UXデザインにおける5段階モデルとは?

みなさんは、ユーザー体験を構成する5つの段階をご存知でしょうか?一般的には「ギャレットのUX5段階モデル」や「UXの5段階モデル」などと呼ばれています。この言葉を聞いたことはあるが、なぜ重要なのかうまく把握しきれていない方や、そもそも聞いたことがないという方もいらっしゃると思います。

そこで今回は、デジタルプロダクトのデザインにおいてなぜUXの5段階モデルの概念が重要であるのかを説明していこうと思います。

なぜ『UXの5段階モデル』なのか?

「デザイン」という言葉は、プロダクトの見栄えや表面上の見た目を綺麗に整えることだと思っていませんか?

実際には、ユーザーの目に触れる表面上の部分だけを整えたとしても、本質的にデザインの力を発揮しきっているとは言えないでしょう。なぜなら、ユーザーの目に触れる部分の設計は、プロダクト設計段階のうちの、一部分でしかないからです。

プロダクトを開発する際、ユーザー視点での魅力的な体験と、そのプロダクトを継続的に事業として成り立たせることの両立が必要になります。この二つをいかに一貫して繋ぎ合わせ、違和感なく融合させるかがプロダクト設計における大きなポイントです。つまり、より本質的にデザインの力を最大限発揮させ、ユーザー体験と事業としての成立を両立させるサービスを作るためには、プロダクトを作る目的となるコンセプト・戦略部分からデザインし、そしてそれを実現する具体的なアウトプットまでを繋げる必要があるのです。

よってチームでのプロダクト開発において、その目的である事業戦略や目標を実際に達成する最終的なアウトプットを行いたい場合には、全ての工程においてチームのメンバーが一貫してコンセプトを見失わないことが必要です。しかし、抽象的であるコンセプトや事業戦略をチームが見失わずに具体的なアウトプットまでを行うのは非常に難しいことでもあります。

そこで、コンセプトを見失わずに一貫した体験を持つプロダクトを作るために役立つ概念が『UXの5段階モデル』です。

ユーザー体験の5つの段階

UXの5段階モデルとは、Jesse James Garrett 氏が考案した概念であり、氏の著書「Elements of User Experience」において具体的に解説されています。
この概念の中ではユーザー体験を構成する要素は5つありそれぞれの要素が段階的に、そして密接に繋がっています。

UXの5段階モデル図では5つの要素が段階的に示されており、各段階において必要なデザインプロセスを行い、アウトプットを行うことでより良いサービス体験を目指すことができるとされています。
図を見ると、各段階のアウトプットは下に行くほど抽象的になり、上に行くほど具体的になっています。これは下から順に進めていくことで、ビジネスにおけるコンセプトがプロダクトとして具体化していく流れであり、ユーザー体験の過程を分解・分類したものでもあることが分かります。

この5段階モデルが伝えているのは、デザインをするということは決して「ユーザーの目に触れる表層部分を作るだけではない」ということです。図を見ると分かるように、5段階モデルの概念の中では各段階が積み重なっています。つまり、下の段階は上の段階を支えるための「土台」となっているのです。
このように、ある段階におけるデザインを行う際に、その前段階のデザインを行っておくことで、より精度の高いデザインを行うことが可能になるのです。

またこの5段階モデルを運用、設計していく中で、必ずしも前段階を完全に完成させてから次段階に着手するというわけではありません。途中まで作った状態で次段階に進み、また前段階に戻りやり直すという段階の行き来、プロトタイピングがもちろん発生します。重要なのは、現在のフェーズが5段階モデルにおけるどの段階なのかを常に意識しつつ段階の行き来を繰り返し行うことで、最終的なアウトプットの精度をより高めることなのです。

5段階モデルは、ユーザー体験のデザインにおいて表層段階は全体の一部分であることを表しています。5段階モデルにおける各要素の段階構造を理解し意識する観点を持つことで、全段階でのデザインが密接につながります。これによりプロダクトを通した体験に一貫性が出るため、より本来の目的である戦略段階でのコンセプトを実現できるプロダクトに近づけるのです。

5段階モデルを運用するメリット

次に、この5段階モデルをチームで実際に運用した場合にどのようなメリットがあるのかを紹介します。

プロダクト開発におけるチーム内での役割分担が明確になる

プロダクト開発チームが5段階モデルを意識することで、それぞれのプロダクト開発フェーズにおいて現在の段階と、必要なアウトプット、そのためのデザインプロセスが明確化されます。

これにより、チームメンバーの職能を考慮した的確な役割分担が行えるようになります。つまり、誰がどこで手を動かす必要が出てくるのかが明確になります。

チーム内での合意形成ができる

プロダクト開発チームの中ではもちろん、手を動かす部分や職能、各領域の理解にグラデーション的な強弱は発生します。
しかし、UXデザイナー/エンジニア/UIデザイナーが体験の設計における5段階モデルの観点を得ることにより、プロダクト開発時の全ての段階における意思決定とプロダクト開発の方向性の理解、一気通貫したコンセプトの具体化をチームとして行うことができるようになります。

抽象的である事業戦略・コンセプトを具体的なサービスとして実現することができるようになるということです。

チームの生産性が上がる

チームのメンバーが5段階モデルを理解し、常に現在の段階が5段階モデルのどの段階であるかの意識を共有することで、各々のチームメンバーが関わるデザインプロセスの材料と成果物が明確になります。

これにより闇雲に迷いながら作ることも減り心理的な安心感も生まれます。各段階でのデザインにおける目標に向かって動きやすくなることで、チームメンバーが共通の観点を保ちながらプロダクトのデザインに向き合えるようになり、結果的に生産性の向上を見込めます。

まとめ

今回はUXの5段階モデルについてご紹介しました!
プロダクト開発では、コンセプトを実現し一貫した体験を提供することが必要です。そして、そのためにはチームが『UXの5段階モデル』を理解することが重要です。この概念をチームで理解し運用することで、戦略から表層まで一貫性のあるプロダクト開発ができるのではないでしょうか。

Goodpatch blogでは、UXの5段階モデルの段階の具体的なデザイン手法についても紹介していますので、こちらも参考にしてみてください。

◼︎UXの5段階モデルにおける各段階での具体的なデザイン手法とは?

◼︎UXの5段階モデル分解編 vol.1 サービス/プロダクトの原点となる戦略段階での具体的なデザイン手法
◼︎UXの5段階モデル分解編 vol.2 サービス/プロダクトの開発指針を定める要件段階での具体的なデザイン手法
◼︎UXの5段階モデル分解編 vol.3 サービス/プロダクトのデータ構造を明確にする構造段階での具体的なデザイン手法
◼︎UXの5段階モデル分解編 vol.4 サービス/プロダクトの原型を作成し、ユーザビリティテストを行う骨格段階での具体的なデザイン手法
◼︎UXの5段階モデル分解編 vol.5 サービス/プロダクトのビジュアルを作り、ユーザーの感情を引き出す表層段階での具体的なデザイン手法

Goodpatchでは、企業のデザインパートナーとして新規事業立ち上げに戦略段階から並走するほか、既存サービスのリニューアルなども行なっております。一貫した体験を実現したいとお考えの方は、ぜひお声がけください!実際に担当した事例については、こちらからご覧ください。

ABOUTこの記事をかいた人

Gackn

96年生まれ 富山育ち 19卒UIデザイナー内定者 芝浦工大で電子工学を学んでいました。好きな食べ物は生クリーム。
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