Goodpatchで働いていると、「偉大なプロダクトは偉大なチームから生まれる」という言葉をよく耳にします。Goodpatchのみんなが大事にしている言葉です。私も入社する前からこの言葉が大好きで、普段から意識して働くようにしています。

チームで働くと、専門性や価値観の掛け合わせによってより良いプロダクトを生み出すことができるという話はよく聞くと思います。プロダクトの品質はチームのコミュニケーションの量と質に比例するとまで言われているほどです。
とは言え、専門性や価値観の異なるメンバーが集まり、さらに人数が増えるごとにチームのコラボレーションの難易度は上がっていきます。コミュニケーションパスが増えるからです。

そういったチーム内で起きる課題に対してはフェーズや状況に合わせて適切な対処があると思いますが、「備える」ということもできると思っています。
チームのコミュニケーションの量や質を高める仕組みをチームに取り入れ、状況に合わせてアップデートさせていくことができれば、私たちが向き合う課題はより本質的なものになっていくのではないでしょうか。そして、課題に対してTryしたことをさらに仕組み化していくサイクルをつくることで、チームとしてより強固になっていくのではないでしょうか。

本記事では、私が入社してから学んだり、試してみたりしたチームのコミュニケーション量と質を高めるための仕組みの中でも特に取り入れることをおすすめしたい仕組み3つとその理由をご紹介したいと思います。

1. チームのコミュニケーションルールをつくる

まずおすすめしたいのはチームのコミュニケーションルールをつくり、きちんと運用させることです。最近では、プロジェクト初期にチームのコミュニケーションルールをつくるようにしています。チームのコミュニケーションルールとは、チーム内で望ましい行動や考え方を指し示すものです。

良い行動をチーム内で増やしていくためにも、良い行動の認識を合わせておくことは非常に重要なことだと考えています。
それでは、どのようなコミュニケーションルールが適切なのでしょうか。チームのコミュニケーションルールのつくり方の例を1つ挙げたいと思います。

私はプロジェクトにおいてチームメンバーが感じている不安やプロジェクトへの期待からコミュニケーションルールをつくることをオススメしたいです。まずは、お互いにプロジェクトに対して感じている不安や期待を率直にさらけ出し、チームメンバーがどのような特性や考えを持っているのかを付箋ワークを通じて洗い出していきます。次に、出てきた不安と期待をそれぞれグルーピングすることで、チームメンバーの特性や傾向を明らかにします。最後は、それに合わせて不安の回避や期待の実現のためにどのような状況をつくる必要があるか、状況をつくるためにはどのような行動が必要かを整理していき、コミュニケーションルールとして落とし込んでいきます。

チームメンバーの不安や期待から生まれたコミュニケーションルールは、チームにおけるコミュニケーションの障壁を取り除いてくれるものになるでしょう。不安をポジティブなものに転換したり、個人のモチベーションを増幅させるコミュニケーションルールが出来上がるかもしれません。

これまでにつくったコミュニケーションルールの一例をご紹介します。

「分からないことはすぐに聞こう」
「できないことはできないと言おう」
「楽しめる工夫をしよう」

一見当たり前のことを言っているように感じられますが、コミュニケーションルールは普段から意識するように運用し、実際に行動を生むことに価値があります。チームのコミュニケーションルールは、つくるだけでは終わりません。チームで運用して初めて意味のあるものになるのです。普段から口にするよう意識してみたり、朝会にコミュニケーションルールを体現するコンテンツを設けてみたり、チームにとって望ましい行動を自発的にとれるような雰囲気づくりを日常的に行っていきましょう。

2. 毎朝5分のインプットタイムを取り入れる

私はプロジェクトの目的確認と進捗確認のために朝会を取り入れることが多いのですが、朝会の一部にインプットタイムを取り入れることは非常にオススメです。インプットタイムとは、一言で言うとチームメンバー全員で同じ記事を読み、その感想を共有するものです。

やり方はとても簡単です。まず、自分が携わっているサービスやプロダクトにまつわる記事をメンバーが交代で持ち寄ります。それから、3分〜5分かけて共通のメモ帳に気になった箇所や感じたことをメモしながら読み、最後にディスカッションを行います。

