Goodpatchミュンヘンのデザインリードになるまで

Goodpatchは日本発のグローバルカンパニーとして、ヨーロッパにも複数拠点を構えています。これまでもヨーロッパで働くGoodpatchメンバーに焦点を当て、数々のインタビューを発信してきました。

今回はGoodpatch Munchenでデザインリードを務めるMax Wellが来日。ベルリンスタジオの立ち上げ期から在籍し、昨年度新たに立ち上がったミュンヘンスタジオで活躍する彼に、Goodpatchのデザイナーになった経緯や今後のミュンヘンスタジオの展望を語ってもらいました。

本記事は英語で書かれた記事を一部意訳し日本語にしたものです。元記事はこちらをご覧ください。

──本日はお時間ありがとうございます。まず初めに、Maxがデザイン業界に踏み込むきっかけになった出来事があれば教えてください。

私の父はミュージシャンで、母は金細工職人です。そのせいか幼い頃はいつも、周りにクリエイティブな人たちが集まっていました。幼い頃から絵を描くことやLEGOで遊ぶことが好きでした。一日中、自分の思うがままにLEGOを組み立てては壊しを繰り返していた時期もあります。

(LEGOで遊ぶMax)

そして14歳の時、初めて自分のパソコンを手に入れた私はその可能性に驚きました。ビデオゲームを遊べるだけでなく、Photoshop(当時はまだCSだった)を独学したり、HTMLやCSSを使ってウェブサイトの統合をしたりしていました。

小学校を卒業してからは、叔父が経営する広告会社でしばらくの間働きました。その時に自分が本当に好きなことが明確にわかりました。コンセプトやアイデアを創出することはもちろん、物事を試してよりよくするために試行錯誤することも好きだと気がついたのです。

──その後、デザインコミュニケーションとコミュニケーションサイエンスを学んだんですよね。

叔父のもとでのインターンシップを終え、私はついに自分のMacbookを手に入れ、自分が目指したい方向性を定めたんです。また外国へ行きたい想いもあったので、ウィーンでメディアとコミュニケーションサイエンスを学ぶことに決めたんです。広告業界でのキャリアに直結するであろうプログラムの内容にも惹かれました。

授業は私が想像していたよりもハンズオンで、科学的でした。コミュニケーション論や科学的なことを学んでアウトプットするというプロセスは、非常に学びがいがありました。授業を受けるまでは「引用」すら何か知らなかったんです。そういった文学的なスキルは現在の役職でも物事を広い視点で見ることや、全体論を導き出すことに役立っています。

幸運なことに、柔軟に授業を選べる環境にいたので、私は同時に経営学と心理学も専攻しました。これらの科目から得た知見は、今の職場の中でクライアントとコミュニケーションをとる際や、ユーザーを理解する際に大いに役立っています。

(Maxがウィーンで作成した作品)

また、サイドワークでは常にクリエイティブを模索していました。講義の中には何か欠けていると常に感じていたのですが、ある時「自分は科学が好きなわけでも、大学教員になりたいわけでも、広告業界で働きたいわけでもない」と気づいたんです。そこで思い切ってドイツに戻り、HTWで4年間コミュニケーションデザインを学ぶことにしたんです。

HTWで学んだことは、現在の仕事に欠かせないスキルを形成するために必須でした。一番驚いたのは「デザイン」という言葉の定義です。最初は広告代理店でグラフィックデザイナーとして働くためのスキルを得ようと学んでいましたが、すぐに「デザイン」という概念に惹かれ、方向転換を決めました。デザインという幅広い概念を学ぶには、多くの魅力的な手段があったのですが、一つ確かだったのは私の興味関心は写真を撮ったり本を作ったりするアナログな作業にはなく、UIやUXデザインといったデジタル領域にあるということでした。

──では、現在のGoopdatchでUIデザイナーとして働くことへ繋がったきっかけを教えてください。

在学中は卒業後にフリーランスとして働くことを検討していました。学生として過ごす最後の一年間は、フリーランスの準備をするためにベルリンにあるいくつかのコワーキングスペースを徘徊していました。しかし、「小さなプロジェクトに関わり続けること」では、長期的に自分の欲求を満たせないことに気がついたのです。そんな時に、ちょうど当時Goodpatchで働きはじめたFelix(現在の同僚)が、一緒に卒業制作に取り組んでいた私にGoodpatchを紹介してくれました。

