中小企業や個人事業主など、いわゆるスモールビジネス向けの業務ソフトウェアを展開する「弥生」。確定申告などでお世話になっている方も多いのではないでしょうか。

35年以上の歴史を持ち、登録ユーザー数も310万を超えるなど、多くのユーザーに愛される「老舗」とも言えるサービスですが、最近では、新ブランド「弥生 Next」を立ち上げるなど、次世代への進化を見据えた動きを次々と打ち出しています。

今回、グッドパッチは弥生のサービスページを中心としたWebサイトのリニューアルデザインを手がけました。会計ソフト市場で、デスクトップソフトとクラウドサービスで大きなシェアを持つ同社ですが、競合の市場参入も活発化する中、さらなる成長を目指すべく、Webサイトの改善に目をつけました。

2023年6月にリニューアルが完了して約1年が経った今、これまでの道のりからリニューアル後の成果までの話をプロジェクトメンバーに伺いました。

話し手:
弥生株式会社 ダイレクト・セールス&マーケティング本部 コンテンツ・マーケティング シニアマネージャー 今泉さん/石岡さん
Goodpatch クリエイティブディレクター/UIデザイナー 栃尾
Goodpatch プロダクトマーケティングマネージャー/UXデザイナー 吉田

「UI/UXフィードバック」でCVRが改善、サービスサイトの大規模リニューアルへ

──今回のプロジェクトでは、サービスサイトの中でも新規顧客獲得を目的としたページ群のリニューアルを行いました。グッドパッチの「UI/UXフィードバック」を受けたことがきっかけだったと伺っていますが、ご依頼いただいた背景について、改めて教えていただけないでしょうか。

弥生 今泉さん:
弥生はデスクトップ、クラウド両方で製品を展開していますが、昨今は特にクラウドサービスの需要が高まっています。さらにシェアを伸ばすべく、ユーザー獲得のカギとなるWebサイトを見直すことになりました。

弊社ではそれまで全社的なUI/UXデザインへの取り組みが実現できておらず、まずはこの分野に知見のあるグッドパッチに相談してみよう、ということになったんです。「UI/UXフィードバック」というメニューがあると教えていただき、「弥生会計 オンライン」に絞って改善に取り掛かることにしました。

弥生株式会社 ダイレクト・セールス&マーケティング本部 コンテンツ・マーケティング シニアマネージャー 今泉さん

弥生株式会社 ダイレクト・セールス&マーケティング本部 コンテンツ・マーケティング シニアマネージャー 今泉さん

──当時のWebサイトにはどういった課題を感じていましたか?

弥生 今泉さん:
「見やすさ」や「分かりやすさ」といったデザイン面ももちろんですが、コンバージョンレート(CVR)の改善が目下の課題でした。ちょうど同時期に社内でプロダクトのユーザー体験にフォーカスが当たっていまして。「プロダクトだけでなく、Webサイトも連携していこう」という声が高まっていたタイミングでした。

──「UI/UXフィードバック」の効果はいかがでしたか。

弥生 今泉さん:
ご提案いただいたものは感覚的にも使いやすく、フィードバックに従って改善することで確かにCVRが上がりました。われわれのWebサイトでもまだまだやれることがあると気付かされましたね。その頃から流入経路別のCVRの最適化や効果測定もしっかり行うようになりました。

──この結果を受けて、全面的なリニューアルに進んだということだと思いますが、弥生は給与や顧客管理なども含め、製品数も多いですよね。全面リニューアルは大きな決断だったのでは?

弥生 今泉さん:
弥生シリーズはおかげさまで長年にわたって業界内でトップシェアを獲得していますが、クラウドサービスに関しては成長の余地がまだまだあります。ユーザーをさらに増やし、プロダクトの成長を加速させるためにも、SEOやCVRの改善を抜本的に行う必要がありました。

リニューアルについては、毎年デスクトップソフトのアップデートがあり、その際にサイトの棚卸しを行っているので、大体のボリューム感はイメージがあったのですが、今回は「Misoca(クラウド請求書作成ソフト)」やスモビバ!などのオウンドメディアも含めたリニューアルとなるので、一体どれだけの規模になるのか、多少の不安はありました(笑)。

Goodpatch 吉田:
弥生サイトだけで1,000ページ以上とすごい量になりましたね。ご依頼いただいた経緯を伺って、4カ月という短いプロジェクト期間でどこに着手すれば最も効果が出るのかを考える必要があると思いました。

ユーザーインタビューによって、「届けたい価値」が伝わっていないと気づいた

──今回のリニューアルプロジェクト、グッドパッチはどういったアプローチを取ったのでしょうか?

