組織の良質なコミュニケーションで仕事に成果を
仕事で成果を出すために欠かせないのが、組織内の円滑なコミュニケーション。上司や部下、全社員が互いのことを尊重し、報告・連絡・相談しやすい状態を保つことが重要です。
しかし、初めてチームのマネジメントを任される人は、メンバーに対して思うように期待や不満を伝えることができず、思い悩むことも多いのでは・・・?
メンバーのマネジメントが上手くいかず、モチベーションが低い・スキルが期待に見合っていない・思うように成果を出してくれないなどの問題が多発すると、組織全体のモチベーションに影響しかねません。
この記事では、チーム内で良質なコミュニケーションをとるために、自社が取り入れているノウハウを中心にご紹介します。
組織全体の話をする
階層間のコミュニケーションが上手くとれない要因として、「組織に対する目線の違い」や「お互いに何をしているのか把握できていない」などがあります。
しかし、同じ会社で働いていて互いに企業理念を共有しているのであれば、会社の課題に対して目線を合わせて話すことが重要です。メンバーの働き方にアドバイスをする際は、まずは組織の全体像を把握してもらうために、組織の課題や経営視点の話をしましょう。詳細に把握してもらう必要はありませんが、ある程度組織について理解してもらった上で、「あなたにはここを求めている」という目標設定の仕方をすると良いでしょう。
目標の設定方法はさまざまですが、Goodpatchではメンバー1人ひとりがOKRを立てています。OKR(Objective and Key Results)はもともと1970年代にIntelが「個人に明確な目標を持たせることで、組織内のコミュニケーションを円滑にするため」に取り入れた指標です。その後、次々とGoogleやLinkedInなどのシリコンバレー企業がこの指標を導入し、2017年9月よりGoodpatchも組織全体に導入しました。
OKRでは、Objective(目標)に対して、明確な期日とKey Results(目標達成に対して取り組むべきこと)を設定します。例えば、Goodpatchの組織のビジョンは「バリューを体現する組織になる」です。メンバー1人ひとりが個人の業務内容に沿ったObjectiveとKey Resultsを決めますが、どれも最終的には全社のObjectiveに結びつくようなツリー構造になっています。
このように、会社の目標を把握した上で、個人の目標を設定することにより、個人の普段の仕事が全社のミッション達成に貢献していると認識することができ、メンバーの仕事のモチベーションも高まります。
目線を合わせて話をする
もちろん全社のことを把握してもらうことは大切ですが、あまり多くを求めては却ってメンバーを焦らせてしまいます。プレイヤーとマネージャーでは、スキルに差異がある可能性があります。若手のプレイヤーにいきなり「〇〇さんのようになって欲しい」と伝えても、おそらく無理でしょう。
コミュニケーションをとるときは、なるべくメンバーのレベルを認識して、どれ位のリテラシーがあるのかを把握して話をしましょう。
弊社では、1人ひとりのレベルを把握した上でサポートができるように、マネージャーとプレイヤーの間で月1〜週1の頻度で1on1を実施しています。ここまで1on1を徹底して実施しているスタートアップやベンチャー企業は少ないのではないかと思います。
多くて週1の頻度で実施する1on1では、業務内容からプライベートの話まで、プレイヤーとマネージャーが対面でさまざまなことについて話します。時にはメンバーに対して自分の話をし、時にはメンバーの考えを引き出せるように聞き役に徹します。
本来であれば、1on1はOKRの進捗について確認し、メンバーが順調に目標達成に近づいているかを把握するための時間なのですが、マネージャーによっては「あえて仕事の話はしない」などと決めている人もいます。実は、メンバーの体調管理や私生活を把握することもマネージャーの大切な仕事なのです。ですから、全く業務に関係なくとも、メンバーがどれだけ心に余裕があるかを把握して、仕事とプライベートをともに充実させてあげることを考えると良いでしょう。
モチベーションを把握する
メンバーが最近思うように仕事をしてくれない・・・などと悩みを抱えているマネージャーは、まずはメンバーの現状のモチベーションを把握してみると良いかもしれません。個人のモチベーションはチームだけでなく、ひいては会社全体に影響します。慎重に問題を見極めて、適切なコミュニケーションをとることが大切です。
メンバーのモチベーションを把握するには、まずは事実を聞くだけでなく、定性的な気持ちの部分を把握しましょう。何か成果が出ていたとしても、ネガティブな気持ちを持って仕事に取り組んでいたのであれば、あまりメンバーの健康状態に良いとは言えません。長期的にモチベーションを維持してもらうためには、感情的な部分を把握した方が良いでしょう。
また、メンバーの感情を的確に把握するには、その人のタイプを知る必要があります。褒められて伸びるタイプ、怒られて伸びるタイプなど人によってタイプは異なります。褒められてがんばれるタイプのメンバーには、「あなたは仕事を丁寧に最後までやりきれる人だから、頼りにしてるよ」というように具体的なアドバイスで褒めてあげましょう。逆に、尻を叩かれて伸びる人には、具体的に何が悪いのか、どこをどのように変えたら良くなるのかなどの具体的なアドバイスをしてあげると良いでしょう。そうした1人ひとり違う性質を見極めて、個人に合ったコミュニケーションをとることも、メンバーのモチベーションを向上させるために有効的です。
あえて暇をアピールする
先日のBusiness InsiderでGoogleの人材育成やリーダーシップ開発に携わってこられたピョートル・フェリクス・グジバチさんのインタビュー記事が公開されました。記事でも書かれていたように、日本だと出社している時間は「仕事をする時間」という認識が強いように感じます。しかし、人間の集中力には限界があります。出社している時間をすべて集中して作業をやりきる時間だと認識してしまっては、生産性が却って低下してしまう可能性があるでしょう。
「会社にいる時間全てが仕事する時間ではない」ということをメンバーに伝えるためには、マネージャーが仕事に追われないことが重要です。常に厳しい顔をしてデスクに向かっていては、メンバーも話しかけづらいですよね。まずはオフィスを徘徊したり、コーヒーを飲んで一息ついたりしながら、あえて暇をアピールしてみてください。「私は今、手が空いているから何でも話そう」という姿勢が、メンバーの悩みを聞き出すヒントになるでしょう。ちなみにGoodpatchのオフィスでも、オープンスペースの約1/3を占めるキッチンでは、コーヒーを淹れたり、お菓子をつまみながら世間話をするメンバーの姿が見られます。
ときにはメンバーと会社の外で交流してみるのも良いでしょう。会社は会社、プライベートはプライベートと分けて考える人も多いと思いますが、明確に切り分けてしまうと会社の悩みをプライベートの友人としか共有できず、次第に会社から気持ちが遠ざかってしまう場合があります。
マネージャーとしては、時に「週末一緒にゴルフをしよう」や「おもしろそうなイベントがあるから参加してみよう」などと、会社以外の場所へメンバーを連れ出して、気分転換してみることも意識しておきたいですね。
良質なコミュニケーションデザインをしよう
組織内の1メンバーとして、チームの生産性を最大限にするためにも、コミュニケーション方法を見直して、その都度磨くことが重要です。コミュニケーションの取り方を変えるだけで、メンバーの仕事に対するスタンスをぐんと上げられます。ぜひ本記事で取り上げたチームのコミュニケーションを円滑にするTIPSを、自社のチームコミュニケーションに取り入れてみてくださいね。