デザイナーが輝ける組織とは?デザイン組織のつくり方イベントレポート【NewsPicks・Goodpatch編】

みなさんの会社では、どのようなデザイン組織を作っていますか?

領域、従業員の規模、事業内容によって様々なデザイン組織のカタチがあります。
そこで、日頃はプロダクト開発にコミットしているけれど、そろそろ組織のことも視野に入れてスキルアップしたいという方に向けた「デザイン組織のつくり方」のイベントを開催しました!

登壇者は、インハウスで独自のデザイン組織をつくるNewsPicksの櫻田 潤さん、そして様々な企業のデザイン組織を支援してきたGoodpatchの大山 翼。
今回はこのお二人に彼らが実践してきたデザイン組織のノウハウについてお話ししていただきました!

株式会社ニューズピックス インフォグラフィック・エディター|櫻田 潤さん「デザイン組織のつくり方」

NewsPicksは厳選された経済ニュースを専門家のコメント共に読むことができるソーシャル経済メディアです。各界の専門家や300万人以上のビジネスパーソンがコメントをしているため、多角的な理解を深めることができます。今回は櫻田さんがどのようにしてNewsPicks社内にデザイン組織を創りあげたのかお話を伺いました。

1. デザインチームのかたち

まず僕たちがデザインの対象となる3つの領域をご紹介します。

  1. プロダクト領域 – アプリ、ウェブをデザイン。対象は、メインサービス「NewsPicks」と派生サービスの「NewsPicksアカデミア」の2つ。
  2. コンテンツ領域 – 編集部記事、ブランド広告記事をデザイン。
  3. マーケティング領域 – ランディングページやSNSプロモーションに関するデザイン。

これらのデザインは、エンジニア、編集部、ブランド広告チーム、動画チーム、マーケティングチーム、コーポレート部門など様々なチームと協力して取り組むものです。そのためトップダウンのツリー型の組織運営をすると、他のチームとスムーズに連携を取ることができません。そこで、僕たちは3つのデザインチームをベン図型の組織でマネジメントをしています。そうすることでインクルーシブなマネジメント、または包括的にチーム全体を俯瞰できるマネジメントが可能になります。

このようなベン図型のマネジメントになったのは、2015年サービスがまだ1つだったときのことです。当時、プロダクトチームとコンテンツチームが完全に分断されている状態でしたが、プロダクトチーム専任のメンバーの退職をきっかけにプロダクトチームとコンテンツチームを一部のメンバーが流動的に兼務するベン図型の組織が完成しました。

このベン図型の組織で特徴的なのは、メンバーがポリバレント(多価)であることです。ポリバレントとは、メンバーが複数のポジションをこなし、自分の判断で仕事を行います。。各自がポリバレントであることにより、状況や案件ごとに臨機応変に対応できる流動型の組織を創りあげることができたのです。

2. 大切にしていること

一方で各メンバーが自分の判断で行動すると、デザインや提案に一貫性がなくなりうまくいかない時期がありました。そこで以前からデザインチームで掲げていたMissionの「デザインの力でプロダクトを『よりよくすること』」に加えて、以下の3つのStatementを策定することにしました。

このStatementを元に、一人ひとりが主体的に責任感を持ってデザインをすることを心がけています。

  • 「やるか、やらないか」– 案件に対して中途半端に関与しない
  • 「うのみにしない」– 現状のデザインの提案に対してうのみにせず、100%以上を目指す
  • 「自分らしくやる」– デザイナー一人ひとりの個性を活かす

加えて、NewsPicksのメンバーは「デザイン」と「働き方」を各自で判断しています。
「デザイン」を判断する際に大切にしていることは、NewsPicksらしい「先進性かつ信頼感」と「個性の特性」を掛け合わせた、その人らしい表現です。しかしその一方で、複数の案件を並行していたり、一つの案件に注力しすぎると他の案件に手が回らなくなってしまう際、各自で「働き方」を判断することを推進しています。

