているものを、どうすればチームで形にできるかという意識で動いていました。

ディレクターとして組織に向き合う今は、この先にどんな壁があり、組織がどう変わっていくのか、自分一人ではまだ鮮明に想像できていません。正直、不安もあります。

でも、異なる経験や視点を持つマネージャーやメンバーと一緒なら、乗り越えられるかもしれないと思っています。自分一人が答えを持つのではなく、目指す姿をチームで共有し、それぞれが想像を巡らせる。数字を積み上げ、よいものを作り、仲間を増やしながら、一歩ずつ形にしていく。今の自分にとっては、「みんなで想像できる状態をつくること」が、実現への第一歩です。

──ディレクターとして、どのようなチームをつくりたいですか。

UIやUXといった領域を分断せず、「考えること」と「作って届けること」を一気通貫で担えるチームにしたいです。体験として考えたものを、きちんと形にして社会へ届ける。そこまでやって初めて、ユーザーにもビジネスにも価値が届くと思っています。

AIによって作り方が変わる時代だからこそ、領域を越えて考え、ディレクションし、届け切る力が一層重要になります。メンバー一人ひとりが経験の幅を広げ、成長できる環境をつくりたいです。

そのために、成功体験が組織の中で循環する状態をつくりたいと思っています。僕自身、プロジェクトの早い段階で「よい変化を生み出せた」と思えたことが、次の挑戦へ進む力になりました。今度は自分が、メンバーが成功体験を得られる機会をつくり、その成果をきちんと認める側になりたい。よいものを作ることの面白さを、みんなが共有しながら走れるチームが理想です。

──プロジェクト以外でも、デザインの価値を伝える活動をされていますよね。

学校法人グロービス経営大学院でビジネスパーソンにデザインを伝える活動など、社外への啓蒙にも取り組んできました。

根底にあるのは、自分が経験してきたデザインの価値を、必要としている人に届けたいという思いです。大げさに聞こえるかもしれませんが、「デザインの力を証明したい」。その思いは、作る対象がプロダクトからチームや組織へ広がっても変わりません。

【参考記事】
https://www.goodpatch.com/blog/2026-06-globis
生成AI全盛の今、ビジネスパーソンがデザインを学ぶ意義 MBA向け授業を開講して見えてきたこと【グッドパッチ×グロービス特別対談】

機会に向き合い、自分らしさを重ねていく

──最後に、これから入社する方や後輩へ伝えたいことを教えてください。

僕自身は、最初から明確なキャリアのゴールを決めて、そこへ一直線に進んできたわけではありません。与えられたプロジェクトや役割に一つずつ向き合いながら、その中に「自分はこうしたい」という意思を少しずつ重ねてきました。

クライアントワークには、自分が知らなかった世界や、思いもよらない役割に出会える機会がたくさんあります。「なぜ自分がこれを」と思うような経験も、後になってどこかでつながるかもしれません。何でも考えずに引き受けるということではなく、どんな期待を込めて機会を渡してもらったのかを考え、まずはやり切ってみる。その過程で、自分なりの道が見えてくることもあると思います。

そして、機会を与えてもらう側から、少しずつ与える側へ変わっていく。サービスを考えるときと同じように、組織でも相手のことを考え、自分が受け取ったものを次の誰かへ渡していく。そうした循環が、よりよいチームにつながると信じています。

作ることが好きで、それを誰かに届けたい。人に興味を持ちながら、チームで自分の想像を超えるものを生み出したい。そんな方と一緒に働けたらうれしいです。

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