暖かい日が増え、柔らかい風と春の香りが感じられる季節になりました。
新年度のスタートを切った皆さんへ、今月もGoodpatchで話題になったアプリやサービスをご紹介します。

デザイン

テレビ朝日がオリジナルフォント「テレ朝UD」を開発

https://fontworks.co.jp/column/14210/

2023年4月4日、テレビ朝日がフォントワークスの書体デザインチームと共同で、オリジナルフォント「テレ朝UD」を開発しました。このフォントの制作背景として、テレビ朝日の報道情報番組で共通フォントを使用し、ブランディングを強化するという流れが社内で起きたことから生まれました。このフォントはフォントワークスの「UD角ゴ_ラージ」をベースにし、テレビ朝日が長年取り組んできたテロップの知見や強いこだわりをもとに、さまざまな媒体でテレビ番組を楽しむ視聴者に向けて制作されました。

書体は漢字全体の視認性を保ち、見ていてストレスがないシンプルな書体を追求しています。また、数字は他の文字よりも一際目立つべき大事な情報を伝える役割があるので、通常よりも天地は大きくしウェイトは1段階太くするなど、他のフォント制作とは少し違う考え方で作られているのも特徴です。

「いま」を伝えるメディアとして、テレビのフォントや色使いはとても重要な役割を担います。ですがそれらは時代に追いつけずアップデートがされていませんでした。時代に合わせて様々な視聴環境に適応したフォントにアップデートしようと会社全体で改善に向かったという事例自体が素晴らしいです。テレビを欠かさず見ている人はぜひどう変わったのか、フォントに着目して見てみるのも面白いかもしれませんね。

東京都デジタルサービス局「サービスデザインガイドライン Ver.1.0.0」が公開

https://www.digitalservice.metro.tokyo.lg.jp/digitalguideline/doc/servicedesignguidline_zenbun.pdf

東京都デジタルサービス局は、「サービスデザインガイドライン Ver.1.0.0」を公開しました。こちらのガイドラインは、UI・UXの視点を取り入れたサービス開発・運用を、東京都の全庁で実現するために、 技術ガイドラインを作成しサービスデザイン思考にもとづくサービス開発を推進する。ことを目的に作成されたものだそうです。

当ガイドラインでは、サービスデザインの考え方や独自フレームワークである「東京都サービスキャンバス」について掲載。サービスデザインの考え方では、利用者と共にサービスを共創するといったことや提供者も含めてユーザーとして捉えるといったサービスデザインにおける姿勢が述べられています。また、「東京都サービスキャンバス」については、ケーススタディと共に活用方法や活用にあたっての勘所が述べられています。

上記内容から見て取れるよう、サービスデザインやUI・UXデザインの初学者はもちろんのこと、習熟者にとっても学び直しのために参考になると思われます。是非ともご覧になってみてはいかがでしょうか。

サービス

Tinderがジェンダーについて学べるLP「Let’s Talk Gender」を公開

https://letstalkgender.jp/

2023年4月3日、ソーシャル系マッチングアプリの「Tinder」が、多様なジェンダーについて深く学ぶことのできるオリジナルサイト「Let’s Talk Gender」を公開しました。

サイトの冒頭では「性は多様。出会いは無限。」というメッセージが掲げられており、その言葉を表すように、カラフルで心踊るようなイラストレーションが散りばめられたデザインになっています。

コンテンツも非常に内容が濃く、性をより深く知るためのキーワードや、多彩な性のあり方を公言する10名のインタビュームービー、ジェンダーやセクシュアリティに関して疑問を感じた時に解決のヒントになるようなQ&Aなどがまとまっています。

サイトの世界観に入り込みながら自然と読み進めるうちに、筆者の私も性についての考えを深めることができました。皆さんもぜひチェックしてみてください。

プロダクト

カルビーがNFT付きポテトチップスを販売開始

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000269.000041264.html

全国のコンビニやスーパーで販売されるカルビーポテトチップスが、2023年4月12日から期間限定で、NFTをおまけにしたポテトチップスを販売しています。この「NFTチップスキャンペーン」は、カルビー、ブロックチェーンゲーム開発を行うCryptoGames、博報堂、DataGatewayの4社によって共同で行われています。

