じめじめした雨の日が続く一方で、どこか夏の始まりも感じる6月になりました。
街を歩けば、いつの間にか人々の装いが変わり、カフェのメニューも夏仕様に切り替わっている──。そうした日常のささやかな変化に目が留まる瞬間こそ、「ふとした気づき」の正体ではないでしょうか。デザインの出発点は、案外そういうところに潜んでいるのかもしれません。
それでは今月もグッドパッチで話題になったサービスやトレンドを紹介します!
AI
FIFAとレノボがFIFAワールドカップ2026™を前に、複数のAI搭載イノベーションを発表
FIFAとレノボがFIFAワールドカップ2026を前に、複数のAI搭載イノベーションを発表
FIFAとLenovoが、選手を1秒でスキャンして生成した3DアバターをオフサイドなどVAR判定の映像表現に活用する技術や、W杯に出場する全48チームに同一の戦術分析AIを提供する「Football AI Pro」などを発表しました。
注目したいのは、Football AI Proの設計思想です。これまでW杯では、資金力のある強豪国ほど高度な分析ツールにアクセスできるという非対称性がありました。今回、すべての参加チームに同じツールを提供するという判断は、データの民主化という観点で大きな一歩といえます。
3Dアバターについては、カタール大会からすでに骨格点追跡によるオフサイド判定可視化の仕組みはありました。今回の違いは、推定ベースの棒人間に近い表示から、実際の体型データをもとにしたリアルなアバターへの進化です。判定の「正確さ」だけでなく、観客が直感的に理解できる「見せ方」への投資が加速しています。
専門的で複雑な判定プロセスを、より多くの人が感覚的に理解できる映像へと変換していく流れは、スポーツ中継における体験設計の一つの方向性を示しているといえるでしょう。
Claude Fable 5、提供3日でアクセス停止 「使えなくなった瞬間」はどうデザインされるのか?
出典:Anthropic公式発表ほか(2026年6月)
Anthropicが6月9日に投入した最高性能モデル、Claude Fable 5とMythos 5が、わずか3日後の6月12日午後、米国政府の輸出管理上の指令によってアクセス停止となりました。
今回注目したのはアクセス停止自体ではなく、「その停止が画面にどう現れるか」です。この場合の表現としては「切り替わったことを画面で正直に伝えるか、何も告げずに差し替えるか」という二つのパターンが想定されます。
Fable 5には、今回の全面停止とは別に、応えられないときは利用できない旨を返し、旧モデル(Opus 4.8)へ自動で切り替わる仕組みが備わっていました。
モデルを黙って替えれば画面上はなめらかでも、ユーザーは自分がいま何を使っているのかを見失ってしまいます。だからこそ、「モデルが入れ替わったことをそっと知らせ、いまどんな状態かを画面に残しておく」という手法は、たとえ停止しても崩れない体験をつくります。
私たちが普段ふれるサービスも、うまく動いているときの画面は丁寧に磨かれています。しかし「体験」が本当に試されるのは、機能がふいに失われた瞬間ではないでしょうか。エラーや空っぽの画面をその場しのぎで塞がず、「使えない」という状態もまた、見せ方のひとつとして設計しておく——そこまで見据えた体験設計に、あらためて目を向けてみたいところです。
サービス・プロダクト
カーテンのいらない暮らしを叶えた住宅、国際デザイン賞で金賞受賞
世界が認めた住宅デザイン。K.DESIGN HOUSE(ケーデザインハウス)『スキップテラスのある家』がTokyo Design Awards 2026で金賞受賞 | 株式会社桐生建設のプレスリリース
皆さんは、「カーテンを閉めなくても気にならない家」があったら素敵だと思いませんか?道路や隣家との距離が近い日本の住宅地では、プライバシーを守るために窓を閉めて過ごす時間が長くなりがちです。
そんな住まいの課題に「プライベートな開放感」というテーマで向き合った住宅が、国際的なデザインアワード「Tokyo Design Awards 2026」で金賞を受賞しました。新潟県の桐生建設が展開する住宅ブランド「K.DESIGN HOUSE」が手掛けた「スキップテラスのある家」です。
注目の点は、スキップフロアでつながるリビングとテラスです。リビングから一段上がった配置によって道路からの視線を自然に遮り、街路樹を望むテラスではバーベキューも楽しめるそうです。同ブランドはiF Design Awardなど国内外の受賞歴も多数あります。住宅デザインに興味のある方は、施工事例もぜひチェックしてみてください。
日本公開30周年の節目に。「トイ・ストーリー5」この夏公開
ディズニー&ピクサー映画最新作『トイ・ストーリー5』公開へ!おもちゃからファッション、グルメ、特別イベントまで「トイ・ストーリー」シリーズのグッズ・企画が続々登場!
