梅雨明けが待ち遠しい今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
今月も、Goodpatchで話題になったアプリケーションやサービスをご紹介します!

 

アプリケーション

Evernote創業者がプレゼンテーションアプリ「mmhmm」を発表

https://www.mmhmm.app/

Evernoteの創業者フィル・リービン氏は、プレゼンテーションアプリ「mmhmm」を発表しました。「mmhmm」では自身の姿が映った映像とその他の映像の配置や大きさ、透過表示を設定することができます。こうした特徴をフィル氏は「自分でニュース番組が作れる、簡単にキャスターになれる」と紹介しています。今後リリース予定の機能としては、映像のレイアウトをユーザーが自由に変更できる「Dynamic Deck」や、複数のユーザーが同時にスライド映像の操作を行える「Multiplater」も挙げられています。

従来のオンライン会議アプリケーションと異なる点はやはりその柔軟性でしょう。オンラインでのコミュニケーションは使用するツールの機能に依存するため、制限が生じるものです。この点に関しては「mmhmm」も例外ではありませんが、これまでと使用するデバイスは変えずに、よりオフラインのコミュニケーションに近い体験を提供できることはとても画期的だと言えるでしょう。現状プレゼンテーションアプリと銘打っていますが、ビジネスシーン以外にもゲーム実況での使用などもあり得そうです。「Zoom」を使用したコミュニケーションが多岐にわたっている今、オンラインでの身近なコミュニケーションの可能性を広げるツールとして注目しておきたいですね。

LINE、トークが自分だけのメモ帳になる新機能「Keepメモ」追加

https://guide.line.me/ja/experts/chat-keep.html#keepmemo

LINE株式会社は、同社のコミュニケーションアプリLINEにおいて、メモ帳などで使える新機能「Keepメモ」を2020年7月8日に追加しました。これまでも画像やテキストなどを保存しておくKeep機能がありました。「Keepメモ」は自分専用のトークルームに通常のトークと同じようにテキストやデータを送ることでKeepに記録することができます。思いついたアイデアや、あとで見返したい内容を記録しておくことでメモ帳としても使うことができます。

メモ機能はあらかじめスマートフォンに搭載されているものの、実際にメモを残したいタイミングで、メモ機能をその都度使用する人はあまりいないのではないでしょうか。しかし、私たちの生活の一部となっているLINEという媒体を通すことで、スーパーマーケットで買い物をする時などの慣れ親しんだ操作性で手軽にメモを残せるようになります。「Keepメモ」によって私たちの生活の質が向上し、LINEがユーザーの生活の一部により一層溶け込むのではないでしょうか。

G Suite向けGmailが刷新、チャットやビデオ通話機能が統合

https://cloud.google.com/blog/products/g-suite/introducing-your-new-home-for-work-in-gsuite


Googleは米国時間2020年7月15日にG Suite向けGmailの大幅な刷新を発表しました。G Suiteは今回の刷新で「a better home for work」というコンセプトを掲げています。これによりGmailにChat、Meet、Roomが追加され、様々なサービスを切り替えなくてもGmail上でツールにアクセスできるようになります。また、集中したいときに使用できる通知オフの機能やタスク管理、ファイル一覧をみることができるタブなど、仕事の効率を上げるための機能が用意されています。

近年、Slackなどのチャットツールを導入している企業も多いですが、チャットツールがあるからといってメールの需要がなくなるわけではありません。社外とのやりとりや、社内でチャットツールを使用していない会社はメールを使用しているケースも多いのではないでしょうか。誰もが使用しているメールというツールをベースに、ビデオ通話などのコミュニケーションツールやドキュメントの編集、タスク管理が統合されたプラットフォームを提供する今回のアップデート。G Suiteは機能の網羅性を武器に他社のグループウェアと差をつけようとしているのではないでしょうか。

サービス

Uberが東京都内でタクシーサービスを開始

https://www.uber.com/ja-JP/blog/uber-taxi-tokyo-launch/


フードデリバリーサービスで知られているUberが、東京都内にてタクシー配車サービス「Uber Taxi」を開始しました。これまでハイヤー会社と連携した配車サービスを展開していましたが、日の丸リムジン・東京エムケイ・エコシステムの3社との連携でタクシー配車が実現しました。現在は千代田区、中央区、港区などの限られたエリアで利用できます。

タクシー配車サービスは競争が激化しています。収益性を高めるため一部エリアでのサービスの中止を発表する企業が出たり、日本交通のJapanTaxiがDeNAのMOVと事業統合を経てMobility Technologiesと社名を変更する、といった変化が起こっています。

Uberは本来のスタイルである、個人が自家用車で運送するライドシェアのサービスからタクシー会社との協業へと方針を転換し、今回ついに東京でサービスを開始しました。今後インバウンドが長期的に加速する潮流を考慮すると、国内外で知名度を持つUberの成長にはより注目したいところです。

全文を一行で読める本「一行文庫」が公開

https://onelinebook.com/


全文を一行で読める本をコンセプトにしている「一行文庫」というサイトがリリースされました。作者は、リーディング・トラッカーという読書補助具をきっかけに、文章の読みづらさの要因の1つは周辺の文字情報であると考え、実際に体感するためにこのサイトを作ったそうです。

