ついに夏到来と思いきや、梅雨時期のように雨が降ったり‥天候の読めない日々が続いていますね。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
今月もGoodpatchで話題になったアプリケーションやサービスをご紹介します。

サービス

博報堂とb8ta Japan、体験型ストア「b8ta」を活用して新規事業の受容性検証を支援する「X-PROTO」の提供を開始

https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/98753/

体験型ストア「b8ta(ベータ)」を運営するb8ta Japanと博報堂ブランド・イノベーションデザインは、b8ta内の展示空間を活用した新規事業のテストマーケティング手法「X-PROTO(エクス-プロト)」を共同開発しました。

既存のテストマーケティング手法では、プロダクトのみ、Webサイトやアプリのみなど一部分の検証しか行えず、リアルやデジタルの様々なタッチポイントを横断した検証の方法がないことが課題でした。今回、b8taの展示室内に、検証したい新規事業やサービスの想定カスタマージャーニーに沿って、「実際の商品などのリアル(フィジカル)要素」と「動画コンテンツなどのデジタル要素」を連続的・統合的に体験できる状況を再現することで、来訪した生活者の行動データやアンケート結果などを分析し、関心度や購入の受容性をより定量的・定性的に検証することが可能となります。

WEBサービス以外でも行動評価を行うことは、サービス・プロダクトの価値の言語化やユーザーが購入する理由を明らかにするのに役立つため、デザインの領域においてとても重要です。一方でとても難しかったことなので、これは期待できるソリューションですね。

noteが新機能「メンバーシップ」の提供を開始

https://membership.lp-note.com/

2022年7月13日、noteは大型新機能「メンバーシップ」の提供を開始しました。

本機能を使うことで、だれでも月額制サブスクリプション方式でファンや仲間から支援をうけられるようになります。また、クリエイターは支援者と交流できるコミュニティやファンクラブを運営したり、作品や活動の裏側を会員だけに公開することが可能になりました。

noteが「だれもが創作をはじめ、つづけられるようにする」というミッションを実現するため、新たに始めたメンバーシップ。クリエイターが様々なプラットフォームでコンテンツを共有する今日、あらゆる創作活動が不正に搾取されるケースも少なくありませんでした。

ファンや仲間のサポートから継続収入を得られることでクリエイターは今よりさらに創作に集中でき、活動の幅を広げることができるでしょう。また、今までは情報を受け取る側だった人たちにとっても、メンバーシップを機に情報を発信する機会になるかもしれませんね。

子どもと家族のための新サービス「NewsPicks for Kids」を開始

https://kids.newspicks.com/

2022年7月12日、ソーシャル経済メディア「NewsPicks」は、子どもと家族のための新サービス「NewsPicks for Kids」の開始を発表しました。「NewsPicks for Kids」は全16ページの紙媒体として提供され、NewsPicks編集部によって人気特集を子どもが楽しめるように再構成される記事のほか、日本初となる「The New York Times For Kids」の翻訳記事が掲載されるそうです。

今回注目したいのは、「電子媒体」ではなく「紙媒体」として提供されることです。同社は「家族でニュースを楽しむこと」を大切にしてほしいという思いから、紙媒体での発行にこだわったといいます。

確かに、電子媒体よりも紙媒体の方が、子どもが生活する中で目に付きやすく、読むきっかけになり得ます。また、紙面ならではの多彩なビジュアル表現や直感的でわかりやすいインフォグラフィックは、新聞を読むハードルを下げるでしょう。さらに、紙面を広げて家族で囲むことから会話のきっかけが生まれやすくなるなど、子どもと情報だけでなく、家族同士を繋ぐ媒体としての意味を「NewsPicks for Kids」から感じ取ることができます。

創刊号は8月10日を予定とのこと。是非、お手に取ってみてはいかがでしょうか?

プロダクト

大塚製薬がリユース可能な「ポカリスエット リターナブル瓶」を販売

https://www.otsuka.co.jp/company/newsreleases/2022/20220630_1.html

大塚製薬株式会社は2022年7月12日、循環型ショッピングプラットフォーム「Loop」を利用した「ポカリスエット リターナブル瓶 250ml」の販売を開始しました。

デザイン面では「ポカリスエット」らしさにこだわっています。現行では1本のサーフラインが特徴のポカリスエットですが、今回は1980年発売デザインを踏襲し、2本のサーフラインに。この見た目に懐かしさを覚える人も多いのではないでしょうか。

特筆すべきはその販売スタイル。使い捨てされていた洗剤やシャンプーなどの日用消耗品や容器を、ステンレスやガラスなど耐久性の高いものに変え、繰り返し利用を可能にする新たな商品提供システム「Loop」を導入しています。同商品は、イオンやイオンスタイルの一部の店舗で販売され、店頭に設置された専用返却ボックスで、使用済み容器を回収する仕組み。返却する際に容器に二次元バーコードシールを貼り、専用アプリでスキャンすることで容器代が返金されます。

「ポカリスエット」=チャレンジ要素の強いブランドのイメージとして、循環型社会の実現に向け新たなビジネスモデルを提案する姿勢は、今後の飲料メーカーにも影響を与えていきそうですね。

 