3.デザイン組織においての課題

デザイン組織を創りあげる上では、まだまだ課題があります。

課題1:プロダクトの自立

2018年にベン図型組織の領域を見直しました。
ベン図型の一つであった「マーケティング」は全ての領域のメンバーが関わりを持っていたため、「新規プロジェクト」に変更しました。

一方で現状プロダクト領域のみ人材が不足し、リーダーがいない問題があります。今までエンジニアの方に協力してもらい、穴を埋めてまいりましたが、マネジメントの持続性がありませんでした。今後は、僕と一緒にプロダクト領域を自立することを目標にする新しいリーダーを採用したいと考えています。

課題2:文化の伝導

現在NewsPicksはどんどん事業を拡大し、デザイナー以外のメンバーも増えています。僕たちデザイナーは、多くの部署と関わるためその人たちにデザインチームの文化を伝えることを大切にしています。先ほどお伝えしたデザインチームの文化であるMissionや3つのStatementを全社に伝え、パフォーマンスの出やすい環境をつくる必要があります。

課題3:デザインのスケール

「自分らしさ」のデザインを追求し、そればかりを表現するとスケールが難しい属人的なデザインになってしまうことがあります。NewsPicks全体のデザインシステムを創ることでクオリティを担保しています。

4.リーダーの役割

NewsPicksメンバーに求めるスキルとして3層構造があります。

まず、一人ひとりがベースとなるマインドセットを持っています。
ここでのマインドセットは、親会社である株式会社Uzabaseの 7 Rulesに加えて、先ほどご紹介したMissionとStatementのことをさします。
どんなにデザインスキルやナレッジがあっても、ベースとなるマインドセットが合わないと組織にフィットしないことがあるからです。

次にデザインスキルです。デザインスキルには、サービスデザイン、プロトタイピング、リサーチ、ビジュアルデザイン、ブランドデザインなど様々なスキルがありますが、NewsPicksではデザインスキル全てを網羅することは求めず、いくつかのスキルを組み合わせてアウトプットできることを求めています。

最後にリーダーシップです。
NewsPicksのリーダーに求められる役割として以下の役割があります。

  1. 自己実現できる環境づくり 
    メンバーのパフォーマンスを最大化するために「自分のやりたいこと」と「会社のやりたいこと」が合致する環境を創る。
  2. 文化(主体性、多様性)の伝道 
    チーム内だけでなく、全社や社外に向けて、自分のチームのMissionとStatementを伝える。
  3. 燃え尽きないようにする。
    自己実現できる環境があると、メンバーがオーバーワークしてしまうときがあるため、メンバー一人ひとりの働き方調整を適宜行なう。

これらを元にに、デザインチームでは固有性を極める特化型の「プロフェッショナル」と、チームを横断して全体を最適化する「マネージャー」2つのキャリアパスがあります。メンバーの特性に合わせて一人ひとりにあったキャリアパスを積み上げていってもらいたいと考えているからです。

デザイン組織は、領域や規模、インハウスかアウトソースによって様々なカタチがあると思います。これからもNewsPicksは自分たちに適したデザイン組織を創りあげていきますので、楽しみにしていてください。

Goodpatch PM/UXデザイナー|大山 翼「Goodpatchのデザイン組織支援」

2018年5月経済産業省と特許庁が「デザイン経営」を宣言し、デザインが企業や事業価値向上のための重要な経営資源である、と注目されています。一方、日本企業においてはデザイン組織はまだまだ少ないのが現状です。今回は様々な企業のデザイン組織づくりを支援しているGoodpatchのPM/UXデザイナーの大山が、どのようにしてデザイン組織を創り上げているのかお話しました。

Goodpatchのデザイン組織支援の3ステップ

Goodpatchがデザイン組織をゼロから創り上げ、デザインを経営資源にするための3つのステップをご紹介します。

 

STEP 01 :デザイン組織の構築

今までGoodpatchが一緒に仕事をしてきたクライアントさんは以下のような課題をお持ちでした。

  • デザイン組織全員が共感できるビジョン、ミッション、バシューの策定
  • 社内啓蒙や企業カルチャーフィット
  • 組織計画や採用計画など、経営に対するアカウント
  • キャリアパスや評価制度の制定
  • デザイナー入社後の業務設計やフォローアップ