このインプットタイムには個人的に3つのメリットがあると感じています。1つ目は、サービスの周辺知識をつけられることです。朝会で取り組むので習慣化しやすく、個人の負担にもなりにくいです。2つ目は、サービスに対する考えや認識をチーム間で少しずつ揃えられることです。目的の認識を合わせるように、サービスに関する考えや認識に対してチーム内で共通理解を持つことは非常に重要だと思います。共通言語をつくる行為ですね。チームで共通言語を持つことによって認識の齟齬が減り、コミュニケーションの質が高まります。3つ目は、思わぬアイデアに遭遇できることです。チームメンバーとディスカッションしていく中で、自分たちのサービスにも転用できる情報が見つかったり、職種の枠を超えてディスカッションを行うことでアイデアの掛け合わせが生まれたりします。チームメンバーが自分とは少し異なる観点から記事を読んでいることが多く、発見の多い時間を過ごすことができるでしょう。

3. チームを振り返る仕組みを取り入れる

最近ではチームでKPTに取り組んでいます。KPTは振り返りのフレームワークの一つで、Keep(継続していきたいこと)Problem(改善すべきこと)Try(改善するために新しく挑戦すること)の3つを検討することで、チームの改善を促すものです。振り返りの手法として非常に有名なので、取り組んだことのある人も多い手法かと思いますが、このKPT実はとても奥が深いのです。

上にも書いた通り、KPTの目的はチームの改善と成長です。チームメンバーが自分の意見を出すだけの場ではなく、「チームにとって良い行動を習慣化させる」側面と「チームで内省するポイントを強引に作り出す」側面を持ちます。この2つの側面を両立させて初めて本来の目的であるチームの改善と成長を達成することができます。そのため、Keepを出す時には結果に対してよりも再現性の高い行動への賞賛を意識したり、ProblemからTryを打ち出す時にはProblemに対して実際どのようなことが起こってしまっているのか、それがなぜ起こってしまっているのかを丁寧に深掘ったりと意識的に行うことが重要です。

そういった地道なKPTの積み重ねが実を結び、KPTの実施回数を重ねる度に同じKeepが出てくるようになり習慣化されていることに気づかされたり、Problemの性質が変わりいつの間にかKeepへと変化していったりとチームの成長や変化を肌で感じる良い機会となるでしょう。

また、KPTを行う際には前提として以下3つの条件を満たしておくことも重要です。

  • Problemが出しやすい雰囲気づくりがされていること
  • プロジェクトの目的の認識が揃っていること
  • チームの成長が分かる定量的な指標が用意されていること

1つ目の条件に関しては、KPTの場で遠慮して課題が言えない、浮き彫りにならないということが起きないようにプロジェクト初期や普段からチームビルディングを行っておく必要があります。

チームビルディングについては目的別に手法がまとまっているこちらの記事がおすすめです。

さいごに

コミュニケーション量と質を高め、偉大なチームをつくるために取り入れるべき以下3つの仕組みを紹介しました。

  • チームのコミュニケーションルールをつくる
  • 毎朝5分のインプットタイムを取り入れる
  • チームを振り返る仕組みを取り入れる

私が冒頭から口すっぱく「仕組みだ、仕組み!」と言っているのには理由があります。私は、仕組みにしてしまうことに価値があると思っています。なぜなら、仕組みにすることで行動が生まれやすくなり、結果として継続しやすくなったり、他の場面でも再現しやすくなったりするからです。さらには仕組み化することで改良しやすくなるというメリットもあります。

トヨタが大事にしている考え方を表す「人を責めずに仕組みを責めろ」という言葉があるそうです。この言葉にあるようにチームで働く上でも生じた課題の根本を見直す仕組みづくりのサイクルはチームを健全なコミュニケーションへと引き戻してくれます。その意味を教えてくれたチームのみんなに感謝の気持ちを込めてこの記事を書きました。

みなさんも偉大なプロダクトをつくるために、チームのコミュニケーション量と質を高める仕組みを取り入れてみてはいかがでしょうか?

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