Goodpatchのブランドエクスペリエンス(以下、BX)デザインユニットは、企業やサービスの本質的、かつ持続可能な「感動価値」を最大化することを目指すチームです。

主に戦略・事業計画に強みを持つデザインストラテジスト、価値創造・ストーリーテリングに強みを持つBXデザイナーで編成され、戦略的かつビジョン・ドリブンなブランド構築を行っています。

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そんなBXデザインチームには、どんな人がいるのか?それを皆さんに知ってもらうため、BXデザイナー米永さら沙がパーソナリティをつとめる「BXラジオ」。

#1では13年間ロンドンに在住しデザイナーとして働いたのち、帰国してGoodpatchに入社した石井をゲストに迎えてお話ししました。
日本とロンドンのデザインの違いとは?Goodpatch BXデザイナーのBXラジオ #1

BXラジオでは、ゲストと一緒にこんなことをお話ししています。

  • Goodpatchに入社するまでのキャリア
  • これまでの環境との違い、ギャップを感じたこと
  • BXデザイナーとして大切にしていること
  • クライアントワークでの取り組み紹介

今回はBXデザイナーの中林ゲスト。制作会社を経て、GoodpatchでBXデザイナーとして働き始めてから感じた環境の違いや、現在クライアントと接する上で大切にしていることなどを紐解きます。

オープニング

米永:
今日のゲストはBXデザイナーの「ばしさん」こと、中林さん。半年ほど前にGoodpatchに中途で入ってくれたベテランデザイナーです。簡単に自己紹介してもらいつつ、中林さんのデザイナー人生、Goodpatch入ってどんなことしているか、これからやりたいことなどを聞いてみたいと思います。よろしくお願いします!

中林:
ぬるっと始まるんだね(笑)。中林と申します。GoodpatchでBXデザイナーをやらせてもらっています。千葉大学の大学院を出て広告制作会社に新卒入社し、コーポレートサイト制作をメインで取り組んだ後、転職しSIerでWebを中心に制作していました。その後、クリエイティブ制作会社でサイネージやデジタル全般のアートディレクションを担当し、2020年6月にGoodpatchにジョインしました。

 

課題解決を目的としたデザインが好き。学生時代からの変わらない想い

米永:
ばしさんが、一番最初にデザイナーを志したのはいつでしたか?

中林:
高校生の頃から絵を描くのが好きで美大を目指していました。ある時、美術の先生から「デザイン科というのがあるよ」と教えてもらったのが、デザイナーを目指したきっかけですね。気になって入学試験の内容を見たら、「石鹸のパッケージの箱を作る」という出題で、それに取り組んでみたらすごく面白くて。初めて自分で使い勝手を考えたものを具体的な形にしていくのが楽しく、デザイン科を本格的に目指すようになりました。デザインって絵を描くのとはまた別の領域で、設計に近い領域ですよね。自分の性格的に課題解決などを考える方が好きだったんです。当時はデザイン思考という考えも浸透していなかったので、デザインという発想そのものも新鮮でした。

米永:
いいですね。入学後、デザイン科ではどのように過ごしていましたか?

中林:
正直、ぐーたらしてましたね(笑)。僕は自己制作となると腰が重くなってしまうタイプなんです。課題解決が好きなので、好きなものを作っていいよと言われても制作衝動が湧かないんですよね。

米永:
頼まれた課題に対して応えたいという感覚ですよね。中林さんは課題解決が本当に好きっていうことですね。そうなると、就活の時はどういう基準で会社を見ていたんですか?

中林:
紙系・印刷系の会社と、デジタル系・Web制作中心の会社を見ていました。今後のトレンドを踏まえるとデジタル領域の制作の方が面白そうだと感じたので、デジタル系の会社に入社しました。

1社目の会社に在籍したのは1年強ほどだったのですが、結構いい経験させてもらったなと思っていて。当時はFlashが全盛期でコーポレートサイトみたいなカッチリしたものはHTMLで書き、キャンペーンサイトはFlashでゴリゴリ作るのが一般的でした。でも僕が在籍していた会社はコーポレートサイトもFlashで作成していたんです。僕はUIにモーションをつけるフェーズを担当していて、その時に演出と使いやすさを両立させるようなモーションの使い方を教えてもらいました。

人に接する領域で、デザイン制作のアプローチを応用するBXデザイン

米永:
ばしさんは、Goodpatchに転職された際、事業会社と迷われていたんですよね。

中林:
そうです。もともと前職では広告制作やイベント制作をやっていて、納期が短い上に公開期間も短く、クリエイティブに対して「作って終わり」という関わり方でした。もう少しユーザーに近い位置で、長期的な案件をやりたいなと思ったのが転職のきっかけです。転職の目的を達成するにはUI/UXデザイナーが一番近道だろうと自分の中で思っていたので、最初はUI/UXデザイナーとして転職活動をしていました。受けていた会社は、Goodpatch以外だと、事業会社、広告代理店のなかで新規事業立ち上げを受け持つ部門など、幅広いのですが、全部UI/UXデザイナーとして応募しました。GoodpatchはもちろんUI/UX領域で有名な会社なので最初から受けようと思っていたのですが、たまたまWantedlyでBXデザイナーやBXデザインのことを知ったんです。それまではBXっていう言葉も聞いたことなかったので募集要項を読んだのですが、正直何をやるかよく分からなくて(笑)。でもわからないからとにかく面談でBXについて聞いた上で、UI/UXの話を聞けばいいやというノリで話を聞きに行きましたね。

米永:
実際に話を聞いてみてどうでしたか?

