先月、2017年7月にベルリンで開催された欧州最大規模のテックカンファレンス、Tech Open Airに参加してきました!
実際に現地を訪れたビジネスデベロップメントの佐宗より、なるべく雰囲気が伝わるようたくさんの写真とともに現地レポートをお届けします。

Tech Open Airへ参加したきっかけ

グッドパッチは現在、東京・ベルリン・ミュンヘン・台北にオフィスを構えて事業を展開しています。ベルリンオフィスでは「ベルリンのクリエイティブエナジーのカタリスト(触媒)になる」という目標を掲げ、日々ベルリンのクリエイティブ産業を盛り上げようとしています。

この目標の達成に向けて、ベルリンメンバーは昨年もTech Open Airに参加しています。今年はイベント規模がより大きくなるということで、グッドパッチおよび自社プロダクトのProttBaltoの認知向上のため、ブース出展とピッチをするに至りました。

(↑グッドパッチベルリンオフィスはこの中に入っています。)

(↑オフィス風景です。イベントスペースもあり、70名入れます。Aaron.aiというスタートアップも入居しています。)

(↑今回はミュンヘンオフィスのKhanh、デザイナーのTeodoraと自分の3人でブース出展を担当しました。)

ベルリン・ミュンヘンへお越しの際はぜひお声がけください!
月1回ペースでProduct Crunchというイベントも開催しています。

Tech Open Airとは?

さて、イベント自体について紹介していきたいと思います。TOA(Tech Open Air)はヨーロッパで最大規模のテックカンファレンスで、公式HPによると2万人の来場者だそうです。2日間のメインイベントと3日間のサテライトイベントで成り立っています。イベント会場は”Funkhaus”という場所で、1956年の東ドイツ時代に国営のラジオ放送局として作られた建物です。メイン会場ではSoundCloudのCEOからGoogleSearchのHead of Designまで幅広い企業がプレゼンテーションをしていました。

(↑Funkhausのメインホール)

(↑活気あふれるレセプション。)

賑わうブース展示会場。グッドパッチブースも!

TOAの導線は本当にしっかり設計されており、TOA参加者はメインホールへたどり着くには必ずブース出展エリアを通過しないと行けません。エントランスを通過してまず目に飛び込んでくるのはFacebookとInstagramのブース!日本ではなかなか見られない光景でした。数時間おきにプロダクトと広告に関するワークショップを開催していました。そしてラッキーなことに、この隣が私たちグッドパッチのブースです。
約3ヶ月ほど前からブースの出展準備を始めて、ベルリンオフィスと連携しつつブースデザインを進めていきました。TOAはブース出展における厳しいガイドラインがあり、プラスチック製のバナーやクリエイティブな雰囲気にマッチしない装飾は全て使用NGです。こういった運営面の設計でもTOAをより一層クリエイティブな空間にしようとする意気込みが感じられます。

(↑グッドパッチのブースは全て手作りで設計しました。)

また、今回はベルリンのIoTスタートアップ「Mitte」と一緒にブース出展をしました。Mitteはアプリで温度やミネラル量などをカスタマイズできる飲料メーカー。グッドパッチがアプリのUI/UXデザインを担当させていただきました。

(↑Mitteのサービスイメージです。)

同会場ではInnovationStageというピッチステージもあり、様々なスタートアップが熱いプレゼンテーションを発表していました。幸いにもグッドパッチは1日目のトリを務めさせていただきました。「最後のプレゼンターは、はるばる日本から来たぜ〜!!」というMCのハイテンションな紹介と共に始まりました。

(↑中央に設置されているピッチステージ。筆者登壇中。)

ピッチでは “REDEFINING PRODUCT FEEDBACK” というタイトルで、Baltoを用いたプロダクトフィードバックのプロセスについて、TOAのウェブサイトの事例を元に話しました。

