私たちは世界に何を残せるのか──そんな問いを背景にグッドパッチでは「MAKE A MARK」というコンセプトをグループ総会で掲げました。

グッドパッチで働くデザイナーたちは、なぜグッドパッチに集い、これから何を残していきたいのか。MAKE A MARKというコンセプトに沿って、各々が胸に秘めた思いに迫るインタビュー企画。第5回は、デザイナー特化型キャリア支援サービス「ReDesigner(リデザイナー)」の新機能であるダイレクトリクルーティングサービスのセールス兼CSを務める石原が登場。

2023年8月のグループ総会でMVC(Most Valuable Contributor)を受賞した彼女は「半径3メートル以内の人を幸せにできれば」と控えめ。にもかかわらず、他人の人生を左右しうるキャリア支援をなぜこれまで生業にしてきたのか。

一人で250社のデザイナー採用支援を担当してきた彼女が、グッドパッチだからこそ目指せるデザイナーのキャリア支援の形を語ります。

店舗販売員が「キャリアデザイナー」になるまでの7年間

私のキャリアを振り返ると、短大卒業後に3社ほど経験しています。店舗販売員などをやりながら、2017年に自然食品を扱うお店をオープンし独立しました。ずっと自分で実店舗を持つのが夢だったんです。

ですが独立後、ビジネスとして事業を大きくすることが難しいことに気づきました。当然ですよね。これまで販売員の経験しかなかったんですから。そこで、店舗運営を一度母に任せ、事業を大きくする視点を得るために2018年1月、前職にあたるキャリア教育のスタートアップに入社しました。新卒のキャリア支援事業を行う創業2年目の会社で、当時の社員は10人くらいの超スタートアップでした。

いざ働いてみるとキャリア支援の魅力にハマり、エージェントという仕事が好きになっていました。一方で、新卒のみのキャリア支援事業はもどかしさもありました。今は1社に勤め上げる人は少なく、多くの人が転職を経験する時代。新卒でキャリア支援をした方が転職する際、もしまた自分に相談してくれても、今のままの私では期待に応えられないと思ったんです。

その子たちの生涯に寄り添ってキャリア支援をすることができない。そう考え、エージェントという仕事を極めるために、中途のキャリア支援ができる企業への転職を決めました。

転職では、代表の考えに共感できるかを大切にしていました。そんなとき、たまたまグッドパッチがキャリアアドバイザーを募集していて。もともと、代表土屋さんの発信を見ていたのでグッドパッチのことは知っていたんです。創業当時かつ代表なのに、20時には家に帰る。そんな家族第一主義なのに、妥協せずに会社の成長を追い求めている土屋さんのスタンスが素敵だと感じていました。

代表土屋のブログ「家族がいる起業家の働き方」

経験を生かしながらグッドパッチでエージェントとして働きたい。そう考え、デザイナー特化型キャリア支援サービス「ReDesigner」のキャリアデザイナーとして2019年9月に入社しました。

担当250社のトップセールスが、仕事で大切にしていたこと

入社1年目は毎日が手探りで、実はあまり覚えていません(笑)。中途のキャリア支援はもちろん、デザインに関する知識も経験もなかったので、デザイナーとの面談でも信頼を勝ち取れない。結果にもつながりませんでした。

見かねたマネージャーは、私が企業対応専任になるよう調整してくれました。その後、1年間で250社を一人で担当することになります。今思うとこれが本当によかった。人事、エンジニア、デザインマネージャー、CDOなど、職種も企業規模もさまざまな方とお話しをさせてもらうことでやっと感覚が掴めたんです。

入社3年目、企業専任担当になりちょうど1年たったころ。キャリアデザイナーとしての業務を再スタートしました。やっとデザイナーと共通の言語で話せた感覚を得られたのは、うれしかったですね。

ここでようやく、チームとしての理想系であるデザイナーとの面談と企業対応、両面を担当する形に戻すことができました。企業のニーズを知っているからこそデザイナーときちんと対峙できる、というのがReDesignerの価値観だったんです。

キャリア支援って、最終意思決定者はクライアント企業やデザイナーさん本人。私たちキャリアデザイナーは、選択の土台を作ることしかできません。デザイナー採用経験のない人事担当者の方には、採用要件の整理からお手伝いすることもあります。採用したいデザイナー像を詳しくヒアリングしながら、デザイナーが魅力に感じる環境をインプットすることもあります。

そんな整理を通じて、私もその企業の魅力や風土を知る。求人票に載っている情報でスキルマッチはできますが、企業風土までは分かりません。例えばデザイン部のトップにあたる人の出身はエンジニアなのかPdMなのか、それともアカデミックにデザインを学んできた人なのかで部の雰囲気は全く異なります。

企業の深いところまで伺い、企業の皆さんが気付いていない魅力もお伝えしていく。それをデザイナーにもお話しする。これをコツコツと繰り返す──そんな日々の積み重ねが実ったのか、2023年8月に開催されたグッドパッチグループの社員総会で、表彰もしていただきました。

もともと表に立つのが苦手で、実は受賞時もできれば顔出ししたくない気持ちすらあったのですが、長年採用支援を行っているクライアントさんから祝福のメッセージムービーをいただいて。これにはグッとくるものがありましたね。表彰されることによって、自分の周りの人が誇らしく思ってくれるのはとてもうれしかったです。