Nothing Technologyが、スケルトンデザインが特徴のスマートフォン「Nothing Phone (1)」を発表

https://jp.nothing.tech/pages/phone-1

英スタートアップのNothing Technologyが、現地時間の2022年7月12日、同社初となるスマートフォン製品「Nothing Phone(1)」を発表しました。主な特徴として注目されているのはその意匠性の高さです。

同社は開発にあたり、デザインに注力することで、スマホが見た目や機能の面で差がなくなってきている現状の打破を目指したといいます。ボディの背面は光り方を変えられるLEDを900個以上搭載し、さらに内部部品が透けて見えるスケルトン構造になっています。

Nothing Technologyを率いるのは、中国のOPPOでスマホブランド「OnePlus」を手がけたカール・ペイ氏ということもあり、今回の発表は各国で注目を集めました。ペイ氏によれば、今回のデザインはソニーグループや任天堂といった企業の製品からも影響を受けているそうで、「日本で歓迎されれば他の国でも問題ないだろう」と日本市場への期待をのぞかせました。日本では8月に正式発売開始予定で価格は6万9800円。注目のスケルトンデザインを早く触って試してみたいです!

デザイン

ヘラルボニーが、知的障害のある人の選挙参加を補助する「やさしい投票ガイド」を公開

https://heralbony.com/pages/carevote2022

「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、知的障害のある作家とともに新たな文化の創造を目指すヘラルボニーが、知的障害のある人が投票所で困ったときに利用できる「やさしい投票ガイド」をデザインし公開しました。本ガイドは1枚の紙に印刷することができます。左面には「字を書けなくてもよい」「メモを持っていってもよい」といった投票に向けた準備情報、右面には「代わりに書いてください」「わかりやすく説明してください」といった、投票所で困ったときに指をさすことで係の人との会話をサポートする情報が記載されています。

https://twitter.com/heralbony/status/1545924069677182977?s=20&t=2oqlXVtVLrdIU3BHkfgOFw「やさしい投票ガイド」は、ヘラルボニーによる「#CAREVOTE」アクションの一環で制作されました。ヘラルボニーは、知的障害のある人ができないことをできるようにするのではなく、「できない」という前提を認め合い、彼らの個性のために社会が順応していくことを目指すといいます。今後も「#CAREVOTE」に関するアクションに注目していきたいです。

「やさしい投票ガイド」は、ヘラルボニーによる「#CAREVOTE」アクションの一環で制作されました。ヘラルボニーは、知的障害のある人ができないことをできるようにするのではなく、「できない」という前提を認め合い、彼らの個性のために社会が順応していくことを目指すといいます。今後も「#CAREVOTE」に関するアクションに注目していきたいです。

トレンド

サイバーエージェント、“メタバース建築”研究するラボ設立、隈研吾氏が顧問に就任。

https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=27796

株式会社サイバーエージェントは、メタバース空間における建築物や空間デザインの研究・企画・制作を目的に、専門組織「Metaverse Architecture Lab(メタバースアーキテクチャラボ)」を2022年7月に設立しました。さらに、建築家の隈研吾氏(建築家、東京大学特別教授・名誉教授)が顧問に就任したことを発表しました。

Metaverse Architecture Labは、アパレルなどのブランド企業や小売企業の販促およびブランディング活動において、新しい価値を生み出すバーチャル建築物を制作します。また、商業空間のみならず、複合施設や仮想都市などの開発や、メタバース空間だからこそ実現できる建築のコンセプト設計、コンテンツ企画やユーザー体験の設計など、バーチャル建築物のアーキテクチャ概念の検証から実証実験、プロトタイプの作成まで取り組んでいく模様です。

隈研吾氏はN高等学校のVR空間の校舎をデザインしたり、一般社団法人メタバース推進協議会の特別顧問に就任したりと、精力的に取り組まれていらっしゃる印象です。

メタバース空間におけるブランド価値、体験価値のアップデートにますます期待が高まります。

デザインの多様性をテーマにしたウェブマガジンSpectrum Tokyoが立ち上げ開始

https://spctrm.design/jp/

2022年7月5日、株式会社フライング・ペンギンズはデザインの多様性をテーマにしたウェブマガジン「Spectrum Tokyo(スペクトラムトーキョー)」を公開しました。Spectrum Tokyoのミッションは、デジタルなものづくりにおけるデザインの捉え方を拡張し、複雑化する課題をクリエイティブに解決する人を増やすことだそうです。

現時点では、インタビュー、コラム、クリエイティブルーツ、海外トレンドなどがコンテンツとして掲載されているなど、デザインという概念の輪郭をあらゆる角度から多面的に見つめる機会が提供されています。

また、本メディアでは、特定のテーマや領域に固執することなく、あえて無作為にさまざまな気づきを提供するとのこと。アイデアは一見結びつかないように見えるもの同士が結びつくことで生まれるということが往々にしてあると思うのですが、本メディアを通じて意識的に遠くから着想を得ることが期待できそうです。

以上、7月に話題になったアプリやサービスをお届けしました。
毎月新しい情報をお届けしておりますので、来月もお楽しみに!

過去の月間まとめ記事はこちらからどうぞ!