開放感ある屋外展示会場

ブース展示会場を通過すると、次の飛び込んでくるのが屋外で展示されている企業ブース、ピッチ会場やDJブースです。基本的にインタラクティブな設計がされています。例えばある企業では、知らない人同士でチームを組んで脱出ゲームを体験させることでサービスコンセプトを伝えようとしている企業ブースもありました。

(↑COUPのブース。)

その中でも特に注目されていたのはボッシュ社が提供している電動スクーター「COUP」のブースでした。ベルリン市内では、このCOUPのシェアリングサービスがとても人気を博しています。最寄りの電動スクーターをアプリを通じていつでも検索・予約・利用でき、目的地に到着した後はそのスクーターを市街地のどこにでも乗り捨てられる仕組みになっています(※現在はEUの運転免許が必要です)。UXデザインはBCG Digital Venturesが支援し、電動スクーターは台湾メーカーのGogoroが製造しているそうです。

街中で開催されるサテライトイベント

TOAイベント期間中3日間は、ベルリン市内のあらゆるところがTOAのサテライトイベント会場になります。ドイツ銀行によるデザイン思考のワークショップからQuoraのUserMeetup、KickstarterによるクリエイティブパーティーやBBCのイベントまであります。2017年のサテライトイベント一覧はこちら

(↑ベルリン市内のサテライトイベントマップ。)

参加するには事前に公式アプリEventbriteを通じて予約が必要です。当日でも入れるイベントはあるので締め切られてしまっていても会場に行けば入れることもあります。
私たちは、FInTechで有名なFidor Bankとサービスデザインで有名なIXDSが主催するサテライトイベントに参加してきました。本稿ではFidor Bankのイベントに絞って書きたいと思います。

“Embracing The Digital Lifestyle With Fidor” by Fidor Bank

(↑Fidor Bankサテライトイベント会場は貸し切りのカフェでした。)

このTOAサテライトイベントは社長自らMCをし、各社パートナーが総勢100名ほど来ていました。Fidorとコラボレーションしているスタートアップのピッチも10社ほどあり、賑わっていました。Fidor Bankは2010年よりドイツで提供開始した銀行で、欧州でいち早くモバイルバンキングを提供してきた企業です。デジタルに特化した”Neobank”と呼ばれており、FinTechのパイオニアとも称されます。現在のFidor Bankのアクティブユーザー(口座開設済み)は20万ユーザー、Fidorオンラインコミュニティーは47万5000ユーザーを誇るユーザーを中心に設計されたサービスです。

(↑Fidor BankアプリUI)

Fidor Bankのアプリでは、ビデオ認証による本人確認プロセス、デジタルマスターカードの即時発行、オンラインでのカード停止、友人への送金、リアルタイム支出マネジメント、ローンの即時受け取りなど様々なことができます。

2015年にはUKに進出をし、2016年にはスペイン通信会社最大手のTelefonicaと組んでミレニアル世代向けのサービスである”O2 Bank”をドイツでリリースしています。また、FinTech・InsTech・その他ツールのアプリケーションを集め、各種銀行やサードパーティーとつなげる “Fidor FinanceBay”というマーケットプレイスも会場での露出が強かったです。

実は2017年2月に日本で開催されたNikkei FinTech Conference 2017の基調講演もFidor Bankでした。日本に参入するのかどうか、今後が楽しみですね!

終わりに

以上、Tech Open Airイベントレポートでした。いかがでしたでしょうか。
実はここには書けていませんが、他にも急成長中のスタートアップ「N26」や老舗のデザインコンサルティングカンパニー「Fjord」「IXDS」など様々な会社を訪問する機会がありました。

印象に残っているのは、FinTech分野においてUX/UIデザインを最重要視している企業が多かったところ、失敗を奨励して次に活かそうとする挑戦的文化、そしてTOA会場からの帰り道がイベント公式の大きいボートだったことです。

(↑TOA会場からの帰り道のイベント公式ボートです。本当です。)

皆さんもベルリンのエネルギーを体感しに行ってみてはいかがでしょうか。