新しいものが大好きなGoodpatchで9月話題になったアプリ、サービス、デザインまとめ(2020)
冷たい風が吹き始め、季節は本格的な秋を迎えようとしていますね。Goodpatch Blogでは、今月もGoodpatchで話題になったサービスやプロダクトをご紹介します!
目次
アプリケーション
日本語のAI文字起こしサービス「Rimo Voice」がリリース
Rimo合同会社は、日本語に特化したAI文字起こしサービス 「Rimo Voice」の提供を開始しました。このサービスではブラウザ上で音声データをアップロードすると、約1時間の音声データが5分ほどでテキスト化されます。
テキスト化には日本語に特化した自然言語処理技術を使用しているため、句読点を含めた自然な日本語を高い精度で読み込むことができます。文字起こしされたデータは3〜5行程度の読みやすい形で表示され、読み取りが曖昧な箇所は文字の色が薄く表示されます。音声データと文字起こしデータはリンクしており、文字を選択することでピンポイントに該当部分の音声を聞くことができるので、データの修正も簡単にできます。会議の内容を音声データとともに議事録として保存しシェアすることで、会議に参加していない人でも会議内容を素早くかつ詳細に把握することができ、コミュニケーションコストを減らすことができるかもしれません。
Rimo Voiceを開発しているRimo合同会社は“はたらくを未来に”をテーマに多様な働き方をサポートするサービスを開発しています。このような 生産性を向上させるツールが未来の働き方の常識を創っていくのかもしれません。
ノーコードで作られたモバイルオーダーアプリのSmartDishがリリース
株式会社CARCHが、ランチ時間に飲食店で料理を待つ時間がなくなるアプリ「SmartDish」をリリースしました。アプリで事前に注文・会計を済ませることで、お店に着くとすぐに料理が提供されます。忙しいランチタイムのストレスは軽減され、飲食店側は対応コストを下げ回転率をあげるメリットがあります。現在このサービスは渋谷エリアにて展開中です。
またSmartDishはノーコード開発ツールのAdaloで開発されたことと、それによりサービスの開発・検証・正式リリースまでを2ヶ月間でおこなったことでも注目を浴びています。
ノーコードとは、コードを記述せずにwebサイトやアプリを開発する手法のことです。非エンジニアでもアイデア一つでwebサービスを開発できることは、サービスの作り手に新たな可能性を提示するでしょう。一方で、開発上の制約が開発ツールに依存するというデメリットもあります。
ノーコードの発展に伴い、SmartDishのように素早くサービスを開発しいち早くユーザーの声を取り入れてサービスを改善するというプロセスはさらに普及していきそうです。
Tinderのインタラクティブビデオシリーズ「Swipe Night」をリリース
https://swipenight.tinder.com/ja-jp
世界的に有名なマッチングアプリTinderが、インタラクティブビデオシリーズ「Swipe Night」を9月12日から提供しました。「Swipe Night」は、地球滅亡の日をテーマにしたインタラクティブドラマで、主人公の行動をユーザーが選択することでストーリーが進行します。ユーザーの選択によってストーリーが分岐し、同じ結末を迎えたユーザー同士がマッチング。動画コンテンツを楽しめる上、ユーザーが選んだ選択肢・ストーリーの結末をプロフィールに表示させることができます。結果、「Swipe Night」を使った相手がどんなタイプかがわかり、相手を選択する判断軸となります。
Tinderは今までスワイプという簡単な操作で楽しめるアプリでしたが、自分と同じ「地球滅亡の日」を共有した相手とマッチングするという新しい機能を入れました。しかし、動画の選択の操作も良いねを送る時と同じくスワイプという形になっており、Tinderの独自性も守り続けています。ユーザーとしては新しいコンテンツにハードルを感じない体験となっており、既存のユーザー層も新規ユーザー層も楽しめる機能を提供しています。制約の多い環境下で、アプリで会話をしたいユーザーのニーズと企業のブランディングの両者を考えられたサービスだと思います。
プロダクト
インテルが14年ぶりにブランドロゴを刷新
https://newsroom.intel.com/editorials/intel-brand-karen-walker/#gs.g32ccd
インテル株式会社が新しいロゴを発表しました。新しいロゴでは「intel」を囲んでいた輪っかがなくなり、昔のロゴと比べ文字だけのシンプルでモダンなデザインになっています。新しいロゴの特徴として「i」の上のドットに「エナジーブルー」という青色を使用しており、ドット部分はインテルの半導体のポテンシャルと力を表しています。また、CMで同じみの”Bong”と呼ばれるサウンドもブランド刷新に伴い変更される予定です。
インテル株式会社は半導体の会社としてだけではなく、人工知能やIoT、セキュリティなどの分野にも事業の範囲を広げています。同社はブランド刷新のために長期的に取り組むとプレスリリースで発表しており、同社が持つ多様なテクノロジーやチームなどにブランドを反映していく予定です。今回のモダンでシンプルなロゴデザインは同社の過去にとらわれることなく、チャレンジし、アップデートしていく思想が反映されたデザインなのではないでしょうか。
触れて時間を知る腕時計「EUTOUR」が先行予約販売を開始
