年が明けてはや1ヶ月。皆さんいかがお過ごしでしょうか?
昨年記事を読んでくださったりシェアしてくださったりした皆さま、本当にありがとうございました。2022年もGoodpatch Blogをよろしくお願いいたします。
それでは新年1発目、Goodpatchで話題になったアプリやサービスをご紹介します!

アプリケーション

AIジャーナリングアプリ「muute」を学校教育に取り入れるプロジェクトが開始

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000070478.html

AIジャーナリングアプリ「muute」を開発・運営するミッドナイトブレックファスト株式会社は、2021年1月11日、学校共同プロジェクト「muute for school β」を開始しました。このプロジェクトは、中高生がmuuteアプリを利用することで自己理解力を促進させ、メンタルヘルスのセルフケア手法を学ぶことを目的としています。昨今コロナ禍の生活でメンタルヘルスに不調をきたす人が急増しています。中等度以上のうつ症状がある子どもの割合は、高校生では30%、中学生では24%にのぼるそうです。

muuteが提供する「ジャーナリング」は、頭に思い浮かんだことをありのままに書くことで、心身の健康や自己認識能力の向上に繋がると言われています。精神的にも身体的にも成長段階である中高生のうちに、こういった心身の健康を守る手段を学ぶことは、今後教育の中で必要不可欠なものとなるのではないでしょうか。muuteは学校教育だけでなく、社会人に向けて福利厚生プランも用意を検討しています。今回のプロジェクトを通して、社会全体でメンタルヘルス向上に対する取り組みが重要視されるきっかけとなることを願っています。

サービス

紙カタログ廃止のIKEA、公開中の過去70年分のカタログが話題に

https://ikeamuseum.com/en/digital/ikea-catalogues-through-the-ages/

2021年版を最後に紙のカタログ発行を終了したIKEAが、IKEA Museum Digitalのサイト内で過去70年分のバックナンバーをオンラインで公開しています。IKEAのストーリーをできるだけ多くの人に知ってもらい、それと同時に喜びや懐かしさ、ちょっとした驚きを提供したいという狙いがあるようです。過去のカタログからは、当時の家具のトレンドにとどまらず、いろんな視点で当時の生活や世の中の潮流を読み取ることができると話題になっています。

例えば、初期のカタログでは商品単体の写真やイラストが中心でしたが、時代とともに空間全体のコーディネートや、利用シーンなどの画像も増えており、カタログの中心となっているものが「商品」から「空間」そして「人」や「家族」に移っていくことが見て取れます。また、画像が鮮やかになっていく様子から印刷技術の変化がわかったり、価格表示が大きくなっていくことからIKEAの価格を重視した販売戦略が垣間見えたり、ロゴやレイアウトなどから今に至るブランド戦略が構築されていく様も観察できます。
家具好きはもちろん、そうでない方も。まずは自分の生まれた年のカタログのページをめくって、自分ならではの視点で当時の生活を覗いてみてはいかがでしょうか?

モノのライフサイクルに注目したインタビューレポート「THINK OF THINGS STUDY」を公開

https://think-of-things.com/totstudy/

コクヨ株式会社が運営するショップ&カフェ「THINK OF THINGS」は、2022年1月12日にインタビューレポート「THINK OF THINGS STUDY」を公開しました。このレポートは店頭で商品を購入したお客様へのインタビュー内容を抜粋したもので、人がモノに出会ってから手放すまでの間、どのような気持ちでモノを捉えているのか、イラストやテキストを通して垣間見ることができます。

例えば、ひとめぼれして商品を購入した人の中には、その後譲ろうと考えている人もいれば、リメイクや修理をして使い続けることを検討している人もいるなど、様々な使い道があることがわかります。自分が商品を買うときのことを想像して、自分だったら…と考えたり、他の人の使い道からアイディアをもらえたら楽しそうです。

作り手視点では、モノを購入したお客様がその後どのようにモノと付き合っていこうと考えているのか知ることができます。人の暮らしや価値観を軸に、モノのライフサイクルを考えるコクヨの視点は、ものづくりに関わるときにも参考にできそうですね。