これらの課題を解決するために、Goodpatchが実践している組織デザインのプロセスをご紹介します。

どのような組織を作っていくべきかを考える「組織設計」、どうデザイナーを採用・育成していくかを考える「デザイナーの採用育成」、どうデザイン組織を運営するか考える「組織の運営」のこれら3つのプロセスをクライアントの皆さんと一緒に取り組み、デザイン組織の構築を支援しています。

STEP 02 :デザインプロセスの装着

Goodpatchは企業のデザインパートナーとして、UXデザイン・UIデザインを軸に、ユーザーが本当に必要とされるものづくりを目指しています。
そのなかで大切にしていることは、クライアントの皆さんに我々と一緒にデザインプロセスを実践し、デザインの過程を体験してもらうことです。

Goodpatchは”偉大なプロダクトは偉大なチームから生まれる”という考えを大切にしているため、クライアントのサービスやプロダクトに対してコミットするだけでなく、クライアントの組織・チームに対しても全力でコミットしています。

詳しいデザインプロセスはGoodpatchBlogでご紹介しておりますので、ぜひチェックしてみてください!

金融サービスを変革するデザインプロセスに迫る!証券×デザインの未来とは?

集中力を可視化するアプリ「JINS MEME OFFICE」のユーザー体験を支えるチームに迫る

STEP 03 :デザイナーのマネジメント

もちろんGoodpatchの組織が完璧な訳ではなく、まだまだ課題も多く、試行錯誤しています。
ここではGoodpatchが現在取り組んでいる課題をご紹介します。

 

これらの課題は、組織内での個人の役割と成長に起因していると捉え、スキル分類の再設計、等級毎の役割明文化、品質の向上と安定化、といった改善に取り組んでいます。

また、日本のデザイナーの多くは企業はマネジメントにいくキャリアパスしか整備されておらず、ほとんどのデザイナーがスペシャリストへ進んでいます。
そこでGoodpatchは、各々のキャリアパスを前提とした役割と成長目標を設定することを考えました。

各々のキャリアパスを前提とすることで、デザイナーが様々なスペシャリストとして、又はマネジメントとして成長する選択肢を提供できる状態を目指しています。

スペシャリスト・マネジメントとして挑戦し続けるデザイナーが、活躍し続けられ組織構造を実現するためには、以下の3つの環境を整える事が大切であると考えています。

  • キャリアプランを描ける、目指したい方向を決められる状態
  • 得意領域を深掘りすることが、ミッションの達成に繋がる状態
  • 専門性を追求することが、継続的かつ段階的な組織貢献につながる状態

Goodpatchは日本企業にデザイン組織の定着と組織におけるデザイナーのポジションを確立するために、これからも様々な企業のデザイン組織を支援していきたいと考えています。よりデザイナーが輝ける社会を目指して。

最後に、僕が大事にしている言葉をご紹介します。

  「デザインは文明、文化のバロメーターだ」 亀倉雄策さん

この言葉のようにこれからもデザインの力で世界を前進させていきます。

Q&A

Q&Aのコーナーでは、事前の質問に加えて当日会場からたくさんの質問をいただき大盛況でした!

Q1.他職種や上司に、クリエイティブの価値や重要性を説得するポイントはありますか?

グッドパッチ 大山さん(以下、大山):
僕たちはパートナーとして説得することになりますので、僕はよく「競合劣位がやっていることを認めるんですか?」と、問うことで納得していただくことが多いですね。(笑)
ニュースピックス 櫻田さん(以下、櫻田):
僕たちインハウスの場合、社内にデザインの力をわかってもらうことを大切にしています。特に、他部署の方に対してデザインの力を浸透させるために先ほど話した「文化の伝道」を実践しています。あとはオープンに「何をやるか、やらないか」を宣言していますね。

Q2. デザイナーのマネジメントで目標設定の定量化が難しいです。何か工夫されていることはありますか?

