ナレッジ・ノウハウ

新しいものが大好きなGoodpatchで11月話題になったアプリ、サービス、デザインまとめ(2025)

日ごとに寒さが増し、冬の足音が聞こえてくる11月。

今年も残すところあと1カ月となり、慌ただしくなる年末に向けて準備を始める頃かもしれません。 体調を崩しやすい時期ですので、どうぞご自愛ください。 

それでは今月もグッドパッチで話題になったサービスやトレンドを紹介します!

AI

生成AIと共につくる可能性ーFigma Makeを使ったCyberAgent広告制作の裏側

生成AIと共につくる可能性ーFigma Makeを使ったCyberAgent広告制作の裏側

サイバーエージェントがFigma Makeを使用し、渋谷スクランブル交差点の6面ビジョンで放映される屋外広告を制作しました。ブランドコンセプト「Always Fresh」をテーマに、3D空間でドットが動き形を変えるインタラクティブなアプリケーションを約200回の対話で完成させています。

記事では、アプリケーションの制作過程を追いながら、Figma makeの魅力や活用方法について知ることができます。

一例として、Figmaデザインデータと連携し、レイアウトやサイズ感を正確に再現できる点が特徴として挙げられています。プロンプトに具体的な数値を加えることで微調整も可能であり、3Dやプログラミングのような専門知識がなくても「イメージさえあれば作れる」手軽さが制作のハードルを大きく下げていると紹介しています。

一方で、最終的な質感や構成バランスの調整には依然として人間の審美眼が不可欠であり、AIに一定水準までを任せ、クリエイターが質を磨き上げるという役割分担が重要とのことです。

Figma、AIへの投資を深化し“創る力”を拡張 ―Weavyの買収と新機能で、AIと人のスキルが融合する新しいデザイン体験を提供―

Figma、AIへの投資を深化し“創る力”を拡張 ―Weavyの買収と新機能で、AIと人のスキルが融合する新しいデザイン体験を提供―

ブラウザ上で共同編集可能なプロダクト開発プラットフォームを提供するFigmaが、AI分野へのさらなる投資を発表しました。この取り組みには、生成AIプラットフォーム「Weavy」の買収や、AIと人のスキルが融合する新たなデザイン体験を提供する新機能のアップデートが含まれます。

今回の発表が非常に興味深いのは、AIによってデザインの「作り方」と「スピード感」が根本から変わる可能性を示した点です。単なる効率化を超え、AIがデザインの「共同制作者」になる未来が見えてきました。

最大の注目点は、買収した「Weavy」を統合した新機能「Figma Weave」です。AIが画像や動画、アニメーションまで生成し、デザイナーはそれをプロの編集ツールで磨き上げるという、新しい制作フローを実現します。AIのスピードと人間の感性が融合し、制作の質と速度の両立を目指すこのアプローチは、まさに次世代のデザイン体験といえるでしょう。

さらに衝撃的なのが、AIツール「Figma Make」の進化です。今回のアップデートで、ブランドのデザインルール(デザインシステム)を理解した上で、ReactのコードやCSSまで生成できるようになりました。

つまり、デザイナーがFigma上で描いたアイデアが、AIによって「動く高精度なプロトタイプ」や「そのまま使えるコード」に即座に変換されるのです。

Figmaが目指す「すべての人がデザインを利用できるようにする」という世界が、AIという強力な加速装置を得て、一気に現実味を帯びてきました。デザイン業界全体にとって、非常にエキサイティングなニュースです。

「誰でも映画がつくれる時代」日本初のAI映画祭開催

「誰でも映画がつくれる時代」日本初のAI映画祭開催 映像も音声もAIで…“動画初心者”が仕掛ける70分長編のAI映画とは?【news23】
(画像引用:米国FilmFreeway公認:日本初・アジア最大級「第1回AI日本国際映画祭2025」開催 - 本日より公式サイトにてチケット発売開始 –

AI技術を活用した新しい映画表現を世界に示す場として、日本で初開催となる「AI日本国際映画祭(AI Film Festival Japan 2025)」が2025年11月2日、3日に開催されました。世界40国から410本以上が応募され、70本を超える作品が上映され、AIを創作プロセスに取り込んだ映像文化の“新しい入口”として注目が集まりました。

なかでも話題となったのは、AI利用も映像制作も未経験者だった方が映像も音声もAIで生成して70分の長編映画を完成させた事例でした。「誰もが映画をつくれる時代」の象徴といえます。