Goodpatch 吉田:
まずは「ここをやるべき」という見立てを立てるため、弥生さんが持っているこれまでのリサーチ結果などの全ての資料の共有をお願いしました。

定量的なリサーチでどういった示唆が得られていたか、などを把握しながら、資料をこちら側で改めて再解釈して、スコープを絞っていきました。短期間で同じ目線に立つために重要なインプットだったと考えています。

Goodpatch 栃尾:
その間、UI側は私ともう一人のデザイナーとでデザイン観点から当時のサービスサイトの課題抽出を行っていました。今回ターゲットとなるのは、主に個人事業主や中小企業といったスモールビジネスに携わる方々です。ユーザー理解を深めるために、Slack上では常にプロジェクトメンバー同士で資料や記事を共有していきました。

Goodpatch 吉田:
リサーチ結果や資料の読み込みと並行して、ユーザーインタビューの準備も進めていました。ユーザーの属性や年齢層などは定量調査で分かりますが、どういったモチベーションで起業されていて、どんな困り事があり、どういう意思決定でプロダクトを選ぶのかという価値観を知るためには定性インタビューが必要でした。

密度の高いインタビューにするため、起業経験のある社内メンバーへのヒアリングを基に「こんな困りごとがあるのでは」という仮説を準備して挑みました。ポイントを押さえた問いを立てられたことで、効果的なインタビューになったと思います。インタビューには今泉さん、石岡さんにも同席いただきました。

──弥生さんにとって、Webサイトの施策としては今回が初めてのユーザーインタビューだったと伺っています。実際に同席されていかがでしたか?

弥生 今泉さん:
これは今回のプロジェクトでグッドパッチさんにお願いしてよかったと強く思っているところのひとつですね。われわれもカスタマーセンターでの電話応対から伝わるお客様の声は聞く機会がありますが、直接お客様と接点を持てる機会は限られています。

実際にインタビューしてみると、自分たちが考えている以上に「届けたい価値」、弥生がバックオフィス業務の支援や、起業から事業承継までを網羅する支援を提供していることなどが伝わっていないことが分かりました。

──コミュニケーションやプロダクトを見直すきっかけになったということですね。

弥生 今泉さん:
そうですね。昨今「クラウド」をキーワードに競争の勢いが増している市場で選ばれるためには、Webサイトやプロダクトをもっとシンプルな、分かりやすいUIにしなければいけないと痛感しました。

自社を外から見たときの一般的なイメージを捉え直すことができたのと同時に、今何をどのように伝えなくてはいけないかを検証できる貴重な機会でした。

Goodpatch 吉田:
インタビューをこちらがサマリーで伝えるのではなく、お二人に同席いただき、問いかけに対して考え込んだり唸ったりするような、ユーザーの一挙手一投足をすべて見ていただいたことが良かったと思います。テキスト情報だけでは得られない、膨大な情報を浴びる時間でした。

ユーザーインタビューによって、ターゲットとなるユーザーを語る際の全員の足並みがそろった感覚があります。

──これまでの弥生のWebコンテンツの開発手法と比較して、ユーザーインタビューをはじめとするユーザーに向き合ったデザインプロセスのメリットをどのように感じられていますか?

弥生 石岡さん:
今までは「いかにCVが上がるコンテンツを作れるか」を数値を基に設計していたので、「顕在層」に向けて「会計ソフトにおける業務効率化」が主なメッセージになっており、プロダクトをアピールする場になっていました。

しかし、データはあくまで数値であり、ユーザーの皆さんが何を考えているのかは推測の域を出ません。彼らの声を直接聞き、定性的な情報を得るのも同時に行う必要があることは以前から考えていました。そういったタイミングでグッドパッチの皆さんからユーザーインタビューのご提案をいただき、好感触でしたね。

結果的に弊社が掲げる「事業コンシェルジュ」を体現する「あらゆる事業ステップをサポートできる」というコアバリューを表現した「ユーザー課題を解決する場」を作れたと感じています。弥生が得意とするデータを基にした定量的な視点と、グッドパッチさんが得意とするユーザー起点の定性的な視点の2軸がうまく両輪で噛み合ったからこそ、良いリニューアルができたと思っています。

弥生株式会社 ダイレクト・セールス&マーケティング本部 コンテンツ・マーケティング シニアマネージャー 石岡さん

弥生株式会社 ダイレクト・セールス&マーケティング本部 コンテンツ・マーケティング シニアマネージャー 石岡さん

弥生 今泉さん:
これまでも、お客さまからカスタマーセンターにいただいたリクエストを基にUI/UXを改善するという流れはありましたが、体系立てたプロセスに落とし込むところまで実現できていませんでした。

グッドパッチの皆さんとの協働を通じて、これほどアプローチが違うものかと新鮮でしたし、今はユーザー目線に立った開発手法が文化として定着してきているのを実感しています。

弥生が目指す「事業コンシェルジュ」 人によって具体的なイメージはバラバラだった?