Goodpatchで働き始めた当初は、本当にクレイジーでした。契約を結んだ後、すぐにベルリンとロンドンに拠点を構える大手金融機関のアプリ改善プロジェクトにアサインが決まりました。たった数ヶ月で、自分の学びの曲線が極限にまで上昇していると感じられました。また、自分が取り組んでみたかった「多様な専門性をもつ人とコラボレーションしながら課題解決をすること」に関われていると実感しました。

──それからミュンヘンオフィスを立ち上げたんですよね。その経緯と影響を教えてください。

少し経ってから、地元ミュンヘンを拠点としたプロジェクトに関わる機会をもらいました。私の頭の片隅には、いつかミュンヘンに戻ることがありました。なので、プロジェクトを通してその思想をプロトタイピングする良い機会でもありました。また、会社がGoodpatchミュンヘンを立ち上げる動きも同時期に走っていて、私がミュンヘンに戻るきっかけをくれました。そのおかげで現在はUIやUXだけでなく、採用や組織をつくることにも挑戦しています。(今もミュンヘンではUIデザイナーを採用しています!)

──現在のデザインリードとしての役割について教えてください。

ミュンヘンオフィスはまだ小さいので、リードとして今できることは限られています。ですが一つあるとすれば、ミュンヘンのデザインコミュニティの中から優れた人材を見つけて採用すること。そしてアウトプットのクオリティを担保し、クライアントに満足してもらうことです。

長期的にはミュンヘンのデザインカルチャーを醸成したいと考えています。Goodpatchnにとって新しい拠点となるミュンヘンでは、ベルリンや東京のカルチャーを南ドイツのカルチャーと融合したいと考えています。例えば前回のオフサイトでは、ミュンヘンチームが南ドイツ料理を振る舞い、現地の魅力を伝えました。

また、ミュンヘンにおけるGoodpatchの知名度を向上するために、ミートアップやカンファレンスにも積極的に参加し、似たようなマインドをもつ人と繋がりたいと思っています。

──Goodpatchにジョインしてから、困難を感じた経験はありましたか?

難しい質問ですね。こんな偉大なチームと一緒に働けて、ミュンヘンという地で0から新しい挑戦をさせてもらっているのは、本当にありがたいことです。Goodpatchがどれだけ自分を信頼してくれていて、責任を持たせてくれているか、常に実感しています。

その中でも一番つらかったのは、一年以上関わったプロジェクトをリリースまで持っていけなかったことでしょうか。多くのリソースを投資したにもかかわらず、一夜にして社内事情によってプロジェクト自体が破綻したのです。私にできるのは、今後そうした状況を引き起こさないためにチームにナレッジを共有することと前を向くことのみです。

──これまでにGoodpatchで学んだことを教えてください。

常に多様な専門性やバックグラウンドを持つ人と領域横断的に関わっているので、学ぶ数もそれだけ多いです。Goodpatchで働く中で私は一つの考え方に帰着しました。「新しい環境にオープンになり、常に好奇心を持ちながら人に対して最善を尽くすこと。そうすれば全ての物事はうまくいく」ということです。振り返ると全てが一筋縄の人生だったようにも思えますが、私にとっては紆余曲折あった人生でした。だから、今置かれている状況に文句を言うのではなく、自信を持って振りかかるチャンスをものにしていく。よく耳にするフレーズであるように思うかもしれませんが、それが私が学んだことです。

──Goodpatchのユニークさを形成するものって何でしょうか?

間違いなく人ですね。私たちのチームは才能があり、デザインと社会の未来を切り拓くために集まった人たちで形成されています。みんなユーザーが愛するMLPを創りたいと思っています。

また、日本との関係性もとても大切にしています。両拠点は良好な関係性を維持しながらお互いに良い刺激を与えあっています。互いの拠点で働くメンバーと会って、距離は離れつつも同じ価値観と目指す先を共有していることをいつも感じて和やかな気持ちになります。

──最後になりますが、今関わっているプロジェクトがあれば簡単に教えてください。

今はミュンヘン拠点の拡大に尽力しています。2019年の間には多くの人材を採用し、地元のクリエイティブシーンで欠かせないポジションを手にしたいと思っています。個人的に楽しみにしていたドイツのオリンピック選手をターゲットにしたプロジェクトも近々始まる予定です。

──Max、本日はありがとうございました!

ABOUTこの記事をかいた人

keika

'94年生まれ。中国と日本のハーフで、1歳から18歳までを中国・上海で過ごす。2016年にロンドンで写真・デザインを学ぶ。グッドパッチが注力しているFintechと、国外のデザイン組織情報を中心に発信。
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