グッドパッチのデザイナーは日々いろんな形でユーザーにとって魅力的なデザインを作っています。私はよく5段階モデルで言う「表層」の部分に関わることが多く、それはユーザーにとって最初のタッチポイントとも言える大事なデザイン段階だと考えています。ユーザーを引き込み、ずっと使いたくなる「楽しさ」や「気持ち良さ」を再現していくためにはどうしたら良いのでしょうか?

良い表層を作るということは、ユーザーの心を動かすデザインに責任をもつことだと私は考えています。しかし、心を動かすデザインはデザインプロセスの中でも比較的優先度が低かったりするので、より効率よく面白いアイデアや表層を作っていくためのステップを今日はご紹介したいと思っています。

「心を動かすデザイン」の価値や考え方についての記事もあるので、是非ご覧になってみてください。

ビジュアルデザイナーの役割

先ほども書きましたが、「ビジュアルデザイナー」はプロダクトの表層を作るデザイナーです。要するに、ユーザーがプロダクトに触れた時の一番最初のタッチポイントを作るデザイナーです。効果的な表層を作るためにはユーザーに対しての深い理解と、ユーザーの興味を引き付けるアウトプットを提供しなくてはいけません。私が思うステキな表層を作るためには、アイデア・コンセプトを元に、ユーザーの心を動かす世界観を作り上げることが重要です。この記事では、アイデアの力について語りたいと思います。

1. アイデアの軸となるコンセプトを作る

最初にお話ししたいのは、クリエイティブの土台となる「コンセプト」についてです。「コンセプト」はプロジェクトに関わる全ての要素を紐づけるためのアイデアを出す軸であり、ビジュアルデザイナーはコンセプトを元にプロダクトの世界観を構成するためのアイデアの発散していきます。

効率よく魅力的なアウトプットを出すために大事なのは、ビジネス要件とターゲットに刺さるコンセプトをしっかり考えて決め切ることだと思います。お題に合うコンセプトを作るためにUXデザイナーとたくさんのリサーチを行い、インサイトを探します。インサイトは、ユーザーの行動や思惑の背景にある意識を見抜いたものです。ユーザーでも予想していなかったインサイトを探すことができれば、ユーザーにとって新しくて必要な価値を作り出すことができます。ユニークなインサイトを見つけることができれば、効果的なコンセプトを作ることができます。

コンセプトはインサイトを元に解決策を提案していく、いわゆる「プロダクトストーリー」を作っていくステップです。コンセプトさえ決まればユーザーの心を動かすビジュアルデザインの発散を始めることができます。

2. 共感しやすい世界観を作る

ビジュアルデザインを発散するときに意識しておきたいことは「ユーザーが見て、価値を感じる」かどうかです。使いやすさの価値、共感できるビジネスモデルである価値、自分の生活にフィットする価値、これは新しい!と思える価値。似たようなプロダクトだらけの世の中で、共感できる価値があればユーザーはプロダクトを使ってくれます。

価値を感じてもらうためには、興味を持ってもらえるかどうかにかかってます。

ユーザーが共感できるビジュアルデザインを作るためには、ただキレイで使いやすいUIを作るのではなく、入りやすい世界観を作る必要があります。

ざっくり言うと、世界観はコンセプトを具体化したものです。カラーリング、書体、レイアウト、コンポーネントの扱い方、コピーライティング等が、1つの体験としてまとまっていることを世界観だと私は思います。

ここまでくればユーザーの心を動かすための材料は揃います。最後でもっとも重要なステップは情報設計と世界観を合体させた、ユーザーにフィットするUIを作ることです。整理された情報の抜け漏れがないように、世界観に専念された使いやすいUIを作っていきます。世界観に合わせた体験アイデアや見せ方を程よく加えていき、ユーザーにとって便利で楽しめる体験をもくもくと具体化していきます。

まとめ

面白さや美しさだけでは良いビジュアルデザインは作れないと思います。ユーザーの理解がどれだけ出来ているかによって、ビジュアルデザインのクオリティが左右されます。しっかりインプットが出来ていると、出てくるアイデアや作るレイアウトも全部ユーザーを意識したものになります。理解から始まり、どんどん具体化されていき、やがてユーザーの心を動かすビジュアルデザインが出来上がります。

そして、今日お見せしたどのステップも重要だと思いますが、個人的には意外性のあるインサイトや新鮮な世界観でユーザーに(良い意味で)驚きを与えることが一番大事だと思っています。これらもユーザーを深く理解していないと考え付かないものなので、しっかりユーザーインタビューなどでインプットしてから適切なアウトプットに繋げるよう心がけています。これからもグッドパッチの一員として世の中の心を動かすデザインを作っていきたいと思います。

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