──ユーザーインタビューを経て、リニューアルの焦点となったのはどういったところだったのですか?

Goodpatch 栃尾:
弥生さんのブランドのビジョンでは、ありたい姿として自らをスモールビジネスのあらゆるニーズに応える「事業コンシェルジュ」と位置付けているのですが、ユーザーインタビューの結果、当時のサービスサイトのUI/UXとありたい姿の間に乖離があることが見えてきました。

──具体的にどういったところに乖離が起きていたのでしょうか?

Goodpatch 栃尾:
以前のサービスサイトは弥生側が押し出したい情報が並んでいる状態で、ユーザーが求める情報が求めるタイミングに得られる状態ではありませんでした。特にトップページにある各要素が目に留まりにくく、訪れたユーザーが次にとるべきアクションが分からない状態でした。

そのため、「こういうユーザーさんはこういう情報が見たいんじゃないか」という仮説の下に作り直す必要がありそうだと初期段階から考えていました。

定量的なデータだけでは抜け落ちる視点を、ユーザーインタビューで得た知見を基に補っていくことが「事業コンシェルジュ」としての理想的な振る舞いにつながっていくのではないかと考えました。Webサイトはその入り口になる存在ですから。

Goodpatch 吉田:
まず「事業コンシェルジュってどんな存在?」というテーマを改めて問うワークショップを弥生さんの社内の方々を巻き込んで行いました。

それぞれが考える事業コンシェルジュ像をぶつけ合った結果、各々が持っているイメージが違うことが分かってきたんです。人によっては「ドラえもん」のような存在だったり、熟練の執事を思い浮かべる人もいたりとさまざまでして。

弥生 石岡さん:
グッドパッチの皆さんが社内に対しても丁寧にヒアリングしてくださったことで、認識のズレに気付くことができました。本来は社内で一致していなければいけない「ありたい姿」がバラバラだったんですよね。

「頼りになる」と言っても、前に出過ぎずに困っているときには助けてくれるような、気の利いた存在ではないか、という形でまとまっていきました。

Goodpatch 栃尾:
「会計に強みがありつつも、起業から事業承継まで一貫してサポートできる」ということを、いかに違和感なく伝えることができるか。そして、理想の事業コンシェルジュらしいイメージに沿って、ユーザーが必要な情報を適切なタイミングで提供するということをリニューアルでは目指していきました。

理想的な事業コンシェルジュの振る舞いを支える、実用的な「ブランドガイドライン」

──ここからはリニューアル後のデザインについて具体的にお伺いします。どのようにデザインを検討されたのでしょうか?

Goodpatch 栃尾:
デザインを考えるにあたって手がかりになったのが「ブランドガイドライン」です。弥生さんには、さまざまなプロダクトを世に出す中で、しっかりと形作られたガイドラインが存在していました。

私たちはこのガイドラインの内容を、どうサービスサイトで表現し、各要素に落とし込んでいくべきかを考え、石岡さんにご協力いただきながら、イメージをブラッシュアップしていきました。

Goodpatch クリエイティブディレクター/UIデザイナー 栃尾

Goodpatch クリエイティブディレクター/UIデザイナー 栃尾

──指針があるのは心強いですね。

Goodpatch 栃尾:
特徴的だったのは、数ある製品のそれぞれにカラーが設定されていたことです。「顧客管理だったらオレンジ」というように、既存ユーザーは製品と製品カラーの印象を結びつけて持っていることが分かりました。それをリニューアルデザインにも生かせると考えたんです。

幅広い製品ラインアップを通じて、一貫した業務サポートが提供できることを示す多色づかいと、頼れるけれど堅苦しくない「コンシェルジュ」をイラストと柔らかいトーンの併用で表現するということを念頭に、トーン&マナーを定めていきました。

──大胆なイメージチェンジだったと思います。トーン&マナーが変わることは社内にすぐ受け入れられたのでしょうか?

