2024年はどんな年にしたいか──グラフィティ年賀状に込めた想いと制作プロセス
こんにちは、Goodpatch UIデザイナーの菅原です。
Goodpatchでは毎年年末に、1年間の感謝の気持ちを込めて、クライアントや社員の家族、その他仕事上でお世話になった方々へ送る「ホリデーカード」を制作しています。
▲これまで制作したホリデーカードたち
これらのホリデーカードは、担当するデザイナーがGoodpatchの1年間を振り返って、出来事や象徴を想起させるコンセプトやモチーフから考え、制作しています。今年のカードは、僕が担当することになり、制作を進めていましたが、今回は元々の目的からさらに「私たちらしく、力強く前進していきたい」という思いも表現したく、伝える内容をアップデートしてみました。
今回の記事では、どのようなプロセスを経て「グラフィティ年賀状」が生まれたのか、制作においてどんな工夫をしたのか、紹介できればと思います。
目次
総会のコンセプトから、最適なデザインや媒体を選ぶ
ホリデーカードとして制作を始めたばかりの頃、2023年のGoodpatchは多くの企業や団体と業務提携や協定を結んだり、サービス提供領域や専門性の拡張に取り組んだ1年でした。変化の大きさを表現しようと、ホリデーカードにも変化をつけようと試みていました。それに加え、来年はさらに力強く前進し、Goodpatchと働くのがワクワクするようなデザインを目指しました。
そこで着目したのは2023年の総会コンセプトである「MAKE A MARK」です。
私たちは世界に何を残せるのか?
現状を問い直し、挑戦することで残るものが
デザインの力を証明してくれる。MAKE A MARK.
私たちは世界を前進させるために集まっている。
次の常識を、文化を残そう。
強い信念と情熱を持つ挑戦者を後押しすること、現状を問い直し自らも挑戦し続けること、つまりMAKE A MARK(=爪痕を残す)することが、Goodpatchのミッションである「デザインの力を証明する」ことにつながっていく。自分が伝えたいことにぴったりでした。
そこで「MAKE A MARK」を自分なりに表現したいと思い、「グラフィティ」でコンセプトを再解釈。グラフィティは、元々仲間を勇気づけるシンボル的立ち位置であったり、仲間や自分の名前を主張するためのものでした。また、グラフィティの語源はイタリア語の「graffio」からきていて、“引っかく“という意味です。これは「世界に爪痕を残す」=「MAKE A MARK」ともリンクします。
以上のことから、「今年も共に領域を超え、次の常識や文化、インパクトを残していきたい」という私たちの新しい1年の姿勢を象徴し、見る人を勇気づける新年のご挨拶=グラフィティ年賀状を制作することにしました。
グラフィティを手で覚える
まずは世の中にあるグラフィティを見て、パターンや細部を分析したりプロクリエイトやスケッチでの模写を繰り返して、可読性を担保した上で「どんな書き方をするとグラフィティっぽく見えるのか」を手と頭で覚えていきます。
年賀状らしさを加えていく
グラフィティの書き方がある程度掴めた段階で、次は年賀状としてのトータルデザインも同時に検討します。グラフィティの大まかな形を決める前に画面全体の構成や世界観を先に決めることで、それに合う相応しいグラフィティが見えてくるからです。今年は辰年なので、龍の要素や、2024の数字も含めてレイアウトを組んでいきました。
辰(龍)は、天に昇る様子から、中国では古来より成功や発展の象徴として、縁起がよいとされています。それに合わせて今回は頭が左上、尻尾が右下と天高く昇ろうとする龍をグラフィティに組み込んだデザインにしました。
Goodpatchらしさの模索
グラフィティの文字組もある程度固まってきたら、色つけや陰影、テクスチャの書き込みをし、全体の世界観をさらにイメージできるようにしていきました。この工程を踏んでおくことで、「爪痕を残す姿勢や覚悟」がどの要素で表現できているのかが判断しやすくなります。それに合わせて文字の比重や全体的なフォルム、尻尾のカーブも含めて同時に調整を加えます。
色を模索していく上で、もらった人が見て「Goodpatchからの贈り物」であることがパッと分かるようにコーポレートカラーでもある青基調のグラフィティにしました。
グラフィックのブラッシュアップ
青色のグラフィティ、天まで昇る龍など伝えたいコンセプトに沿った要素が揃ってきた段階で、ここからいよいよグラフィティのクオリティをひたすら上げていきます。
この段階で目指したいのは「爪痕を残す姿勢や覚悟」を見る人が感じ、感化されるようなハートを揺さぶるデザインです。文字として読めるだけでなく、細部の一つ一つから心を奮い立たせられる要素を盛り込んでいけるようブラッシュアップをしていきます。文字のテクスチャには飛沫や掠れ、龍の鱗を追加して力強い勢い、重厚感を演出させます。
また、背景には新年の快調なスタートに合うようなペイントの飛沫を散らしました。より文字が目立つようコントラストを意識しつつ、足し算と引き算を繰り返していきます。
龍との相性が良い、年賀状らしさをより演出してくれる雲は、形や全体の配置を修正していきました。うねうねの加減を減らしたり、青基調のグラフィティになじむよう、明るい白を使用しないなど調整し、グラフィティより目立たない(むしろ強調してくれる)存在にしていきます。
「2024」も、全体の印象をぐっと引き締めてくれる重要な存在です。グラフィティによくある「タギング(マーカーやスプレーペンキで描かれた落書きの一種)」調になるよう、抑揚と勢いをつけていきます。「2024」はあくまでグラフィティを引き立たせつつ全体の勢いを象徴する立ち位置なので、ステッカー基調の案からよりなじむ白地のデザインへと収束させました。
「MAKE A MARK-今年も次の常識を、文化を共に残そう」
こうして調整を重ねて完成したのがこのデザインです。1年の感謝の気持ちに加え「2024年も期待を超えていきます!」という力強い思いをグラフィティに込めることができたかと思います。
今後はステッカーとしてプリントし、グッズ展開を検討しています。PCや家具など、実際にどこかに貼ることで「今までの歴史や文化を塗り替える=上書きする」コンセプトをより多くの人に実感してもらえたらと思います。
次の常識を、文化を残そう
グラフィティ年賀状を見た社外の方々からは、「かっこいい、クール」などの声を頂いて、一年の良いスタートが切れました。
今までの枠組みを見直し、より伝えたい想いが最大限に伝わる手段を選んだというプロセス自体が、「MAKE A MARK」として新しい常識や文化を作る第一歩を作者自身が体感できました。
Goodpatchでは、今回の年賀グラフィティ年賀状に限らず、デザイナーが自身の思いを込めて日々新たなチャレンジに取り組んでいます。
このグラフィティ年賀状が、見る方全員の2024年の勢いを後押しするものになれば幸いです。それではまた!