この映画祭の特徴的な点として、評価軸に「作品性」と「技術性」の二軸が据えられていることです。これは、AIによる制作を単なる“自動化”として扱うのではなく、人間の表現とAIの創造力を掛け合わせる「共創」の場として捉えているためです。

また、ジャンルは長編・短編・アニメーション・ドキュメンタリーと幅広く、AI技術の使われ方も脚本生成から映像合成、インタラクティブな演出まで多岐にわたっており、技術の進化によって制作ハードルが一気に下がり、アイデア勝負の映画が次々と生まれ始めています。

以前までの、AIとは「作業や業務を効率化させるもの」という側面だけでなく、これまで困難だった「抽象的なイメージや複雑な世界観を具現化する力を持つもの」として広がりました。デザインの本質の一つともいえる“世界をどう見せ、どう体験させるか”に直結する新しい表現ツールとして広がっています。

さらに今回のような事例が一般的になってくると、従来の映像制作フローが再定義されることで、UI/UXやメディアデザインの領域でも、異なる発想や手段が生まれやすくなりそうです。

AI日本国際映画祭は、映画・映像文化とデザインの未来を問う舞台として大きな意味を持ち始めているようです。新しい“映像のつくり方”が生まれる瞬間を、デザイナーも創造のヒントとして捉える価値がありますね。

サービス・プロダクト

『Affinity』がまさかの無料化

Why we made Affinity free, and how we’ll keep it that way

2025年10月30日、Canvaが買収した英Serifが開発するデザインツール「Affinity」が完全無料で公開されました。Affinityの無料化は、クリエイティブ業界における最大の障壁の一つである「高額なプロ向けツールのサブスクリプション」を取り除きます。これにより、学生や新進気鋭のクリエイター、そして世界中の才能ある人々が、世界クラスのツールを使ってデザインや創作活動に専念できるようになります。

この無料化を実現できた背景には、Canvaが長年掲げてきた「誰もが優れたデザインツールにアクセスできるべき」という信念と、有料機能(チーム利用や高度なAIなど)に課金する持続可能な収益基盤(有料顧客2,800万人以上、年間収益35億ドル)の確立があります。これにより、Affinityの完全無料提供と次世代ツールへの投資が可能となりました。

また、無料化に伴うデータ利用への懸念に対し、Canvaは「あなたのクリエイティビティは常にあなたのものである」と明確に述べ、ユーザがAffinityで作成した作品やコンテンツをAI機能のトレーニングや開発に使用しないことを保証しています。AI技術が進化する中で、多くの企業がユーザーのデータをどうAI学習に活用するかを模索していますが、その中でこのような判断をしているのは、プロのデザイナーへの敬意とクリエイティブの主導権をユーザーに委ねるという強いメッセージだと感じました。

誰もが優れたデザインツールにアクセスできる時代の到来により、デザインがより多くの人にとって身近になり、新たな創造の可能性が広がることが期待されます。

Canvaが史上最大の製品化となる「クリエイティブOS」を発表

CanvaのクリエイティブOSのご紹介

Canvaが「Creative Operating System(Creative OS)」の提供開始を発表しました。これは10年以上のイノベーションを結集した同社史上最大の製品進化で、AI時代を見据えた次世代のクリエイティブ基盤として大きな注目を集めています。

中核となるのは世界初の独自AIデザインモデルです。従来の画像生成AIと異なり、デザインの構造やレイアウト、配色のバランスなど「デザインの論理」そのものを理解し、SNS投稿、プレゼン資料、ウェブサイトなどの完全に編集可能なコンテンツを数秒で生成してくれる機能です。また、主要プロダクトも大幅に強化されました。「動画2.0」ではより直感的な操作で動画編集が可能になり、「Canvaメール」はブランドにあった魅力的なキャンペーンを簡単に生成できるようになりました。その他にも様々な機能が追加されています。

Affinity」の無料化も含めて、「Canva」はますますクリエイティブプラットフォームとして進化していきそうですね!

AIが高速に解説付きで翻訳してくれる「Nani翻訳」が公開

Nani翻訳: AIが高速に解説付きで翻訳 

合同会社Kiokuが、翻訳内容を複数案提示したりニュアンスの解説などしてくれる翻訳サービス「Nani !?」を公開しました。

「Nani !?」は従来のツールが提供する「1入力=1訳」から脱却し、カジュアルからフォーマルまで文脈に応じた複数の翻訳候補を提示し、選択肢ごとの背景や意図をAIがやさしく解説してくれます。さらに、翻訳結果に基づき最適なトーンの返信文案を作成する返信文の自動生成機能も備えています。また、AIサービスにおける懸念ともなるセキュリティ面への配慮もなされており、翻訳データは端末上にのみ保存されサーバーには一切保存されない仕組みを採用しています。