弥生 今泉さん:
当時、新ブランドとして予定していた「弥生 Next」シリーズのプロダクト開発がスタートしていたこともあり、社内的にも「新しい弥生」を打ち出していこうとしていたタイミングでした。トーン&マナーから新しくしていく、という合意は得やすかったですね。

──ブランドガイドラインはもともと策定されていたということですが、グッドパッチとの取り組みによって変わったところはありましたか?

弥生 石岡さん:
外部パートナーにデザインを依頼する際は「ブランドガイドラインを基に作ってください」とお願いしますが、ブランドガイドラインで使っている言葉は、基本的に抽象度の高く、それ故にパートナーさんの実力が如実に表れると常々思っています。抽象度の高いキーワードをここまで要素分解して、デザインに落とし込んでくれたのはグッドパッチさんが初めてですね。

弥生 今泉さん:
今回、ブランドガイドラインにあるキーワードを分解して、それぞれが示すイメージをデザインのどういった要素で実現するのかという点まで提案いただきました。われわれもそこまでは定められていなかったので、今ではいただいたご提案を「逆輸入」して、ブランドガイドラインに展開しています。

Goodpatch 栃尾:
ブランドガイドラインは見た目に表れるスタイリングだけではなく、「振る舞い」と呼ばれる機能の部分や、どういう情報を出すのかというところも含まれます。そこをしっかりと噛み砕くことで、スタイリングにおいてフォーカスするべき箇所が明確になり、表現上の個性も表れると考えています。

デザイン後の実装はこのブランドガイドラインを基に展開されるという流れだったこともあり、世界観を守りながら誰でも同じ品質で作れるよう、しっかりと言語化することを意識していました。ブランドガイドラインに盛り込んでいただいていると伺ってとてもうれしいです。

ブランドガイドラインの一部

ブランドガイドラインの一部

ブランドガイドラインの一部

ブランドガイドラインの一部

弥生 石岡さん:
これまでは、担当者単位でデザインのクオリティが変わってしまうということが起きていました。今回のリニューアルを通じて、トーン&マナーの基準が定まったことで、バナーなどのWebサイト以外のクリエイティブの品質も一定に保てるという効果も見られました。ありがたいことです。

解像度の高いペルソナ設定と回遊設計で高い成果 PVもCVRも大幅に向上

──リニューアルのテーマとして、「ユーザーが必要な情報を適切なタイミングで提供する」ことを掲げていたとお話しでした。こうしたユーザー体験に関しては、どういった改善を行ったのですか?

Goodpatch 吉田:
ユーザーインタビューを通して、「税理士にすべてお任せしたい」という方と「会計ソフトを使って自分のビジネスのことをある程度把握していたい」と考える方がいることが分かりました。

ただ、会計ソフトを使いたい方たち全員の会計やITリテラシーが高いわけではありません。UX観点では、そういう方々にも自信を持って利用してもらえるようにと考えました。

Goodpatch プロダクトマーケティングマネージャー/UXデザイナー 吉田

Goodpatch プロダクトマーケティングマネージャー/UXデザイナー 吉田

──ユーザーごとにサービスサイトに求める要素が異なりそうですね。

Goodpatch 吉田:
そうですね。そのため、ユーザーを5つのセグメントに分類しました。各セグメントのユーザーが置かれている状況に応じて、サービスサイトのどこに誘導し、どういった情報を提供するかをすべて行動起点で決めていきました。各セグメントにおける理想的な閲覧体験を定めたことで、サイト構成の修正や強化すべきコンテンツの方針も定めることできました。

弥生 今泉さん:
弥生を新しく知った人がトップページを訪れた場合にも、きちんと状況に応じた誘導ができるサービスサイトに生まれ変わりましたね。サイトの構成が整理された結果、同時に進めていたSEO対策にも良い影響がありました。

──弥生のサービスページを中心としたサイトのリニューアルは段階的にリリースされ、2023年6月に完了したと伺っています。リニューアルの効果はどういう点で感じられていますか?

