新しいものが大好きなGoodpatchで11月話題になったアプリ、サービス、デザインまとめ(2019)
寒さも本格的になり、朝起きるのも辛くなってきましたね。忘年会シーズンともなり、ぜひ皆さんで美味しくて温かい鍋を囲んでみてはどうでしょうか。
それでは早速、今月Goodpatchで話題になったアプリやサービスをご紹介します!
過去の月間まとめ記事はこちらからどうぞ!
目次
アプリケーション
GitHub Universe 2019
ソースコードのバージョン管理サービスを運営するGithubが「Github Universe 2019」を開催しました。本イベントではスマートフォン向けのGithubクライアント「GitHub for mobile」のベータ版やCI/CDツール「GitHub Actions」が公開されました。
これらのサービスの登場によって、Githubは既存のソースコード管理に加え、開発に関するコミュニケーションやソースコードを書き終えた後の体験までの包括的な提供を実現しました。
Githubの既存のサービス・新規サービスによって、ソフトウェア開発における一連のフローがシームレスになる日も近いのではないでしょうか。「GitHub for mobile」は現在ベータ版を配信中です。是非ダウンロードしてGithubによる新たな体験を感じてみてはいかがでしょうか。
Adobe Aero
https://www.adobe.com/jp/products/aero.html
クリエイティブツールを扱うAdobeがAR制作アプリ「Adobe Aero」をリリースしました。「Adobe Aero」はコーディングや複数のソフトを跨いだ工程無しでデバイスやクラウド上の2D・3D作品を拡張現実に配置したりアニメーションを付けたりできるアプリケーションです。
昨今はアートやゲームの新しい表現手法としてAR技術を活用することが多いですが、このアプリケーションを使ってARプロダクトのプロトタイピングが手軽になれば、ARがもっと日常生活に溶け込む未来がぐっと近づくかもしれません。
11月23日、24日に開催されたDesignshipでも、ARについてのセッションや体験展示がありました。「Adobe Aero」含めAR・MRなどが進歩して、映画やアニメで見ていた未来が近づいていることを実感できるようになるとワクワクしますね!
Hello aurora
オーロラを探せるアプリ「Hello aurora」がリリースされました。実はこのアプリ、世界的に有名なクリエイティブエージェンシーueno.のIceland支部に所属するUIエンジニア兼デザイナーJérémy Barbetさんが、業務外の時間を使って開発したそうです。
データを視覚化したUIが中心ですが、可愛らしいアニメーションでグラフの堅い印象を和らげ、オーロラを探すワクワク感を感じられるデザインになっています。
コンセプトからエンジニアリングに至るまでを、自身のプライベートな時間を使って開発してしまうモノづくりへの姿勢は、こだわりと遊び心をバリューとしているGoodpatchでも「インスピレーションを受ける」と話題になりました。
残念ながら日本ではオーロラを観測することはできませんが、随所にこだわりを感じるこちらのアプリケーションをダウンロードをすることは可能です。気になった方は是非体験してみてはいかがでしょうか。
プロダクト
Airpods Pro
https://www.apple.com/jp/airpods-pro/
Appleは「AirPods」の上位機種である「AirPods Pro」を発売しました。大きなアップデートとして、ノイズキャンセリングの追加や、オープンエア型からカナル型への変更があります。棒状部分を強くつまむことで、ノイズキャンセリングと外部音取り込みを切り替えることができます。
特筆すべき点は、外部音取り込みです。カナル型になり耳に深く装着するようになったのにも関わらず、オープン型の「AirPods」をつけている時と同じように、自然に外部音を聞くことができます。また、ノイズキャンセリングと外部音取り込みを切り替える操作も、ハプティクス(触覚フィードバック)により音楽の視聴を損なわない且つ迷わず行なうことができます。
これらの機能により、雑音を消して音楽に集中することも、周りの音も取り込みながら音楽を聞くこともでき、常時耳につけていられる素晴らしいイヤホンとなっています。
Microsoft「HoloLens 2」
https://www.microsoft.com/ja-jp/hololens
MicrosoftからMRデバイス「HoloLens 2」が発表されました。「Mixed Reality(複合現実)」が実現するデバイスになります。前機(HoloLens)からホログラム機能、操作性、装着性などが向上し、没入感や長時間の使用が可能になりました。
バーチャル世界に入り込むVR技術や現実を拡張するAR技術は、PlaystationVRやアプリケーションなどに反映され、すでにコンシューマー向けに提供されています。現実とバーチャル世界を複合し新しい世界を生み出すMR技術もいずれコンシューマー向けに提供されることが考えられ、エンターテイメントや利便性の向上が期待されます。
注目のポイントはデバイスのクオリティ向上はもちろんですが、なんといっても空間情報を複数人で共有できる点です。離れた土地にある劇場の映画や劇を手軽に視聴できることや複数の医療の現場で働く医師の連携などが可能になると考えられますね。