中林:
「BXとは何なのか」を謙さん(BXユニットディレクター 難波謙太)と、面談という形でお話させてもらいました。元々謙さんも海外の名だたるクライアントを相手にデジタルクリエイティブを最前線でやっていた方で、すごいキャリアを持った上で今Goodpatchでマネージャーをしていることが印象的でした。もちろん謙さんの関わっていた案件は、僕の経験してきたものとは規模もクオリティも違うのですが、これまで僕が経験してきたデジタル制作の延長線上にBXデザインがあるなと気づいたんです。話を聞く前は「ブランド=すごく高尚なもの」で、難易度が高く一種の学問のようなアプローチなのかと思っていたのですが、最終的には「人と接するものを”作る”」という考え方がしっくりきました。Goodpatchのアプローチは、前職で取り組んでいた制作のプロセスにかなり近いと気付けたのがすごく良いポイントでしたね。アプローチは変えずに、もっと人に近いところで長期的にクリエイティブに関わりたいという思いにぴったりはまり、チャレンジのしがいを感じました。

米永:
確かにGoodpatchのBXデザイナーは、元々制作をやっていた人たちがその延長線で開拓してきた領域なので、”作る”というところから絶対離れていかないんですよね。

中林:
それまでデザイナーとしてずっと手を動かしてきた僕からすると受け入れやすかったです。「アプローチを変えなくていいんだ」という安心感がありました。

米永:
わかります。数年前、私がBXに全く関わっていなかった頃は、ブランド領域ってマーケティングなどのデザイン以外のことへの知見が深くないといけないと思っていました。

図式化という得意分野でクライアントワークを前進させる

米永:
GoodpatchのBXデザイナーとしてお仕事をスタートして、半年ぐらい経ちましたが、実際にどんなことをやられていたのか伺いたいです。

中林:
これまで2案件に関わらせていただいていて、1案件目はBXというより新規事業開発のためアイデア創出のプロジェクトに2ヶ月間関わりました。最初に仮説を立ててアイデアを発散し、それを可視化するという作業を行なっていました。

米永:
プロジェクト内ではBXデザイナーとしてどのように立ち回っていましたか?

中林:
Goodpatch側は、UXデザイナーが2名、PMが1名、僕も入れて4人のチームでした。最初は特に役割分担はせず、みんなと一緒にアイデアを考えたり、そのプロセスをビジュアライズしてまとめたりしていましたね。後半では、チームメンバーの得意分野で作業を分担し、僕はアイデアをより伝わりやすいようにストーリー化して、リーフレットに落とし込む作業をしていました。

米永:
転職して一発目の案件なのでBXデザイナーとしては初めての仕事だったと思うのですが、ばしさんはすぐ馴染んで取り組んでいらっしゃいましたよね。次の案件はいかがでしたか?

中林:
2つ目はBX案件でした。実際にクライアントが営業をする際のアウター用コミュニケーションツールを作るというのが元々の要件でしたが、プロジェクトを進めていくうちにインナーコミュニケーションの必要も出てきたので、社内外に領域が広がるBXでやりがいがありました。


営業資料の刷新や、インナー向け Vision / Mission / Value 策定を支援したプロジェクトのインタビュー

https://goodpatch.com/blog/simount

米永:
クライアントの多種多様な課題に合わせて当初のプロセスをアップデートするために、プロセスを組み換えていくことが必要だったんですね。途中でのプロセス変更って少しハードルが高い印象があるのですが、ばしさんがどのようなマインドセットで案件に取り組んでいらっしゃったか教えてください。 

中林:
最初の案件でうまくいかなかったと思うところがあって。前半みんなでアイデア考える時、今までアイデア創出という領域は初めてだったこともあり、僕自身ちょっと後手に回ってしまったんです。でもやはり前半のプロセスの部分でも自分なりの価値提供ができないか模索した結果、議論の中で出た抽象概念を図式化・構造化することを意識していました。具体的にはワークショップ中に、XD上でその場で図解化したものを見せたりしていました。図を用いると、言語化が難しい箇所の議論が明らかに活発になり、クライアントさんからもかなり好評でした。

米永:
素晴らしいですね!自分の得意分野を違う領域で発揮するって、まさにGoodpatchのバリューの”Go Beyond”のお手本だと思います。

株式会社SImount(シマント)とのプロジェクトでは議論を可視化することを心がけた

 