近年、AI技術の発展で翻訳はより身近になりましたが、開発元である合同会社Kiokuは「Nani !?」を通してユーザーがAI翻訳を使用した時に抱く「本当にこの表現で通じるのか」「ネイティブなら別の言い方を選ぶのでは」などの潜在的な不安を解消するソリューションとしています。

「Nani !?」は言語間の単なるテキストの置き換えではなく、表現の幅を増やしかつより伝えたい内容のニュアンスに近づけることで、文脈を理解した上でのコミュニケーションの質を高めるための強力なツールになるだろうと感じました。

イベント

21_21 DESIGN SIGHT 企画展「デザインの先生」

21_21 DESIGN SIGHT | 企画展「デザインの先生」 | 開催概要

2025年11月21日から2026年3月8日まで、六本木・21_21 DESIGN SIGHTにて企画展「デザインの先生」が開催されています。
ブルーノ・ムナーリ、マックス・ビル、アキッレ・カスティリオーニ、オトル・アイヒャー、エンツォ・マーリ、ディーター・ラムス──本展ではこの6名に光を当て、作品だけでなく「先生」としての姿勢や哲学にも焦点を当てています。

たとえば、ムナーリは知育絵本や造形教育を通じて、子どもたちの創造性を育むアプローチを探求。遊びと学びをつなぐ実験的な表現でも先駆的な役割を果たしました。ビルはバウハウスの理念を受け継ぎつつ、ウルム造形大学の創設を通じて、機能主義に根ざした教育と実践を推進しました。ラムスはブラウン社で数々の製品を手がけ、「良いデザインの10原則」を提唱。シンプルさと倫理性を重視したその哲学は、現在のプロダクトデザインにも深く影響を与えています。

彼らに共通するのは、教育者としての側面にとどまらず、時代の変化に向き合い、自らの信念で社会に問いを投げかけ続けてきた点です。考えること、つくること、伝えること──そのすべてを「デザイン」として捉えていたことが、彼らの根底にあります。

AIが意思決定や行動を支援する時代になり、いま改めて問われているのは「人が考えること」の意味です。どういう問いを立てるのか。なぜこの選択肢を提示するのか。抽象度の高い思考や意思が、これからのデザインに求められています。

「デザインの先生」は、過去の巨匠たちの仕事を通じて、未来をデザインする私たち自身に静かに問いかけてくる展示であり、 AI時代の今だからこそ、足を運んで得たい学びがあると感じました。

五感で感じる未来のデザイン。「芸術未来研究場展」で出会う新しい創造のかたち

芸術未来研究場展  | 東京藝術大学大学美術館 The University Art Museum, Tokyo University of the Arts

2025年11月21日から11月30日まで、アートと社会が交わる注目の展覧会「芸術未来研究場展」が、東京藝術大学大学美術館で開催。

「芸術を未来に活かすための研究場」というテーマのもと、アート、科学、テクノロジー、ビジネスなど異なる領域を横断しながら、芸術の可能性を探る試みが行われます。

会場では、メディアアートや空間演出、社会実験的なインスタレーションなど、多様なプロジェクトが展示されます。たとえば、アートとテクノロジーを融合した“アートDX”や、地域・企業との共同リサーチによる新しい価値創出など、アートを社会実装する取り組みが並びます。

さらに、展示空間そのものが「場のデザイン」として設計されているのも本展の見どころです。来場者が作品の前に立つと映像や光が反応したり、複数人で動くことで空間全体の印象が変化したりと、関わり方によって体験が変わります。鑑賞者が“居る”ことで展示が完成するような、身体を通じて参加する体験が楽しめます。

また、企業・自治体・市民と大学が連携した展示も多く、社会とアートの関係性をリアルに感じられる構成となっています。こうした多様なコラボレーションが、デザインやクリエイティブの枠を超えて、ユーザー・環境・技術の新しい関係を考えるきっかけを与えてくれます。UX、UI、ビジュアル、空間、サービス設計など、幅広いデザイン領域に刺激を与えてくれる本展。五感で楽しみながら未来のデザインのあり方を見つめ直す時間を過ごしてみると、良いヒントが得られそうです。

メンバー募集のお知らせ

今月の「まとめ」はいかがでしたでしょうか?今月も新しい出来事やリリースが盛りだくさんでした。こちらの記事はグッドパッチのデザイントレーニングチーム「hatch」のメンバーで共同執筆しています。「hatch」では一緒に働くメンバーを募集しておりますので、ご興味がある方はぜひエントリーください!

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