ProttはUser Meetupを定期的に開催して、サービスの開発・改善に欠かせないユーザーの皆様の声を直接聞く機会を大切にしています。
またユーザー同士でProttの活用方法を共有することもUser Meetupの目的です。
今回は、2017年7月25日(火)に開催したvol.22「AI(人工知能)特集」のイベントレポートをお届けします!
本イベントではAIを用いたサービスでのプロトタイピングとUI/UXについてお話しいただきました!
目次
「プロトタイピングをしよう」|株式会社WACUL 井原様
「データの『わかる化』で意思決定を簡単に」を理念に、AIを用いたWebサイト分析サービス『AIアナリスト』を提供している株式会社WACULのプロダクトマネージャ/UXデザイナーである井原様にお話しいただきました!
プロトタイピングを始めた背景
『AIアナリスト』は、Webサイトを手動分析したデータをもとにコンサルティングを行なっていた時代に得た知見から始まりました。分析コスト・分析ミスの軽減を図るために開発された『AIアナリスト』ですが、新機能リリースを重ねる中、問題も出てきたそうです。
①同じ機能なのに複数の導線が存在する
②便利な機能が探しづらい
③リリース当初には想定していなかった使われ方に対応する必要がでてきた
これらの問題を解決するために、サービスのフルリニューアルに踏み切ることに。
その際、Goodpatch BlogやPrott Blogの記事からプロトタイピングに注目されたそうです。理由として、以下の3つの項目を挙げていただきました。
①プロトタイピングをもとに完成形のイメージが共有できそう
②イメージを共有することで、仕様やUIの手戻りが減りそう
③開発スピードがアップしそう
これらを期待して、始めてみましたが、プロトタイピングを導入すること自体が初めての試みだったため、具体的にどのように活用するのか想像がつかず不安はあったようです。しかし、フルリニューアルプロジェクトという新しいことをやりやすいタイミングであったことに加え、ダメだったら元の形に戻せばいいとの考えから導入に踏み切ったとのことでした。
実際にどんなプロトタイピングをしたか
井原さんは、フィードバックを2種類に分けて集めたようです。1つは狭く深いフィードバック。もう1つは浅く広いフィードバック。この2つには違う目的があり、集め方も異なるそうです。その2種類のフィードバックの集め方をご紹介いただきました。
①シナリオ会
この目的は狭く深くフィードバックをもらうこと。
関係者全員を1ヶ所に集め、Prottで作ったプロトタイプをシナリオに沿って操作してもらったそうです。Prottはオンライン上でコメントを残すことができますが、あえて1ヶ所に集めて操作してもらった目的は、その場で生の声を聞きたかったからです。実際にもらった生の声を、デザイナだけではなくエンジニアやビジネスサイドともその場で共有し合い、「対面のコミュニケーション」を大切にしたそうです。
②全画面にフィードバック
こちらの目的は広く浅くフィードバックをもらうこと。
関係者全員にProttで作ったプロトタイプのプロジェクトを共有し、直接コメントをもらったそうです。
そのコメントはスプレッドシートにまとめて可視化させ、改善に活かしました。シナリオなどは設定せずに触る人の思い通りに動かすことで、個人の主観でコメントをもらうことができます。これをたくさん集めることでよりユーザーフレンドリーなサービスを目指しているとのことでした。
プロトタイピングの結果
2種類のフィードバックを集めたプロトタイピングですが、井原さんは以下の3点をプロトタイピングの結果として実感したそうです。
1.プロダクトのクオリティが向上した
多数のユーザーに触ってもらいフィードバックをもらうことで、仕様や設計のミスに気付くことができた他、開発サイドとビジネスサイドの擦り合わせが行えた点が大きかったそうです。開発サイドは動くものを提示して、ユーザーの声や要望に沿っているかをビジネスサイドに確認できるようになりました。ビジネスサイドもそれを見て、要望を直接伝えることができるようになったそうです。
2.プロトタイピングは大変だった
プロダクトのクオリティアップに繋がったプロトタイピングですが、大変だったことが2つありました。1つは準備するものが多かったこと。シナリオ会ではシナリオに沿って操作してもらうので最低限の画面を作るだけです。一方、全画面にフィードバックを貰う際には、実際のサービスで使うのと同じ数の画面を作らなければなりません。
もう1つは、実施するにあたって関係者が多かったこと。関係者全員を一か所に集める際、営業職の人は外に出ていることが多いため、スケジュールや時間の管理が難しかったとのことでした。
3.意思決定がスムーズになった
目に見えて操作できるものがあることで、完成形へのイメージが関係者全員で統一されたようです。開発サイドとビジネスサイドがコミュニケーションを取りやすくなった他、動くものがあることでビジネスサイドも新機能にリリース前から慣れておくこと事ができるようになりました。
「AIを活用したサービスプロトタイピング」|株式会社シグマクシス 田村様
続いては、株式会社シグマクシスでサービスデザインチームのディレクターを務める田村様にお話いただきました。シグマクシスは主にビジネスコンサルティングを行なっている会社で、AIを活用したアプローチを積極的に行なっています。今回はAIを取り入れた社内向けサービス『トレル』の例を挙げて、制作過程とプロトタイピングの関わりについてご紹介いただきました。
AIを用いて体験をデザインする
『トレル』は社内の若手コンサルタント向けの学習支援ツールです。
シグマクシスでは若手コンサルタントを少しでも早く現場で活躍させるために、新人育成に力を入れています。新人育成の一環として外部セミナーやカンファレンスの参加を促すことも多いようです。その理由として、シグマクシスでは「人との接点を持つことがコンサルタントの勉強方法として一番良い」という考えがあるからだそうです。
一方で、社内報告である外部セミナーやカンファレンスの報告資料や議事録の作成はあやふやになることも少なくなく、当事者からは面倒だと考えられがちの工程でした。
そこで、この面倒だと考えられがちな工程を良い体験にすることで、より学習に力を入れさせようという目的に、イテレーションの過程で絞ったそうです。
『トレル』はスライドや自分のメモを写真で撮影し、アプリ内で自動でテキスト化できます。日英の翻訳もでき、議事録や報告資料の作成の手間を大幅に減らすことを可能としました。
作成した資料を共有することで、他の人の体験を自分のものに、自分の体験を他の人ものに広げていくこともできます。
プロトタイピングの位置づけ
シグマクシスでのプロトタイピングの位置づけは、仕様を実現可能な範囲に抑えることだそうです。アイデアを発散していく中で、良いと思ったアイデアをペーパープロトタイピングに落とし込みます。
これをもとにProttを用いて、インタラクションを設定したプロトタイプを作成することで、どこまでが実現可能かの見極めがしやすくなるようです。
Prottを用いて作成したインタラクション付きプロトタイプ
さいごに
トークセッション終了後、リアルタイムのグラフィックレコーディングが完成しました!今回の懇親会でも、グラフィックレコーディングの前にはたくさんの人が集まり、みなさまで内容を振り返る姿が印象的でした。
以上、Prott User Meetup vol.22のレポートでした。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!
私たちProttチームは、今後もユーザーの皆さまと一緒になって開発・改善を進められるよう、User Meetupを開催する予定です!
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Prottのことをあまり知らないという方も、過去に参加したことのある方も、是非お気軽に遊びに来てください!