「トイ・ストーリー」日本公開から30年。待望の最新作『トイ・ストーリー5』が、2026年7月3日に公開されます。
今回の物語は、タブレット〈リリーパッド〉の登場でボニーの“遊びの時間”が奪われていく中、カウガール人形ジェシーがウッディやバズとともに、彼女の笑顔を取り戻そうと奮闘する姿を描きます。時代が変わっても、おもちゃが子どもにできることとは何か――30年の歳月を経て描かれる、シリーズの新たな答えに注目です。
公開にあわせ、関連商品やイベントも盛りだくさんです。玩具やデジタルアイテムはもちろん、キャラクターを身近に感じられるアパレルやアクセサリーも展開されます。夏には全国のららぽーと・ラゾーナで体験型イベント「トイ・ストーリー SUMMER ADVENTURE」が開催され、東京・愛知・大阪・宮城の5店舗では作品をテーマにしたコラボカフェ「OH MY CAFE」も登場。さらにキデイランドでは落書きアート風の限定グッズが販売され、日本テレビ系・金曜ロードショーでは公開直前まで4週連続でシリーズ本編が放送されます。
30周年を迎える「トイ・ストーリー」の世界を、映画館以外でもたっぷり楽しめる夏になりそうです。
ビジネス
ジョイフル創業50周年の節目。新パーパスの制定と公式サイト全面刷新
【株式会社ジョイフル】本日2026年5月20日は創業50周年!新パーパスの制定、公式サイト全面リニューアル、記念ビジュアル第2弾、周年スペシャルサイトを同時公開
ファミリーレストランチェーンを展開する株式会社ジョイフルが、創業50周年を迎えた2026年5月20日、新たなパーパスの制定と公式サイトの全面リニューアルを発表しました。
50周年の節目に制定されたのは、「『地域の食卓』として、一人ひとりの毎日に、喜びを灯し続ける。」という新パーパスです。従来の「安価で身近なレストラン」という価値観を土台に、時代とともに変化する地域のニーズに応え、まちの誰もが笑顔になれる温かな「灯り」となるための企業の社会的意義を再定義しています。
今回のリニューアルでは、ユーザーニーズに応えるため「店舗・企業・採用」の目的別3サイト体制へと再構築されました。特に店舗情報サイトでは、顧客との接点を「直線的」に繋ぐ設計を追求し、商品検討から利用までの導線を最適化。レスポンシブデザインの大幅な強化により、スマホからでもストレスのない快適な操作性を実現しています。
経営戦略とデジタルUXの両面から「らしさ」をモダンにアップデートした好例として注目されています。街で見かけるお馴染みの看板の向こう側で、50年目の節目を迎えた「地域の食卓」が灯す日々の喜びに触れてみてはいかがでしょうか。
イベント
「デザインあ展neo」が香港・M+に巡回、「Design Ah!」として2027年1月まで開催
香港の視覚芸術やデザイン、建築、映像などを扱う博物館「M+」にて、2026年6月27日から2027年1月10日まで、「Design Ah! Experience the Wonder of Everyday Design(設計啊!感受日常設計之奇妙)」が開催されています。
NHK Eテレで放送中の番組「デザインあneo」のコンセプトを体験の場に展開する展覧会で、NHKエデュケーショナル、NHKプロモーション、TOKYO NODEが制作し、2025年4月18日から10月13日まで東京・虎ノ門ヒルズのTOKYO NODEで開催された「デザインあ展neo」の海外巡回にあたります。
展示は「日常の10のアクション」を軸に構成された21のステーションで構成されており、箸や歯ブラシ、バス、信号機など日常の物とその設計にフォーカスしています。来場者は参加型のゲームやインスタレーション、没入型の映像・音響環境を通じて体験できます。一部のステーションは香港のビジュアル環境や食文化を取り入れた内容となっています。
仕事の意味が変わるとき、人間の価値はどこへ向かうのかーーまだ存在しない未来の職業展
0次開発Project まだ存在しない未来の職業展 2045 | 株式会社オカムラ
6月18日から26日にかけて、株式会社オカムラが「まだ存在しない未来の職業展」を開催しており、筆者も実際に足を運んできました。
“人を想い、場を創る”をパーパスに掲げるオカムラが、約6,000件の特許技術から応用可能性のある知見を抽出。「人間性」「課題発見」「循環」「越境」「変革」という5つの視点で厳選し、2045年に存在しうる50の職業を提示しました。
本展は、新規事業の「0→1」のさらに手前にある、まだ言語化されていない問いや、形になっていない可能性を、社内外のパートナーと共創しながら探るプロジェクトです。
展示ではプロトタイプの体験も用意されており、例えば、未来の職業「ジェスチャーオーケストラ」では、専用グローブをつかってその場でしか生まれない音楽を奏でることができます。身体と楽器の関係性は歴史と共に変わりつつある中で、身体そのものを楽器にするという体験が、デジタル技術と融合して実現されていました。
本展を通じて見えてくるのは、道具が変わることで仕事が生まれ、それによって私たちの暮らしも変化しているということです。デジタルが急速に普及してきたことで、今は場所を選ばずに暮らす選択肢が生まれており、今後は”人間の自分をどこに使うか”が仕事の核心になってくるでしょう。AIの台頭で「人間にしかできないこと」が問われ続ける今、オカムラが提示した未来の職業群は、倫理観の育て方、身体性の再発見、人と場のつながりといった、人間的な価値に多く触れられていました。
「職業」の中での役割が変わってきている中で、将来、人間的価値、経済的価値、社会的価値、はたまた別の価値、どんな価値のために働いているかを考えてみる視点が、今とこれからの人生を見つめる上で大事になっていく鍵なのかもしれません。
メンバー募集のお知らせ
今月も、AIから空間デザイン、未来の仕事まで、幅広いトピックをお届けしました。気になるものはありましたか?
グッドパッチのものづくりの環境が気になった方や、夏のインターンシップに興味のある方は、ぜひ以下のリンクもあわせてチェックしてみてください!
私たち新卒メンバーも、仲間が増えるのを楽しみにしています!
🌻 28卒向け内定直結型「Goodpatch Summer Internship 2026 UI/UXデザインコース」特設ページ