Hexagon UX Tokyoによる、包括的な社内カルチャーを育む方法

Hexagon UXは性別や国籍にとらわれない、UX領域で働く女性とノンバイナリーをサポートするコミュニティーです。2018年5月16日(水)にGoodpatchオフィスにて「包括的な社内カルチャー」をテーマとしたイベント/ワークショップを実施しましたので、当日の様子とともに、なぜ今多様性と包括性が重要とされているのかをお伝えします。

Hexagon UXとは?

Hexagon UXは性別や国籍にとらわれない、UX領域で働く女性とノンバイナリーをサポートするコミュニティーです。2013年にUXに関わる女性やノンバイナリーを集めて小さなミートアップを実施したことが起点となり、後の2017年にリブランディングに成功しています。今では約3000人のコミュニティへと成長し、多様性や包括性が組織のカルチャーにどのように良いインパクトを与えるかを伝える取り組みを実施しています。

今回は初めて東京を拠点とし、イベント兼ワークショップを実施。Goodpatchは、当日の会場としてオフィスの一部空間を提供させていただきました。

なぜ組織において多様性が重要なのか?

当日はPivotal LabsのMeghan Radkeさんが「居心地のいい職場環境づくり」について講演しました。日本でも耳にすることが多くなった「多様性」という言葉。しかし、多様性と聞いて頭に思い浮かべるものは人によって様々です。

Meghanさんは、多様性を一番感じるのは、「自分の意見が聞き入れられて、認められたとき」なのではないかと言います。

例えば、職場のミーティングで発言がしづらいと感じた経験は誰しもにあるはずです。「発言しづらい」と感じるのはなぜでしょうか?多くの場合、同じような人が集まったとき、ある発言者に皆が賛同する傾向があります。それは、無意識に「自分の意見は否定されるだろう」というバイアスをかけてしまい、自分の意見を抑えつけてしまうからです。しかし、このような状況では良いアイデアが出にくくなるだけではなく、イノベーションが生まれづらくなります。

では、「多様性」とは何なのでしょうか。ある課題に対して様々な解決策があるように、集まった人の数だけ違いがあることです。先ほどの場合、仮に全員が自分の思ったことを発言したとすれば、ミーティングに参加した人数分だけのユニークなアイデアが生まれます。これこそが、多様性なのです。

職場でありうる多様性には、性別、年齢、バックグラウンド、障害、LGBTQ+などがあります。男性が多い組織では、女性はマイノリティになります。全員が意見を聞き入れてもらえる、受け入れられている、価値があると感じることができる環境をつくることこそが、多様性を生み出すのです。

誰かの意見に対して、全員が賛同することなどほとんどないのです。大切なのは、異なる視点を共有し合い、議論することなのです。

多様な組織における個人の特権とは何か?

次にMeghanさんは「特権とは何か」について話をしました。特権とは、特定の人やグループにのみ与えられた特別な権利、アドバンテージ、保護などのことです。経済階級や身体能力、人種、民族、性的嗜好、性別、年齢、リテラシー・・・さまざまな要素がある人の特権になりえます。

アメリカでは今や当たり前に議論にもちだされるような言葉になりましたが、日本ではまだまだ耳にすることが少ないワードです。しかし、決してネガティブな言葉ではありません。

また、特権の一つの特徴として、「コンテクストに依存する」というものがあります。ある場所である人が特権を得たからといって、別の場所でもその人が優位にあるということにはならないのです。さらにいうと、人は皆小さなことでも特権があるのです。

しかし、組織において自分が特権があるからといって、その特権を人に強要するようなことをしてはいけません。例えば、自分は英語を話せるからといって、他の人も英語を話すのが当然であると考えてはいけません。

特権を利用すると、組織をよくすることにどのように貢献できるのでしょうか?MeghanさんはいくつかのTipsを教えてくれました。

まずは思い込みをなくすこと。積極的に自分と違った人の意見を聞き、交流しましょう。多くの人は「話を聞いてもらえる」と感じるだけで、意見をシェアしやすくなります。また、仮に周囲にバイアスをかけたり、相手の考えを決めつけたりするような発言をしている人がいたら、恐れずに注意をしましょう。相手も自分がケアされていると感じるはずです。