このサイトがリリースされた後、作成するまでの経緯や作者が伝えたかったことをまとめた記事が公開されました。その中で作者は以下のように述べています。

ただここで実際に感じて欲しいのは「読みづらいなぁ」ということだけではなく、裏を返せば、いま自分が感じているのと同じように、通常の本の方を読みづらいと感じている人たちがいる、ということです。

引用: 読みやすさとは何か、ということについて。|岩下 智|note

自分が当然のように思っていることが、ある人にとっては当然ではない、という意識を持つことはプロダクト開発においても重要です。使いやすさという観点はサービスの成長やユーザーに長く使い続けてもらうことに大きな影響を与えるため、その改善に時間を注ぐことが大切です。しかし、使いやすさは誰しもが不自由なく平等に利用できるという前提があってこそ成立するものです。自分の中にある当たり前を疑うことが、良いプロダクトを生み出すための近道になるのではないでしょうか。

無印良品が給水サービスを開始

https://www.muji.com/jp/ja/stories/food/520171

無印良品が2020年7月1日から給水サービスを開始しました。プラスチックごみの増加が世界的な課題となっている今、環境問題に対する対策の1つとして、無印良品は専用のペットボトル・アプリ・給水スポットを提供することで持続可能な環境の実現や水を摂取することを習慣化させ、ユーザーの健康に配慮した新たなライフスタイルを提案しています。

無印良品の給水サービスは専用ペットボトル・アプリ・給水スポットの3つが連動して成り立っています。専用のペットボトルを使用して店舗で給水し水を持ち運ぶだけではなく、アプリで自身がどのくらいペットボトルごみの削減に貢献できているかが簡単に分かります。また、専用のペットボトルでなくてもマイボトルを利用して給水できることで、不要になったペットボトルは各店舗で回収され最後までゴミを出すことのない徹底した仕組みとなっています。

このようなプロダクト・アプリ・エリアが連動したサービスを利用することで日常生活での自身の行動と紐付き、普段感じることはなかった「環境を変えたい」という意識が生まれ、プラスチックごみを削減しようという新たな習慣が身につくのではないのでしょうか。

プロダクト

地域の「らしさ」を書体にする「東京シティフォント」が販売開始

https://typeproject.com/fonts/tokyocityfont

タイププロジェクト株式会社は7月1日、「東京シティフォント」の発売を開始したと発表しました。「東京シティフォント」は、都市フォントプロジェクトの一貫で、都市空間に増えつつあるデジタルサイネージや、交通機関の案内表示などに適したフォントファミリーとして開発されたものです。現代の情報表示に適した設計から、遠距離からの判別性と表示品質の安定性を実現しています。東京シティフォントの和文部には、視認性の高さを追求した簡潔明瞭なデザインのフォント、「TPスカイローコントラスト」を採用しています。また、新たに開発した欧文は和文の基本設計を踏まえながら、内側は直線的、外側は曲線的なスタイルで、東京の建築群との相性を考慮したデザインとなっています。


今回発売を開始した「東京シティフォント」は、2010年にタイププロジェクトが発表した都市フォント構想から制作されました。都市独自のフォントをコミュニケーションツールとして活用することで、都市のアイデンティティを強化しようという試みです。2017年7月には横浜をイメージした「濱明朝」、2020年3月には名古屋をイメージした「金シャチフォント姫」の発売を開始しています。地域の「らしさ」を書体にすることで、地域が持つ特性を文字を読みながら感じることができます。名古屋や横浜のシティフォントは、より装飾的な印象を与えていましたが、東京シティフォントは普遍的でどこにでもなじむような印象を受けます。これは東京という都市が、特性を持たずに様々な人を受け入れる場所であるという思想が表現されているのではないでしょうか。

その他

サッカーアイスランド代表が四半世紀ぶりに新しいロゴを発表

http://landvaettir.ksi.is/

サッカーアイスランド代表が四半世紀ぶりに新しいロゴを発表しました。新しいロゴは、アイスランド国章にもなっている4体の守護者の鳥、巨人、雄牛、ドラゴンをモチーフにしてデザインされています。4体の守護者はそれぞれ単独のシンボルとしても成り立つようにデザインされています。また、世界観を伝えるために、オーダーメイドのフォントや音楽、コンセプトムービーまで作成されました。コンセプトムービーには、まるでゲームのような迫力のある四神が描かれています。

世界観を統一したブランドデザインを展開させるためには、デザインに柔軟性を持たせ、さまざまな場面やコンテンツに応用できることが重要です。今回のリデザインでは、ユニフォームやグッズだけでなくゲームなどに展開された際のイメージまで作成されています。チームやその背景の世界観に入り込むことで、より没頭して試合を楽しむことが出来るはずです。

今回の世界観の統一やそれを展開させたリデザインからは、アイスランドサッカー代表の意思の強さが伺えるのではないでしょうか。これからの躍進が気になりますね。


以上、7月に話題になったアプリやサービスをお届けしました。
毎月新しい情報をお届けしておりますので、来月もお楽しみに!

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