三方良しは「綺麗事」? 理想に向けてブレーキを踏まないチームが心地いい

キャリアデザイナーという仕事を120%の力でやってみて、少し結果が出てきたと自分でも言える状況になったものの、同時にこの頃、自分が本当に向き合いたいことは何かを考えるようになりました。知られていない企業の魅力をもっともっと知ってもらいたい、と強く思うようになったんです。

このことをマネージャーに相談したところ、ReDesignerの新機能である「ダイレクトリクルーティング」のセールス兼CS担当を打診され、挑戦を決めました。

この決断に迷いはありません。私は以前からクライアント企業の成功を考えることが純粋に楽しかったんです。プレッシャーに思うことはありますし、今でも担当しているすべての企業へ貢献できているかと言われればそうではありません。それでも、企業のデザイナー採用のお手伝いに全力を出したいと思ったんです。

とはいえ、プロダクト開発という未経験分野へのゼロからの挑戦であるわけで、不安はありましたが、実際にスタートしてその不安はすぐに払拭されました。

分からないことだらけな私に開発チームのエンジニアやほかのメンバーが「理想だけ語ってくれ」と言うんですよ。「クライアントや求職者のことを考えた時に、サービスがどうあるべきかだけを語ってくれ。どうしたら実現できるかは、自分たちが考えるから」って。

4年間ずっとクライアントに向き合い、課題に感じていることを見てきました。そこに関してチームメンバーに共有をする。すると、要件の優先順位や実装タイミングを整理しながら、エンジニアとデザイナーがこうしたらどうかと提案をしてくれるんです。ユーザーのことを本気で考えて自走する、本当にいいチームだなと誇りに思いました。

石原が携わる、ダイレクトリクルーティング機能に関するプレスリリース

大切にしている価値観を考えてみると、「三方良し」という言葉が浮かびます。クライアント、ユーザーであるデザイナー、そしてReDesignerチームそれぞれ利益があり、理想の形に近づけていくことを大切にしています。

難しいことですが、ReDesignerはそんな綺麗事を実現するために力を注ぐチームです。自分が「こうしたい」という気持ちがあっても、チームから「そこまでやらなくても」と言われるのって本当に苦しい。ReDesignerはそれが絶対にないのが心地いいんです。

矛盾するようですが、一方で自分ができることってすごく少ないという気持ちもあります。私が何か爪痕を残せることはないと。だからこそ、少なくとも目の前の人の課題解決を手助けしたい。「半径3メートル以内の人を幸せにしたい」と思っています。

迷ったときの目印に。デザイナーのキャリアを照らす「灯台」でありたい

今、デザイナーを取り巻く環境は大きく変化しています。デザイナーに求められる役割がどんどん複雑に、広範囲になってきていますし、デジタルプロダクトデザイナーの採用ニーズも上昇しています。5年前は、コミュニケーションデザイナーやデザインストラテジストという求人は、日本にほとんどありませんでした。

企業におけるデザイン投資のトレンドやデザイナー採用ニーズなどをまとめたReDesigner Design Data Book2022

こういった変化に応じて、デザイナーが活躍する場をつくることをミッションに掲げるReDesignerとしては、デザイナーを取り巻くプロダクト開発に関わるすべての人に、デザインを理解してもらうことを目指さなければいけなくなってきたと考えています。デザイナーの役割が複雑化したことにより、デザインをデザイナーだけのものとして扱いづらくなってきているからです。

PdM、エンジニア、CS──プロダクト開発に関わる人に向けて「デザインってこういうことができるんですよ。デザイナーってこんな役割を担えるんですよ」ということをより広く発信していく必要があります。

ReDesignerのユーザーは、こんな変わりゆく環境でキャリアの先陣を切るデザイナーたち。彼ら彼女らにとってReDesignerは「灯台」のような存在でありたいんです。周囲を優しく照らし続けて「迷ったときはここに戻ってくればいい」と思って欲しい。「キャリアに悩んだら、ReDesignerに相談しよう」とデザイナーたちが第一想起するサービスになる。

その上で、クライアントからは「ReDesignerがなかったら、この未来はなかった」と言ってもらえるようになりたいです。

ReDesignerがあるから求めていたデザイナーを採用できて、今までできなかったことに挑戦できる。本質的な課題解決に向き合えるデザイナーの採用は、会社の売上に直結すると思っています。ReDesignerは、そんな出会いを創造できるポテンシャルのあるサービスです。ただ、今はその理想には遠く及びません。そんな高品質な価値提供を、ReDesignerの一員として目指したいです。

個人としては、目の前の人の辛さを少しでも取り除ける人間でありたいです。相談に来る方は、何かしらキャリアに悩みを抱えています。たまたま知り合えたからには、こういった辛さや違和感を取り除ける存在でありたいなと。

あとは自分のポジティブな感情に気付いてほしいですね。「これが好き」「こうなりたかったんだ」を見つけてもらう。それが仕事の原動力なのかもしれません。助けたい、なんておこがましいですが、せめてしんどい気持ちを減らしたい。そんな日々をコツコツ積み重ねていきたいです。

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