CAKEの電動バイク「Ösa」
スウェーデンの軽量電動バイクメーカーのCAKEは、新たな電動バイク「Ösa」を発表しました。Ösaは静音性・軽量性・ユーザーによる拡張性を備えながらも、環境へ配慮しゼロエミッション(環境を汚染する廃棄物を排出しない仕組み)を実現した電動バイクです。
CAKEの使命は、ワクワクと責任を兼ね備えながら、社会をゼロエミッションに向けて前進させることだそうです。今回発表されたÖsaは、この使命を体現した製品と言えるのではないでしょうか。
今日は環境省がグリーンスローモビリティを掲げるように、飽和寸前のモビリティによる環境汚染が全世界の課題となっています。Ösaは直接的に環境問題を解決するためのソリューションですが、さらにはユーザーの環境意識の向上にも寄与することで、間接的な課題解決を果たしてくれるプロダクトでもあるのではないでしょうか。Ösaはテクノロジーによって環境問題を変える事例の1つとしても、引き続き注目していきたいですね。
フォント
Hellvetica
デザインのバランスをめちゃくちゃにする“邪悪”なフォント「Hellvetica」が公開されました。世界で最も有名なフォントであり、映画化までされた「Helvetica」。その美しいフォントのデザインを変えずに、カーニングに手を加え、極悪フォントとして誕生しました。
世界一有名な「Helvetica」は、スイスグラフィックのデザイナーたちに重宝され、文字の意味を邪魔しないシンプルで力強いフォントとして世界に浸透していきました。しかし、あまりに有名なため世界基準で多用されてしまい、少数のデザイナーからは、敬遠されることもあったようです。
それでもAppleのMacにも標準で設けられていたりしながら、今も不動の人気を博しているフォントの1つ。しかし、こうしてカーニングをいじるだけで、Helveticaでさえ見栄えの悪いフォントになってしまうことがわかると、世の文字を扱う全てのデザイナーの凄さを改めて実感できますね。
Mercari Sans
https://design.mercari.com/mercari-sans/
Mercariが新しいサンセリフ書体を発表しました。これは、Mercariのリブランディングの一環としてたづがね角ゴシックとの相性を考え、制作された欧文書体です。一貫したMercariらしさを文字として伝えていこうと考え、「Trust × Open」をコンセプトにコーポレートフォントを作成しました。
もともとMercariの書体は、和文は「たづがね角ゴシック」、欧文は「FF Mark」を推奨していたそうですが、和欧混色のときに若干の修正が必要でした。そこでMonotype初の和文書体であるたづがね角ゴシックを作った小林章さんに声をかけ、Mercari Sansは制作が始まったそうです。
Mercari Sansは、Mercariと打った時のみaの形が変わるなど、Mercariの細やかな遊び心が見られるユニークな書体です。書体から会社全体のブランドを考えることで、細部まで行き届いた強固で広がりのあるブランドを作り上げることに繋がっていくことでしょう。
イベント
㊙展 めったに見られないデザイナー達の原画
http://www.2121designsight.jp/program/inspiration/
「㊙展 めったに見られないデザイナー達の原画」が始まりました。本展示は21_21 DESIGN SIGHT で行われ、2020年3月8日までの開催となっています。
普段目にしているプロダクトからはなかなか想像できない、最終デザインに至るまでの思考プロセスとその過程で生まれるスケッチ、図面、模型などを見ることができます。日本を代表するデザイナー計26名の展示は圧巻です。また、会期中はトークイベントが開催されたり、インタビュー音声の配信や写真撮影可能など、展示物以外でも展示を楽しむことができます。
膨大なスケッチやデザイナー達の思考の流れは1度の観覧では追いつけないほどです。一流のデザインとは一瞬の閃きから生まれるものではなく、数多くの思考と試行、細部までこだわり抜く姿勢から生まれるものだと感じます。
デザインに興味がある方は是非、この貴重な展示に訪れてみてください。また、すでにご覧になった方も見る度に新たな発見のある本展示に、再び足を運んでみてはどうでしょうか。
吉田ユニ展「Dinalog」
https://asbs.jp/archives/46906
ラフォーレ原宿のキャンペーンビジュアルや星野源のCDジャケットなどを手がける、日本で最も活躍するアートディレクター吉田ユニの個展が11月15日(金)~12月1日(日)に開催されます。
シュールでキュート、かつ独自の視点が鮮烈なインパクトを残す作品は、緻密に計算されており細部にこだわりが宿り、多くのファンを魅了し続けています。その独特な作品たちはCGではなく全て実在するものでかたどっています。このこだわりから仕上がったビジュアルは人間味や温かみを感じさせてくれます。
同展では、撮り下ろしの新作やこれまでの作品だけではなく制作過程を見ることができます。彼女にしか作ることができない世界観を感じ、「吉田ユニ」の魅力を存分に感じることができる個展になっています。ぜひ彼女の世界観を感じに個展に足を運んでみてください。
以上、11月に話題になったアプリやサービスをお届けしました。
毎月新しい情報をお届けしておりますので、来月もお楽しみに!