大山:
これは、Goodpatchでもまだ課題です。現在取り組んでいることとしては、週に一度メンバー一人ひとりとマネージャーが1on1を実施して、「どんな役割か、何を実践するか、どんな結果を出すか」をきちんとコミュニケーションすることを大切にしています。
櫻田:
僕たちはデザイナーに対して定性的に目標設定をして評価をしています。理由は、定量的に評価すると失敗を恐れてMissionである「よりよくすること」に一歩踏み込めなくなってしまうからです。「よりよくすること」を実践できるために、デザイナーがどんどんチャレンジできる環境づくりに力を入れています。
定量的な評価をする他部署と僕たちデザイナーチームの定性的な評価を公平にするために、僕からの評価だけでなくプロジェクトに関わったメンバーや他部署の方と一緒に360度で評価をしています。

Q3. デザイナーに対して、どれくらいの時間をかけてフィードバックしていますか?

櫻田:
3ヶ月に1回と半年に1回、定期的なフィードバックを行なっていますがそれ以上に日々の働き方を大切にしています。特に先ほどお見せしたベン図を跨ぐ仕事をしている人は、評価やフィードバックが複雑になってしまいがちです。そのため定期的なフィードバックのほかに、一対一の対話を増やすことを大切にしています。
大山:
週に1度の1on1の他に、半期に1回評価を行なっています。定性面の評価としての、アウトプットの評価には特に時間をかけていますね。アウトプット評価として、自分たちが半期で取り組んだプロジェクトのアウトプットをマネージャーや経営陣に直接プレゼンできる時間を作っています。このアウトプット評価はオープンに行なっており、誰でも傾聴することが可能です。

Q4. ストレスマネジメントやモチベーションなど精神面のフォローはどのようなことをしていますか?

大山:
週に1度の1on1での対話を大切にしています。その人が今後どうなりたいか、いま困っていることはないか、などを聞きどのように対処するか具体的な話をしてフォローしています。
櫻田:
ストレスには2種類あると思います。1つ目は体力面のストレスで、この場合勤務状態を確認してフォローしています。2つ目は精神面でのストレスで、この場合やりたいことを実現できる環境を作ることでフォローしています。
メンバーがやりたいことを日々確認し、何が楽しかったかなど一緒に話し合うことで次の目標設定の基準になります。自分が楽しいことをやるときは、精神的にも疲れませんからね。

Q5. カルチャーの伝道とは具体的に何をしていますか?

大山:
Goodpatchは「ハート揺さぶるデザインで世界を前進させる」というビジョンと「デザインの力を証明する」というミッションが明確であるため、そもそもそこに共感して入っている社員が多いんです。そのため、社内でのカルチャーの伝道は必要ありません。現在は、さらに強固なカルチャーを作るためバリューの言語化に取り組んでいます。
櫻田:
僕たちもGoodpatchのようにミッションやバリューなどのマインドセットがスタート地点にあります。これらに共感してジョインしている人がほとんどです。彼らが自然に振る舞うことで、僕たちの文化が深く浸透していくと思います。
あと、正直な振る舞いを大切にしています。理想論でデザインの大切さを語るのではなく、率直に自分たちデザインチームは「何をやりたくて、やりたくないのか」を色んな人に伝えています。(笑)
一方的に自分から語るのではなく、自分が「やりたくない」と伝えるだけで相手が考えるきっかけに繋がるんです。

懇親会でも普段どのようにデザイン組織を作っているかなどの情報交換が積極的に行われていました!

今回ご紹介したように、デザイン組織には企業の数だけ様々なカタチがあります。一つのカタチにとらわれず、それぞれの企業のカルチャーに合ったデザイン組織を創りあげることが大切なのではないでしょうか。

Goodpatchはデザイン組織づくり、デザイナーと企業のマッチングのお手伝いもしています。

これからもデザイン組織に関連した情報発信を行なってまいりますので、ぜひチェックしてくださいね!

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