世の中にデザイナーを増やすために

グッドパッチが運営するReDesigner for Studentは、「世の中にデザイナーを増やす」をミッションにスタートした新卒デザイナー特化型就活支援サービスです。
この度、ReDesigner for Studentは3周年を迎えました。デザインの力を信じる企業・学校・学生の皆さまの支えがあったからこそです。心よりお礼申し上げます!

その記念としてこの3周年のタイミングで、ReDesigner for Studentをご利用いただいている企業の方々にご協力いただき、「新卒デザイナー採用を通してどんな未来を実現したいか」について語っていただきました。
そちらをブランドムービーとしてまとめたのがこちらになります。ぜひご覧いただければ幸いです。

さて本記事では、このブランドムービーだけでは伝えきることの出来ない、我々から見た「デザイナー業界の人材育成の課題」そして「ReDesigner for Studentが今もこれからも取り組んでいくこと」をお伝えします。

デザイン業界における人材の課題

近年日本においても、デザイン/デザイナーの意義について議論される機会が増えました。その象徴として、「デザイン経営」宣言DXレポートがあります。

デザインの社会的意義や価値が見直されることは喜ばしいことです。ただその一方で、デザイナーに求められる諸要件やカバー範囲が広範化することも必然となります。DXを推進したり、サービスを考案したり、事業戦略を練ったり、今までならビジネス部門の人間を中心に車座になって議論を進めていたところに、デザイナーが要請されるわけです。
そのため、中途採用や副業・フリーランスの採用市場は熾烈なパイの奪い合いになっています。特にデジタル庁のCDO(チーフデザインオフィサー)の設置や、デジタルデザインの経験をバックグラウンドに持つ浅沼さんがデジタル監に就任するなどの変化が起きているデジタルデザインの業界では、ソフトウェアやユーザーインターフェースのデザイン経験を持つデザイナーの需要が急速に高まっています。

さて、こうした急激な社会の変化に対して、教育業界や新卒採用市場はどのように変化しているでしょうか。

基本的に学校は企業のニーズに合わせた人材育成をするための機関ではない

まず前提として、特に大学のような教育機関というのは、特定の業界・企業のニーズに合わせて人材を育成するための場所ではありません。
もちろん大学でも近年、PBL(Project Based Learning)型演習や産学連携の実践学習に力を入れるなど、社会の要請に合わせた努力がなされています。また、どこの大学においてもキャリアセンターのような部署が設置されていて、キャリア支援や教育指導を行っています。しかしたとえ美大のような単科大学であったとしても、ファインアート、建築、映像、グラフィックデザイン、プロダクト等々、広範なデザイナーキャリアの専門指導をキャリアセンター職員が行うことは容易ではありません。

また大学のような教育機関は、「デザイナーに求められる要件の広範化」や「デジタルデザインのニーズの高まり」のような急速かつ劇的な変化に合わせられるような、専門学科学部の再編やカリキュラム改革を繰り返せるような仕組みにはなっていません。大学というのは入学時に四年間のカリキュラム(=教育目標を達成するために編成された教育内容の計画)が提示されるため、「必修科目を増やして新しいツールを身につけさせよう」といったことは難しいのです。まだ将来が白紙でどんな職能を身につけるべきか未定の学生に対して、決められた単位数・コマ数の中で専門性と汎用性のバランスを保ちながら修学を進めてもらう必要があります。
一方でこうした背景があるにも関わらずデザイナー採用する企業側が高い採用条件を設定してしまっていることも少なくないように感じています。

就職活動が「実践学習の場」として機能するように

ReDesigner for Studentが実現したいのは、このような軋轢がもう少し和らぐような就活市場を作っていくことです。
こうした「教育機関のあり方」と「社会ニーズ」の間で板挟みになる新卒デザイナーたちが、学校で学んだことを活用/土台にしながら実績を重ね、徐々に社会人デザイナーになっていけるような就活市場を作っていくこと。つまり長期的に企業とデザイナー志望学生が双方向のコミュニケーションができるサービスをイメージしています。

 

これを実現するためには、企業、学校との協力体制を構築することが必須条件となります。
冒頭のムービーをご覧頂ければわかる通り、ありがたいことにReDesigner for Studentをご利用いただく企業さまはいずれも採用活動を通して、「新卒デザイナーたちに成長を促す、ひいては世の中にデザイナーを増やす」というミッションに共感をいただいております。
このムービーは、顧客であると同時に、上記のような健全な就活市場の構築、そしてそれをきっかけに社会課題に取り組む「コミュニティメンバー」たちの言葉が綴られていると言えるかもしれません。

前出の通り実績のあるデザイナーの採用が熾烈であることと裏腹に、新卒はどうしてもポテンシャルを見た採用となるため、企業としても予算をかけづらくなるということです。
それでも、デザイナーを増やすことの価値を信じ、私たちと一緒にデザイナー新卒採用を盛り上げてくださっているパートナーの皆さまには本当に感謝をしています。実績のあるデザイナーを増やしていくためには、その実績を積むための「現場」が、もっとたくさん必要だからです。

ReDesigner for Studentの存在意義

「専門教育〜採用システムには、解決すべき課題が潜んでいる」と私たちは考えています。デジタルトランスフォーメーションを進めてゆくにあたって、特にデジタルネイティブ世代のデザイナーたちが社会進出しやすい仕組みを作ることは急務です。
私たちが意識しているのは、 ReDesigner for Studentが学校でも企業でもない「サードプレイス」として機能することです。

どれだけ教育現場で工夫をしていても、カリキュラムに沿って学ぶ学校という場所の価値観はサイロ化しやすい構造です。特に就職活動は「意識が高い」といった言葉で揶揄されがちで、学生が学生同士で大学の中の価値観にお互いを留めようとするような同調圧力が働きがちです。
そういう中で、ReDesigner for Studentのキャリアデザイナーは学内の先生方とはまた別の観点から学生ポートフォリオに対してフィードバックしたり、キャリアセンターとは違う形での業界の捉え方を提示するように勤めています。またサービス内で他大学の学生同士で作品にフィードバックを送り合う機能や、企業さまから提供いただいた課題に中間講評を挟みながら取り組むコンペなども実施しています。

終わりに

今回ムービーに出演いただいた企業さまを僭越ながら「コミュニティメンバー」と称しました。ReDesigner for Studentはこれからもこの仲間を増やし、より多くのデザイナーを社会に送り出すためのインフラとなっていく所存です。これからもどうぞよろしくお願いします!

我々ReDesignerグループは元々、新卒ファーストキャリアから、キャリア支援(転職・副業・フリーランス)まで、デザイナーの人生に伴走するべく生まれたサービスです。
是非、ReDesignerに興味を持った企業様や団体、学校様などご一報いただき、一緒に業界を盛り上げませんか?

参考資料:ReDesigner for Studentについて

採用担当者向け:https://lp.redesigner.jp/student-business/download
学校向け:https://lp.redesigner.jp/student-business/download-edu