カルビーはオリジナルスマートフォンアプリ「ルビープログラム」を運営しており、このアプリは、カルビー商品のパッケージを折りたたんでスキャンするとポイントが貯まるというもの。家庭でのゴミのかさを減らすことが目的だそうです。

同キャンペーンでは、NFTつきのポテトチップスを購入し、商品のパッケージを指定の方法で折りたたんでルビープログラムのアプリで撮影すると「ポテトNFT」を取得できます。購入・スキャン回数を重ねる度にポテトNFTの成長を楽しむことができます。

CryptoGamesによると、このような「購買成長型NFT」をおまけとするキャンペーンは日本初だそう。ポテトチップス好きの皆さんはぜひ試してみてください。

展示・イベント

GOOD DESIGN Marunouchiにて「世の中を良くする不快のデザイン展」を開催

https://www.japandesign.ne.jp/event/gdm-exhibitionplanning2/

公益財団法人日本デザイン振興会と電通クリエーティブXは、GOOD DESIGN Marunouchiにて「世の中を良くする不快のデザイン展」を3月24日から4月23日に渡って開催しました。

「世の中を良くする不快のデザイン展」は、「不快」を効果的に使うことで「世の中を良くするデザイン」になっているコト・モノを、心理効果から紐解き展示する企画展とのことです。

実際に現地へ訪れてみたのですが、最大の学びは、人間にとって「不快」に感じるまでの伝達スピードは「快」に比べて速いということ。そして、都市ガスの匂いや踏切の警報音と色をはじめとする日常生活で何となく不快に感じていたコト・モノは、作り手がその特性を活かして人々の生活をより良くするために意図した結果であるということです。

普段、ユーザーの「快(使いやすさなど)」にアプローチすることが多いことから、「不快」なアプローチのデザインは目から鱗でした。一方でUIデザインにおいてデータを永久に消去するなどの破壊的なアクションを実行するアクションボタンに赤色を用いるなどといった表現にも通ずるなと思いました。

トレンド

経済産業省が日本初のファッションローガイドブックを公開

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000062.000082634.html

経済産業省が、日本初のファッションローガイドブックを公開しました。「ファッションロー」とは、ファッション産業や業界にかかわる法律問題を取り扱う分野を指します。

同ガイドブックは、経済産業省が立ち上げた「ファッション未来研究会 〜ファッションローWG~」というワーキンググループが2022年11月〜12月に行った議論を踏まえて作成されました。

ファッション業界に関する様々な法的問題を取り上げており、「ブランドを立ち上げたらまずやるべきこと」や「ファッションデザインの権利について知っておくべきこと」など7つのテーマがチェックリスト形式でまとめられています。

法律関連で不安がある時に「まずこのガイドブックで確認しよう」というように使えるため、ファッションビジネス事業者の強い味方として、多くの人の役に立っていくのではないでしょうか。

海外

仏マクドナルドが“再利用できるテーブルウェア”を提供開始

https://www.pen-online.jp/article/013044.html

フランスのマクドナルドが、デザインスタジオeliumstudioと共同で、再利用可能な店内飲食用のテーブルウェアをデザインしました。

この容器が生まれた背景として、2023年1月にフランスで施行された、ファストフード店で飲食する場合の使い捨て容器使用を禁止する法律が出たことが発端と考えられます。

デザインは既存のマクドナルドの容器をベースに作られており、各製品の質感や凹凸感など細部まで徹底してこだわっています。また、客がマクドナルドのメニューを食べる体験を向上させるべく、持った時の手触りや形状、素材にも配慮が行き届いています。

記事によると、容器の開発には2年を費やしており、容器が溶け出したり破片が食べ物と混在して食べてしまわないように食品容器としての要件をクリアしつつマクドナルドの世界観にうまく落とし込まれています。

近年、ストローをプラスチックから紙に変更するなど環境への配慮から生まれる、容器等のシフトチェンジは各店舗で実施されています。マクドナルドというブランドや購買体験に沿った施策として容器のテーブルウェア化が成功するのか、実際に使用したユーザーの声も含めて今後も注目していきたいですね。

 

以上、4月に話題になったアプリやサービスをお届けしました。
毎月新しい情報をお届けしていきますので、来月もどうぞお楽しみに!

過去の月間まとめ記事はこちらからどうぞ!