意思決定の精度を高めるプロダクトデータ分析とは?メトリクス設計を用いた3ステップで解説
こんにちは。グッドパッチでクライアント企業のプロダクトグロースを支援しています、プロダクトマネージャーの住岡です。
プロダクトマネジメントに従事している方々であれば、普段からデータ分析の重要性を認識されているのではないでしょうか。ユーザーの声をもとにして意思決定を行うことは非常に重要ですが、それだけではバイアスがかかってしまい、プロダクトが目指すべき方向性とかけ離れた意思決定になってしまうことも。
定性的なリサーチ(ユーザーからのヒアリング等)だけではなく、定量的なデータ分析も組み合わせることで、より精度の高い意思決定を行うことができます。
一方で、データ分析に不慣れな方がいきなりデータ分析をやってみるのもハードルが高いのではないかと思います。
この記事では、プロダクトのデータ分析の一例として、より精度の高い意思決定につなげるための、メトリクス設計を用いた3つのステップによる分析方法をご紹介します。
ご参考になれば幸いです。
目次
1. サービスブループリントの活用
データ分析を行う際に目的設定を行うことは非常に重要ですが、前段階として、ユーザーによるプロダクトの利用方法やユーザーとのタッチポイントを把握しておくことが重要です。
データ分析によってさらなる改善を生み出すためには、そもそもどんなデータが存在しているか、ユーザーがどのようにプロダクトを使っているかなどの基礎的なプロダクトとユーザー情報を把握しておくことで、データ分析を始める際に、より精度の高い仮説や方向性を検討することができるようになります。
もしこの部分の理解がないままデータ分析やデータ活用を進めようとしても、どういったことに取り組めばいいのか分からず右往左往してしまうことになってしまい、時間を消費してしまうことはデータ分析の失敗として発生しがちではないでしょうか。
このような状況を防ぐ手段として、プロダクトとユーザーの理解において有効なフレームワークである「サービスブループリント」を活用する方法があります。
サービスブループリントはユーザーがサービスを利用する際のプロセスを視覚化したものです。サービス提供者とユーザーの動線やタッチポイントを詳細に表すことができ、
サービス(プロダクト)の全体像を把握し、ユーザー体験を向上させるための改善ポイントを特定するのに役立ちます。
また、サービスブループリントを作成することで、ユーザージャーニーの可視化が可能になります。ユーザーがサービスを利用する際にどのようなステップを踏むのか、どこで問題が発生しやすいのかを明確にすることでき、各ポイントにおいて具体的な改善策を検討することができます。
例えば、オンラインショッピングサイトでは、購入プロセスの中でどの段階で顧客が離脱するのかを特定し、その原因を分析することで、離脱率を低減させるための具体的な施策を講じることができます。
サービスブループリント自体は定性的なものになりますが、ユーザーの行動や体験をより詳細に理解した上で定量的なデータと組み合わせることで、具体的な改善施策に落とし込むことができます。
サービスブループリントについてより詳細に知りたい方はこちらのブログもご参考にしてください。
2. メトリクス設計の活用
データ分析の目標が設定されたら、定量化可能な「メトリクス」を用いて分析を行っていきましょう。
メトリクスとは、ビジネスの成果を測定するための指標です。図のようなKGI(Key Goal Indicator)/NSM(North Star Metrics)/KPI(Key Performance Indicator)などを構造的に整理する際によく利用されています。
プロダクトマネジメントにおいても、適切なメトリクスの設計は極めて重要です。適切なメトリクスを設定することで、プロダクトのパフォーマンスを客観的に評価し、改善点を特定することができます。
メトリクスの設定方法としては、まずプロダクトの目標を明確にすることが重要です。その目標に基づいて、どのような指標が成果を示すのかを特定します。
例えば、ユーザーエンゲージメントを向上させることが目標であれば、アクティブユーザー数やセッションの長さ、リテンション率などが重要なメトリクスとなります。これらの指標はトップダウン的に決定することもあれば、ボトムアップ的に現場のスタッフの活動のヒアリングや実際のプロダクトの利用データから決定することもあります。どのような手順で設定するのが望ましいかはプロダクトや事業状況などによって異なりますが、トップダウン・ボトムアップ双方の観点から整理できるとより精緻なものになるでしょう。
また、メトリクスは継続的に改善するためのフィードバックを繰り返し実行することが重要です。定期的にデータを収集し確認することで、プロダクトの現状を把握し、改善点を特定するために必要な分析を実行することができます。そして、その改善点に基づいて施策を実行し、その効果を再度測定することで、プロダクトを継続的に最適化することができます。
3. データの可視化:分析レポート/ダッシュボードの活用
最後のステップでは、「データの可視化」を行います。プロダクトマネジメントにおいて、データを可視化することは複雑な情報を分かりやすく伝え、ステークホルダーの意思決定に貢献するために不可欠です。具体的には、分析レポートやダッシュボードが有効な手段になります。
効果的な分析レポートを作成するためには、まず目的を明確にすることが重要です。また、データの解釈やデータから言える仮説/改善に向けた提言も含めることで、具体的なアクションにつなげることができます。
ダッシュボードは、リアルタイムでデータをモニタリングするための、一つの画面上に必要なデータを数値やグラフなど一覧性をもって表示するツールです。分析レポートやメトリクス作成を通じて、定常的に確認すべき項目をダッシュボード上で表現することで、最新のデータを一目で確認し、迅速な意思決定を行うことができます。
例えば、eコマースサイトの運営者であれば、ダッシュボードを用いて訪問者数や売上、カート放棄率などのデータをリアルタイムで監視することで、必要に応じて迅速に対策を講じることができます。
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか。今回はプロダクトデータ分析の一例として、メトリクスを用いた3つのステップをご紹介しました。
まず、サービスブループリントを通じてプロダクトとユーザーのタッチポイントを整理して、データ分析の前準備としての基礎的なプロダクトとユーザー情報についての解像度を上げる。
続いて、事業状況やプロダクトのビジョンなどをふまえてメトリクス設計を行い、目標を設定する。
最後に、分析レポート作成やダッシュボードへのデータの取りまとめなどのデータ可視化プロセスを通じて、日々のプロダクトの状況を把握して改善へと繋げていく。
定性的なリサーチに加えて、これら一連の取り組みを実施することで、より精度の高い意思決定が可能になります。定量的なデータ分析の経験があまりない方も、ぜひこの方法から試してもらえたらと思います。
最後に:「Product Growth Partnerships」について
グッドパッチでは、プロダクトグロースに向けた支援として、「プロダクトマネジメント」と「プロダクトマーケティング」の両軸でソリューションを提供しています。
今回ご紹介したプロダクトデータ分析支援はもちろん、プロダクトの成果を最大化/効率化させるための多種多様な支援を行っています。
プロダクトの改善や成長に関してお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度お問い合わせください!