客観的な視点を失わない、最もクライアントに寄り添うパートナーへ

米永:
これまで2つの案件に関わられてみて、Goodpatchに入社する前と後でギャップがもしあれば教えてください。

中林:
案件に対して4ヶ月など、長期間にわたって関わるところがこれまでとは全く違います。また、長期間の案件ではインプットとアウトプットの切り替え方がすごく難しいことにも気づきました。インプットすればするほど、情報量が増えるので整理が困難になりますし、視点やマインドがクライアントさんとほぼ同化してしまいます。同じくらいの熱量でコミットすることは大切なのですが、客観的な視点を求めてGoodpatchに依頼していただいている背景もあると思うので、クライアントさんと同じ悩みを同じタイミングで抱えることは避けたい。そのためにいつも「解脱」して、スーっと外の目線でプロジェクトを見ることを意識しています。

米永:
解脱(笑)!?意識して自分を自分で俯瞰するイメージですか?

中林:
俯瞰するイメージを持っておかないと、入り込んだままになってしまうんです。具体的には、第三者に案件のプロセスを説明したり、第三者から意見をもらったりすることで、案件を客観視できることは多いですね。Goodpatchの人たちはこれができている人が多いのですごいと思っています。

米永:
BX案件は型が決まっていないのでアウトプットのイメージが固まるまでが結構大変で、決まるまでは結構ハラハラしますよね。本当にいろんな角度からリサーチして大体アウトプットの型が見えてくると、今度はそのアウトプットのために必要なインプットはなんだろうという逆の視点に切り替わるというグラデーションの時期を経て、最終アウトプットを作っていくイメージです。私は種を集めてから一気に作るタイプなので、ギリギリまで手を動かさないだけなのもあるかもしれないですが(笑)。

中林:
すごい…!僕は逆に、早めの段階で小さく作って壊すを繰り返したいですね。最後にまとめきれなかったらどうしようと不安になっちゃうんです。
行ったり来たりするのがあらゆる仕事をする上で理想的なプロセスだとは思うのですが、デザイナーの場合使う脳味噌がかなり異なってくる気がしています。

米永:
わかります。デザイン作る時って超集中モードじゃないですか。対してインプットは広域にアンテナを張ってるので、意識の方向性が真逆なんですよ。それを1人格でやるのは難しいですよね。
BXデザイナーに限らず、Goodpatchのデザイナーはみんな超集中モードと俯瞰モードを上手に切り替えているので超人的だなと感じます。

大事なのはクライアントとの心の距離感。BXデザイナーになってよかったと思う瞬間

米永:
BXデザイナーになってよかったと感じる瞬間があれば教えていただけますか?

中林:
まだ駆け出しのBXデザイナーなので難しいのですが。クライアントさんに急に「5000円貸して」って言われた時に、「いいよ。返さなくて」って言えるような関係になった瞬間ですかね。

米永:
そんなことあったんですか!?

中林:
本当にあったわけではないですよ(笑)。BXデザイナーになる前は、仮想人格に対してロゴを作ったりアートディレクションするため、クライアントという「人」の部分に向き合うことはありませんでした。それに対してBXデザインは、制作とアプローチは一緒なのですが、「この人がどのように使うか」という観点で解像度高く取り組むので、本当にクライアントの「人」の部分を理解していないといいものが作れないんです。で、「ちゃんとクライアントに寄り添っていること」の基準値が、「5000円を貸して」と言われた時に、相手のことを理解してお金を貸してあげられる関係かどうかだと思ったんです。
「どんなものを作れたか」よりも、心の距離が縮まったと思えるようなクライアントさんの発言やインプットを見つけられた瞬間が、BXデザイナーとして準備が整ったと思える瞬間だと思います。

米永:
デザイナーって、最終アウトプットを作るという意味で「コトに向き合う・モノに向き合う」ことが本質だとは思うんですけど、アウトプット以前の段階でクライアントの組織や心にもパートナーとして入り込んでいかないと、想いがちゃんとアウトプットにのらないですよね。
クライアントとの心の距離を大事にしようねという話は、BXチーム内でもよくしているじゃないですか。それをばしさんが自然とやってくれていると知れて、嬉しくなりました。

米永:
ばしさんが、これからBXデザイナーとして挑戦したいことはありますか?

中林:
リアル空間で触れられるもののデザインにはトライしてみたいです。今はコロナ渦なのであまり適していないとは思いますが、企業のエントランスって社内外の人が通る場所で、その企業の想いが集約される場所だと思うので、いつかは挑戦してみたい。オフィスの動線なども考えて、終業後に社内の人がエントランスで飲み会をできるような場づくりができたら楽しいなとか、考えてます。

米永:
会社の顔であるエントランスで「最初に何を感じてもらいたいのか」「どういう会社だと来訪者に伝えたいのか」というところは、BXのアプローチに転換できることもありそうですし、BXデザイナーが扱うのはデジタルプロダクトだけじゃないですもんね。面白い!ぜひやりましょう!

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