https://greenfunding.jp/lab/projects/4039
株式会社SUNONEが触って時刻を確認する腕時計「EUTOUR」の先行予約販売を開始しました。木星からデザインのヒントを得たEUTOURは、クラウドファンディングサイトの「GREEN FUNDING」で購入が可能となっています。磁気によって動く2つの小さな球が円状に配置され、外側の球が「時」、 内側の球が「分」を示し時刻を知らせます。一般的な腕時計と異なり、時計に視線を動かすことなく時刻を確認できるため、周りの人に気づかれることなく時間を知ることができます。
視覚だけではなく触覚を利用して使用できるEUTOURは、目の不自由な方でも使えるユニバーサルデザインです。このように直感的に訴えかけるプロダクトは、様々な場面やユーザーから多くのニーズがあるだけではなく、障がいを乗り越えることができます。これからはEUTORのようなユニバーサルデザインされた誰もが使えるプロダクトが、人々が無意識に感じていた課題を解決しユーザーに愛されるプロダクトとして広く認知されていくのかもしれません。
Apple Event 2020にて新型「iPad Air」発表
https://nr.apple.com/dE5R0T0M6N
Appleが9月16日午前2時からオンライン配信したApple Event 2020で、新型iPad Air(第4世代)を発表しました。新型iPad Airの魅力は、処理速度の向上や豊富なカラーバリエーションはもちろん、新しくなったオールスクリーンのデザインです。ベゼルのデザインが大きく変更され、iPad Proに近いデザインが採用されています。
新型iPad Airでは、ホームボタンがなくなりました。現行のiPad Proのような顔認証による「Face ID」ではなく本体上部のトップボタンに内蔵した指紋センサーによる「Touch ID」での本人認証ができます。これにより、「Face ID」の弱点であったマスクなどで顔の大部分を隠した状態での認証も行えるようになりました。
新型iPad Airは、無駄のない「オールスクリーン」と手軽な本人認証「Touch ID」を採用したことにより、これまで以上に多くのユーザーにとって使いやすくなったといえるでしょう。
展示・イベント
2028年LAオリンピック、多様に変化する公式エンブレム発表
https://la28.org/en/la-stories.html
2028年に開催されるロサンゼルスオリンピック・パラリンピックの組織委員会が、大会の公式エンブレムを発表しました。オリンピック史上初、変化するエンブレムが特徴となっています。変化するロゴはダイナミックロゴと呼ばれている手法で、Brooklyn Museumなどもこの手法でつくられています。
「LA28」のエンブレムのうち「A」の部分は26パターンに変化し続けます。日本語の「あ」のデザインやモノトーンのデザインまで多種多様なものが存在していて、ロサンゼルス・オリンピックで新たに生まれる多様なストーリーを表現しています。また、これらのデザインはロサンゼルスに縁のあるアスリートやクリエーター・アーティストが制作したものです。
不変である「L」「28」は、ボールドで力強く安定感のあるタイポグラフィであるため「A」がどのパターンに変化してもLA28らしさが損なわれることはありません。またディスプレイでの閲覧が十分考慮されており、26パターン全てに異なるモーショングラフィックがあしらわれています。
ロサンゼルスオリンピック組織委員会がスポーツの祭典に見た理想は、完成された一つのものではなく多様に変化するエンブレムで表現されました。「多様性」・「人種包括」などが標語として掲げられる国際イベントの数は少なくありません。ですが、実際にその標語がエンブレムそのものに色濃く反映されることは稀です。組織委員会は多様な境遇・国籍・背景を抱えている人々が楽しめるお祭りを理想に掲げ、このオリンピックエンブレムを披露したのではないでしょうか。
日本デザインセンターが「VISUALIZE 60」を開催
https://visualize60.ndc.co.jp/
日本デザインセンターは2020年9月7日から「VISUALIZE 60」を開催しています。新たな商品やサービスの価値を訴求するために可視化は必要不可欠なものです。このイベントでは日本デザインセンターの創立60年を振り返り、60のプロジェクトを通して本質を見極め、可視化する“VISUALIZE”について紹介しています。2021年3月14日まで開催予定で、4つの展示会を中心とし、トークイベントや書籍などのコンテンツも予定されています。
本イベントでは過去のプロジェクトだけでなく、進行中や構想中のプロジェクトを通して、日本デザインセンターを未来を見通し捉え直す試みでもあるそうです。
60年の歴史を持つデザイン会社が自身のあり方を再考する取り組みは、変化してきたデザインやクリエイションに求められる新たな役割を見つけるきっかけになるはずです。最初の展覧会である「VISUALIZE なるほど/だったりしてのデザイン」は9月16日から10月12日まで松屋銀座7階のデザインギャラリーで開催中です。是非、足を運んでみてはいかがでしょうか。
以上、9月に話題になったアプリやサービスをお届けしました。
毎月新しい情報をお届けしておりますので、来月もお楽しみに!
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