弥生 石岡さん:
先ほど今泉が触れたSEO対策が功を奏して、ページに訪れる人(≒PV)は非常に増加しました。PVが増えればCVRは落ちるものかと思っていたのですが、実際にはCVRも伸びており、非常に驚きました。

これは、ペルソナに沿ったサイト回遊設計がきちんと機能しているからだと解釈しています。これまではニーズが顕在化した方に向けたサイト構成だったのですが、潜在的なユーザーに対してもアプローチできているということだと思います。

弥生 今泉さん:
「お役立ち情報」と呼ばれるSEOコンテンツや、製品ページをひとつのドメインにまとめることができたのも大きいです。大改造になるので、一般的にはなかなか手をつけにくい点だと思いますが、Webサイトの基盤となるこの部分を徹底的に作れたことが成果につながったと思います。

Goodpatch 吉田:
既存コンテンツの整理をしたあと、「虎の巻」というコンテンツも新しく作りましたね。ユーザーインタビューの結果「何が分からないか分からない・自力で検索するべき単語が分からない」といった声がありました。開業や確定申告、バックオフィス業務などで使用される用語や全体像が分からないまま、弥生を訪れた方々が業務の全体像を俯瞰できるようになるための初心者向けガイドページです。

あらゆる層のユーザーが、自分のビジネスの手綱を自身で握る感覚をコンテンツでサポートできればという思いで企画しました。

グッドパッチは他社とアプローチが違う──同じ目線で相談できるパートナー

──リニューアル後も追加施策でプロジェクトが続いている最中ではありますが、グッドパッチとの協働を通して価値を感じられている点があれば、教えてください。

弥生 今泉さん:
まずはユーザーインタビュー・ユーザーテストですね。実際にターゲットとなる方々の意見や反応を直に検証できたことは非常に良かったです。先ほども触れましたが、仮説や定量的なデータのほかに定性的な情報を取り入れる開発手法が定着しつつあります。

また、グッドパッチの皆さんがインプットした内容をきちんとドキュメントなどですべて形に残してくれたこともありがたかったです。

そこからブランドガイドラインに展開したり、別チームの施策でも今回のペルソナの考え方や行動起点でのセグメントの分け方が好感触であったりと、他部署への波及効果もありました。新メンバーが入ってきた際には、リニューアルの最終報告資料をこれまでの経緯のインプットに活用してもらっているなど、しっかりと資産になっていますね。

弥生 石岡さん:
デザインや要件定義の実力の高さは以前から期待していた通りですが、特にプロセスが他社と大きく違っていました。

一般的なプロダクションの場合は、要件やオーダーに沿って作り込み、仕上げたものをわれわれに見せる、という動きの繰り返しになることが多いですが、グッドパッチさんの場合は、コンセプトを練るなど、いわば「要件」を考える部分から私たちと一緒に動いてくれました。

従ってコミュニケーションの密度が高いですし、軌道修正などのチューニングもクイックで安心感があります。だからこそ、高品質なデリバリーが実現できるのだと感じました。同じ目線で相談できるパートナーという感じですね。

──どういった時に同じ目線に立っているなと感じましたか?

弥生 石岡さん:
こちらで漏れている視点を拾ってくれたり、より良いと思う提案を積極的にしてきてくれる時に感じますね。伝えた通りに形にしてくれるだけでは、こちらの期待を超えることはありません。その点、グッドパッチの皆さんとはより良い着地点に持っていくための議論がずっとできていました。

専門的な領域で事前のインプットは大変だったと思いますが、インプットの力量もすごいと思っています。こちらと同じ熱量で最後まで走り抜けられるパートナーは貴重ですし、ぐいぐい踏み込んでくる積極的な姿勢に感謝しています。

──ありがとうございました。最後に今後の展望を教えてください。

弥生 今泉さん:
本プロジェクトを通じて定期的にコミュニケーションをとる機会があったことが、追加で「デザインスプリント」をお願いすることにつながりました。

現在、グッドパッチさんと契約導線の改善についてのワークに取り組んでいます。デザインスプリントを通して実際にUIを用意し、ユーザーインタビューやユーザーテストで検証するというプロセスを経ることで、良い着地点を見つけることができそうです。今後、別の案件でも展開できる予感があります。

弥生 石岡さん:
0→1で何か新しく生み出したいときに、グッドパッチと一緒に作ったら良いものができるだろうなという実感があります。

大規模で複雑かつ高品質なアウトプットが要求されるもので、内製でもできるかもしれないけれど、一皮剥ける必要があるとき。そういったプロジェクトで、ぜひまたご一緒したいです。


UI/UXフィードバックについて

今回のプロジェクトのきっかけにもなった「UI/UXフィードバック」では、ユーザーインターフェース(UI)とユーザー体験(UX)の専門家が、Webサイトやサービス(プロダクト)の課題を分析し、改善点を抽出。ヒアリングから最短2週間でレポートをご提供します。詳しい資料はこちらからどうぞ。

そのほか、Webサイトやサービスのリブランディングなどを検討している方はこちらもご覧ください。