【翻訳】誇りを持って働く:Jan Bissonへのインタビュー
小さな積み重ねが、大きな結果をもたらす。慎重で先見的な目を持つ人もいればそうでない人もいる。Jan Bissonはまさに前者だ。彼は、自分の仕事論のもと、常に新しいことに挑戦している。デザインリードというチームをまとめる肩書きがあるものの、自身の制作物に誇りを持つため、学びそして成長し続けている。彼の謙遜さと完璧に磨き上げたスキルは私たち全ての人の学びになるだろう。
この記事は英語で執筆された記事を一部意訳し和訳したものです。元記事はこちらをご覧ください。
──今日は来てくれてありがとう!
こちらこそ、呼んでいただけて光栄です。
──まず簡単にご自身の経歴について教えてください。
GoodpatchでデザインリードとUIデザイナーをしているJan Bissonです。2015年の6月からGoodpatchで働いています。このベルリンスタジオは2015年の5月にできたから、まだ3〜5人しかいない初期のころにジョインしました。元々はプリント、ブランディング、タイポグラフィーを中心した古典的なコミュニケーションデザインを専門としていました。当時はタイポグラフィーを中心にして働ける職場を探していたんです。しかし、ベルリンで有名なデザイン会社Edenspiekermannでインターンシップをして、考えが変わりました。最初はドイツでも有名なタイポグラファーの一人、Erik Spiekermannのような存在を目指すしかないと思っていましたが、インターンシップを通して僕がやりたかったのは古典的なコミュニケーションデザインではなく、デジタルデザインであることに気づきました。そこで、Goodpatchに行こうと決めて、今4年が経ちました。
──初期からGoodpatchベルリンにいたんですね。自身のLinkedinのプロフィールでも、「美しさの価値、技術の精密さそして価値のあるコンテンツを追求するビジュアルデザイナー」とありますが、「美しさの価値、技術の精密さそして価値のあるコンテンツ」について詳しくお聞きしたいです。
Goodpatchで働き始めて、デザインに関する考え方がすごく変わりました。GoodpatchはUIの領域から成長した会社であり、僕も当時「UIデザイン会社」という部分に惹かれてGoodpatchに入社を決めました。僕の得意なことはビジュアルのクオリティを上げること。人によってコンセプチュアルなデザインが得意な人もいるし、戦略的なデザインが得意な人もいる。その全部が専門の人だっています。僕も全部が得意でありたいけど、もし得意分野を聞かれたら、確実に「美しいデザインを作ること」と答えます。これが一番しっくりくるし、チームにも「美しさ」に対するフィードバックをするよう努めています。僕にとって、デザインのクオリティとは平均値よりも上にあげること。デザインを細部まで観察すると、ユーザーインターフェイスの細かい改善点がたくさん見えてくる。僕はその改善こそが全体の質向上に繋がると考えています。ユーザーには見えない部分かもしれないけど、そこで差が生まれる。僕は見えない所にこそ、力を入れたい。
──「タイポグラフィー、ブランドデザイン、UIデザインを専門としている」とありますが、いつからこれらの領域に興味を持ちましたか?
コミュニケーションデザインを学ぶ前から、デザインの細部にこだわることは常に大切にしています。細かい部分に目を向けていたら、自然とタイポグラフィーに興味を持つようになっていましたね。それに加えて、タイプデザインの経験は浅い。そういう意味で、「技術の精密さ」が得意でもあります。タイポグラフィーとタイプフェイスでデザインをするときに高度な技術精密性が求められる。人々の目に馴染みやすくするためにも、文字とその形は何十倍もの注意を払わなければならない。心地よく、そして読みやすいデザイン。これが僕にとっては面白い挑戦でした。そこからたくさんの本を読み、タイポグラフィーの知識を身につけました。
──面白いですね。Goodpatchではタイポグラフィーを学んでいる人は少ないですよね。
そうですね。現在ベルリンでタイポグラフィーに詳しいメンバーはほとんどいません。かつて、素晴らしい技術を持ったタイポグラファーがいました。彼の技術には本当に驚かされましたね。今は専門的に経験のあるメンバーはいませんね。
──先ほどデザインリードという肩書きをお聞きしましたが、どのような信念を持って日々働いていますか?
先日、会社の本棚に追加するように頼んだPaul Woodsの“How to Do Great Work Without Being an Asshole”が私の考えていることほとんどを語っています。「クソ野郎になるな!」これは私自身が大切にしている哲学の一つでもあり、チーム全員がこの視点を持ってほしいです。全員に敬意を持つこと。これを何よりも大切にしています。
──それは素敵ですね。シンプルだけど奥深い。デザインリードになる前は別の役職に就いたことはありますか?
デザインリードになって6ヶ月が経ちました。まだ自分の道を探してる最中で、学ぶこともたくさんあります。「これが、僕がなりたかったデザインリードだ」と心から納得いくには、道のりは長いです。UIデザイナーとして始まり、これからもUIデザイナーであり続けます。僕がGoodpatchで好きなところは、どんな役職であろうと自分自身がその役職を名乗るにふさわしい責任をもてるところ。もちろん周りの人からフィードバックをもらうこともできますが、最終的にその役職を形作るのは自分自身です。
──Goodpatch「らしさ」は様々あると思いますが、その中でも特出した価値観などありますか?
それはどの会社でも問い続けていることですね。僕が入社して驚いたのは、業界の古い習わしに縛られなかったことです。例えばクライアントから依頼を受けたとき、Goodpatchのチームだけでプロジェクトに取り組み、クライアントに成果物だけを納品して終わり、という手法はとりません。僕たちは、チームでつくることを大切にしています。なので、クライアント先で一緒に働いたり、クライアントが僕たちのスタジオにきて一緒にワークをします。クライアントと併走して、一緒につくりあげる。一緒に働くことで、僕たちの価値観や知識、デザインカルチャーをクライアントチームに根付かせることができる。これが、我々の価値でもあります。
──「これは今まで経験した中でも、辛かった」ということはありましたか?また、達成感はどのような時に感じますか?
自分の仕事には常に厳しくするように心がけています。「決して満足しない」という言葉をご存知ですか?確かにデザインリードとして達成感を得ることを目標としますが、いつも「もっと良いものをつくれる」と考えてしまいます。達成感を得ることは、何よりも難しいことですね。そんな僕がとりわけ達成感を感じるのは、メンバーの作品を見るとき。僕たちは、毎週金曜日に2~3人が自分たちのアウトプットをプレゼンするデザインレビュー会があるんです。時々、自分の後輩が数日で素晴らしいプロトタイプを作り上げた時は、とても嬉しくなりますね。新しいチームメンバーから学ぶことがたくさんあります。僕より経験が浅いメンバーから学べることがあれば、常に「なるほど、確かにそうだ」と吸収しています。
──学びは絶えないですよね!!Jan Bissonとして将来やってみたいプロジェクトや計画はありますか?
現在は、もう一人のメンバーと一緒に会社の顔となるスライドデックのリニューアルをしています。これは僕が関わってるプロジェクト中でも特に重要ですね。他にもコーチングやデザインクオリティの知識などまだまだチームに共有したいことはたくさんあります。
──ありがとうございました!Janのデザインの話はとても新鮮で、たくさん学ぶことができました。
Goodpatch Europeのベルリン・ミュンヘン・パリではデジタルプロダクトをデザインし、制作しています。ぜひ、Twitterもチェックしてみてくださいね。