FinTechのムーブメントが国内でも起こり、スマートフォンを使った投資が当たり前になってきた昨今ですが、海外では一足早くその動向がみられていました。特にアメリカの若年層をターゲットにした、ロボアドバイザーを活用した資産運用アプリが人気を誇っています。

AIを活かし、いくつかの簡単な質問に答えるだけで、ロボアドバイザーが最適なポートフォリオ(資産運用プラン)を提案してくれる資産運用アプリを、本記事では少額貯金アプリ・投資アプリ・ソーシャルレンディングアプリの3つにカテゴライズしてご紹介します。

少額貯金アプリ

Acorns

acorns

日本でも株式会社マネーフォーワードが運営するしらたまなどのアプリが、「お釣り貯金」という新しい概念を日本に定着させようとしていますが、海外ではごく一般的にお釣り貯金アプリがあります。しかしその中でも、最初にお釣り貯金という概念をアメリカ国内で浸透させたアプリとして知られているのがAcornsです。

Acornは2012年にJeff Cruttendenと彼の父親によって創立されました。Jeffは大学生時代に、ほとんどの同級生が自分で生活費を払えていないことに気づき、簡単にお釣りを貯金できるアプリをつくりました。クレジットカードもしくはデビットカードと紐づけるだけで、カード決済で支払った額の端数を自動で貯金し、最適な投資運用をしてくれるサービスです。

ユーザーはAcornsが提供する5つのポートフォリオから、自分に最適なものを見つけて投資運用ができます。また、大学生は4年間無料でサービスを利用でき、友達に紹介すると自分もディスカウントを受けられることがユーザーから人気な理由の1つとなっています。

Acornsは、5000ドル以上投資をしているアカウントから年間0.25%の手数料をもらってマネタイズをしています。新しいタイプの投資方法を若い世代へ提供し、「投資は難しそう」という考えを覆すチャレンジをしていることが見てとれます。

acorns

AcornsのアプリとウェブのUI

パステルカラーとグラデーションの効いたUIが、一般的な投資アプリとの差別化になっているように思います。タッチIDでアカウントのロックが解除できる点もいいですね。ポートフォリオの画面で、何歳のときにどれだけ投資額がたまっているかということを数値でわかりやすく参照できる点も、使ってみたくなる要因の1つだと思います。

Stash

 

stash

もう1つの少額投資アプリとして有名なのがStash。2015年に「新しい世代の投資家を育成する」というミッションを掲げて設立しました。金融知識に乏しい若い世代の人でも簡単に投資がはじめられるように、5ドルの投資からはじめられる仕組みになっています。はじめの1ヶ月は無料でお試しできることや、月1ドルの費用で利用し続けられるところも魅力的ですね。

ポートフォリオのパーソナライズに最もこだわっているようで、ユーザーの属性を分析した上で、ユーザー自らがポートフォリオを構築できるシステムを提供しています。また、手厚いサポートや定期的なアドバイスで、投資初心者であるユーザーにも十二分に安心感を与えています。

先ほどのAcornsと同じようにタッチIDでロック解除ができます。Investのタブでは、自分の信じることや好きなことを選ぶと、趣味嗜好にあった投資先をレコメンドしてくれます。なかなかここまで優れたレコメンド機能が備わっている投資アプリは、国内ではめずらしいのではないんでしょうか?

投資アプリ

Robinhood

Robinhood

2013年アメリカで創立したRobinhoodは、代表的な投資アプリとして多くの国で知られています。今となってはさほど稀ではありませんが、当時手数料が0で取引ができる投資サービスは人の目を引くものでした。少額貯金アプリとは異なり、投資にもう少しシリアスな人向けのサービスという印象を受けます。ユーザーは月額10ドルで米国内の株を自由に売買することができます。黒と白を基調とし、アクセントカラーにエメラルドグリーンを使っています。緑色には「お金」という意味合いもあり、非常に納得感のあるUIだと言えます。株価の上下もグラフから一目瞭然なのがいいですね。

 

Betterment

2008年という早期に創立したBettermentは、写真をうまく使った洗練されたUIが印象的。Bettermentのミッションは、低コストでパーソナライズされたファイナンシャルアドバイザーでより良い顧客体験をつくること。0.25%の手数料がかかりますが、アプリを使っていつでもどこからでもキャッシュを引き出せるモデルを実現しています。また、アプリは自分のポートフォリオを参照・シェア・レビューすることが可能な優れものです。アプリ内ではさらにユーザーサーベイを行って、長期的なファイナンシャルプランを提案しています。

ソーシャルレンディング

SoFi

2011年にアメリカで設立されたSoFiは、学生ローンを抱えた新社会人をターゲットにしたレンディングサービス。MBAローンや住宅ローンなどさまざまなプランを個人に合わせて提供しています。ほとんどのサービスはロボアドバイザーによるもので、人的なリソースはほとんど使っていないそうです。

 

Zopa

取り上げた中で唯一アメリカではなくイギリスで設立されたZopaは、ソーシャルレンディングの中でも非常に「ソーシャル」にフォーカスしたサービスです。マネーを投資しようとしている人とマネーをレンディングしようとしている人を直接つなげ、貸し借りのプロセスをより簡易化しています。ウェブサイトの雰囲気からも伝わるように、若年層をターゲットにした、ソーシャル色の強いUIです。銀行という概念を一切取っ払い、より安い手数料での賃金流動を可能にしています。

 

今後の投資アプリの動向

テクノロジーの進化により、よりハードルの低い資産運用が手軽にできるようになりました。若い人や投資経験のない人も、AIによるアルゴリズムやロボアドバイザーで、安心して投資・ソーシャルレンディングに挑戦している動向が見られます。また、AIによるアルゴリズムやロボアドバイザーで従来の対面型投資サービスよりもユーザーのパーソナルなインサイトを引き出し、1人ひとりに合ったプランを提案してくれるところも魅力の1つです。

シェアリングエコノミーではないですが、人と人を率直なニーズからつなげられる投資サービスには、今後も注目が集まるでしょう。P2Pレンディングこそが資本主義を物語る投資の仕方になりえると私は考えています。

これまでにご紹介した他のFinTechアプリについては、以下の記事をご覧ください。

 

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