国内初、1日限りのドローン配送コーヒー店がオープン

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000081428.html

2022年1月8日、ドローン事業を担うTOMPLA株式会社が、1日限定でコーヒーのドローン配送実験を実施しました。新潟市内のコーヒーの専門店にユーザーがスマートフォンでコーヒーを注文し、店舗側の通常オペレーション後、公園内に設置された着地点にコーヒが届く仕組みです。今回の実験では、ユーザーのニーズ検証・店舗オペレーションの導入検証・ドローンの安全性やCO2削減効果の検証などが目的に置かれていました。例えば、陸路ではなく空路を使用することで配送時間が三分の二以下になるなど、ポジティブな結果が得られているようです。

現在、ECの急速な普及により宅配便の取扱個数は年々増加しており、物流業界では、慢性的な交通渋滞やドライバー不足が課題となっています。そんな中注目を集めていたのがドローンの技術です。今回の実験は、ドローンがより日常にフィットした形で提供される第一歩になるのではないかと感じました。ドローンで配送されることで、配達時間の予測がより正確になり、「受け取りタイミングが想定より遅くなり、オンライン会議が始まってしまった…」といった従来のデリバリーサービスでよくあるトラブルを解消し、ユーザー体験の向上が期待できるでしょう。一方で、受け取り場所が公園という広い敷地内に限定されており、規制の厳しい住宅密集地に直接コーヒーを届けるのはまだ先になりそうですが、ユーザーのニーズに応えるべく奮闘する企業の動きを見守りたいですね。

プロダクト

BMWがCES 2022で色を変えられるコンセプトカーを発表

https://www.bmw.com/en/events/ces2022/ixflow.html

2022年1月5日、BMWがアメリカで開かれている電子機器の見本市CES 2022で、ボタンひとつで外装の色を変えることができるコンセプトカー「BMW iX Flow featuring E Ink」を発表しました。この車は外装としてE Ink Holdings Inc.の電子インク技術を採用しており、瞬時に外装の色を黒か白に切り替えられます。電子インクは電子書籍リーダーに活用されている技術で、表示中電力を消費せず、直射日光下でも視認性が落ちないなどの特徴があります。現在は白黒しか表現できませんが、今後カラー表示にも対応を予定しているとのことです。

今回の発表は、Google Inc.のMaterial Youなどに代表されるパーソナライゼーションの流れを汲んでいます。スマートフォンの登場によって、アプリなどのように画面上に映し出されるソフトウェアの存在が大きくなった今、壁紙など画面の中身を自分なりにカスタマイズすることは当たり前になってきています。しかし対比されるハードウェアの世界では、カラーバリエーションを増やすといった手段はありましたが、購入した後カスタマイズできるというものはありませんでした。このコンセプトカーは、単に車業界だけでなくハードウェアの世界全般に対してその可能性を示す発表になったのではないでしょうか。一方、電子インクという技術の性質上変えられるのはあくまで表面上の外見であり、形や構造自体を変えられるわけではありません。もしこの先この流れが広まっていくとすると、人々は商品の見た目を自由にカスタマイズできるため、より性能や使い心地を重視するようになっていくのではないでしょうか。商品を通した使い心地、体験は一目では分かりにくい要素であるからこそ、総合的にデザインしていくことがより大事になっていくのかもしれません。

漕いだらスマホの充電完了!?トレーニングを電力に変えるSportsArtのジム用マシン

https://ces.vporoom.com/SportsArt/SPORTSART-EXPANDS-ITS-ECO-POWRTM-LINE-WITH-THE-UNVEILING-OF-THE-G260-ROWER-AT-THE-2022-CONSUMER-ELECTRONIC-SHOW

SportsArt(スポーツアート)が発売したカロリーの燃焼を再生可能エネルギーとして活用できる夢のようなローイングマシンを、みなさんご存知ですか?ローイングマシンとは座面に座り、カヌーやボートを漕ぐ動きを再現した有酸素運動ができるマシンです。

このローイングマシンはひと漕ぎごとの運動を携帯電話の充電に変換することができます。漕ぐ負荷を増やせば、ひと漕ぎの発電量が増え、充電完了までの時間を短くすることもできます。痩せたいと思っていてもジムに通い続けるのはなかなか難しいことです。しかし、私たちにとって生活必需品である携帯電話の充電をモチベーションに変えれば習慣づけられるかもしれません。(マシンでしか充電できない世の中になれば運動不足とは無縁になりますね。)