そして、お互いを認め合うこと。自分と異なる視点をもつ人に対しては、とくに意見を引き出せるように努力しましょう。女性や少数派の人が意見を言いやすいと感じる環境をどれだけ築けているかに意識を傾けてみましょう。リクルーティングの際も同じように、多様な人に面接を実施し、バイアスをかけるのではなくクリエイエティブになることが重要です。

多様性と包括性の違いとは何か?

ここで、「包括性」という言葉について考えてみましょう。「多様性」との違いは何でしょうか?

多様性:様々な人が参加している
包括性:全員の声が尊重される

このようにして見ると、先ほど話していた多様性は、ほとんど包括性についてだったと言っても良いでしょう。ただ同じ部屋に多様な人を集めるだけでは、多様性をとり入れているということになります。人が集まった先には、集まった人の分だけアイデアが生まれなくては意味がありません。言い換えると、あるミーティングが少数派の人にとって居心地の良い場所となっていないのなら、どんなに多様なチームを作ったとしてもその人たちからはアイデアが得られないのです。

包括性を活かすファシリテーション

最大限に包括的なミーティングを行うために重要となるのが、ファシリテーションです。同じくPivotal Labsに務める安西結さんが包括的な決断をするためのファシリテーションについてお話ししてくださいました。

ファシリテーターとは、参加者を議論のゴールへと導く人です。テクニックを使えば、どのような人でも包括的な議論になるようにファシリテートすることができます。安西さんはいくつかのTipsを提示してくれました。

  • 前提の共有と明確な指示をする
  • 少人数のグループに分かれる
  • 同じ文房具を使って匿名化する
  • アイデアはまず個別で出す
  • 壁に貼る
  • 無言で読む
  • 質問をする(解決策の提示や批判をしない)

ポストイットなども人によって色を変えてしまうと、誰が書いたのかがわかってしまい、バイアスが生じる要因となります。包括性を高めたいのであれば、できるだけ意見にフォーカスできるように同じ色のポストイットと太さのペンを使うべきなのです。

また、アイディエーションが終わったら、壁に貼って無言で読むことで、参加者各々がアイデアを一度咀嚼できます。すぐに話しはじめてしまうと、よく話をする人が特権を握ってしまうためです。この些細な工夫が、包括的なファシリテーションの鍵なのです。

安西さんのお話の後は、参加者が3人〜5人ほどのグループに別れて、ファシリテーションにまつわるワークショップを行いました。Tipsを活用したことで、特にファシリテーターをアサインしなくても全員が当事者意識をもって議論に参加することができました。

包括的な社内カルチャーを築くために

本記事では、Hexgox UX Tokyo主催「包括的な社内カルチャー」のイベント内容をお届けしました。多様性のある、包括的な社内カルチャーを築くためには、何が必要なのでしょうか。私はこのイベントを通じて、一番重要なのは「他者への共感」であると感じました。

「話を聞くこと」が包括性を高めることにつながるという話がありましたが、話を聞いた後で反論をしたり、聞くフリをするだけでは意味がありません。自分とは異なる価値観をもつ人の話に耳を傾けた上で、共感することが人と人との信頼へとつながるのです。

また、包括的なカルチャーを築くことで、多様な視点を取り入れられ、延いてはチームや組織におけるイノベーションが起こりやすくなると言えるでしょう。ぜひ社内で疑問を感じるような事象が起こった際は、恐れずに発言をしてみましょう。

Hexagon UXの取り組みが気になる人はこちらから仲間になることができます!

ABOUTこの記事をかいた人

keika

'94年生まれ。中国と日本のハーフで、1歳から18歳までを中国・上海で過ごす。2016年にロンドンで写真・デザインを学ぶ。グッドパッチが注力しているFintechと、国外のデザイン組織情報を中心に発信。
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