デザインが好きで、それを志したいと思っている人は、きっと何かに「心を動かされた」体験があるのではないでしょうか?私自身、UIデザイナーを志したきっかけが「自分がサービスに感動し救われた経験」でした。サービスやプロダクトを体験する中で、感動して心に残り続けるようなものを「心を動かすデザイン」と私は呼んでいます。

しかし、いくつかのサービスに携わらせていただいている中で、この「心を動かすデザイン」を作ることがどれだけ難しいかを痛感しました。ここでは、「心を動かす体験」を作るがなぜ難しいのか、また、その難しさを克服し実現するための方法を事例とともに紹介します。

「心を動かすデザイン」は効率が良くない

いわゆる「心を動かすデザイン」は「なくても良いもの」・「遊び心」です。必ずしも機能的ではないので、開発工数を優先的にするという選択肢もなかなかありません。そして、「心を動かすデザイン」を採用したからといって売り上げるかというとわからないのが現実です。

「心を動かすデザイン」はファンを作る力がある

しかし、「心を動かすデザイン」には「ファンを作る」力があります。

最近久しぶりにゲームをしました。Nintendo Switchのポケモンのソードです。最初はポケモンが大きくなったりすることにどんな面白さがあるのか、あまり想像がつかず(興味が湧かず)プレイをしていました。でもポケモンが大きくなるのは想像以上に楽しい!!Switchが大きく震えたり、技の攻撃力が視覚的にも上がっているのがわかったり、とっても楽しい仕掛けがいっぱいでポケモンの虜になってしまいました。

私のポケモンのように心を動かされ「ファン」になった経験がある人もいると思います。「ファンになる」ということはすなわち、「長く使う・愛し続ける」ということです。ビジネス的にいうとLTV(ライフタイムバリュー)が上がることになります。「心を動かすデザイン」は長期的に見るとビジネス的に良い影響を与えるとも言うことができます。

(参照元:https://www.famitsu.com/news/201910/16185193.html

「心を動かすデザイン」はどうやって作るのか?

「想像以上」を生む愛情を持つ

「心が動いた」=「想像以上だった」と私は考えています。「想像以上」を作るためには、作り手のサービスへのこだわり、すなわち愛情が必要不可欠です。何をすればユーザーが喜ぶかを常に考える必要があります。

例えば、私が最近想像以上だったサービスはSpotifyのプレイリスト作成機能です。最近リリースされた機能で、ペットと一緒に聴けるプレイリストを作ってくれます。飼っているペットの種類や、性格を尋ねられるのですが、質問のされ方が想像もしていないようなデザインでした。質問の一つでペットの性格を選択するバーがあります。こちらのバーを「Energetic」の方に引っ張ると犬が元気一杯に動くのです。

「ペットを大切にするユーザー」をよく考えてSpotify側が作った表現の一つだと私は思います。

(参照元:https://www.behance.net/gallery/90159233/Spotify-Pet-Playlists?ref=usepanda.com

世界観を伝える

「心を揺さぶるデザイン」は演出を派手にすればいいのか?と言ったらそれは違います。しっかりと伝えたい世界観に沿っていることが大前提です。世界観がしっかりユーザーに伝わるからこそ、共感し、それに強く心を揺さぶられるのだと思います。

世界観を伝えるようなデザインの例をあげると、PanasonicのLife is electric.という電池です。こちらは「見えない電気に姿を与えるプロジェクト」がコンセプトでそれぞれの電池がどうやって生まれたのかという物語を各電池に添えています。例えば、「ハムスター6匹が回し車を回転させる運動で起こしたかわいい電気」や「チアガールのはじける電気」などです。電気に意味を持たせることで愛着を湧かせる仕組みになっているのでしょう。

(参照元: https://maskman.co.jp/works/13

番外編: ユーザーさえ世界観の作り手にする

世界観を伝える方法の一つに、ユーザーと一緒に世界観を作り上げるという選択肢も取れます。サービスに最も接しているユーザーから率直な意見をききながら世界観を盛り上げていくのです。

Netflixのシェア機能は、ユーザーがNetflixという世界観を一緒に盛り上げている施策の一つです。見た映画をInstagramのストーリーでシェアするときに映画のロゴが好きなように配置することで、見た映画の批評を自分なりに表現できます。自分自身で評価を作ることによって自然と映画やNetflixに愛着を持つことができるのです。

まとめ

「心を動かすデザイン」を作ることは必ずしも簡単ではありません。しかし、私はサービスのことを愛しユーザーにしっかり向き合い続けることで、こだわりが生まれ世界観が伝わり、結果的にユーザーの心を揺さぶるものになるのではと思っています。

弊社に浸透する「Value(行動指針)」のポスターも、「Value」というテーマに向き合った結果多くの社員の「心を動かすデザイン」となった一例なので、ぜひご覧になってみてください。