また、SportsArtのミッションは、地球と人の健康の持続のため革新的な製品と技術を市場に投入することです。このローイングマシンを開発したのも、ワークアウトによる発電でジムの消費電力を相殺する手助けをするのが狙いです。通常のマシンは1時間のワークアウトで1000Wの電力を消費する一方で、SportsArtのマシンは1時間のワークアウトで約200Wの電力を生み出します。今後このマシンの利用回数や発電量が増えればジムの電気代に大きく影響するかもしれません。とてもエコなエネルギーですね。自身の努力が発電量として数値化されていくのは、サステナビリティへの貢献が数値として見えるのでとても魅力的です。
さまざまなニーズに応えられるこのローイングマシン。短期的にはマンションなどの共用ジムから広げていくようです。これからどのように拡大していくのか注目しておきましょう。

トヨタ、スマホ操作で車外から自動駐車できるファミリーカーを発売

https://global.toyota/jp/newsroom/toyota/36614622.html

トヨタ自動車は、スマホの操作だけで駐車できるファミリーカーの販売開始を13日に発表しました。トヨタとしては初めて、自動で駐車や出庫ができる機能を搭載している車の発売となります。運転席から降りられない狭い場所へ駐車する時に、駐車場所を設定すれば車の外からスマホの画面を押し続けるだけで自動で駐車させることができます。また、狭い場所から出発する際にも、車の外からスマホで運転手が乗りやすい位置まで車を動かせます。

これに対しては、「実用性が低い」「両隣にこの車が止まった場合、自分の車を出せなくなる」など、疑問の声が上がりました。ですが、先進技術をファミリーカーに展開し、多くの人が体験できるようになることでよりスマートな乗車体験が予想されます。近年ではADAS(Advanced Driver-Assistance Systems、先進運転支援システム)の進化に伴って、車間距離の制御や歩行者検知などの技術もよく耳にするようになったのではないでしょうか。様々な技術が開発されているなかで、機能の向上だけではなく、その普及も車社会の将来において大きなカギとなっています。特に道路や駐車スペースの狭い日本では、先進技術の一般化によって、より安全で快適な運転体験と駐車スペースの最適化が今後期待できます。

トレンド

Yogibo 米国本社を日本の販売代理店が買収。グローバルのブランドデザインを統一

https://www.webshark.co.jp/press-release/press-220113/

2022年1月13日、ビースソファブランド「Yogibo」を展開する米Yogibo LLC.を、同ブランドの日本の販売代理店である株式会社ウェブシャークが買収したことを発表しました。アメリカをはじめアジア、ヨーロッパを中心に世界中で知られるブランドを、海外の販売代理店が買収したことは異例であり注目を集めています。ウェブシャークは、今回の買収の目的は世界的なブランドデザインの統一と契約解除による業績悪化への防衛策であるとしています。

ウェブシャークによると、現在「Yogibo」は各国の代理店が個別で販売を行っており、ブランドイメージが統一されていないといいます。ウェブシャークは2014年に代理店契約を結び国内外への戦略的店舗出店、スポーツ団体やイベントへの協賛、社会貢献事業への協力などを通じてブランドイメージを確立し、順調に売り上げを伸ばしてきました。日本での成功実績をもとに海外でもそのノウハウを展開していくと見られます。

グローバルでのブランディング戦略は、均一化とローカライズのバランスが重要です。全世界どこにいても同様のサービスを受けられる均一化のブランディングと、その国の文化や趣向に合わせてサービスを変えるローカライズのブランディング、世界中で展開するグローバルブランドでもどちらの戦略に比重を置くかは分かれます。ウェブシャークは海外渡航したユーザーのブランドイメージに悪影響を及ぼす可能性を考慮し「ブランドデザインの統一」を進めるといいます。今後「Yogibo」のブランドイメージを統一していく上でも、ローカライズをしながらいかに統一したイメージを確立するかが成否を分けるかもしれません。


以上、1月に話題になったアプリやサービスをお届けしました。
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